この記事では、公務員保育士のなり方や注意点、メリット・デメリットなどを解説しています。
また、公務員保育士を目指したい方へ向け、勉強法や応募の探し方まで詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 この記事でわかること【公務員保育士】
- 2 公務員保育士とは【地方自治体の公務員】として採用された保育士のこと
- 3 公務員保育士になるには「自治体の公務員試験」を受ける必要がある
- 4 公務員保育士と私立保育士の違い
- 5 公務員保育士【給料】
- 6 公務員保育士は注意点も多いため【事前確認が重要】
- 7 公務員保育士【メリット・デメリット】
- 8 公務員保育士【向いている人・向いていない人】
- 9 公務員保育士【募集時期】
- 10 公務員保育士【試験の探し方】
- 11 公務員保育士【倍率・難易度】
- 12 公務員保育士【試験内容(一次試験・二次試験・三次試験)】
- 13 公務員保育士試験【合格ライン】
- 14 公務員保育士【過去問・参考書・面接対策】
- 15 公務員保育士【受かるのはどんな人?】
- 16 公務員保育士【滑り止めは?】
- 17 公務員保育士【まとめ】
この記事でわかること【公務員保育士】
給料面や将来性を考え、公務員保育士になりたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
公務員保育士とは、地方自治体の公務員として働く保育士です。
給料体系には地方公務員の基準が適用されるため、安定した収入が期待できます。
ただし、公務員保育士になるには公務員試験に合格する必要があり、“非常に狭き門”といわれています。また、異動が多いなど注意点も複数あるため、事前に注意点を押さえておく必要があります。
そこで、この記事では公務員保育士の給料や配属先など概要を紹介しつつ、事前に知っておくべき注意点を詳しくご紹介します。
また、記事後半では公務員保育士を目指したいと考えている方へ、試験内容や勉強・対策方法までご紹介していきます。
この記事を最後までお読みいただければ、公務員保育士のなり方・目指し方が具体的にわかります。ぜひ参考にしてください。
公務員保育士とは【地方自治体の公務員】として採用された保育士のこと
公務員保育士とは、市区町村などの地方自治体に地方公務員として採用された保育士のことをいいます。
公務員保育士として採用されると、自治体が運営する公立の保育園や保育施設に配属され、そこで保育士として働くことになります。
「公務員保育士はどのような職業なのだろう?」と思う方も多いと思いますが、仕事内容は私立の保育園や保育施設で働く保育士とほぼ同じです。
ただし、公務員として給料を自治体からもらうため、私立の園と比べると将来的にも安定した給料を期待できます。
公務員保育士【雇用形態】
公務員保育士として働く場合、地方自治体の公務員試験に合格して採用された場合は、基本的に「正規職員」の扱いとなり、常勤(フルタイム)で勤務します。
正規職員は公立園の園長などへ昇進も可能です。
一方、地方自治体では公務員試験を介さない「非常勤(アルバイト・パート)」や「臨時」の保育士を募集しているケースもあります。
ただし、非常勤の公務員保育士は、基本的に1年など限定的な雇用となります。
現在は公費削減の波を受け、どの地方自治体でも正規職員(公務員保育士)としての雇用よりも非常勤や臨時の募集を増やす傾向があります。そのため、正規職員である公務員保育士は、さらに“狭き門”となりつつあります。
認可保育園=公立ではない
よくある誤解として、「認可保育園」が公立の保育園だと思っている方がいますが、これは間違いです。
認可保育園とは、自治体から「認可」され国の補助金で運営される保育園のことを指し、私立も含まれます。
公務員保育士の働き先は、市立や町立といった「公立」の保育施設です。
公立保育園は認可保育園に含まれますが、認可保育園=公立保育園ではないため注意しましょう。
公務員保育士になるには「自治体の公務員試験」を受ける必要がある
以下に、公務員保育士になるまでの流れを簡単にご紹介します。
公務員保育士になるには、まず自治体の公務員試験を受け、合格する必要があります。
