児童発達支援管理責任者(児発管)は、発達支援の現場をリードする役割を担っています。

やりがいも大きい職業ですが、児童発達支援管理責任者になれるまでの実務経験が長いうえに、資格を取るための要件がとても複雑であるため、混乱してしまう方も多いのが実情です。

今回は、児童発達支援管理責任者へのキャリアアップをお考えの方にむけて仕事内容はもちろん、資格取得までの流れや要件や期間、役割、難易度、将来性などについても詳しく解説していきます。

目次

児童発達支援管理責任者(児発管)とは?

児童発達支援管理責任者(児発管)とは?【保育士人材バンク】
児童発達支援管理責任者(児発管)とは?【保育士人材バンク】

「児童発達支援管理責任者」とは、障がいのある子どもの個人支援計画の作成や、保護者や関係機関との連携を担う専門職です。

児童発達支援の事業所には必ず1名以上の配置が義務付けられており、「児発管」とも呼ばれています。

2012年の法改正により児発管の役職が新設

現在の児童発達支援管理責任者にあたる業務は、サービス管理責任者という職種が担っていました(以前は年齢に関係なく、障がい者向けの事業所はすべて障がい福祉サービスに位置付けられていたため)。

2012年の改正で「児童福祉法」「障がい者自立支援法」の改正されたことで、18歳未満の子どもを対象にした発達支援の事業所は、児童福祉法による指定事業所として再編されました。

そして、さらなる障がい児支援の強化や充実を図るべく「児童発達支援管理責任者」の職種が新設されています。

この法改正により、支援する方の対象年齢によって「児童発達支援管理責任者」「サービス管理責任者」が明確に分けられることとなりました。

資格を取得するための要件は基本的にどちらも同じですが、「児童発達支援管理責任者」の業務は、より障がい児の特性や環境に合わせた支援が可能となっています。

参照サイト:相談支援専門員及びサービス管理責任者等の研修制度の見直しについて

児童発達支援管理責任者(児発管)の役割・仕事内容は?

児童発達支援管理責任者の「役割・仕事内容」は、厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」において以下のように定められています。

厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」

児童発達支援管理責任者は、児童発達支援を利用する子どもと保護者のニーズを適切に把握し、児童発達支援が提供すべき支援の内容を踏まえて児童発達支援計画を作成し、すべての従業者が児童発達支援計画に基づいた支援を行っていけるように調整する。

また、提供される支援のプロセスを管理し、客観的な評価等を行う役割がある。

引用:厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」

簡潔に児童発達支援管理責任者の「役割・仕事内容」を言うと、個別の支援計画の作成」と、「計画達成のための評価や調整」が児童発達支援管理責任者の主な役割です。

※児発管固有の業務である個別支援計画作成・具体的な業務内容については、後ほど「5.児童発達支援管理責任者の役割と細かな業務内容は?」の章で詳しくご紹介します

児童発達支援管理責任者のなり方は?になるのは難しい?

児童発達支援管理責任者について、「資格を取得するまでに何年かかる?」「通信や勉強など、具体的どうやって取るの?」「必要な資格や有効期限、かかる費用はある?」

など、児童発達支援管理責任者の資格取得には疑問が多いと思います。

現状、児童発達支援管理責任者の資格取得は簡単とはいえません

児童発達支援管理責任者の資格を取得するには、「実務要件」と「研修の修了」が必要であり、最短ルートでも数年単位(2~10年)の時間を要します

勉強や、かかる費用、必須の資格などはありませんが、とにかく年数がかかるというのが、児発管資格の難しいところです。

この記事では簡単に概要をご紹介しますが、詳しい実務経験や最短ルートが知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。

【2023年度最新】児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件や研修内容(基礎・実践・更新)について詳しく解説!>>

児発管の資格は法改正により取りやすくなってきている

2019年の研修制度の見直しで実務経験の要件が緩和し、以前よりも多くの方が資格取得を目指せるようになりました。

さらに、2023には、一部条件を満たす場合、基礎研修終了後、6か月以上OJTをすれば実践研修受講可能となりました。

児童発達支援管理責任者の要件に関する法律は頻繁に見直しがされているため、これから資格取得を目指す方は、今後も細かくチェックしていく必要がありそうです。

取得が難しい児発管資格は専門性の証明になる

「児童発達支援管理責任者」になるには経験や研修が必要であり、さらに更新研修も必要です。

取得要件のクリアや維持に時間がかかるぶん、障がい児支援の分野で専門性の証明が可能です。

児童発達の分野では、児童発達支援管理責任者の資格保有者は引く手あまたの現状であり、給料面はもちろん、転職時にもかなり有利になります。

将来を考え、キャリアアップを目指す方の選択肢の1つとなるでしょう。

より細かな情報を知りたい方へ、このあとの章では具体的な児童発達支援管理責任者の目指し方や仕事内容、給料面などの情報をお伝えしていきます。

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児童発達支援管理責任者の研修の種類や免許の更新は?

