保育士として働く20代の方で、「今の給料は平均なのかな」「この先、ちゃんと上がっていくのだろうか」そんな疑問を感じたことはありませんか?
保育の仕事はやりがいがある一方で、年収や昇給の仕組みが分かりにくく、周りと比べづらいことから将来像を描きにくいのも事実です。
とくに20代のうちは、「今が低いのは普通なのか」「このまま続けて大丈夫なのか」と悩みやすい時期でもあります。
この記事では、20代保育士の年収がどのくらいなのかを、公的なデータをもとに解説しています。
給料が上がるタイミングや方法についても紹介しているので、今の状況を整理し、これからの働き方を考えるヒントとしてぜひ読み進めてみてください。
保育士20代の年収

保育士20代の年収は、年齢が上がるにつれて少しずつ増えていく傾向があります。
ここでは、厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査(民間保育士が中心)」をもとに、20代前半と後半でどのくらい差があるのかを見ていきます。
▼20代保育士(民間保育士)の給与データ
| 年齢 | 月給の目安 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| 20~24歳 | 約24万円 | 約335万円 |
| 25~29歳 | 約26万円 | 約372万円 |
※年収目安=月給×12ヶ月+年間賞与
※「きまって支給する現金給与額」は、基本給+毎月決まって支払われる手当を含む
このデータから分かるのは、20代前半から後半にかけて、月給・ボーナスともに緩やかに上がっているという点です。
年収ベースでは、20代前半と後半でおよそ40万円ほどの差があり、経験を重ねるごとに収入が少しずつ積み上がっていくことが分かります。
公務員保育士の場合はどうか
参考として、公立保育園で働く20代保育士の年収も確認しておきましょう。
公務員保育士は地方公務員として採用され、自治体ごとの給料表に沿って、勤続年数に応じて段階的に昇給していく仕組みです。
総務省「地方公務員給与実態調査」では、職種別(保育所保育士)×経験年数別に平均年間給与が示されています。
これを20代の一般的なキャリアに当てはめると、次のような目安になります。
▼20代保育士(公務員保育士)の年収目安
| 年齢の目安 | 経験年数の目安 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| 20代前半(新卒~数年目) | 1年未満~3年未満 | 約300万~320万円前後 |
| 25代後半(中堅手前) | 3年以上~7年未満 | 約340万~370万円前後 |
公務員保育士は、20代のうちは民間保育園と大きな差が出にくい一方で、勤続年数を重ねるほど収入の見通しが立てやすいのが特徴です。
参考資料:
総務省「令和5年 地方公務員給与の実態 第2統計表」
e-Stat「令和5年 地方公務員給与の実態」
保育士全体の年収水準
保育士の給料は、最近の統計を見ても上昇傾向にあることが確認できます。
厚生労働省が実施する「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、全国平均の年収水準は、保育士の平均月収が約28万円、年間賞与が約74万円で、これを合計すると平均年収は約407万円と推計されています。
この数値は一つ前の年(令和5年)の約397万円からやや上昇しており、直近の給与改善が進んでいることを示しています。
正社員とパートを年代別で見てみると
まずは、正社員として働く保育士の年収水準を見てみましょう。
ここでは、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとに、年代ごとの月給・賞与から年収の目安を整理しています。
▼正社員(一般労働者)保育士年代別年収目安
| 年代 | 月給の目安 | 年間賞与 | 年収目安 |
|---|---|---|---|
| 20~24歳 | 約24万円 | 約52万円 | 約335万円 |
| 25~29歳 | 約26万円 | 約63万円 | 約372万円 |
| 30~34歳 | 約28万円 | 約70万円 | 約400万円 |
| 40~44歳 | 約29万円 | 約70万円 | 約415万円 |
| 45~49歳 | 約30万円 | 約75万円 | 約430万円 |
正社員保育士の年収は30代にかけて上昇したあと、40代ではおよそ410万円~430万円前後で推移しています。
40代以降は年齢そのものよりも、役職や働き方によって年収差が出やすい点が特徴といえるでしょう。
▼パート(短時間労働者)保育士年代別年収目安
| 年代 | 時給の目安 | 年収目安 |
|---|---|---|
| 20代 | 約1,250円 | 約140万~150万 |
| 30代 | 約1,300円 | 約145万~155万 |
| 40代 | 約1,350円 | 約150万~160万 |
※年収目安=時給×5.5時間×月16日×12ヶ月
※時給は「賃金構造基本統計調査(短時間労働者・保育士)」の年代別水準を参考にした概算
※実際の収入は、勤務時間・日数・地域・施設形態により大きく異なる。
パート保育士の場合、年代が上がっても年収が大きく跳ね上がることは少なく、時給の上昇も緩やかなため、年収はおおむね150万円前後で推移するケースが多くなります。
そのため、扶養内で働きたい方、勤務時間や体力面を優先したい方にとっては、現実的な働き方ですが、年収アップを重視する場合は、勤務時間を増やすか正社員に切り替える選択肢もひとつです。
経験年数別の年収は?