公務員保育士になるための公務員試験は、基本的には保育士資格(取得見込みも可)があれば受けることができます。
ただし、公務員試験では一般教養や保育の専門知識の筆記問題も出題されるため、高卒程度の学力も必要です。
また、募集人数が多い自治体では三次試験まで実施されるケースもあります。
合格後は自治体ごとの「採用候補者名簿」に記載されます。
その後、公立保育園やその他の公立保育施設から採用の通知を受けることで、ようやく公務員保育士として働けるようになります。
公務員保育士と私立保育士の違い
公務員保育士と私立園で働く保育士では、以下のような違いがあります。
このなかでも、公務員保育士と私立園を目指すうえで知っておきたい大きな違いは、「試験の有無」と「給料面」の2つです。
この2点について、私立園との違いを以下に詳しくご紹介します。
公務員保育士になるには「学力」が必要
公務員保育士になるためには「公務員保育士採用試験」を受ける必要があります。多くの公務員試験では、一般教養として高卒程度の学力を要する問題が出題されます。
一方、私立の場合は園に直接雇用されるため、一般的に学力が必要な試験などはありません。
私立園では園独自にピアノなど採用試験を設けるケースもありますが、面接のみのことがほとんどであり、地方公務員試験と比べると難易度もそれほど高くはありません。
そのため、私立園の方が採用は難しくないといえます。
給料や待遇面では公務員保育士のほうが安定
公務員保育士と私立園で働く保育士では、現状、給料面で差があります。
参考サイト:内閣府 令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
公的なデータからも、給料面では公務員保育士のほうが安定していることがわかります。特に、勤続年数が長くなり、何らかの役職に就いた際にその差は大きくなります。
私立園によっては公立と変わらない水準の給料を設定しているケースもありますが、一般的には公務員よりも低めの給料体系となっています。
一方、地方自治体が雇用元となる公務員保育士は福利厚生なども手厚く、ボーナスや退職金もしっかりもらえます。年功序列で給料も上がっていくため、長く勤めたときに公務員保育士と私立園で働く保育士では大きな差が生じるといえます。
公務員保育士は、産休や育休もとりやすく、将来的に安定した生活が期待できます。
だからこそ、希望者も多く、採用までの難易度はかなり高くなっています。
公務員保育士【給料】
地方公務員である公務員保育士の給料の特徴としては、以下があげられます。
- 勤務年数によって給料が毎年上がる
- ボーナスもしっかりもらえる
- 退職金制度がある
本章では、これらの特徴を踏まえ、年代・地域ごとの給料の違いなどについて、ご紹介します。
公務員保育士【勤務年数によって給料が毎年上がる】
公務員保育士は勤務年数によって給料が上がっていくため、長く勤めるごとに私立園に勤めた場合との差が大きくなっていきます。
令和2年地方公務員給与の実態調査によると、公務員保育士と一般的な保育士の平均給与とでは、年数を重ねるごとに差が大きくなっていることがわかります。
参考サイト:令和2年 地方公務員給与の実態
よって、保育士として長く勤めた場合には、生涯のトータル収入にかなり違いが生じるといえます。
公務員保育士【ボーナスや退職金も確実にもらえる】
私立園ではボーナス額が低く設定されていたり、退職金制度を採用していなかったりするケースがありますが、公務員保育士は、退職金やボーナスも確実にもらえます。
「令和元年の賃金構造基本統計調査」によると、保育士全体のボーナス額の平均は70万円ほどとなっています。
私立園の場合、ボーナスは必ずしも支払う義務がなく、支給金額は1〜2.5か月分程度など、園によってさまざまです。
参考サイト:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査
一方、公務員保育士の場合、自治体にもよりますがボーナス額(期末・勤勉手当)を給料の4.5か月分程度としている自治体が多く、例えば千葉県千葉市の場合、年間約138万円程度のボーナスをもらえます。
