乳児から小学校就学までのお子さまをお預かりして、保護者に変わって子どもの成長をサポートする『保育士』。
「保育士=子どもと関わる仕事」というイメージを持つ方も多いと思いますが、保育士の仕事内容はそれだけではありません。
これから保育士として働きたいと思っている方の中には、「仕事内容を詳しく知りたい!」「勤務形態によって違いはあるの?」など、気になっている方もいるでしょう。
今回はそんな方のために、保育士の仕事内容について詳しくご紹介します。
一日の流れややりがいについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
目次
保育士の主な仕事内容は?
保育士の仕事内容は、大きく分けて以下の3つです。
保育士の主な仕事内容①【子どもの保育】
保育士は、0歳~6歳までの子どもを預かって、保育・教育をおこないます。
たとえば、食事・睡眠・衣類の着脱・清潔・排泄など、子どもが基本的な生活習慣を身につけられるようにサポートをおこないます。
また、子どもたちが集団生活を通して、社会性を身につけられるよう支援するのも保育士の大切な役割です。
子どもたちの年齢や成長によって、関わり方やサポートの仕方が変わってくるので、保育士は個々に合わせたサポートが必要になります。
保育士の主な仕事内容②【保護者支援】
保護者のサポートをおこなうのも保育士の役割です。
連絡帳などで保護者とコミュニケーションをとり、子どもの体調や様子について丁寧に情報交換をおこないます。
時には、保護者から育児の悩みや発育状況について相談されることもあるでしょう。
そのような場面で、保護者に寄り添いながら適切にアドバイスをするのも大切な仕事です。
保育士の主な仕事内容③【行事の準備や事務仕事など】
保育士は、日々の保育に関することはもちろん、行事やイベントの企画や準備なども大切な仕事です。
具体的には、保育計画書や園だよりなどの作成、連絡帳の記入や壁面制作などがあります。
保育士の一日の動きや流れ(スケジュール)は?
保育士の一日の動きや流れは以下のとおりです。
保育士の一日の動きや流れ【朝(早番担当)】
保育園の園児が登園する前に出勤して、掃除や保育室の環境整備などをおこない、開園準備をします。
園児が登園したら、子どもたち一人ひとりに優しく声をかけて迎え入れます。
子どもの荷物を預かるとともに、保護者から連絡ノートを受け取り、体調や家庭での様子などを丁寧に確認します。
その後は、おむつ交換や排泄のサポート、お散歩などがあります。
早朝保育は預かり保育になるため、早番担当の保育士はクラス担任へ引継ぎをおこなうのも大切な仕事です。
保育士の一日の動きや流れ【昼~夕方】
食事介助・遊び・着替え・午睡(お昼寝)・おむつ交換・おやつ介助など…子どもたちと関わりつつ、援助しながら、連絡帳や保育日誌など事務仕事をおこないます。
また、合間に職員会議などに参加して、子どもたちの情報共有や意見交換をおこなうのも大切な仕事です。
保育士の一日の動きや流れ【夕方~】
保護者が保育園にお迎えにきたら、子どもの体調面や保育園での様子などを丁寧に伝えます。
全園児が降園したら、保育士日誌の記入や翌日のスケジュール確認、掃除や戸締りなど閉園準備をおこないます。
保育士のやりがい・大切なことは
子どもたち一人ひとりの成長を身近で感じられる保育士は、大きなやりがいもありますが、大変なこともたくさんあります。
ここでは、保育士のやりがいと働くうえで意識すべき大切なことをご紹介します。
保育士のやりがい
保育士の一番のやりがいは、子どもたちの成長を間近で感じられることです。
日々の保育では、昨日できなかったことができるようになったり、葛藤しながらも乗り越える姿を見れたりと、たくさんの感動に出会えます。
たとえば、入園当初は0歳で寝返りがやっとだったのに、ハイハイができるようになり、自分で歩けるようになり、言葉を話せるようになり…子どもたちの成長に驚きの連続です。
こうした子どもたちの成長を近くで感じられるのは、保育士の大きなやりがいといえるでしょう。
また、保護者と良好な信頼関係が築けた時にも、やりがいを感じられます。
コミュニケーションをとる中で、子育ての相談をされたり、感謝の気持ちを伝えられたりすることは信頼の証です。
保護者から、「先生が担任で良かったです!」「いつもありがとうございます!」という言葉をもらえた時は、「悩みながらも頑張ってきて良かった」と思える瞬間でしょう!