保育士の給料は、年齢だけでなく経験年数(勤続年数)によっても段階的に上がっていく傾向があります。
厚生労働省のデータをもとに算出した年収目安を見ていきましょう。
▼経験年数別の保育士(正社員)年収目安
| 経験年数の目安 | 年収の目安 |
|---|---|
| 1年未満 | 約300万円前後 |
| 1~3年未満 | 約310万~330万円 |
| 3~5年未満 | 約340万~360万円 |
| 5~10年未満 | 約370万~390万円 |
| 10~15年未満 | 約400万~420万円 |
| 15年以上 | 約430万~450万円前後 |
※厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和6年)」より
※企業規模10人以上/民間(私立保育園等)が中心
※実際の年収は、地域・法人・役職・処遇改善加算手当の配分によって差あり
公的データをみると、保育士の年収は勤続1~2年で急に大きく上がるというより、経験を重ねながら段階的に伸びていく傾向があることが分かります。
参考資料
e-Stat:「令和6年 賃金構造基本統計調査」
保育士と幼稚園教諭はどちらが年収が高い?
保育士と幼稚園教諭は、20代で進路や転職を考えるときに、どちらを選ぶか迷いやすい資格です。仕事内容が近いこともあり、年収面でどちらが高いのか気になる方も多いかもしれません。
そこで、厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査(企業規模計10人以上)」の公的データをもとに、両者を比較してみましょう。
調査によると、月給は保育士が約277.2千円(約28万円)、幼稚園教諭が約276.6千円(約28万円)と、ほぼ同水準です。毎月の給与だけをみると、大きな差はないことが分かります。
一方で、年間賞与その他特別給与額をみると、賞与を含めた年収ベースでは幼稚園教諭の方がやや高い傾向がみられます。月給と賞与を合わせて年収ベースでみると、保育士は約406万円前後、幼稚園教諭は約414万円前後が目安となります。
つまり、「どちらかが明確に高い」というより、年収水準はほぼ横並びと考えるのが園の実態に近いでしょう。
20代のうちは、資格そのものよりも、勤務先(公立・私立)、勤続年数、賞与や手当の有無によって差が出やすいため、年収だけで判断するよりも、働き方や将来のキャリアを含めて比較することが大切です。
参考資料
e-Stat:令和6年賃金構造基本統計調査
私立と公立はどちらが年収が高い?
保育士として働くうえで、「私立と公立では、どちらの年収が高いのか」は気になるポイントのひとつです。
まずは、公的な統計データをもとに、私立(民間)と公立(公務員)の年収水準を見てみましょう。
▼私立・公立の保育士年収水準(全体平均)
| 区分 | 年収の目安 |
|---|---|
| 私立保育園(民間) | 約400万円前後 |
| 公立保育園(公務員) | 約430万~450万円前後 |
※私立:月給(きまって支給する現金給与額)×12+年間賞与その他特別給与額
全体平均でみると、公立保育園(公務員保育士)のほうが年収はやや高い傾向にあります。
一方で私立保育園は、法人独自の手当や福利厚生が充実していたり、若手のうちから給与が反映されやすいケースも多く、20代のうちは私立の方が高く感じることもあります。
そのため、どちらが良いかは一概には言えず、「今の収入や働き方を重視したいか」「将来の安定や昇給を重視したいか」によって、選択は変わってきます。
参考資料
e-Stat:「令和5年 地方公務員給与実態調査」
e-Stat:「令和6年 賃金構造基本統計調査」
保育士の年収推移と今後の動向
前述したとおり、公的な統計でも保育士の年収は上昇傾向にあります。
厚生労働省の調査をみると、ここ数年にわたり月給・賞与ともに少しずつ引き上げられてきたことが確認できます。
とくに、国による処遇改善の取り組みが本格化した以降は、手当の拡充や加算制度の影響もあり、平均年収は過去と比べて着実に改善しています。
※処遇改善手当について詳しく知りたい方は以下もご確認ください。
>>保育士の処遇改善手当とは?金額や新制度の一本化、支給条件などわかりやすく解説!
