この記事では、保育士の給料が低いといわれる理由をわかりやすく解説するとともに、今後の動向や手取りを増やすための具体策についてもご紹介します。

「保育士は責任が事実もあり、保育士として長く働き続けたい方や、今後に不安を感じている方にとっても参考になる内容です。ぜひ最後までご覧ください。

保育士の給料が低いといわれる理由は?

保育士は子どもの命を預かる責任ある仕事でありながら、他業種と比べて「給料が低い」と感じている人が多いのが現実です。

その背景には、保育業界ならではの課題や理由がいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

公的な財源に依存しているため上限がある

とくに認可保育園における保育士の給与は、国や自治体からの補助金によって賄われています。そのため、国の方針に大きく左右されやすく、給与を大幅に引き上げることが難しい仕組みとなっています。

一方、認可外保育園は公的補助が少なく、保育料などの自己収入で運営している場合が多いため、保育園によって給与水準に大きな違いがあります。

ただし、運営元の方針や財政状況に影響されやすく、給与の安定性には欠ける場合もあります。

業務量に対して残業代がつきにくい

保育士は日中の保育だけでなく、連絡帳の記入や書類作成、行事の準備など、勤務時間外におよぶ仕事も多い職種です。

しかし、それらが「業務時間内」とみなされず、残業代が支払われないことも少なくありません。

結果として、労働時間の割に実質的な時給が低くなるケースもあります。

社会的評価と賃金のギャップが大きい

保育士は、子どもの命と成長を支える重要な仕事であり、社会的にも欠かせない職種として高く評価されています。

しかし、その責任の重さに対して、給与水準が見合っていないという課題があります。

令和6年度の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、保育士(役職者は除く)の平均年収は以下のとおりです。

  • 男女計 : 262.8万円
  • 男性 : 277.6万円
  • 女性 : 261.8万円

これに対し、一般労働者全体の平均年収は以下のとおりです。

  • 男女計 : 330.4万円
  • 男性 : 363.1万円
  • 女性 : 275.3万円

このデータからも分かるように、保育士の平均年収は一般労働者よりもおよそ70万円低い水準にとどまっています。

とくに女性保育士の平均年収(261.8万円)は、女性全体の平均(275.3万円)をも下回っており、専門職であるにもかかわらず、賃金面での評価が十分とは言えない状況です。

このような賃金のギャップは、仕事のやりがいや社会的使命感だけではカバーしきれず、離職や人材不足につながる大きな要因になっています。

保育士として安心して働き続けられる環境を作るためにも、給与や待遇の見直しが欠かせない課題といえるでしょう。

参考:

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
厚生労働省「結果の概要

今後の動向

業務の重さに対して給料が低い保育士ですが、ここ数年で政府や自治体の積極的な支援により、保育士の給与水準は徐々に上昇傾向にあります。

保育士の待遇改善に向けた今後の動向について解説していきます。

【国の取り組み】2兆円強の予算を大幅な処遇改善

子ども家庭庁が令和6年度に計上した「保育・こども支援関連予算」は約2兆2,960億円(補正含め約2兆1,915億円)にのぼり、その中で保育士の人件費に対する処遇改善が最大の柱の1つとして位置付けられています。

これにより、令和6年人事院勧告に基づく人件費単価の引き上げ(約10.7%)が実現され、保育士の実質的な給与アップにつながっています。

【自治体の動き】独自補助で給与水準を底上げ

さらに、各自治体ごとに保育士の確保に向けて独自の支援策を拡充しています。

たとえば、給与にプラスして補助金を支給したり、家賃を補助する「宿舎借り上げ制度」を実施している自治体もあります。

これにより、1人あたり月に約5~8万円ほど支出が減ることもあり、保育士にとって大きな助けとなっています。(支援内容は自治体によって異なります)

また、最近では、地方の予算を活用して、保育士の基本給そのものを引き上げようとする動きも広がっており、待遇改善に向けた取り組みが加速しています。

今後注目すべきポイント

今後は、国が出す大きな予算がどのように保育士の待遇に反映されるかや、自治体が独自におこなう支援制度がどう広がっていくかが、注目すべきポイントです。

とくに、令和6年度におよそ2兆円の予算が保育士の処遇改善に充てられることが決まり、その効果が今後どのように現場に現れてくるかがカギとなります。

また、自治体ごとに実施されている給与上乗せ補助や住宅支援の内容も変化していく可能性があるため、自分が働く地域の最新情報をチェックすることが大切です。

保育士の待遇や働く環境は、少しずつですが確実に改善に向かっています。「この先が不安・・・」と感じている方も、ぜひ希望をもって、今後の動きに注目してみてください!

