保育士には、クラスを任される、『クラス担任』という言葉があります。

クラスを受け持つということは、やりがいもありますが、その分責任がともないます。

そのため、初めて担任をもつ方や、久しぶりに担任をする方の中には「自分にできるだろうか」と不安になる方も多いかもしれません。

しかし、担任の仕事内容や心構え、仕事をする上で大切にしたいことなど、担任業務の理解を深められれば、今感じている不安を解消でき、ポジティブな気持ちで仕事に向き合えるでしょう。

本記事では、保育士が担任になるメリットやデメリット、担任の仕事や年齢別のポイント、担任の決め方なども、詳しく解説していきます。

保育士の担任とは?

保育士のクラス担任とは、特定のクラスの保育や教育を担当する保育士のことを指します。

クラス担任は1人担任と複数担任に分かれます。

それぞれの違いは次のとおりです。

1人担任

1人担任とは、名前のとおり、1人でクラスの担任を持つことです。

子どもたちの人数が少ない、少人数制の保育園で採用されている場合があります。

1人でクラスを受け持つため責任は大きいですが、担任として1人で色々なことを進められる分、保育の自由度が高いといえます。

「子どもたちと〇〇な活動をしたい」「〇〇な雰囲気のクラスにしたい」など、理想の保育をもっている方には1人担任が向いているでしょう。

1人で悩みすぎて抱え込まないように、先輩保育士や同僚など周りに相談したり、頼ったりすることも大切です。

複数担任

複数担任とは、複数の保育士で担任を持つことを指します。

園児の人数が多い保育園の場合は、複数担任を採用している場合が多いです。

園によっては、子どもの数を減らしたり、保育士の人数を基準より多く配置していたりする場合もあります。

複数担任は保育士の人数が多い分、業務を分担できたり、困ったときに相談し合ったりできるのがメリットです。

一方、担任同士で価値観や方向性が違うと、関わりが難しくて悩む場合もあるでしょう。

また、保育士の人数が多ければ多いほど、報告・連絡・相談が大変なのもデメリットです。

担任の決め方

新年度の担任は、その年の1月~3月頃に決まる場合が多くあります。

正式な担任発表は2月~3月におこなわれるのが一般的です。

また、保育園では、園長(施設長)が副園長や主任保育士と相談して、担任を決めるケースが多いでしょう。

保育園では、秋から冬にかけて「来年度も保育園で働く意思があるのか」を保育士に確認する意向調査や面談をする場合もあります。

その意向調査を踏まえて、新年度の担任を決めるのが一般的です。

保育園によって、面談の際に聞かれる内容の一例をご紹介します。

  • 今年度を振り返ってどうだったか(良かった点や改善点、目標など)
  • 来年度は担任をもっても問題ないか
  • 来年度クラスをもつなら何歳児を希望するか

また、転職などで翌年度から勤務する、新卒や中途入社の方は、採用面接で希望を聞かれる場合もあります。

必ずしも希望が通るとは限りませんが、「〇歳児を経験してみたい」、「今年度のクラスをそのまま持ち上がりたい」など、希望がある場合は面談の際に伝えるのがよいでしょう。

どんな人が担任になるの?

保育園でクラス担任になれるのは、下記のような方が多いでしょう。

  • 子どもたちの発達や健康状態を把握して必要に応じて適切な対応ができる(観察力と判断力がある人)
  • 一日のスケジュールを計画してクラスの活動を円滑に進められる(組織力と計画力がある人)
  • トラブルや不測の事態が発生しても臨機応変に対応ができる(柔軟性と対応力)