「保育士はずっと給料が低いまま」というイメージとは異なり、数字上では前向きな変化が続いているのです。
▼保育士の年収推移(2020年~2024年)
| 年度 | 月収換算 | 年収目安(万円) |
|---|---|---|
| 令和2年(2020年) | 30.3万円 | 363.6万円 |
| 令和3年(2021年) | 30.9万円 | 370.8万円 |
| 令和4年(2022年) | 31.9万円 | 382.8万円 |
| 令和5年(2023年) | 32.1万円 | 385.2万円 |
| 令和6年(2024年) | 32.9万円 | 394.8万円 |
直近のデータをみても、月給水準や賞与額は前年より上昇しており、足元でも年収が伸びている傾向が見られます。
急激に大きく上がるわけではありませんが、少しずつ積み上がっていく形で改善が続いている状況です。
今後についても、保育士人材の確保や定着が社会的な課題となっていることから、国や自治体による支援策が継続される可能性は高いと考えられます。
そのため、保育士の年収は今後も緩やかに上がっていく方向で推移していくと見込まれます。
短期的な収入だけで判断せず、制度の動きや将来の見通しも含めて考えることが、これからの働き方を選ぶうえで大切です。
参考資料
子ども家庭庁:保育士・幼稚園教諭等の処遇改善
保育士の需要は無くならないのか?
少子高齢化が進むなかで、「将来、保育士の仕事は減ってしまうのでは?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
確かに、出生数そのものは長期的に減少傾向にあり、子どもの人数だけを見ると縮小しているようにも見えます。
しかし、公的なデータを見ていくと、保育を必要とする家庭の数が同じように減っているわけではないことが分かります。
少子化でも「保育を必要とする家庭」は減っていない
少子化という言葉から、「保育の仕事もなくなるのでは?」と連想しがちですが、実際には子どもの人数と保育ニーズは必ずしも比例していません。
家庭のあり方や働き方が変化するなかで、子どもの数が減っても、保育を必要とする家庭は一定数存在し続けています。
そのため、「少子化=保育の需要がなくなる」と考えがちですが、実際の状況を見ると、必ずしもそうとは言い切れない面もあるのです。
女性の就業率と共働き世帯の増加が保育ニーズを支えている
厚生労働省や内閣府の公的データを見ると、女性の就業率は年々上昇しています。とくに、子育て世代である25~44歳女性の就業率は8割を超える水準に達しており、共働き世帯も長期的に増加しています。
この変化は、「家庭で子どもを見ることが当たり前」という前提が、すでに社会全体として成り立たなくなってきていることを示しています。
働きながら子育てをする家庭が増えている以上、保育を支える人材の必要性も続いていくと考えるのが自然でしょう。
保育を利用する子どもは今は260万人以上いる
子ども家庭庁の公表資料によると、保育所や認定こども園などを利用している児童数は、全国で260万人以上とされています。
これは、保育が社会インフラとして広く使われていることを示す数字です。
近年、待機児童の数は減少傾向にありますが、これは「保育が不要になった」というより、施設整備や受け皿の拡充が進んだ結果と捉えるのが適切です。
多くの子どもが保育を利用している現状を見ると、保育士の役割がすぐに不要になるとは考えにくいでしょう。
有効求人倍率が示す「保育士不足」の現実
働く側の視点で見ても、保育士の需要は依然として高い水準にあります。子ども家庭庁が公表しているデータでは、保育士の有効求人倍率は全職種平均を大きく上回る水準で推移しています。
とくに都市部では、保育施設の数に対して人材の確保が追いつかず、慢性的な保育士不足が続いている地域も少なくありません。
「仕事がなくなる」というよりも、人手が足りない現場が今も多いことが数字から読み取れます。
これらの公的データを踏まえると、保育士の需要が急になくなる可能性は低く、今後も共働き家庭や働く保護者を支える仕事として、必要とされ続けると考えられます。
もちろん、地域差や施設形態の違いはありますが、「少子化=保育士の仕事がなくなる」と過度に不安を感じる必要はないでしょう。
将来を見据える際には、どの地域で、どの分野で、どのような働き方を選ぶかによって、安定性や働きやすさが変わってくる点も意識しておくことが大切です。
参考資料
厚生労働省:働く女性の状況
内閣府:第3章 雇用をめぐる変化と課題 第1節
