年長の担任は、他の学年とは保育内容が異なる部分があり、責任や負担の重さから辞めたくなる場面もあるのではないでしょうか。
この記事では、年長の担任はどうして辞めたくなってしまうのか、その理由や解決方法も具体的に解説します。
年長の担任が辞めたくなる理由は?
まずは、年長の担任が辞めたくなる理由を見ていきましょう。
今回紹介するのは、以下5つの理由です。
- 1人担任の負担
- イベントが多く、忙しい
- プレッシャーを感じる
- 就学に向けたサポート
- 卒園後のタイミングが円満退職にちょうどいい
1人担任で負担
保育士の配置基準では、年長に当たる5歳児25人につき、保育士1人の配置が定められています。(2024年度に30→25人に変更)
25人というと1クラスの人数に該当することもあるので、年長児クラスで1人担任というケースは珍しくないでしょう。
とはいえ、実際に年長を1人で受け持つとなると、最大で25人の子どもたちを見る中で、常に気が抜けず、悩んでしまうことが想定されます。
1人担任の場合は、他の先生に相談し協力して保育を進めていくこともできず、自分の力でクラス運営をしていく必要もあります。
このようなことから年長児クラスの担任を務めることを、負担が重いと感じてしまうこともあるでしょう。
イベントが多く、忙しい
保育園では、月々のほか季節ごとに行事やイベントが行われています。
例えば、遠足や運動会、夏祭りに生活発表会、クリスマスなどは定番のイベントです。
年長児では、これらのイベント以外に、お泊り保育や年長児遠足、卒園式や謝恩会などのイベントも設けられていることがあります。
行事やイベントで次々にスケジュールが埋まり、忙しく感じる方も多いのではないでしょうか。
プレッシャーを感じる
各行事や活動で求められるレベルが高く、担任にかかるプレッシャーを感じるのではないでしょうか。
年長児の場合、園の行事やイベントで目立つ役割が与えられがちです。
「年長としての役割をこなさなくては」と、他の学年の子どもたちや保護者からの期待に応えようと、プレッシャーを感じてしまうのではないでしょうか。
また、前の年の年長児と比べられることもあり、それもプレッシャーやストレスの一因となるかもしれません。
就学に向けたサポート
年長児は翌年に、小学校入学を控えています。
年長児の担任にとって、就学サポートも重要な仕事の1つです。
具体的には、以下のような取り組みが行われることが想定されます。
・保護者との連携強化(生活習慣の見直し・改善など) ・生活自立の練習(トイレや着替えなど) ・グループ活動の導入(グループでの話し合いなど) ・時間割の設定/ルールの徹底 ・机上の学習(文字の読み書きなど) ・小学校訪問や交流会の企画・実施 |
年年長児ならではのサポートがあるため、大変だと感じることがあるでしょう。
卒園後のタイミングが、円満退職にちょうどいい
「もっと自分に合う職場があるのではないか」「上を目指すべきでは」など、転職やキャリアアップを意識している場合、年長児の担任はちょうどよい機会と捉えることもあります。
卒園児を送り出したあとの担任は、クラスの持ち上がりがなく退職を検討する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
辞めたくなったときの解決方法
今の職場を辞めたい気持ちがあっても「収入や生活のことを考えると、あまり現実的ではない」という方も含め、退職は、そう簡単に決断すべきことではありません。
そこでここからは、年長の担任で仕事を辞めたくなったときの解決方法を紹介します。
1人担任で負担が重いとき…上司に相談する
1人担任で負担が重いと感じるときには、まず主任や園長などの上司に相談してみましょう。
業務内容の見直しをしたり、副担任をつけてもらったり、パートやフリーの保育士を増やしてもらったりと、負担の重さを軽減するための提案をしてもらえる可能性があります。
上司に話すのは気が引けるのであれば、身近な先輩保育士でもいいでしょう。まずは、今の負担やつらさを言葉にして、誰かに話してみると解決策が見つかる可能性があります。
気持ちが晴れたり、考え方を変えるきっかけにできたりするかもしれません。
イベントが多く、忙しすぎるとき…上司に相談する
イベントが多く、忙しすぎるときも主任や園長などの上司に相談するのがベストです。なぜなら、園全体の行事やイベントの決定権を持っているのは管理職だからです。
相談する際には、減らせそうな行事やイベント、あるいは仕事内容の変更などを、具体的に提案するとよいでしょう。提案した内容が、そのまま採用される可能性もあります。
プレッシャーが大きいとき…周りに相談する
年長児に求められるレベルが高く、プレッシャーを感じるときには、同僚や先輩の保育士、家族や友人などに相談してみることをおすすめします。
プレッシャーを感じること自体は悪いことではありません。しかし、あまりにもプレッシャーが強すぎると、押しつぶされてメンタル不調に陥ってしまう可能性があります。
そうなる前に、今感じているプレッシャーについて、年長児保育に感じている不安や心配について、誰かに話してみましょう。
同じ保育士として働く同僚や先輩保育士であれば、同じ悩みを持った経験があるかもしれません。「その悩みは自分だけが抱くものではない」のだと知り、共感してもらうことで、安心して精神的に楽になることもあります。