まずは、児童発達支援管理責任者になるために必要な研修と免許更新について解説します。

児発管になるための研修は「基礎研修」と「実践研修」の2つ

児童発達支援管理責任者になるためには、「基礎研修」と「実践研修」、2つの研修を受ける必要があります。

それぞれの研修を受講するためには実務経験などの要件を満たす必要があり、実践研修前にはOJTという研修期間も必要です。

詳しくは次章でご紹介します。

資格取得後は5年ごとに「更新研修」が必要

2019年の法改正から、5年ごとの「更新研修」も創設されました。これにより、児発管資格を保持していくためには継続的な研修の受講が必要となっています。

この記事では簡単に概要をご紹介しますが、児童発達支援管理責任者に関する詳しい研修内容について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。

【2023年度最新】児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件や研修内容(基礎・実践・更新)について詳しく解説!>>

児童発達支援管理責任者になるための要件の資格取得や条件は?

児童発達支援管理責任者になるために必要なステップ4つ【保育士人材バンク】
児童発達支援管理責任者になるために必要なステップ4つ【保育士人材バンク】

児童発達支援管理責任者になるための要件は、とても難しいと言われています。

最低でも3年以上の実務経験が必要なだけではなく、働いている事業所や業務内容によって必要な経験年数が異なるためです。

また、創設されてまだ年数が浅く、研修の経験者が少ないことも難しいといわれる要因の1つといえます。

ここでは、大まかな児童発達支援管理責任者の要件について解説していきます。

※研修は都道府県ごとに行っているため、細かな要件や研修内容、提出書類などについてはお住いの都道府県HPでご確認ください

児発管の資格取得までと、取得後のおおまかな流れ

児童発達支援管理責任者の研修を受講するには、原則として、従事している(もしくはこれから従事する予定の)法人や事務所からの推薦が必須です。

個人からの申し込みは基本的に受け付けていません

また、東京都で従事する方は、東京都の研修を受けるといったように、従事する都道府県の研修を受ける必要があります。

研修日程やカリキュラムは都道府県や研修を実施する事業所に確認してみましょう。

「児童発達支援管理責任者」取得要件の大まかな流れ

【取得要件】
1) 研修を受けるために、実務経験の要件を満たす実務経験を満たす2年前から基礎研修に受講できる
2) 基礎研修を受講する※基礎研修を修了すると、一部の業務が可能になる(OJT)
3)OJTで実務経験を積む原則2年
※2023年の法改正より、条件により6か月の実務経験で実践研修の受講が可能に
3) 実践研修を受講する基礎研修後、2年以上の相談支援もしくは直接支援の実務経験がある
4) 児童発達支援管理責任者として従事する
5) 5年ごとに更新研修を受講する過去5年間に2年以上の実務経験がある
「児童発達支援管理責任者」取得要件の大まかな流れ

児童発達支援管理責任者の資格取得までの大まかな流れとしては、実務要件を満たしたうえでまず「基礎研修」を受講、次に2年間(条件により6か月)の現場研修(OJT)、最後に「更新研修」という流れとなっています。