保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違いは?
保育士と幼稚園教諭の仕事内容について、違いが気になっている方もいるでしょう。
「子どもたちと関わる」という意味では、保育士も幼稚園教諭も似ていますが、そもそも必要な資格や目的などが異なります。
仕事内容に触れる前に、それぞれの違いについて確認しておきましょう。
保育士と幼稚園教諭の主な違い
保育士 | 幼稚園教諭 | |
管轄 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
必要な資格 | 保育士資格 | 幼稚園教諭免許 |
対象年齢 | 0歳児~小学校就学前 | 満3歳以上~小学校就学前 |
保育目的 | 保護者に代わって乳児・幼児を保育士、生活全般に関する支援をおこなう | 年齢に合った環境で幼児を教育し、就学に向けて指導をおこなう |
保育時間 | 標準8時間 | 標準4時間 |
働く場所 | 保育園(私立・公立)児童養護施設乳児院など | 幼稚園(公立・私立)認定こども園 |
参考サイト:文部科学省『学習指導要領「生きる力」』
参考サイト:厚生労働省『保育所利用の仕組み』
参考サイト:厚生労働省『保育所保育士指針解説』
参考サイト:文部科学省『教育教員免許法』
上記の表を見ていただくと分かるとおり、保育士と幼稚園教諭はそもそもの管轄が異なるため、さまざま違いがあります。
それぞれの仕事内容の違いは以下のとおりです。
【保育士】勤務スケジュール・仕事内容
保育園によっても異なりますが、保育士の基本的な勤務時間は一日“8時間”です。
朝7時から夜の20時まで開園している保育園も多く、ほとんどの保育園ではシフトを組んで交代で勤務します。
また、保育園の場合は土曜日も開園しているため、シフトによっては月に1・2回土曜日出勤がある場合もあります。
子どもたちがお昼寝をしている時間に、保育士が交代で連絡帳の記入や掃除、会議などに参加します。
【幼稚園教諭】勤務スケジュール・仕事内容
幼稚園の開園時間は、原則4時間です。
施設によっては預かり保育をしている場合もありますが、子どもを預かるのは9時~14時頃になります。
それ以外の時間帯は、保育室の掃除や行事の準備、事務仕事などをおこないます。
幼稚園は保育時間が短いですが、行事が多い分、事務仕事が多くなりがちです。
保育園と違ってシフト制ではないので、一日の勤務時間は8時~17時前後。
特別なイベントがない限り、土曜日も休みになることが多くあります。
春・夏・冬休みなどの長期休みもあり、基本的に園児は休みですが、職員は預かり保育や行事の準備などで出勤します。
保育士の雇用形態別の仕事内容
保育士と一言でいっても、雇用形態によって仕事内容は異なります。
それぞれご紹介していきます。
保育士の雇用形態別の仕事内容①【正社員】
保育士が正社員として働く場合は、クラス担任や副担任などを任されるのが一般的です。
クラス担任になると、クラスの子どもたちの生活全般のサポートをはじめ、保護者対応や行事の企画運営、指導案の作成など、さまざまな業務があります。
ほかにも、係の仕事や後輩指導など、経験年数によっても任される業務が異なります。
また、キャリアアップすると、専門リーダーや主任、副園長など、保育園全体の運営に関わるポジションを任されることもあるでしょう。
保育士の雇用形態別の仕事内容②【非常勤・派遣】
保育士が非常勤や派遣として働く場合は、正社員の補助を任されるケースが多いでしょう。
保育中は子どもたちの生活全般のサポートをおこなうなど、正社員と大きな違いはありません。
一方で、非常勤や派遣の場合は、責任ある業務は任されないケースが多く、係の仕事や指導案の作成は担当しない場合も。
また、さまざまなクラスに入って保育補助をする「フリー保育士」として採用される場合もあります。
保育士の雇用形態別の仕事内容③【パート(フル・短時間)】
パート保育士として扶養内で働く場合もあるでしょう。
パート保育士の仕事内容は、基本的に非常勤や派遣と同じです。
子どもたちの生活全般のサポートや遊びのサポートをおこないます。
また、時間が固定で決まっている場合は、早朝保育や延長保育専門の保育士として働く場合も。
