保育士の資格をとるためには、「指定保育士養成施設を卒業する」「保育士試験に合格する」必要があります。
しかし、正式に保育士として働くためには”保育士登録”を済ませて、都道府県知事から保育士証の交付を受けなくてはなりません。
この記事では、保育士登録について必要書類や手続き方法など詳しくご紹介します。
結婚や引越しに伴う、変更手続きの方法や手数料についてもまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
保育士登録とは?
保育士登録とは、保育士であることを証明する「保育士証」を受け取るために必要な手続きのことです。
もともと、保育士は「保母資格」を持っていれば現場で働くことができました。
しかし、「保育士資格が詐称されることへの対処」「より専門職として保育士の重要性が高まってきた」ことから、2003年に児童福祉法が改正されました。
改正後は、有資格者は各都道府県知事に申請・登録して、保育士証の交付を受けないと、保育士としては働けなくなりました。
無資格者が保育士を名乗った場合、“罰則”が科されます。
なお、保育士登録の対象となる方は、以下のとおりです。
保育士登録【対象者】
厚生労働大臣が指定する保育士養成学校・施設を卒業または修了して、以下①~③のうち、いずれかの証明書類を持っている人
- 保育士(保母)資格証明書
- 指定保育士養成施設卒業証明書
- 保育士養成課程修了証明書
各都道府県の保育士試験の全科目を合格して、以下どちらかの書類を持っている人
- 保育士(保母)資格証明書
- 保育士試験合格通知書
【参考サイト】:保育士登録事務処理センター『保育士の登録と罰則規定』
保育士登録はいつまで(期限)に、どこでおこなう?
保育士登録は、「登録事務処理センター」を通じて郵送で手続きをおこないます。
なお、登録手続きはいつまでという期限は設けられていないため、いつでも申請して保育士証の交付を受けることができます。
また、保育士登録をしないと保育士資格がなくなるということでもありません。
ただ、保育士として働くためには、保育士登録・保育士証の交付を受ける必要があるため、早めに済ませておくのがおすすめです。
今現在は保育士の仕事をしていない方でも、いざ働きたいとなった時にスムーズに就職・転職活動ができるように余裕をもって保育士登録をしておきましょう。
保育士登録の費用や手数料は?
保育士登録をするにあたって、どれくらいの費用がかかるのか気になる方もいるかもしれません。
まず、一から保育士登録をおこなう場合は、「一人あたり4,200円が登録手数料」としてかかります。
また、結婚などで名前や住所変更がある場合は「一人あたり1,600円」で、保育士証を紛失した際は「一人あたり1,100円」かかってきます。
手数料は、何を手続きするかで変わってくるため、不安な方は登録事務処理センターのホームページや手引きを確認するのがよいでしょう。
なお、手数料以外には「切手代」「封筒代」がかかってきます。
切手代については、後ほど詳しくご紹介します。
保育士登録の新規申請のやり方(書き方)や手続き方法、流れは?
ここからは、保育士登録申請(新規)のやり方や手続き方法をご紹介します。
手順に沿って丁寧に説明していくので、ぜひ参考にしてくださいね。
保育士登録のステップ①「保育士登録の手引き」を取り寄せる
まず、登録事務処理センターより「保育士登録の手引き」を取り寄せましょう。
保育士登録の申請手続きをおこなうためには、手引きの中の申請書や記入例が必要となります。
保育士登録の手引き【取り寄せる際に必要なもの】
下記のものが必要となるので、用意しましょう。
- 返信用封筒(宛先を入れる)角形2号(A4サイズ):1枚
- 返信用封筒に貼る切手:1部の取り寄せなら140円分(速達での返送なら400円分)
- 送信用封筒(返信用封筒がたたんで入る場合は定型サイズでもOK):1枚
- 送信用封筒に貼る切手:必要金額分
※定型サイズ封筒の場合は重さ25グラム以内は84円、50グラム以内は94円、角形2号サイズ封筒の場合は、重さが50グラム以内は120円、100グラム以内は140円になります
保育士登録の手引き【郵送手順】
上記で用意したものを、以下の手順で郵送します。
- 送信用封筒の宛先に、「〒102-0083 東京都千代田区麹町1-6-2 登録事務処理センセンター」と記入のうえ、重さに合わせて必要金額分の切手を貼ります(※不安な方は、郵便局窓口で計測してから郵送するのがおすすめです)