なお、最近はオンラインでの研修も増えてきているようです。

児発管の「基礎研修」を受講するための要件

児童発達支援管理責任者の基礎研修を受けるための実務要件は、経験業務によって以下のように年数が定められています。

これらの実務経験を満たす者は、基礎研修が受講可能です。

※研修受講のためには実務経験証明書の提出が必要です

基礎研修の受講に必要な実務経験年数

相談支援業務3年以上
直接支援業務6年以上
有資格者による相談支援業務・直接支援業務1年以上

従来は、基礎研修の受講資格を得るためには、児童発達支援管理責任者の実務要件を完全に満たす必要がありました。

しかし、2019年の法令改正によって、実務要件を満たす2年前から基礎研修の受講が可能となっています。

「直接支援業務」「相談業務」といってもわかりにくいかと思います。

以下に、簡単に実務要件を満たす職種や免許の例をあげますが、詳しくは「実務要件」の記事をご参照いただければと思います。

■実務要件を満たす業務に該当する職種や免許の例

児発管の実務要件を満たす業務に該当する職種や免許の例

【免許】
教員免許
看護師
言語聴覚士
公認心理師
作業療法士
理学療法士
臨床心理士
ヘルパー2級

【職種】
小・中・高等学校の教員
幼稚園教諭
学童保育
病院
介護施設
児童指導員
障がい児保育
発達障がい者支援センター
障がい福祉サービス
など

▼もっと詳しく知りたい!

【2023年度最新】児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件や研修内容(基礎・実践・更新)について詳しく解説!>>

児発管の「実践研修」を受けるには2年間の現場研修が必要

日々の業務で実際に児発管としての仕事を経験しスキルを積んでいくOJT(On The Job Training)期間も、2019年より導入されたシステムです。

児発管の基礎研修を受講した後は、個別支援計画の原案作成など、一部の業務を担いながら経験を積みます。

2年間(条件を満たす場合6か月)のOJT期間を終えることで、ようやく実践研修を受けることができます。

実践研修を終えると、ようやく児童発達支援管理責任者の資格取得となります。

基礎研修受講後は2人目の児発管として配置可能に(みなし配置)

2019年より、すでに児童発達支援管理責任者が配置されている事業所の場合、基礎研修修了者は2人目のサービス管理責任者としての配置が可能になりました。

条件は、「基礎研修受講に必要な実務年数+2年ある人」となっています。

つまり、基礎研修を終えた時点で、児発管として働くことが可能になっています。

これは、サビ管および児発管の資格研修の、新体制への移行までの経過措置であり、施設側が配置基準を満たしやすくなるメリットがあります。

2人目の児発管になると、個別支援計画」の原案の作成ができるようになります。

みなし配置をするには事業所が届けを出す必要があり、期間は3年間となっています。3年の間に実務研修を終えることで、そのまま児発管として働き続けることができます。

参照サイト:東京都福祉保健局「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修の見直しについて」
参照サイト:厚生労働省「相談支援専門員及びサービス管理責任者等の 研修制度の見直しについて」

児童発達支援管理責任者になるための詳しい実務経験や最短ルートが知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

【2023年度最新】児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件や研修内容(基礎・実践・更新)について詳しく解説!>>

児童発達支援管理責任者の細かな業務内容は?

子どもの発達支援を行う現場において、「児童発達支援管理責任者」は支援の方向性や計画を立てるリーダーのような役割を担っています。

具体的には、保護者との面談や関係機関との連携など、多くの業務を担うことになるでしょう。

ここからは児童発達支援管理責任者の主な仕事内容についてご紹介します。

なお、児発管の業務内容をより詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご参照ください。

児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事の役割や内容は?勤務時間や働く場所、OJTや研修は?>>