子ども家庭庁:「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」を公表します
子ども家庭庁:保育士の有効求人倍率の推移(全国)
保育士の20代が年収を上げる方法

20代の保育士でも、昇給の仕組みや職場選びを意識することで、年収を上げていくことは十分可能です。
ここでは、今の仕事を続けながらできることから、転職を含めた選択肢まで、20代のうちに知っておきたい、現実的な年収アップの方法をご紹介します。
キャリアアップを目指す
経験を積みながら、リーダーや副主任などの役割を担うことで、役職手当などがつき給料が上がりやすくなります。
役割が増える分、園内での評価が可視化されやすくなり、昇給や配置転換のチャンスにつながることもあります。
20代のうちから「将来どのポジションを目指すか」を意識しておくと、ただ年数を重ねるよりも、年収を上げるスピードを早めやすくなります。
負担は増えますが、「責任ある仕事に挑戦したい」「がんばりをしっかり評価されたい」というタイプの方におすすめの選択肢です。
処遇改善加算が手厚い園を選ぶ
保育士の年収は、処遇改善手当の配分によって大きく変わることがあります。
同じ仕事内容でも、園や法人によって手当の金額や支給方法には差があり、年間で見ると数十万円の違いが出るケースもあります。
とくに私立園では、処遇改善手当を基本給に上乗せしている園もあれば、賞与や一時金として支給している園もあります。
求人票だけで判断せず、面談時に「手当がどのように反映されているか」を確認しておくことが大切です。
借上げ社宅制度を活用する
借上げ社宅制度を利用できる園では、家賃負担を大きく抑えられるため、実質的な手取りが増えます。
とくに都市部では、家賃が高いため、制度の有無が生活の余裕に直結しやすいのが特徴です。
月給や年収の数字が同じでも、住居費が下がることで、自由に使えるお金が増えるケースは少なくありません。
給与そのものは変わらなくても、支出が減ることで、実質的な手取りが増える感覚を持ちやすくなります。
昇給制度が明確な職場を選ぶ
昇給のタイミングや基準が明確な職場は、今後どのくらいの収入になるかを見通しやすいのが特徴です。
評価基準が明確だと、「何を頑張れば昇給につながるのか」が分かり、モチベーションも保ちやすくなります。
反対に、昇給の仕組みが曖昧な職場では、どれだけ働いても給料が変わらないと感じやすくなるでしょう。
長く働くことを考えると、制度面が分かりやすいかどうかは、年収アップを考えるうえで大切なポイントです。
働き方を見直して転職する
今の職場で昇給や手当が期待しにくい場合は、条件の良い園や施設へ転職するのもひとつです。
同じ保育士資格を活かす仕事でも、園の規模や運営法人、地域によって待遇には大きな差が生まれます。
また、保育園に限らず、認定こども園や児童館、児童養護施設、障がい児施設など、保育士が活躍できる場は幅広くあります。
働く環境や関わる子どもの年齢・支援内容が変わることで、自分に合った働き方が見つかるケースも少なくありません。
とくに私立園や企業主導型保育園、福祉系施設では、若手のうちから条件が反映されやすい場合もあります。
「今の園しか知らない」状態を一度リセットし、保育園以外も含めて選択肢を広げてみるのもおすすめです。
保育士20代の年収まとめ
保育士20代の年収は、平均で見ると300万円前半~後半がひとつの目安です。公的なデータを見ると、年齢や経験を重ねるにつれて、少しずつ伸びていく傾向があることも分かります。
また、年収を上げる方法は「我慢して続ける」ことだけではありません。
キャリアアップを目指す、処遇改善手当や借り上げ社宅制度を活用する、あるいは保育園以外の福祉施設も含めて働き方を見直すなど、20代だからこそ選べる選択肢があります。
公立保育園(公務員保育士)のように、長期的な安定と昇給を重視する道もあれば、私立園や企業主導型、福祉施設で、比較的早い段階から条件が反映されやすい職場を選ぶことも可能です。
大切なのは、「平均」と比べるのではなく、自分に合った給与の上げ方や続け方を知ることでしょう。
もし今、働き方や将来に迷いを感じているなら、一度立ち止まって情報を整理してみるのもひとつの方法です。
保育士人材バンクでは、年収や働き方、将来の見通しまで含めて、一人ひとりに合った選択肢を一緒に整理しています。
転職を決める前に、まずは「今の自分にはどんな可能性があるのか」を知るところから、気軽に相談してみてください。