- 送信用封筒と返信用封筒の表面(切手の下側)に赤字で「保育士登録の手引き〇部」と記入します
- 返信用封筒に自分の住所・郵便番号・氏名を記入のうえ、請求部数に応じた金額の切手を貼ります
- 送信用封筒に③の返信用封筒を入れます。返信用封筒は折りたたんで入れてもOKです
- 送信用封筒にしっかり封をして郵送します。切手の金額が分からない方は郵便窓口から郵送しましょう
保育士登録のステップ②【手数料を支払う】
「保育士登録の手引き」が手元に届いたら、手数料を支払います。
保育士登録【手数料の支払いで必要なもの】
手数料の支払いに必要なものは、以下のとおりです。
- 保育士登録手数料:一人あたり4,200円(登録人数分によって金額は変わります)
- 「保育士登録の手引き」の中に入っている専用払込用紙
※支払いは必ず専用払込用紙を使用して、郵便局にある払込用紙は使用しないでください
保育士登録【手数料の支払い手順】
手数料の支払い手順は以下のとおりです。
- 専用払込用紙の氏名を記入するすべての箇所(3箇所)に申請者本人の氏名・住所を記入します
- 郵便局の窓口にて払込手続きをします。ATMでの手続きを案内される場合もありますが、窓口で手続きをすることがおススメです。なお、払込用紙1枚につき一人分の手数料を払い込むようにして、複数人分払い込むことはできないので注意しましょう
- 窓口にて、払込用紙の真ん中にある「振替払込請求書兼受領書(※1)」と、用紙の右側部分の「振替払込受付証明書(※2)」を受け取ります。両方の用紙に日付入りで郵便局の受付印が押印されているか確認をしましょう
※1「振替払込請求書兼受領書」は申請書類が何らかの理由で届かないなどトラブルや事故があった場合に、使用する可能性があるので、保育士証が届くまでは大切に保管しておきましょう
※2「振替払込受付証明書」は保育士登録申請時に使用します
もし、上記の方法以外で支払ってしまった場合、振替払込受付証明書を無くしてしまった場合は「登録事務処理センター問い合わせ先」まで必ず連絡するようにしてください。
電話番号:03‐3262-1080
肉声案内:平日9:00~17:00
音声案内:終日
保育士登録のステップ③【保育士登録申請に必要な書類を用意する】
郵便局で手数料を支払いしたら、保育士登録申請に必要な書類を用意します。
事前に、以下の書類を準備しておくと手続きがスムーズになりますよ。
- 保育士登録申請書(保育士登録の手引きに同封されている)
- 振替払込受付証明書(郵便局で受け取ったものを保育士登録申請書の裏面に貼る)
- 現在の戸籍抄本(保育士資格証明書類に記載されている氏名と現在の氏名が、婚姻等で異なる場合のみ必要)
- 保育士資格を証明する書類原本(下記①~⑤の書類のいずれか1つ)
①保育士(保母)資格証明書
平成15年11月28日までに資格を取得している方に交付されている書類のこと
②保育士養成課程修了証明書
平成15年11月29日以降に資格を取得している方に交付される書類のこと
※指定保育士養成施設を卒業して、科目等履修により保育士養成課程を修了した場合
③指定保育士養成施設卒業証明書
平成15年11月29日以降に資格を取得されている方に交付される書類のこと
※一般的な卒業証書や卒業証明書とは異なる書類になるので注意しましょう
④保育士試験合格通知書(保育士試験に合格された方へ送付される通知書のこと)
- 通知書の「平成△△年(都道府県名)保育士試験結果」は不要になるため切り離します。添付されていた場合、返却はしてもらえないので注意してください
- 真ん中に「仮」と記載されている場合は、仮の合格通知になるため受付できません。都道府県または『保育士試験事務センター』に問い合わせをして、正式な合格通知書を発行してもらいましょう
※『保育士試験事務センター』は「登録事務処理センター」とは別の団体になるので、間違えないよう注意しましょう
⑤平成17年度までに交付された下記の書類のうち、連続3年間で全科目合格していることが確認できる書類
保育士試験一部科目合格証明書
平成15年度までに交付されたもの
保育士試験一部科目合格通知書
平成16年度から交付されたもの
※④の場合は、登録事務処理センターのホームページより、『保育士登録申請書別紙』をダウンロードして印刷・記入して添付をしましょう
戸籍抄本(戸籍の個人事項証明書)を提出する方へ【注意点】
なお、戸籍抄本は下記の条件を満たしているものが必要です。
- 保育士資格証明書類に記載の氏名から、現在の氏名への変更経緯が確認できる
- 発行日が申請書送付日から6ヶ月以内である