個別支援計画の作成と見直し、サービスの提供までの流れ

児童発達支援管理責任者の最も重要な仕事といえるのが「個別支援計画の作成」です。

「個別支援計画」は、事業所を利用する方のニーズや目標を共有し、事業所内の職員が同じ方向性で関わっていくうえで大きな役割を持っています。

「本人や家族の願いを叶えるための道しるべとも言える指標」です。

必要な支援や目標を見定め、より具体的な支援計画を作成するには、決まった手順で進めていかなくてはなりません。

ここでは、個別支援計画の作成、実施、修正の流れに沿って児童発達支援管理責任者の担当する業務を簡単に解説していきます。

個別支援計画の作成①【アセスメント】

障がいを持つ子ども本人や保護者に面談をします。

現在できることや、日常生活で支援を必要としていることなどをヒアリングし、事業所に求めているニーズと今後の課題を整理していきます。

個別支援計画の作成②【原案作成】

アセスメントをもとに、個別支援計画の原案となるものを作成します。

現在の具体的な課題や、本人・保護者のニーズと支援目標、達成を目指す時期など、ヒアリングの内容に加え、一1人ひとりの状態に合わせた支援計画を立てます。

個別支援計画の作成③【カンファレンス】

サービスに関係する担当者を集め、個別支援計画の原案について意見を出し合います。

個別支援計画の作成④【原案修正】

カンファレンスで出た意見や案をもとに個別支援計画を修正していきます。

個別支援計画の作成⑤【支援計画の交付・サービスの提供】

本人や保護者に内容を説明し、同意を得てからサービスを提供します。関係者や支援する職員はお互いに情報を交換し合い、経過を観察していきます。

個別支援計画の作成⑥【モニタリング(中間評価)】

本人や保護者とは定期的に面接を行い、子どもの様子の変化や目標の達成具合を確認していきます。

個別支援計画の作成⑦【計画の修正】

モニタリングをもとに、いまの状態や成長に適した個別支援計画へと修正していきます。個別支援計画は6ヶ月に1回以上の修正が必要です。

【参照】横浜市健康福祉局障害支援課「個別支援計画を作成するにあたって」

児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事の役割や内容は?勤務時間や働く場所、OJTや研修は?>>

児発管が担うその他の業務

「児童発達支援管理責任者」の業務内容は、個別支援計画の作成や修正以外にも多岐にわたります

児発管が担うその他の業務
  • 相談業務:個別支援計画の作成以外の際にも、必要に応じて本人や家族の相談に応じる。
  • 技術指導業務:他の職員への技術指導を行う。
  • 送迎業務:送迎サービスを行っている事業所の場合に、学校や自宅までの送迎を行う。
  • 管理者業務:事業所の管理者と兼任している場合、利用者との契約業務、見学者対応などを行うこともある。

実際の業務内容は、配置される事業所の種類によってさまざまです。

「児童発達支援管理責任者」として入職する場合は、業務内容についてよく確認しておくのをおすすめします。

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児童発達支援管理責任者の平均年収は?

これからキャリアアップで児童発達支援管理責任者の資格を目指す方にとっては、児発管の平均年収は気になるところですよね。事業所の種類によってばらつきは大きいものの、全体的に保育士よりも高い平均年収であるのが一般的です。

<児童発達支援管理責任者と保育士との年収比較>

児童発達支援管理責任者保育士
職種全体の平均4,267,462円3,668,861円
福祉型障がい児入所施設5,662,130円3,965,212円
医療型障がい児入所施設5,983,824円4,293,788円
児童発達支援3,990,877円3,252,114円
医療型児童発達支援5,876,463円3,913,373円
放課後等デイサービス3,298,587円2,716,548円
保育所等訪問支援4,658,940円数値なし
児童発達支援管理責任者と保育士との年収比較

参照サイト:平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果

なお、児童発達支援管理責任者は「専任」のほか、管理者と「兼任」の場合もあり、兼任」の場合は専従より給料も高くなります。

事務作業の多い児発管は一部業務の在宅勤務が可能なケースもあります。

また、「非常勤」「派遣」「パート・アルバイト」での募集もあり、さまざまな働き方が可能です。

児童発達支援管理責任者の平均年収や給料は?なり方やかかる年数も簡単解説!>>

児童発達支援管理責任者の将来性は?

障がい児関連の事業においては国による支援も拡充してきており、児童発達支援管理責任者の将来性はかなりあるといえます。

障がい者向けの事業所は近年大きく利用者を増やしており、障がい児の施設も同じ傾向がみられます。

厚生労働省が令和3年に発表した「障がい児通所支援の現状等について」によると、障がい児サービスの利用者は平成26年から令和元年までの期間で約2.3倍に増加しました。

同様に障がい児支援を行う事業所も急速に増えていますが、現場に必ず一人は配置しなくてはいけない児童発達支援管理責任者の有資格者はまだまだ数が少ないのが現状です。

厚生労働省の障がい障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第2回)によると、平成29年の全職種の求人倍率は1.5倍だったのに対し、障がい障害福祉関係だけに絞った求人倍率は3.2倍でした。