また、退職金については、地方公務員の退職金は各地方公共団体の条例に定めることとされており、現状では退職金が支払われる制度となっています。
公務員保育士【年代ごとの年収】
3-1.でもご紹介しましたが、公務員の年収は年代によって上がっていく傾向にあります。
以下に、年代ごとの年収をご紹介します。
【20代】公務員保育士の年収
20代の公務員保育士の年収は約334万円で、私立園の保育士と大きな差はありません。
ただし、地方公務員は学歴(卒業した学校の種類)によっても給料が変わるため、一般的に大卒者が最も給料が高くなります。
令和2年の地方公務員給与の実態調査によると、初任給は高校卒で約14~15万円、短大卒で約16~17万円、大卒で約18~19万円となっています。
【30代】公務員保育士の年収
30代の公務員保育士の年収は約464万円です。30代時点で、保育士全体の平均年収よりも89万円程度高くなります。
【40代】公務員保育士の年収
40代の公務員保育士の年収は約621万円となり、保育士全体の平均年収との差は230万円に程度なります。
【50代】公務員保育士の年収
50代の公務員保育士の年収は約686万円です。
この年代では園長などの役職に就くケースも増えるため、それにより給料もアップします。
保育士全体の平均年収との差は255万円となり、最も差が大きくなります。
参考サイト:令和2年 地方公務員給与の実態
公務員保育士【地域ごとの年収】
公務員保育士の給与や年収は、地方自治体ごとに決められているため、自治体によっても若干の差があります。
差が生じる理由は、ボーナス額の取り決めなどのほか、「地域手当」の存在も大きいといわれています。
地域手当とは、都市部など物価の高い地域で支給される手当で、基本給にプラスされ毎月支給されます。
そのため、東京都など都市部で働く公務員保育士の給与や年収は、他の自治体よりも高い傾向があります。
参考までに、地域ごとの公務員保育士の年収を、主要都市のHPに記載の情報から計算し、一部を以下にご紹介します。
【公務員保育士(一般行政職)の地域ごとの給料・年収】
自治体名 | 公務員保育士の平均給料月額(基本給) | 公務員保育士の平均給与月額(手当含む) | ボーナス年額(期末・勤勉手当) | (推定年収) | 参考 |
北海道札幌市 | 約30万円 | 記載なし(諸手当の月額は約6.5万円程度と推定) | 約135万円(2.225 月分×2回) | 約573万円 | 札幌市人事行政の運営等の状況(令和3年11月公表) |
宮城県仙台市 | 約32万円 | 約44.5万円 | 約137万円(期末手当 2.40 月分 勤勉手当1.90 月分) | 約671万円 | 令和3年度仙台市人事行政の運営等の状況について |
埼玉県さいたま市 | 約32万円 | 約39万円 | 約142万円(4.45月分) | 約610万円 | 令和2年度さいたま市人事行政の運営等の状況について |
千葉県千葉市 | 約31万円 | 約46万円 | 約138万円(4.45月分) | 約690万円 | 人事行政の運営等の状況の公表 |
神奈川県横浜市 | 約31万円 | 約38万円 | 約133万円(4.30月分) | 約589万円 | 令和3年度横浜市人事行政の運営等の状況について |
東京都新宿区 | 約30万円 | 約42.5万円 | 約158万円(期末手当 2.40 月分 勤勉手当2.05 月分) | 約668万円 | 新宿区の人事行政の運営状況(令和4年11月) |
新潟県新潟市 | 約32.5万円 | 約41万円 | 約161万円(期末手当 2.40 月分 勤勉手当 1.90 月分) | 約653万円 | 人事行政の運営状況の概要及び人事委員会の業務の状況 |
静岡県静岡市 | 約32万円 | 約41万円 | 約138万円(期末手当2.4 月分勤勉手当1.90 月分) | 約630万円 | 静岡市人事行政の運営等の状況 |
愛知県名古屋市 | 約31万円 | 約38万円 | 約130万円(課長以下約4.2月分) | 約586万円 | 令和3年度 人事行政の運営等の状況 |
京都府京都市 | 約32万円 | 約43万円 | 約142万円(4.45月分) | 約658万円 | 令和4年度京都市人事行政白書 |