ただし、すでに抑うつ的な症状がある場合には、一旦職場を離れたり、一度メンタルクリニックなどの専門家に相談してみるのも一つの手でしょう。
就学に向けたサポートが大変なとき…業務の棚卸しをする
就学に向けたサポートが大変だと感じているときは、まず業務内容の棚卸しをしましょう。
具体的には、業務をすべてリスト化して進捗状況を明確にします。
それらの業務を行うのに、何時間くらいの時間がかかるかまで想定できるとベストです。
棚卸しができたら、その資料を元に、主任や園長などの上司に相談や提案をしましょう。業務内容や量を具体的に示すことで、どれだけの負担があるか、説得力を持って説明できます。
お仕事の中には、環境整備や資料作成など、役割分担できる業務が多く含まれています。業務分担の見直しや、フォロー体制を検討し、負担を軽減できる可能性があります。
卒園後が退職のタイミングにちょうどいい…考え方を変えてみる
例えば以下のように考えると、必ずしも今のタイミングで辞める必要はないと思えるのではないでしょうか。
・年長児の担任をした経験や知識を、次の受け持ちクラスに生かせる。 ・年長児の担任を経験したからには、次年度に何があっても大丈夫。 ・卒園児とお別れしたまっさらな気持ちで、またゼロから子どもたちに向き合える。 ・次に年長児の担任になる保育士のフォローやサポートをしてあげられる。 ・卒園児が会いに来てくれたとき、笑顔で迎えてあげたい。 |
自分がそこで働く理由は、振り返りの機会を持つと見つけられるかもしれませんね。
また、周りの先生にも話を聞いてもらうことで、自分の気持ちが整理できることもあります。
どうしても辞めたい場合の退職理由の伝え方
それでもやっぱり退職したいと思うなら、退職に向けて動き出すのも一つの手でしょう。とはいえ、退職の理由はどのように伝えればいいのでしょうか。
一般的には、以下に挙げるような退職理由が考えられます。
- 業務上の理由
- プライベートな理由
- 健康上の理由
- キャリア上の理由
どのように伝えればいいのか、具体的に解説していきます。
業務上の理由
年長の担任を務めている間に退職を考えていた方は、業務上の問題である場合もあるのではないでしょうか。
例えば以下のような理由です。
・1人担任で仕事量が重すぎた。 ・年長の担任を務めるプレッシャーが重すぎて、続ける気力がない。 ・上司に相談しても解決してもらえなかった。 |
業務上の問題で退職意向に至った場合、職場側にも問題がある可能性があるため、状況や待遇を改善するという条件で、慰留や引き止めをされる可能性も十分に考えられます。
退職をしたい気持ちを正直につたえることで、今の職場で引き続き頑張れる可能性もありますが、改善が期待されない場合は、上記の理由やほかの理由を伝える方法があるでしょう。
プライベートな理由
年長の担任をしている間に、私生活上の状況が変わる可能性もあります。
例えば以下のような理由が考えられます。
・結婚が決まった ・家族の転勤が決まった ・家族の介護をしなければならない |
これらは、あくまで本人の私生活による理由のため、伝えられる範囲でお話をして退職意向を示す形になります。
健康上の理由
さまざまな理由で体調を崩してしまった場合も、その旨をお伝えして退職の意向を示します。
すでに病院にかかっている場合には、診断書を見せる場面もあるでしょう。
キャリア上の理由
年長の担任という大仕事を乗り越えることが、自身の保育士としてのキャリアや働き方を見つめ直すきっかけとなり、キャリアアップを目指したくなる保育士もいるでしょう。
退職の意思を伝えるときには、現在の職場とは違う形態や、別分野の施設など、新たな環境への転職を考えていて、具体的な目標を話すと、納得してもらいやすいでしょう。
自分のスキルを生かせる転職方法
年長の担任を経験しているなど、保育士としてある程度のスキルがある場合、できることなら、現在の職場よりも待遇や環境のいい転職先で働きたい方もいるかもしれません。
保育士の求人を探すには、一般的に以下のような方法が考えられます。
・ハローワーク ・求人サイト ・転職エージェント ・新聞や地域情報誌の求人欄 |
ハローワークや求人サイトでは、希望する条件に限定して仕事を探せます。
特に「保育士専門の求人サイト」を使うと、細かい条件を指定して求人を探せるので、効率的な就職・転職活動ができますよ。
保育士としての転職が初めてなら、保育士専門のエージェントを活用してもいいでしょう。
保育士専門のエージェントである保育士人材バンクは、転職活動の方法や履歴書の書き方、面接での受け答えなどについて、助言やサポートを受けることもできます。
これまでのスキルを全面に生かした転職活動ができるでしょう。
保育士が年長の担任を辞めたくなる理由のまとめ
年長の担任で辞めたくなる理由は、さまざまですが他の年齢児とは異なる理由がありますね。
しかし、辞めたくなったからといって、簡単に退職できるものではないとも言えます。
退職を申し出る前に、どうして仕事を辞めたくなるまでに追い詰められてしまったのか、その原因を突き止め、解決方法を模索してみてはいかがでしょうか。
初めての転職は不安、忙しくて求人を探す暇が無いという方は、保育士人材バンクにご相談ください。
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