フルタイムの場合は、正社員同様にクラス担任や副担任を任されるケースもあるようです。
保育士の役職別の仕事内容
保育士といっても、キャリアアップなどで役職が上がると、仕事内容が変わります。
ここでは、副主任や主任、保育園の園長の仕事内容をそれぞれご紹介します。
保育士の役職別の仕事内容①【副主任】
キャリアアップ研修制度が始まってから、保育園では「副主任」という役職が増えた園も少なくありません。
副主任保育士は、一言でいうと「主任の業務をフォローする役職」です。
保育園の園長から主任に伝えられた指示内容を現場の保育士に共有したり、主任が業務をスムーズに進められるようにサポートしたりするのが役目になります。
ちなみに、副主任保育士になるためには以下の条件を満たすことが必要な場合があります。
- 経験年数が7年以上あること
- 職務分野別リーダーを経験していること
- キャリア研修のマネジメント分野と+3つ以上の研修を修了していること
- 専門リーダーの発令を受けること
保育士の役職別の仕事内容②【主任】
主任保育士は、一言でいうと「現場の保育士をまとめるリーダー」です。
基本的にクラス担任を任されることはなく、園長の業務をサポートするなど運営側のサポートに入ります。
時には、保育士の業務をサポートしたり、指導をおこなったりすることも。
主任保育士になるためには、以下の条件を満たしておくのが望ましいでしょう。
- 専門リーダーや副主任として経験を積んでおく
- 主任保育士向けの研修に参加するなどスキルアップを図る
- 公立保育園の場合は26年以上、私立保育園は5~8年以上の保育経験がある
保育士の役職別の仕事内容③【保育園園長】
保育園の園長は、保育園全体の管理をおこなうのが大きな仕事です。
子どもたちが安心・安全に過ごせるように、行政や地域と連携しながら、保育園の運営をおこなう仕事です。
また、保育士を採用するために人事・採用活動をおこなうのも大切な仕事です。
時には、トラブル対応や保護者対応をしたり、保育士面談をおこなったりと、保育園の責任者としてさまざまな業務をこなします。
保育士の職種別の仕事内容
保育士は保育園以外の場所でも働くことができます。
ここでは、職種別の仕事内容をそれぞれご紹介していきます。
保育士の職種別の仕事内容①【放課後等デイサービス】
特別支援学校に通っている6歳~18歳の障がいのある児童が、放課後や長期休みに利用する「放課後等デイサービス」。
学童保育と似ている部分がありますが、放課後等デイサービスは子どもを預かる場所ではなく、障がいのある児童の療育をする場所です。
放課後等デイサービスで働く保育士は、保育園同様に日常生活や遊びのサポートをおこないます。
また、行事やイベントの準備や日報の作成など、事務作業などの業務もこなします。
障がいといっても、適切な対応は子どもによって変わってくるので、正しい知識をもって、臨機応変に子どもと関わるのが大切です。
保育士の職種別の仕事内容②【児童養護施設】
保護者がいない、虐待を受けているなど、さまざまな理由で家庭で生活できない子どもが入所する「児童養護施設」。
児童養護施設の保育士は、子どもの保護者代わりという立場になるため、“子育て”に近い感覚で子どもたちと関わります。
信頼関係を築きながら、子どもが社会人として自立できるように、日常生活の支援や心理ケアをおこなうのが仕事です。
児童養護施設は24時間体制で子どもたちを見守るため、夜勤や土日出勤もあります。
職場によっては、給料に深夜割増賃金や夜勤手当などが加算される場合も。
保育士の職種別の仕事内容③【児童発達支援センター】
地域で暮らす、障がいのある子どもと家族の援助・助言をおこなう「児童発達支援センター」。
児童発達支援センターで働く保育士は、発達支援が必要な子どもの自立訓練や、子どもの発育に悩む保護者の支援をおこないます。
また、地域の保育園や幼稚園とも連携をとり、保育士や幼稚園教諭に対して、障がい児への接し方など適切なアドバイスをおこなう場合もあります。
保育士の職種別の仕事内容④【認定こども園】
保育園と幼稚園の要素を持った「認定こども園」。
待機児童問題など多様なニーズにともない、徐々に施設数が増えてきています。