働く人への高い需要がうかがえます。

現在の状況を踏まえると、児童発達支援管理責任者の資格をもっていることで転職に有利に働くでしょう。

参照サイト:厚生労働省「障害児通所支援の現状等について」

児童発達支援管理責任者のメリット

児童発達支援管理責任者のメリットとしては、以下があげられます。

児発管のメリット
  • 給料がアップする
  • 支援の計画を立てられる
  • 転職に有利になる

児童発達支援管理責任者になることで、給料が上がることはもちろん支援計画を立てる側」に回ることができます。

支援計画の作成は経験なしにできることではなく、これまでの経験や知識をいかして取り組むことのできる意義ある仕事です。

経験や知識を存分にいかすことができるでしょう。

現状、簡単に取れる資格ではないため、転職を考える際もかなり有利となります。

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児童発達支援管理責任者のデメリット

児童発達支援管理責任者のデメリットとしては、以下のようなものが考えられます。

児発管のデメリット
  • 事務作業が増える
  • 責任が増える
  • 資格維持のため更新研修が必要

児童発達支援管理責任者にそこまで大きなデメリットはないですが、あげるとすると、事務的な仕事が増える可能性があります。

保護者との面談や他の職員に対する指導といった対外的な業務も増えるため、そこにストレスを感じる方もいるかもしれません。

また、支援の責任者として日々勉強を重ねる姿勢も大切であり、資格維持のためには5年おきの研修受講も必要となります。

児童発達支援管理責任者と「サービス管理責任者」「相談支援専門員」との違いは?

児童発達支援管理責任者と混同しやすい職種に「サービス管理責任者」と「相談支援専門員」があげられますが、それぞれ異なる役割を持っています。それぞれの特徴をおさえておきましょう。

「サービス管理責任者」とは?

「サービス管理責任者」とは、障がい支援サービスを行う事業所において、個別支援計画を作成する職種です。

事業所によって細かな業務は異なりますが、主な役割は児童発達支援管理責任者と同じだと考えてもいいでしょう。

2つの職種の違いは、「関係している法律」「対象となる利用者の年齢」です。

児童発達支援管理責任者サービス管理責任者
法律児童福祉法障害者総合支援法
主な対象年齢18歳未満18歳以上
主な事業所・児童発達支援
放課後等デイサービス
保育所等訪問支援
知的障がい児施設
など
・療養介護
・生活介護(デイサービス)
・施設入所支援
・グループホーム
・自立訓練
・就労移行訓練

など
児童発達支援管理責任者とサービス管理責任者の違い

大まかに分けると「児童発達支援管理責任者」は18歳未満の子どもを対象にした事業所「サービス管理責任者」は18歳以上の大人を対象にした事業所に配置されている職種です。

個別支援計画を作成し、修正していく業務は同じでも、大人と子どもでは大変さや目標も異なるため、個別支援計画の内容もより対象者に適した内容となっています。

「相談支援専門員」とは?

「相談支援専門員」とは、障がいを持つ方やその家族から相談を受け、総合的な援助の方針計画を立てる役割を担う職業です。

相談支援の事業所に配置され、支援のニーズや解決すべき課題を洗い出し、最も適切なサービスの組み合わせを考えます。

このヒアリングをもとに相談支援専門員が作成するのが「サービス等利用計画書」です。

障がいのある人の意思が尊重され、長期的な支援を目的に作成されているサービス等利用計画書を軸として、各事業所はサービスを提供していきます。

サービス等利用計画書は、児童発達支援管理責任者やサービス管理責任者が作成する個別支援計画の軸とも言える支援計画なのです。

相談支援専門員は、対象者が置かれている環境や心身の状況を正しく把握することはもちろん、障がい支援サービスに関する幅広い知識も必要とされています。

また、必要なサービスにつながるよう、関係機関との連携も求められる職業です。

児童発達支援管理責任者のやりがいは?

「児童発達支援管理責任者」は子どもの成長を身近に感じられるところが魅力の職業です。

個別支援計画の修正や評価、本人や保護者の面談などを通じ、自身の立てた計画で子どもを成長に導くことができます。

また、子ども本人だけでなく、家族へのサポートもできるのもやりがいの1つになります。

子どもや家族と信頼関係を築き、成長を一緒に共有できたとき、大きな喜びを得られるでしょう。

また、管理職である「児童発達支援管理責任者」は、働きやすい環境の用意やスタッフの相談に応じるなど、事務所作りにも携わります。

本人や家族をはじめ、地域にとって信頼できる事務所作りを目指して尽力することができるでしょう。

責任も大きいですがそのぶんやりがいも大きく、福祉の分野で誰かの役に立ちたいと思っている方にとって、児童発達支援管理責任者は充実感を得られる職業といえます。

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児童発達支援管理責任者に向いている人は?