※以下の場合は受付できないので、注意しましょう。
- 現在の戸籍抄本の条件を満たしていない場合
- コピーの場合
- ホチキス留めされていたものを切り離した場合
- 戸籍抄本ではなく住民票が添付されている場合(外国籍の場合は除く)
- 「改製原戸籍」「除籍抄本」のみの添付の場合(現在の戸籍抄本が添付されていない場合)
保育士登録のステップ④【申請書類を提出する】
申請手続きに必要なすべての必要書類がそろったら、登録事務処理センターへ郵送します。
なお、センターでは窓口業務をおこなっていないため、手続きは郵送のみです。
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-6-2 登録事務処理センター
【注意点】
- 申請書類は、必ず郵便局窓口にて「簡易書留郵便」を利用して送りましょう
- 申請書類に不備があった場合は、登録事務処理センターより連絡が来ます
不備があると、保育士証の交付が遅れてしまうので、記入漏れ等ないよう注意してください。
【参考サイト】:保育士登録事務処理センター『保育士登録申請手続き(新規登録)』
保育士証はいつ届く?
保育士証は、申請受付から約2ヶ月程度で手元に届きます。
※手引きのお取り寄せを含めると、3ヶ月程度かかる可能性もあります
郵送の際は、登録事務処理センターから簡易書留で郵送されるため、必ず受け取るようにしましょう。
繰り返しになりますが、記入漏れなど書類不備があった場合は、それ以上に時間がかかってしまうので注意してください。
もし、申請書類を郵送してから3ヶ月以上経っても、「保育士証が手元に届かない」「連絡がない」という場合は登録事務処理センターに連絡をしましょう。
また、問い合わせする際は下記の書類を手元に用意してください。
※書類がない場合は、調査してもらえない可能性があります
- 郵便窓口で受け取った「書留郵便物受領書」
- 手数料支払いの際に郵便局窓口で受け取った受付印入りの「振替払込請求書兼受領証」
保育士の登録事務処理センターとは?住所や電話番号は?
ここまで記事内でたびたび登場してきた「登録事務処理センター」とは、保育士登録に関して申請者の利便性や事務の効率化を図る目的で、都道府県より委託を受けた機関のこと。
「社会福祉法人 日本保育協会」が運営しており、全国では唯一の保育士登録機関になります。
登録事務処理センターの、住所や電話番号は以下のとおりです。
保育士登録手続きに関する不明点などは、下記にお問い合わせをしましょう。
- 郵便番号:〒102-0083
- 所在地:東京都千代田区麹町1-6-2
- 電話番号:03-3262-1080
※肉声案内:平日 9:00~17:00音声案内:終日
保育士の登録事務処理センター「保育士登録手引き」とは?
手続きに必要な「保育士登録手引き」とは、申請書や記入例がセットになっている書類のこと。
手続き手順でもご紹介したように、申請手続きをおこなうためには、こちらの手引きが必要となります。
手続きを進めるうえで、大切な手引きとなりますので、保育士証が手元に届くまで紛失しないよう注意してください。
保育士の合格率や合格通知書はいつ届く?
一般的に難易度が高く、合格率は20%といわれている保育士試験。
この記事を読んでいる方の中には、保育士試験を受けて保育士資格をとろうと思っている方もいるでしょう。
保育士試験を受けて資格をとる場合、保育士登録申請に合格通知書が必要となります。
保育士試験の合格通知は、ハガキ(普通郵便)で届き、試験日から1ヶ月~2ヶ月程度で届くのが一般的です。
資格取得後、スムーズに保育士登録をするために、届いた合格通知書は紛失しないよう大切に保管しましょう。
【参考サイト】:厚生労働省『保育士の現状と主な取組』
【参考サイト】:厚生労働省『保育士試験の実施状況(令和4年度)』
保育士登録をしていないとどうなる?
ここまで読んでいる方の中には、「保育士登録をしないとどうなるの?」という方もいるかもしれません。
保育士登録をしていないからといって保育士資格がなくなるわけではないので安心してください。
もちろん、保育士登録には期限もないので、必要な時にいつでも申請することが可能です。
ただし、保育士証がないと保育士として働くことができないため、就職・転職を考えている方は早めに手続きを済ませるのがよいでしょう。
採用面接の際に、保育士証の原本かコピーの提出を求められるケースが多いので、余裕をもって準備しておくのがおすすめです。
保育士登録の更新、苗字や氏名変更の仕方は?