認定こども園は、「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」など、施設によってさまざまな種類に分かれます。
保育時間が長いため、通常の保育園と同じくシフト勤務になる場合がほとんどです。
認定こども園で働くためには、基本的には「保育士資格」と「幼稚園教諭免許」の2つの資格が必要になり、両方の資格を持っている場合は『保育教諭』とも呼ばれます。
仕事内容は、保育士の仕事と幼稚園教諭の仕事を一緒におこなうようなイメージです。
子どもを預かり、生活習慣や社会性を身につける指導をおこないつつ、家庭支援もおこないます。
保育士の職種別の仕事内容⑤【乳児院】
さまざまな事情により、保護者の療育を受けられない乳児を一時的に預かる「乳児院」。
乳児院で働く保育士は、乳児の生活全般のサポートをするのが仕事です。
24時間体制になるため、夜勤を含むシフト勤務になります。
日中の保育スケジュールは保育園と変わりませんが、生後間もない新生児に、3時間おきにミルクをあげたり、夜泣きのケアをおこなったりするのが特徴です。
保育士の職種別の仕事内容⑥【病児保育】
病気により保育園に登園できない子どもを預かり、保育をする「病児保育」。
病児保育で働く保育士は、体調が悪い子どもに寄り添い、病状を見守りながら保育をするのが仕事です。
他にも、服薬の管理や感染対策、書類の記入など事務処理もおこないます。
訪問型の場合は自宅へ訪問して、保護者が用意した食事やおやつ、薬などを与えつつ、保護者が帰宅するまで保育をします。
保育士の職種別の仕事内容⑦【児童相談所】
子どもに関する保護者の悩みを受けたり、児童虐待などの通報に対して調査や援助をおこなったりする専門機関「児童相談所」。
児童相談所で働く保育士は、保護者や子どもの悩みに寄り添い解決のために動いたり、虐待などで一時保護された子どもの日常生活や学習サポートをおこなったりします。
児童が24時間生活する場所なので、保育士は日勤と夜勤があるシフト制です。
保育士の職種別の仕事内容⑧【助産施設(産婦人科)】
経済的な事情で、出産の援助を受けられない妊産婦をサポートする「助産施設」。
一定の条件を満たした妊婦さんは産婦人科や助産院に入所できます。
助産施設で働く保育士は、生まれたばかりの赤ちゃんのオムツを替えたり、ミルクを飲ませたりなど、乳児のお世話をするのが大きな仕事です。
また、医師や看護師と連携をとりながら、保護者へ育児指導やアドバイスをおこなうこともあります。
施設によっては、24時間365日子どもの世話をするため、夜勤を含んだシフト制になる場合もあるでしょう。
保育士の職種別の仕事内容⑨【公務員】
地方自治体が運営する公立保育園の保育士は、「公務員保育士」と呼ばれます。
公務員保育士として働くためには、保育士資格を取得した後に、地方自治体の保育士採用試験を受けて合格しなければなりません。
公立保育園は、各自治体が定めた保育方針によって運営されますが、公務員保育士の仕事内容は私立保育園とさほど大きな違いはないでしょう。
勤務時間は私立保育園と比べると、開園時間が短く、休日保育や長時間の延長保育をおこなっていない場合もあります。
保育士の求人の探し方は?
保育士の求人を探す方法は、以下のとおりです。
- 求人サイトに登録する
- 友人や知人から紹介を受ける
- 新聞広告や求人情報誌をチェックする
- ハローワークで見つける
保育士は、他の業種に比べて求人が多い傾向にあるため、数ある求人の中から自分に合った求人を見つけるのはとても大変です。
そこでおすすめなのが、『保育士専門の求人サイト』を利用すること。
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保育士の仕事内容のまとめ
保育士の仕事内容について、詳しくご紹介しました。
保育士は大変なイメージもありますが、その分やりがいも大きい魅力的な職業です。
何より、子どもたちの日々の成長を身近で感じられるので、子どもが好きな方には天職といえるでしょう!
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