参考:子ども家庭庁「令和6年度 子ども・子育て支援関係予算案の状況

給料が高くなる方法

保育士として働きながら収入を増やすには、「職場選び」や「制度の活用」が大きなカギになります。

今よりも好条件の職場を探すことはもちろん、自治体の支援制度を上手に使うことで、実質的な収入アップも目指せます。

ここでは、給料を高めるための具体的な方法をご紹介します。

給料が高い保育園に転職する

保育士の給与は、地域差や園の運営母体(社会福祉法人・株式会社・学校法人など)によって大きく異なります。

都市部や自治体の支援が手厚いエリアでは、月給や手当が高めに設定されているケースもあります。

また、賞与(ボーナス)の支給実績や、定期昇給制度の有無なども収入に大きく影響するポイントです。

求人情報を見る際は、基本給だけでなく「年収ベースでどれくらいになるのか」「手当の種類と金額」「昇給のタイミングや実績」などにも注目しましょう!

自治体の支援制度を活用する

保育士の待遇を目的に、多くの自治体では独自の支援制度を導入しています。

たとえば、「借り上げ社宅制度」を活用すれば、家賃の自己負担が大幅に軽減され、実質的な手取りアップが期待できます。

さらに、「処遇改善手当」によって基本給とは別に月数万円の手当が支給されるケースもあり、収入面の底上げにつながります。

また、就職や転職を機に保育現場へ戻る方に対しては、「就職準備金貸付」制度が用意されている地域もあります。これは、新生活に必要な被服費や通勤費、保育士証の再交付などに使えるもので、一定期間就労を継続すれば返済免除になるのが特徴です。

引越しをともなう転職の場合、「引っ越し代補助」「移住支援金」が利用できる自治体もあります。これらを上手く活用すれば、転職時の経済的負担を大きく軽減できます。

こうした支援制度は自治体によって内容や条件が異なるため、事前にしっかり情報収集をおこない、自分にとって最も有利な環境を選ぶことが大切です。

制度を上手に活用すれば、働きやすさと収入の両方を叶えられる職場に出会える可能性が広がります。

働き方を見直して収入アップを目指す

給与を上げるためには、保育士としての働き方を柔軟に見直すことも重要です。

たとえば、副業OKの職場を選べば、保育のスキルを活かしてベビーシッターや保育関連の講師、ライターなどで収入を得ることが可能です。

また、短時間勤務からフルタイムへの変更、保育士資格を活かして企業内保育や病児保育に挑戦するなど、選択肢を広げることで年収アップにつながる場合もあります。

ライフスタイルや体力面も考慮しつつ、自分に合った働き方で収入アップを目指すのがポイントです。

キャリアアップ研修や資格取得でスキルアップする

保育士として収入を上げるためには、スキルや専門性の向上がカギになります。

とくに「保育士等キャリアアップ研修」は、国が推進する制度で、リーダー職や専門職としての役割を担うことで処遇改善手当Ⅱの対象となり、月額数千円~数万円の手当が支給される可能性があります。

また、幼稚園教諭免許や発達支援・心理系の民間資格(保育心理士、チャイルドマインダー、発達障がい支援アドバイザーなど)を取得することで、スキルの幅が広がり、高待遇・専門性重視の保育園や療育施設への転職も有利になります。

積極的に学び続ける姿勢は、現場でも信頼されやすく、将来的なキャリアアップや収入アップにつながるでしょう!

園長や主任など管理職を目指す

保育士としての経験を積んだ先に、主任や園長などの管理職ポジションを目指すことで、収入アップが見込めます。

これらのポジションでは、役職手当やマネジメント手当が支給されるほか、賞与の支給額が増えたり、福利厚生が手厚くなるケースもあります。

また、管理職は人材育成や保護者対応、園運営に関わるため責任は大きくなりますが、その分やりがいや影響力も大きく、保育業界でのキャリア形成において非常に重要なステップです。

日々の業務で信頼を積み重ねながら、長期的な目線でキャリアアップを目指すことが、将来的な安定した収入と自信につながります。

転職エージェントに相談する

「給与が高めの求人を探したい」「福利厚生が整った保育園で働きたい」と思っても、個人で探すには限界があります。そんなときは、保育士専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。

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まとめ

保育士の給料はなぜ低いのか、その背景や理由をわかりやすく解説しました。

給与水準が公的な制度や補助に左右されやすい仕組みであることや、社会的評価と実際の賃金とのギャップなど、保育業界ならではの構造的な課題が影響しています。

とはいえ、近年は保育士の待遇改善に向けた取り組みも進み、少しずつ給与水準の向上が見られるようになってきました。

国や自治体による財政支援、各園での待遇改善策、制度の見直しなどを通じて、今後はより働きやすい環境の整備が期待されます。

また、好待遇の園に転職する、キャリアアップを目指す、地域ごとの支援制度を活用するなど、自分に合った工夫をすることで、収入アップも実現可能です。

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