この記事では、実際に多くの受験生をサポートしてきた経験をもとに、言語試験の概要や練習方法、分野の選び方、モチベーション維持のコツ、試験当日に意識したいポイントまで詳しく解説します。
効果的な事前準備を行い、試験合格を目指しましょう。
はじめに:保育士実技試験と「言語科目」の基本情報
保育士試験の実技試験には、「音楽」「造形」「言語」の3分野があり、そのうち2分野を選択して受験します。
言語試験では、3歳児クラス15名程度の子どもたちを前にしてお話をすることを想定し、指定された昔話を3分間で語ります。(※2026年6月現在)
ここでのポイントは「『保育士としての』実技試験であることを忘れない」ということです。
試験官は、技術の高さだけではなく「保育士として子どもにどう関わるか」という視点も見ている可能性があります。
例えば言語試験であれば、
- 子どもたちに伝わる声で話せているか
- 子どもたちがお話を楽しめるように意識しているか
- 子どもたちが物語の世界に引き込まれるような工夫をしているか
等の部分が意識するポイントになるでしょう。
実技試験の合格基準
実技試験は選択した2分野の両方で、50点満点中30点以上を獲得することで合格となります。
合格された方の中には、人前で話すことが苦手だった方や子どもに向けて話した経験がないという方もいたことでしょう。
反対に、元々話すことが得意な方でも「子どもに伝える」という視点が抜けていることで苦戦するケースも考えられます。
各科目で必要な技術も時には必要になる場面もあるかもしれませんが、冒頭にある「保育士として子どもに伝えること」から大切にしていきたいですね。
実技試験の分野はどうやって選ぶ?おすすめ選定方法

実技試験では、「音楽」「造形」「言語」の3分野のうち2分野を選択します。
「どの分野を選べばいいか悩む」という方に向けて、ここでは科目ごとに「おすすめな人」やポイントをご紹介します。
言語がおすすめな人
言語は比較的取り組みやすい分野です。
- 人と話すことに大きな苦手意識がない
- 物語に興味を持ち暗記に強い抵抗感がない
といった方に向いています。
令和7年度(2026年度)からは、事前に提示されている3つの課題のうち、いずれかを試験室入室後に、試験官より指定される形式になりました。
以前のように1つの課題だけを覚えればよいわけではなくなりましたが、課題として出題されるのはいずれも昔から親しまれている定番の物語です。そのため、過度に構える必要はありません。
また、受験生の中には「人前で話すのが苦手だから言語は避けたい」という方もいるかもしれません。
しかし実際に練習を始めてみると「音楽の弾き歌いよりもやりやすかった」という場合もあるでよう。
反対に「昔から人前で話すのは得意だから大丈夫だと思っていた」という方が、子ども向けの話し方に苦戦するケースもあります。
そのため、自分の思い込みだけで判断せず、一度実際に言葉にして練習をしてみることをおすすめします。
音楽がおすすめな人
音楽経験がある方はもちろん有利ですが、ピアノもしくはギターの経験がなくても合格は可能です。
ただし、演奏しながら歌を歌う「弾き歌い」の試験になりますので、
- 同時に複数のことを行うのができる方
- 音程を合わせることに強い苦手意識がない方
にお勧めです。
難しい方は、言語と造形を選択した方が安心かもしれません。
大切なのは子どもたちと一緒に音楽を楽しめることを意識しているかという部分で、このことを意識しながら練習をしてみましょう。
造形がおすすめな人
- 絵を描くことに苦手意識がない
- 手を動かすことが好き
といった方に向いています。
造形は練習した成果が目に見えやすく、上達を実感しやすい分野です。
試験の形式は言語や音楽と違い、事前に課題は公表されていなく当日に提示があります。
「当日まで課題が分からないのが不安」という方は、言語と音楽を選択した方が安心できるかもしれません。
迷ったら実際に練習してみる
例えば、「実際に練習してみたら言語が向いているかも」ということもあるかもしれません。
頭の中だけで考えるより、まずは一度実際に練習してみると、自分に合った科目を見つけることができるでしょう。
保育士試験「言語」の練習方法
まずは3分間の台本を作ろう
言語試験では、3歳児クラス15名程度を対象に、絵本の読み聞かせではなく3分間で身振り手振りを交えながら素話をすることが求められます。(※2026年6月現在)
「どのくらいの文章量を覚えればいいのか分からない」という悩みがある場合、「まずは3分で話せる台本を作ること」がポイントです。
緊張すると普段より早口になる方は、実際には少し余裕を持った文字量にしておくことがおすすめです。
出版社やサイトによって昔話の表現は異なりますが、指定の台本はありませんので、物語が変わらない範囲で話しやすい言葉に調整して問題は無いでしょう。
また、言語試験は「暗記力」に意識がいきがちですが、反対に一言一句覚えていても子どもたちに伝わらなければ意味がありません。
実際の保育現場でも、絵本の文章をそのまま読むだけではなく、子どもの反応や文章に合わせて表現を工夫することがあります。
暗記した文章に意識が行き過ぎて、表情や言葉が固くなるよりも「お話を子どもたちに伝えようとする意識」が大切です。
人数をイメージする
この試験は、目の前にいる子どもたちをお話の世界に引き込み、保育士として適切に関われるかを見られる実技試験です。
試験会場でも子どもの椅子が前方に用意されています。3歳児クラス(15名ほど)の子どもを想定として、お話の内容がイメージできるよう意識することが大切です。(※2026年6月現在)
そのため、
- 真ん中だけでなく左右にも目線を送る
- 子どもたちの反応を見ながら話しているように表現する
- 子どもに語りかける口調を意識する