大阪府大阪市 | 約31万円 | 記載なし | 約133万円(4.3月分) | 約647万円 | 市職員人事行政の運営状況 |
兵庫県神戸市 | 約33万円 | 約46万円 | 約147万円(期末手当2.55月分勤勉手当 1.9月分) | 約699万円 | 令和2年度神戸市人事行政の運営等の状況 |
岡山県岡山市 | 約34万円 | 約43万円 | 約151万円(4.45月分) | 約667万円 | 令和2年度岡山市人事行政の運営等の状況について |
広島県広島市 | 約31万円 | 約37万円 | 記載なし | 約624万円 | 令和3年度 広島市人事行政の運営等の状況 |
福岡県福岡市 | 約31万円 | 記載なし(諸手当の月額は約7万円程度と推定) | 約133万円(期末手当2.4月分勤勉手当 1.9月分) | 約589万円 | 令和3年度福岡市人事行政の運営等の状況について |
※上記の平均額は公務員保育士を含む一般行政職全体の平均値となります
※「平均給料月額」は各職種の職員の基本給の平均で、「平均給与月額」は給料月額と扶養手当、地域手当、住居手当、時間外勤務手当など諸手当の額を合計した平均です
※推定年収は「平均給与月額×12か月」+「ボーナス額」で計算しています
公務員保育士は注意点も多いため【事前確認が重要】
給料や待遇面でメリットが大きい公務員保育士ですが、目指す前に知っておくべき注意点もいくつかあります。
【知っておくべき公務員保育士の注意点5つ】
- 異動が多い(希望の職場を選べない)
- 試験に年齢制限がある
- 毎年募集を出していない自治体も多い
- 経験年数や幼稚園教諭免許も受験資格に含まれるケースが多い
- 試験に合格しても必ず採用されるわけではない
これら5つの注意点について、以下に詳しくご紹介します。
公務員保育士の注意点①【異動が多い(希望の職場を選べない)】
地方公務員として働く公務員保育士は、基本的に「人員に不足のでた公立の保育施設」に配属されます。
つまり、公務員保育士は希望の職場を選ぶことができないのです。
例えば、公立の保育園で働きたいと思っていたとしても、配属先は障害児施設や乳児院など特殊な保育施設になる可能性があります。
また、公務員保育士は2~4年で異動があるため、同じ職場に長く勤められない点にも注意が必要です。
公務員保育士が配属される公的な保育施設としては、以下があげられます。
- 県立・市立などの公立保育園
- 公立の乳児院
- 公立の発達支援センター
- 公立の障害児施設
- 公立の母子生活支援施設
- 公立の児童家庭支援センター
さまざまな職場で経験を積める点はメリットですが、人によっては希望の働き方ができない可能性があります。
公務員保育士の注意点②【試験に年齢制限がある】
公務員保育士をはじめとする地方公務員試験には、年齢制限が設けられています。
「何歳まで受験OKか?」は、それぞれの地方自治体によって決められているため、自治体ごとに確認が必要です。
一般的には30歳程度とするところが多く、自治体によっては35歳や40歳程度までOKとしているところもあります。
公務員保育士の注意点③【経験年数や幼稚園教諭免許も受験資格に含まれるケースが多い】
公務員保育士の募集要項では、経験年数や幼稚園教諭免許の保有が要件となっているケースも多いです。
特に、最近では幼保一元化の流れもあり、幼稚園教諭免許を必須とする記載が多くなっています。
また、その市区町村に居住していることを条件としているケースもあります。
公務員保育士になるためには、これらの要件を満たしたうえで、試験を受け合格する必要があるため注意しましょう。
公務員保育士の注意点④【毎年募集を出していない自治体も多い】
公務員保育士の募集は少なく、毎年募集を出していない自治体がほとんどです。
また公務員保育士の募集が出るのは、自治体の保育職員に不足がでたときのため、募集時期にもバラつきがあります。
そのため、決まった市区町村で公務員保育士になりたいと考えている方は、採用年度の1年ほど前から適時、自治体HPで募集の情報をチェックしておく必要があります。
そもそも募集自体が少ないため、希望の自治体で希望の年に応募できるとは限らない点に注意しましょう。