保育士証には更新制度はなく、一度取得すれば更新手続きの必要はありません。
ただし、結婚などで苗字や氏名が変わった場合は「書換交付申請手続き」をおこなう必要があります。
書換交付申請手続きは、保育士登録手続きと基本的には同じ流れで進めます。
流れとしては、まず「書換え手引き」を取り寄せて、手数料1,600円を郵便局で支払い、下記の必要書類を「簡易書留郵便」で送ります。
- 戸籍謄本(申請書を送る日から6ヶ月以内のもの)
- 保育士証
- 保育士証書換え申請書
- 振替払込受付申請書
詳しくはこちらをご確認ください。
【参考サイト】:登録事務処理センター『保育士証 書換え交付申請手続き』
なお、引越しで住所が変わっても、本籍地の都道府県が変わらなければ手続きは不要です。
保育士登録を取消しされることはある?失行時の対応方法は?
児童福祉法改正にともない、保育士は「信用失墜行為の禁止」や「守秘義務」が課せられました。
そのため、以下に該当する場合は、保育士登録が取り消しになる可能性があります。
保育士登録【取消し】
(A) 保育士が、次の事項に該当するに至った場合
- 精神の機能の障害により保育士の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない。
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過していない。
- 児童福祉法の規定その他児童の福祉に関する法律の規定であって政令で定めるもの(児童福祉法施行令 第4条)により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過していない。
- 虚偽(きょぎ)または不正の事実に基づいて登録を受けた場合
保育士登録【登録の取消しまたは保育士の名称使用の停止】
(A) 信用失墜行為(保育士の信用を傷つけるような行為)をした場合
(B) 守秘義務違反(正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らす行為、保育士でなくなった後においても同様)をした場合
【引用先】:登録事務処理センター『保育士の登録と罰則規定』
なお、児童福祉法では禁錮以上の刑を受けた場合などは、刑を終えてから2年間は保育士登録ができないと定めています。
登録事務処理センターのホームページによると、保育士登録の欠格事由に該当した場合は、登録事務処理センターに電話する必要があるようです。
【参考サイト】:児童福祉法『第七節 保育士』
【参考サイト】:登録事務処理センター
保育士登録はパートでも必要?
保育士として働く場合は、パートでも保育士登録が”必要”です。
パートでも正社員でも、有資格者は「保育士」として働くことになるため、採用面接で保育士証の原本もしくはコピーの提出が求められます。
そのため、保育士証を持っていない方は早めに手続きを済ませましょう。
保母資格からの切り替えも可能ですので、久しぶりに保育士として働く方も安心してくださいね。
保育士登録はオンラインでもできる?
ここまで読んだ方の中には、「オンライン上で簡単に保育士登録できないのかな?」と思っている方もいるかもしれません。
結論からお伝えすると、オンラインでの保育士登録はできません。
今回ご紹介したように、各種手引きを取り寄せたうえで、郵送での手続きとなりますので、注意しましょう。
保育士登録のまとめ
保育士登録について、必要書類や手続き方法などご紹介しました。
保育士登録というと、難しいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、順を追って進めれば簡単に手続き可能です。
保育士登録の申請が完了していれば、保育士として働きたい時にいつでも働くことができます。
保育士登録に期限はありませんが、保育士資格を証明するための大切な手続きなので、できるだけ早めに登録を済ませるようにしましょう。
- 「これから保育士資格をとりたい」
- 「結婚して苗字や本籍地が変わったのでどうしよう…」
- 「資格はあるけど、まだ保育士登録ができていない」
という方は、今回ご紹介した方法で保育士登録や書換手続きをしてみてください。
また、無事に保育士として働ける準備ができたら、自分に合った職場を探してみましょう。
弊社「保育士人材バンク」では、保育士の転職をサポートするサービスとしてキャリアパートナー制度を設けています。
キャリアパートナーでは、専任のスタッフが個別に面接に向けたアドバイスなどを行いながら、採用までサポートいたします。
もしも保育士面接に不安がある方は、ぜひ無料登録のうえ、一度ご相談ください。確実な採用につながるよう、丁寧にサポートさせていただきます。