児童発達支援管理責任者に向いている人は、以下のような人です。

<児童発達支援管理責任者に向いている人>

児童発達支援管理責任者に向いている人
  • 責任感のある人
  • 客観的に物事を捉えられる人
  • 臨機応変に対応できる人

児発管の個別支援計画を立てるうえで、「物事を客観的に見て評価をできる能力」は重要です。

その子に必要な支援を客観的視点から評価・計画できる人は児童発達支援管理責任者に向いているといえるでしょう。

また、個別支援計画の作成がもっともメインとなる業務ですが、保護者対応から関係機関との連携、スタッフへの指導まで、児童発達支援管理責任者は幅広い業務を担います。

そのため、周囲の状況を正しく把握し、無理のないスケジュールを組み、必要に応じて改善していく臨機応変さが求められます。

14.児童発達支援管理責任者に向いていない人は?

一方、児童発達支援管理責任者に向いていない人は、以下のような人です。

<児童発達支援管理責任者に向いていない人>

児童発達支援管理責任者に向いていない人
  • 物事を主観的に捉えやすい人
  • 柔軟な対応ができない人

「この子は好きだから支援を手厚くしたい」など、主観的な感情で支援の仕方を変えるような人は、児童発達支援管理責任者に向いていません

また、職員一丸となって「子どもの成長発達」という見えない目標に向かっていくうえで、臨機応変で柔軟な考え方や対応は欠かせません。

そのため、考え方に柔軟性がない人も、児童発達支援管理責任者には向いていないといえます。

児童発達支援管理責任者の合格率や難易度、平均年齢は?

ここでは、児童発達支援管理責任者の資格取得に関してよくある疑問と回答をご紹介します。

児童発達支援管理責任者の合格率は?

児童発達支援管理責任者の資格取得には試験がないため、合格率は存在しません

ただし、実務要件などを満たすためには年数を要するため、一般的に難しいといわれています。

児童発達支援管理責任者の難易度は?

こちらも、試験ではないため難易度を表すことはできません

児発管の資格要件を満たすための条件が細かく複雑という意味で、保育士や児童指導員と比べると資格取得までの難易度は高いといえます。

15-3.児童発達支援管理責任者の平均年齢は?

児童発達支援管理責任者の平均年齢は、3~10年という児発管の実務要件から考えると30歳以上と推測されます。

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保育士からのキャリアプランチェンジは可能?

保育士から、児童発達支援管理責任者を目指したいと考えている方もいるかと思います。

結論、保育士からも児発管を目指すことは可能です。

現在、保育士として障がい児施設以外で働かれている(働いていた)場合は、直接支援業務を経験してきたことになるため、5年以上の経験で基礎研修を受講できます。

また、働き先がデイサービスなど障がい児施設であれば、3年の実務経験で要件を満たすことができます。

児発管を目指すことで、給料アップも見込めるでしょう。

保育士が児童発達支援管理責任者を目指す最短ルートは以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【2023年最新】児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件や研修内容(基礎・実践・更新)について詳しく解説!>>

児童発達支援管理責任者を辞めたくなったら

児童発達支援管理責任者を目指しても、続けられるか不安な方もいるかと思います。

施設に1人の配置義務があり、責任のある立場ですから、簡単に辞めるわけにはいかないですよね。

結論を言うと、児童発達支援管理責任者を辞めたくなったときには、自分の意思でいつでも辞めることは可能です。

ただし、事業所側で新たな児童発達支援管理責任者を探さなければならない事態にはなるため、早めの相談は必要です。

事業所内に実務要件を満たす職員がいれば、みなし配置の制度などを使い、基礎研修+6か月の期間があれば新たな児発管を配置できるようになります。

そうした期間も考え、相談していけると迷惑はかかりにくくなるでしょう。

今後、結婚や子どもを作る予定がある人も、育休中や産休中は新たな児発管を配置する必要があるため、職場と相談しながら計画的に動いていけるといいですね。

児童発達支援管理責任者の求人の探し方は?

児童発達支援管理責任者は資格をもつ人が少なく人材不足が続いており、求人は見つかりやすい状況です。

児発管の求人の探し方としては、以下のような方法があります。

児発管の求人の探し方
  • インターネットで検索する
  • ハローワークで探す
  • 保育系の求人情報サイトで探す

インターネット上でもすぐに求人を探すことができますが、エリア・給料・手当てなど条件を絞って求人検索をしたいのであれば、保育系の求人情報サイトを活用すると便利です。

当サイト「保育士人材バンク」でも、条件を絞った絞り込み検索が可能で、条件に合う児発管求人が見つけやすくなっています。

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児童発達支援管理責任者に転職するには?