公務員保育士の注意点⑤【試験に合格しても必ず採用されるわけではない】
公務員保育士の試験に合格しても、すぐに公立園への採用が決まるわけではない点にも注意が必要です。
公務員保育士の試験に受かると、まず自治体の「採用候補者名簿」に1年間登録されます。
公立園に欠員がある場合、園から採用の通知が届き、ようやく採用となります。
ただし、保育士の公務員試験では、辞退者などを想定し採用枠を多めに確保するケースがあるため注意が必要です。
例えば大阪市の公務員保育士試験の採用情報をみてみると、定員15名に対し合格者は30名と、多めに採用していることがわかります。
人員が足りており予定の期日に採用されなかった場合は、名簿にのみ登録され、採用待ちの状態となってしまいます。
1年以内に公立の保育施設で欠員がでれば採用となりますが、欠員がでなければ期限切れとなる可能性もあるのです。
このような「採用もれ」は可能性としては少ないといわれますが、もしも採用されずに期限切れとなった場合は、再度、採用試験を受け直す必要があります。
公務員保育士【メリット・デメリット】
「公務員保育士の給料や待遇面は魅力だけど、目指すべきか決めかねている……」そんな人も多いと思います。
悩んでしまう方は、メリット・デメリットを把握しておくと、自分にとってどの選択肢がベストかを決めやすくなります。
そこで以下に、公務員保育士のメリット・デメリットと、私立園のメリット・デメリットを一覧でご紹介します。
公務員保育士【メリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・給料が安定している ・福利厚生が充実しており産休 ・育休もとりやすい ・勤務時間のバラつきが少ない | ・採用の競争率が高い ・異動がある(希望の場所で働けない) ・副業は禁止 |
私立保育園【メリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・異動の可能性が少ない(同じ園で働き続けられる) ・価値観に合う保育方針の園を選べる・副業も可能 | ・給料やボーナスが少ないケースが多い ・人手不足で忙しい施設が多い |
公務員保育士のメリットは、「給料や待遇面」です。
狭き門である公務員試験だけクリアできれば、将来的に安定した収入を得ることができるでしょう。
一方、私立園のメリットは、「同じ園で働き続けられる」ことや、「自分の保育観に合った園を選べる」ことです。
そのため、特技などをいかして特色ある保育を行う園を選んで就職したい方には、私立園のほうが合っている可能性があります。
給料面では園によってバラつきもありますが、最近では国の処遇改善の取り組みもあり、公立園と変わらないくらいの待遇を受けられる私立園も増えてきています。
また公務員と異なり副業も可能です。
公務員保育士【向いている人・向いていない人】
次に、公務員保育士に向いている人と向いていない人の特徴を一覧でご紹介します。公務員保育士を目指すべきかの参考にしてください。
公務員保育士【向いている人・向いていない人】
公務員保育士に向いている人 | 公務員保育士に向いていない人 |
・今後、仕事を辞めるつもりがない人 ・異動が気にならない人 ・保育園以外の保育施設でも働いてみたい人 | ・同じ施設で長く働きたい人 ・保育園で働きたい人 |
公務員保育士に向いているのは、結婚や出産後も保育士として働き続けたいと考えている人です。
公務員保育士の給料は勤務年数に従って増えていくため、数年働いて辞めてしまっては、給料面の恩恵は受けられません。
しかし、長く務めることで生涯のトータル収入はかなり大きくなります。
また、異動が苦にならず、さまざまな職場で経験を積みながら保育士として長く働き続けたい方には、公務員保育士は合っているといえるでしょう。
一方、公務員保育士に向いていないのは、「保育園」で働きたい人や、異動はしたくないと考える人です。
公務員保育士は保育園以外の保育施設にも異動になる可能性があるため、そこをデメリットと感じる人には向いていないといえます。
公務員保育士【募集時期】
公務員保育士の募集時期は、主に以下の2パターンが多くなっています。
- 夏試験型:6月~7月に申し込み、7月~8月に試験開始