ということが大切です。
自分の話す物語で、複数の子どもたちがどんなリアクションをしているか、想像をしながら話すことが大切です。
子どもの年齢に伝わるスピードを意識する
大人同士の会話と、子どもへの語りかけでは意識するスピード感に違いがあるでしょう。
特に試験本番では「間違えないように」という意識が強くなり、緊張もあいまってどんどん話す速度が上がってしまうことも想定されます。
例えば、3歳児を想定した場合だと、まだ言葉を覚えている年齢でもあり、ゆっくり話す意識は大切です。
「上手に話そう」ではなく「子どもに伝わるように話そう」という意識を持つことが重要ですね。
身振り手振りや声色を活用しよう
言語試験では、絵本や人形、エプロンシアターなどの道具を使用することはできません。
そのため、お話の世界を伝えるためには、自分自身の表現が重要になります。
複数の登場人物が登場する童話だった場合は、それぞれ少しだけ声色を変えたり、表情を変えたりするだけでも、聞き手は理解しやすくなります。
ただし、行き過ぎた大げさな演技は必要なく、保育士として子どもたちにお話を届けるイメージで十分でしょう。
ストップウォッチを使って練習する
2026年6月時点、言語試験では3分の制限時間があります。
そのため、普段からストップウォッチで時間を測りながら練習することがおすすめで、理想としては「毎回ほぼ同じ時間で話せる状態」まで練習すると試験に安心して望めます。
練習中、話が早く終わってしまう場合は「間」をしっかり持つ意識すると余裕を持って時間管理ができます。反対に3分を超えてしまう場合は、削っても問題ない部分を整理していきましょう。
ただし、人前で話し慣れている方でも本番は緊張して早口になってしまうことがありますので、本番中も自分の話す口調が早くなっていないか意識することが大切です。
また、万が一時間が余ってしまった場合に備えて「お話どうだったかな?」「この続きはどうなると思う?」など、あらかじめ話す内容を考えておくだけでも、本番は安心して取り組みやすくなるでしょう。
お話を全て話終わらなくても大丈夫?
言語試験では3分間という制限時間があるため、「最後まで話し切れなかったら不合格になるのでは?」と不安になる受験生も少なくありません。
しかし、時間内にすべて話し切らなかったとしても、それで不合格になるという訳でもありません。
というのも、保育士実技試験は、物語を完璧に最後まで話し切ることが目的ではなく、
- 子どもに伝わる話し方ができているか
- 保育士として自然な振る舞いができているか
といった点が重視される試験です。むしろ注意したいのは、緊張して早口になってしまうことです。3歳児は大人ほど言葉を処理するスピードが速くありません。
「時間内に終わらせなければ」と焦るよりも、3歳児に伝わるペースでゆっくり話すこと
を意識した方が、結果的に評価につながりやすいでしょう。
モチベーションの保ち方
完璧を目指さない
実技試験対策を始めると、SNSで上手な実演動画を見る機会が増えるかと思います。
その結果、「自分にはこんなに上手にできない…」と不安になる方もいるでしょう。しかし、保育士実技試験は、誰が一番上手にできるかを競う試験ではありません。
完璧な発表を目指すのではなく「子どもたちに楽しい時間を届けよう」という気持ちで練習を続けることが、結果的に合格への近道になるでしょう。
子どもに伝わることをゴールにする
実技試験は技術を競う場ではありません。保育士として子どもたちと関わる力を見る試験です。
そのため、「上手に話せたか」よりも「子どもたちが楽しめたか」を意識して練習すると気持ちが楽になります。実際に誰かに聞いてもらうのも一つの手ですね。
相手の意見や反応を見ることで、本番をより具体的にイメージできるようになります。
試験当日に意識したいポイント

多少のミスは気にしない
言い間違いや言葉の抜けがあったとしても、すぐに不合格になるわけではありません。
そもそも決まった台本があるわけではありませんし、一言一句間違いなく話せるかを評価する試験でもありません。
大切なのは、間違えたからといって途中で止まらず、最後まで話し切ることです。
落ち着いて話し続けることを意識しましょう。
笑顔を忘れない
子どもたちは楽しいお話が大好きです。
緊張すると表情が固くなりがちですが、笑顔を意識するだけで雰囲気は大きく変わります。
完璧な発表を目指すのではなく「子どもたちに楽しんでもらおう」という気持ちで臨んでみてください。
試験官ではなく子どもを見る
当日は試験官が気になりがちですが、目の前の子どもたちに向けてお話を届ける意識を持ちましょう。
その際は、年齢や子どもの人数を想定しながら試験を進めていきましょう。
緊張するのは当たり前
試験当日に緊張するのは当たり前です。多くの受験生が本番では緊張するでしょう。
だからこそ、
- 緊張しても話せるように練習する
- 多少言い間違えても続ける
- 完璧でなくても最後までやり切る
という意識が大切です。
まとめ:万全の対策で保育士試験「言語」を突破しよう!
保育士実技試験「言語」は、単に物語を暗記して発表する試験ではありません。
保育士として子どもたちにどのように関わるかという視点を持つと、自然な語りができるでしょう。
また、練習の時から年齢や人数を想定しながら、子どもたちに伝わる声や表現を大切にして準備をしていきましょう。
そして何より大切なのは、保育士として子どもたちにお話を届ける意識を持つことです。
ぜひ自分らしい語り方で練習を重ね、自信を持って試験当日を迎えてください。
執筆者:髙山陽介(わでか保育士講座主催)
自身の受験経験と多くの受講生支援を通じ、受験者一人ひとりの状況に寄り添い、子育て中や仕事で忙しい人でも短期間で無理なく進められる合格までの道筋を示している。