上記にくわえて、保護者対応や職員との連携で必要不可欠なコミュニケーション能力があることなど、保育士としての基本的な適性や資質は必要です。

複数担任の場合は、主担任と副担任があり、経験が少ない新人保育士さんは、副担任を任されるケースがほとんどです。

そのため、新任の保育士さんは、副担任のうちに担任としての基本的な仕事や、子ども・保護者との適切な関わり方を学んでおくのがおすすめです。

ただし、園によっては、早期から担任の経験を積むことに重きを置いている場合もあり、保育経験がない(少ない)保育士さんに担任を任せる場合もあります。

その場合は、副担任か一個上のフロアリーダーなどがベテラン保育士で、色々と仕事を教わりながら仕事をすることが想定されます。

なお、園によっては時短勤務でも担任を任される場合もあります。

結婚や出産などで一度離職して復職する場合、「担任を任されるのでは?」と不安な方もいるでしょう。その場合は、面接や面談の際に希望を伝えることで、担任ではないポジションで働ける可能性もあります。

担任の仕事内容

担任の仕事内容

クラス担任の仕事内容は次のとおりです。

指導計画・日誌の記入

担任をもつと、日案・週案・月案など保育指導計画の作成をはじめ、日誌や連絡帳の記入などの業務もおこないます。

保育指導計画や日誌には、子どもたちの成長や発達を継続的に記録していきます。

担任が子ども一人ひとりの発達や興味、背景に合わせて、適切な保育を提供するうえで、欠かせない記録です。

保護者対応

保護者対応も、担任の仕事です。

保育園と家庭が連携して子どもの生活リズムに合わせた日常が送れるように情報交換をしていきます。

また、保育のプロとして保護者の育児をサポートすることもあるでしょう。

共働きの人が多く、働きながらの育児に毎日疲弊してしまう保護者も少なくありません。

保護者からの育児に関する悩みや相談に応じ、専門的なアドバイスやサポートをおこなうのも担任にとって大切な業務の1つです。

また、保育園と家庭が、子どもの様子や成長を共有し合うために必要な連絡帳の記入も担任がおこないます。

連絡帳には、園での様子やエピソード、健康状態の記録を記入し保護者に報告します。

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【年齢別】担任の特徴

ひとくちにクラス担任といっても、受け持つ子どもの年齢によって関わり方や意識するポイントは異なります。

ここでは、年齢別に担任の特徴をご紹介します。

0歳児

前述したとおり、0歳児クラスは、子ども3名に対して保育士を1名配置すると決まっています。

とはいえ実際は、下記の理由から余裕をもって保育士を配置している園も少なくありません。

  • 身近な大人との愛着関係を築く大切な時期だから
  • 子どもたち1人ひとりの発達の差が大きいから
  • 他の年齢よりも保育士同士の連携が必要になるから

0歳児は、子どもによって発達スピードや生活リズムが異なるため、担任は1人ひとりに合わせて細やかな対応が求められます。

言葉でのコミュニケーションがとれない分、大変なこともあります。

その一方で、言葉が増えたり、歩けるようになったり、たくさんの成長を間近で感じられるのは、0歳児担任の魅力です。

1歳児

1歳児は運動機能が発達し、自我が芽生えて、好奇心旺盛になる時期です。

できることが増え、行動範囲も広がる分、保育士は怪我や事故がないように安全に気を配る必要があります。

成長が著しい1歳児クラスでは、子どもたちの興味関心に寄り添って、のびのび遊べる環境や時間を作っていくのが大切です。

担任として大変な場面もあるかもしれませんが、「できなかったことが、できた!」という喜びを子どもと一緒に味わえるのは、1歳児クラスならではの魅力かもしれません。

2歳児

2歳児は自分でできることが増えてくる一方で、「自分で全部やりたいのにできない!」ともどかしさを抱える年齢でもありますね。

トイレトレーニングやイヤイヤ期、身の回りのことを身につけるために、保育士は見守りつつ丁寧に援助する必要があります。

一対一での関わりも求められるため、大変だと感じる保育士さんが多いかもしれませんが、遊びの幅も広がり、やりがいを多く感じられるのは2歳児クラスの魅力です。

また、2歳児クラスの担任は、専門的な関わりが求められるため、保育士としてスキルアップできるのもメリットです。

3歳児以上

0歳児~2歳児が乳児クラスだったのに対して、3歳児以上のクラスは、幼児クラスとなります。

幼児期になると、自分でできることが増えてくる時期です。