- 秋試験型:7月~9月に申し込み、9月に試験開始
一般的には毎年6月~9月ごろに試験を行うのが主流ですが、保育士の場合は3月~4月の早い時期や、1月~2月の遅い時期に4月採用の試験を行う自治体もあります。
例えば、令和4年12月時点で募集のある自治体を探してみると、全国でも10か所ほど、1~2月試験の募集が見つかります。
このように、公務員保育士採用のための地方公務員試験は自治体ごとに募集時期にバラつきがあるため、それぞれの自治体でこまめに情報をチェックする必要があります。
公務員保育士【試験の探し方】
保育士の公務員試験を受けたい場合は、まずお住まいの自治体のHPを「〇〇市 ホームページ」のように検索してください。
そこから、「行政情報(市政情報)」→「採用情報(新着情報)」と進むと、現在の募集状況を確認できます。
また、「地方公務員試験の情報をまとめたポータルサイト」や、「保育士などの保有資格から公務員試験情報を探せる公務員試験情報サイト」などもあるため、これらのサイトを活用するのもいいでしょう。
なお、自治体への居住が条件に含まれていなければ、複数の自治体へ応募しても問題ありません。
近隣の市区町村についても同様にチェックしてみてください。
公務員保育士【倍率・難易度】
公務員保育士の倍率は自治体ごとにかなり差があります。
例えば、公務員保育士の試験結果について記載があった主要都市の倍率をみてみると、以下のようになっています。
■宮城県仙台市:5.5倍(17名/106名中)
参考サイト:職員採用試験実施状況 令和4年度
■千葉県千葉市:6.0倍(3名/20名中)
参考サイト:「令和4年度職員採用試験(技能員)」試験実施データ
■神奈川県横浜市:8.2倍(18名/147名中)
参考サイト:高校卒程度、免許資格職など採用試験 実施状況・結果
■新潟県新潟市:2.9倍(18名/53名中)
参考サイト:令和4年度職員採用試験【免許資格職】【高校卒業程度(学校事務・消防士以外)】
■静岡県静岡市:1.9倍(43名/84名中)
参考サイト:令和4年度 静岡市職員採用試験(大学卒程度・短大卒程度・免許資格職)実施状況
■愛知県名古屋市:6.7倍(27名/220名中)
参考サイト:令和3年度第1類・免許資格職採用試験実施状況(保育1)
■大阪府大阪市:4.7倍(30名/140名中)
参考サイト:令和4年度職員 採用試験実施状況(保育士A)
■岡山県岡山市:2.5倍(44名/112名中)
参考サイト:令和4年度職員採用試験 申込・受験状況
■広島県広島市:2.2倍(67名/145名中)
参考サイト:令和4年度 採用試験実施状況
公務員保育士【試験内容(一次試験・二次試験・三次試験)】
公務員保育士試験の内容は、自治体によって異なります。
最も多いのは、一次試験で「筆記試験」を実施し、二次試験で「面接・小論文」、「実技試験」を実施するパターンです。
また、採用人数が多い自治体では、三次試験まで実施するケースもあります。
以下に、それぞれの試験の内容を簡単にご紹介します。
公務員保育士「一次試験」【筆記試験】
公務員保育士の一次試験では、ほとんどの自治体で「筆記試験」が行われます。
その他、一次試験では「適性検査」「エントリーシート」の作成などもあわせて実施されるケースがあります。
試験内容は「一般教養+保育の専門知識」から出題されるケースが多くなっています。
一般教養では、高校卒業程度の学力を問われます。
自治体によって、地方自治体独自の歴史や分化などについて出題されるケースもあります。
自治体によっても出題範囲が異なるため、範囲に合わせた対策が必要です。
公務員保育士「二次試験」【実技・面接・小論文】
公務員保育士の二次試験では、面接や小論文が実施されるケースが多いです。
その他、口頭で問題を出されてその場で口頭で答える「口述試験」や、ピアノや声楽、読み聞かせなどの「実技試験」が実施されることもあります。
面接の形式は、自治体によって個別から集団討論までさまざまです。
こちらも自治体ごとの出題傾向にあわせた対策が必要です。
公務員保育士「三次試験」【面接・実技】
人数が多く三次試験まで実施される場合は、主に面接や実技試験などが行われます。
自治体によっては初めから三次試験まで予定が組まれている場合があります。