これから児発管資格を目指して転職を希望される方であれば、「児発管候補募集」などの条件がある求人を探してみるといいでしょう。

事業所も児発管候補を探している状況のため、就職後、すぐに児発管を目指すことができます。

児発管への転職では、福祉の仕事に特化した求人サイトや、エージェントのいる転職サイトなど、人材紹介サービスを使うのも選択肢の1つです。

ミスマッチを防ぐために、自分の重視している条件を洗い出しておきましょう。

参照サイト:厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第2回)」

児童発達支援管理責任者はどんな施設で働ける?

児童発達支援管理責任者の主な就業先は、「障がい児支援施設」となります。

児童発達支援管理責任者の配置が義務づけられている障害児支援施設にはいくつか種類がありますが、大きく「通所施設」と「入所施設」の2種類に分けられます。

この2種類について、以下に詳しくご紹介します。

児発管は転職にも有利なため、資格取得を目指す方は、今後の働き先のイメージとして知っておくといいでしょう。

児発管の就業先①障がい児通所施設】

「障がい児通所施設」は、障がいのある子どもが発達や課題に応じた支援を受けることを目的とした施設です。

障がい児通所施設には、提供するサービスによって4種類の事業所があります。

障がい児通所施設の4種類の事業所

障がい児通所施設とは?種類や役割、目的、対象者など概要をわかりやすく解説>>

児発管の就業先障がい児入所施設】

障がい児入所施設」は、障がいの重い子どもが日常生活に必要な知識、技能を身に付けることを目的とした施設です。

子どもの障がいや成長に合わせた自立を目指します。

障がい児入所施設の種類
  • 福祉型障がい児入所施設
  • 医療型障がい児入所施設

業務内容や勤務時間は事業所によってさまざまですが、児童発達支援管理責任者の資格を持っている方は、これらの施設で働くことができるようになります。

参考サイト:厚生労働省「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要」
参考サイト:厚生労働省「障害児入所支援の概要」

児童発達支援管理責任者の「履歴書」「職務経歴書」の書き方は?

児童発達支援管理責任者として転職や就職活動を行う際に、履歴書職務経歴書の書き方でどう書いていいのか悩みますよね。

基本的な書き方は一般の職種と変わりませんが、「なぜこの事業所に働きたいのか?」「入社して何をしたいのか?」が分かるように書くのがポイントです。

児童発達支援管理責任者の資格については、「免許」「資格」を書く欄に記載しましょう。

また、関連した資格を持っている場合も記載しておきます。

児童発達支援管理責任者を募集している事業所に応募した場合には、「資格を取るまでの実務経験や研修で得たスキルをどう活かすのか?」志望動機に書くことで、より自分らしい履歴書が作れるでしょう。

募集している事業所側は、応募した方が「どんな人か?」「どんなことができる人なのか?」を知りたがっています。

人柄や具体的なイメージを伝えるには、きれいな言葉でまとめるよりも、自分の言葉で語れる内容が望ましいです。

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児童発達支援管理責任者の面接の仕方・ポイント

児童発達支援管理責任者の面接まで進んだ際は、基本的には笑顔を大切に、ゆっくりと落ち着いて話すようにするといいでしょう。

児発管として求める人柄は、「子どもが安心できる人物である」ことや、「責任者として落ち着いた対応ができる人物」といったところです。

そうした「相手が求める人物像」を意識することで、しっかりとアピールができるでしょう。

あなたの人柄や考えを落ち着いてしっかり伝えられるよう、事前に面接で聞かれやすい内容なども考え、回答を準備しておくと安心です。

児童発達支援管理責任者のまとめ

今回は児童発達支援管理責任者の業務内容や資格取得方、平均年収などについて詳しく解説をしました。

児童発達支援管理責任者の資格を取るには、実務経験と研修で数年かかります。

資格取得を目指す方は、できるだけ早めに準備を始めましょう

障がい福祉サービスは近年需要が高まっている分野であり、児童発達支援管理責任者を求める声も引き続き継続していくと考えられます。

転職の際に役立つ資格取得をお考えの方は、児童発達支援管理責任者として働くことも検討してみてくださいね。

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