担任はすべてを援助するのではなく、やり方を伝えながら「自分でできた」という喜びや達成感を子ども自身が感じられるようにサポートするのが大切です。

また、就学に向けてサポートをするのも、幼児クラスの担任にとって大切な仕事です。

集団生活での約束事を知らせながら、友達と協力する楽しさや喜びを感じられるように保育をしていく必要があるでしょう。

幼児クラスになると、行事や活動の幅も広がるため、書類の作成や、保育の準備など、担任は仕事量が多いと感じることもあります。

しかし、子どもと一緒にさまざまな経験をしていくことで、保育士としてのスキルや経験も身につきます。

担任になるメリット

担任になるメリット

保育士が担任になるメリットは次のとおりです。

子どもの成長にやりがいを感じられる

担任になると、クラスの子どもたちの成長を一番近くで感じられます。

初めはできないことが多くても、日々葛藤しながら少しずつできるようになる姿をみて、担任として大きな達成感を得られるでしょう。

保育士としての専門知識やスキルが向上する

担任になると、クラス全体の管理や指導をおこなうため、保育士としての専門知識やスキルが向上します。

コミュニケーション能力、観察力、判断力、計画力、柔軟性など、クラス担任は求められるスキルがたくさんあります。

初めは上手くいかなかったり悩んだりしても、経験を積んでいくことで、保育士としての専門性が磨かれます。

キャリアアップにつながる

担任をして専門知識やスキルが向上すれば、リーダーシップを発揮する機会が増えるため、キャリアアップにつながります。

経験や実績が評価されれば、責任ある業務や役職を任される可能性も広がります。

乳児クラスから幼児クラスまで、幅広いクラスの担任経験があれば、転職先でも即戦力として期待されやすいでしょう。

担任になるデメリット

保育士が担任になるデメリットは次のとおりです。

責任が大きい

担任は、クラス全体の管理や指導を任されるため、その分責任が大きいです。

子どもたち1人ひとりに危険がないか目を配りながら、日々の保育を進めなくてはなりません。

仕事量やプレッシャーから、「しんどい」と感じる場面もたくさんあるでしょう。

担任として、子どもとの関わり方や保護者対応に悩むことも少なくありません。

ただ、これらは保育士をしていると、誰しもが通る道でもあります。周りの職員と協力をしながら、一歩一歩できることを増やしていきたいですね。

人間関係で悩む

前述したように、複数担任の場合は、担任同士で協力し合い日々の保育をおこないます。

保育観の違いや性格の相性によっては、関わり方に悩んだり、意見がぶつかったりすることもあるかもしれません。

「どのように接すればいいのか分からない・・・」「先輩保育士だから意見が言いづらい」などの理由で、人間関係に悩む保育士さんは少なくありません。

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担任として働けない場合は

保育士としてのスキルアップにつながったり、やりがいを感じる機会が多かったり、担任になるメリットはたくさんありますが、中には担任が合わないと感じる保育士さんもいます。

「体力的にしんどいから担任を辞めたい・・・」、「フリー保育士として子どもと関わりたい」、「家庭や育児と両立したいから、できれば担任をやりたくない」など、さまざまな理由があるかもしれません。

その場合は、主任保育士や園長に相談するのがおすすめです。

しかし、相談しても状況が変わらない場合は、転職を検討してみるのも1つの手です。

園によっては、担任以外のポジションで活躍できたり、少人数制で担任の負担が少なかったりと、自分にとって働きやすい職場が見つかるかもしれません。

保育士の担任まとめ

 業務量が多く、責任も大きい担任業務。

「初めて担任をもつことになった」、「復職して久しぶりに担任をすることになった」という方の中には、不安な気持ちを抱える方も多いでしょう。

しかし、担任だからこそ感じられる喜びや、やりがいもたくさんあります。

クラスの子どもたちの成長を近くで実感できたとき、「大変だったけど、がんばってよかった」と達成感で胸がいっぱいになりますよ!

また、保育に正解がないように、担任に「こうあるべき」という正解はありません。

保育園との相性もあるので、「今の職場が向いていない」と感じた場合は、自分らしく働ける保育園へ転職してみるのもおすすめです。

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