公務員保育士試験【合格ライン】
公務員保育士試験では、合格ラインの点数を発表している自治体は多くありません。
ただ、千葉市など合格点の最低ラインを公表している自治体の点数をみてみると、一次試験(筆記試験)の合格ラインは100点満点中、50点ほどとなっています。
もちろん、他の受験者の成績にもよりますが、一次試験の合格ラインの目安としては“6割”以上を目指したいところです。
公務員保育士【過去問・参考書・面接対策】
自治体HPでは例題や過去問などを掲載や貸出ししていることもあるため、確認して対策を行いましょう。
また、参考として募集要項に昨年の出題問題が記載されているケースもあるため、過去の募集要項(受験案内)にも目を通しておくようにしましょう。
参考サイト:名古屋市 筆記試験 例題 (第1類・免許資格職採用試験)特別区人事委員会 試験問題の公表(東京)
参考サイト:令和4年度(2022年度) 広島市職員採用試験(保育士)受験案内
公務員保育士【勉強はいつから始める?】
「公務員保育士試験のための勉強をいつから始めればいいか?」は、試験の時期や内容にもよります。
学力に懸念がある場合は、試験を見越して1年以上前から対策を始める必要があるでしょう。
公務員保育士採用試験のためのテキストも市販されていますし、公務員保育士専門の予備校などもいくつかあります。
確実な合格を目指したい方は、これらの利用を検討するのもいいでしょう。
公務員保育士【受かるのはどんな人?】
公務員保育士に受かるのは、「目標に向かって地道に努力を重ねられる人」です。
あわせて、最終的には人間性など保育士の適性も必要です。
公務員保育士試験では成績上位者から順番に採用が決まります。
よって、一次試験を突破するために必要なのは、まず“学力”です。
テストの内容は一般教養から保育の専門知識までさまざまなため、過去問などをみながら傾向をつかみ、対策を行いましょう。
一次試験では、自治体にあわせて地道に対策を行なってきた人が合格につながります。
一方、二次試験で行われる面接や小論文では、面接官はその人の人間性や考え方、保育士の適性などをチェックしています。
面接や小論文の試験では、「自分の考えをしっかりまとめて伝える能力」が必要です。
日頃から、自分の考えを文字や言葉にしてあらわすことを意識し、練習を重ねていきましょう。
公務員保育士【滑り止めは?】
公務員保育士は、試験に合格しても必ず採用につながらないところがネックだと思います。
もしもすぐに採用の通知がこなければ、1年間「待ち」の状態が続きます。
そのようななか、滑り止めとして私立の保育園の受験を考える人も多いと思います。
ただ、実際には私立の園に合格後に公務員保育士の通知がきて採用を断るとなると、私立園に迷惑がかかります。
できれば、公務員保育士を目指す年数を決め、その間はパート保育士などで働くのが現実的かもしれません。
私立園に正規職員として採用された場合、かなり業務も忙しくなります。
パートとして試験に集中したほうが、次年度の合格の確率は上がります。
どのような方法をとるかは人それぞれですが、公務員保育士試験の合格へ向け、ベストな選択肢を考えていってくださいね。
公務員保育士【まとめ】
公務員保育士とは、市区町村などの地方自治体に地方公務員として採用された保育士のことをいいます。
給料や待遇面でメリットが大きい公務員保育士ですが、倍率も高く希望の年に希望の自治体で受けれれるかはわかりません。
都市部では採用人数も多いですが、その分倍率も高くなる傾向があります。
狭き門ではありますが、合格すれば将来的に安定した収入を見込めるでしょう。
なお、私立園にもメリットがあり、人によってはそちらの選択がよい場合もあります。
最近では保育士の処遇改善が進んでおり、私立園の待遇も改善されてきました。
副業なども考慮すれば、収入面のデメリットをカバーできる可能性があります。本記事を参考に、あなたが保育士としてベストな選択をしていけることを祈っています。
また、公立の保育園ではなく私立の保育園などに転職を考えている方は、是非、保育士人材バンクをご利用ください。
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