保育士の資格取得、あるいは保育士として働くことに学歴は関係ありません。ただし、資格の取り方や、就職のさいに学歴が関わってくる場合もあるので注意が必要です。
今回は、学歴と保育士との関係について、くわしく解説します。自分の学歴に自信がない方、それでも保育士に興味のある方はぜひ参考にしてくださいね。
保育士取得に必要な学歴

保育士資格を取るには、大きく分けて以下2つの方法があります。
- 指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業する
- 保育士試験を受験する
1つ目の方法では、指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業することで、試験を受けることなく、保育士資格を取得できます。
2つ目の方法は、自分で保育士試験を受け資格を取る方法です。
保育士試験を受験するには、次の2つのうち、どちらかの条件を満たす必要があります。
- 学校教育法に基づいた大学・短大・専門学校(2年以上の専修学校)を卒業している
- 児童福祉施設において、一定期間以上の実務経験がある(中卒、高卒の場合)
指定保育士養成施設ではない、学校教育法に基づいた大学や短大、専門学校(2年以上の専修学校)を卒業している場合、他の条件は特になく、保育士試験を受験できます。
一方、最終学歴が中卒や高卒で、保育士試験の受験資格を得るためには、児童福祉施設での実務経験を積む必要があります。
必要となる実務経験数は、以下の通りです。
・中学校卒業… 2年以上かつ2,880時間以上 ・高校卒業… 5年以上かつ7,200時間以上 |
実務経験として認められる児童福祉施設には、以下のような施設があります。
・助産施設 ・乳児院 ・母子生活支援施設 ・保育所 ・幼保連携型認定こども園 ・児童厚生施設 ・児童養護施設 ・障害児入所施設 ・児童発達支援センター ・児童心理治療施設 ・児童自立支援施設 ・児童家庭支援センター ・里親支援センター |
保育所をはじめとして、乳児院や発達支援センターといった、子どもに関わる仕事の経験があれば、保育士試験を受けられます。
なお、保育所の場合、基本的には認可保育所が対象ですが、通勤範囲に認可保育所がないなどの事情がある場合には、認可外保育所でも、受験資格を認められる場合があります。
保育現場で学歴は関係ある?
保育士として保育現場で働く際、学歴もそうですが、子どもを思う気持ちが大切だといえるでしょう。
「保育士取得に必要な学歴」で解説した通り、保育士資格は保育に特化した大学や短大、専門学校を卒業していなくても、保育士試験に受かることで取得ができます。
保育士試験は、一般の大学や短大、専門学校はもちろん、中卒や高卒であっても条件次第で受験できるので、さまざまな学歴の人が取得しています。
東京都が東京都保育士登録者を対象に行った「保育士実態調査」によると、保育士資格を取得した人のうち、半数近い43.5%もの人が保育士試験で取得しています。
参考:東京都福祉局「調査結果詳細」
人手不足が続く保育園では、保育士資格を持たない人材でも保育補助として重宝するような現状があります。
また、保育士資格があり、子どもを大切にする気持ちがあれば十分活躍する機会があるでしょう。
保育士の学歴が影響すること
保育士資格の取得、あるいは保育士として働く場合、基本的には学歴は関係ありません。
しかし中には学歴が影響してくることがあり、初任給が違う場合もあります。
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給では、大学>短大>高卒と学歴順に初任給が高い傾向だということがわかります。
この傾向は、保育園でも初任給の設定時に反映されていることがあります。反対に保育士資格を持っている場合であれば、初任給は統一している職場もあるため、求人票をしっかり見ておくことが必要でしょう。


保育士にとって必要なこと
保育士として働くには、以下のような力が必要です。
・観察眼 ・判断力、対応力 ・忍耐力 ・コミュニケーション能力 |
1つずつ解説していくので、自分にその力はあるか、身に付けられそうか考えながら読んでみてくださいね。
観察眼
保育所では、0~6歳まで、幅広い年齢の乳幼児をお世話します。保育士は、それぞれの年齢の子どもたちの発達や個性をつかんで、日ごろから注意深く見守る必要があります。
例えば、生まれて間もない0歳児は、まだ自分の力で動けませんが、成長に従ってさまざまな動作ができるようになります。
3歳を超えた子どもは、活発に動き回ります。子ども同士の関係も複雑になりトラブルも発生します。
室内外問わず、常に1人ひとりの子どもが今、どこにいて何をしているか、しようとしているか、目を配る必要があります。
判断力、対応力
幅広い年齢の子どもたちが、大勢集う保育所では、日々さまざまなことが起こります。
例えば子ども同士がケンカして、一方がケガしたと泣いて訴えてきたとき。どういう手順で何をすべきか、判断が必要です。
何かトラブルが起きたら、その事実をすばやく把握し自分はどう動くべきか正しく判断し、即座に対応する必要があるでしょう。
忍耐力
保育の現場は元気いっぱいの子どもたちを、常に数人~数十人相手にするだけでもエネルギーを消耗するでしょう。
さまざまな対応をする場面では、保育士はそれを顔や言動に出すことはせず笑顔で落ち着いた対応をしなければなりません。
忍耐力や、自分の感情をコントロールできる能力が不可欠です。
コミュニケーション能力
保育士には、コミュニケーション能力も必要でしょう。
保育所で預かる子どもは、0~6歳と幅広い年齢層なのでさまざまなコミュニケーションで、保育士に語り掛けてきます。
0歳児はまだ話せませんが、泣いたり、手足を動かしたり、あるいは表情で、気持ちやしてほしいことを伝えてきます。それを察して動くのも、コミュニケーション能力の1つです。
反対に、3歳以上になると、多くの子どもが上手におしゃべりできるようになりますが、誰もが素直に気持ちを伝えてくれるわけではありません。あまりしゃべらない無口な子どももいるでしょう。
どのような環境でも子どもたちとスムーズにコミュニケーションが取れる存在となることが必要ですね。
また、保育士は、子どもたちの保護者や一緒に働く同僚、上司とも円滑なコミュニケーションを取る必要があります。
保護者や同僚とのコミュニケーションがスムーズに取れ、連係できるようになって初めて、保育園は子どもたちにとって安心できる、居場所となるでしょう。
保育士の学歴まとめ

基本的には、保育士資格を取得するのに、学歴は関係ありません。ただし、保育士資格を取る方法によっては、学歴が必要です。
保育士資格を取るには、以下2つの方法があります。
・指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業する ・保育士試験を受験する |
保育士試験を受ける場合には、条件さえ満たせば保育士資格を目指せます。
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