障がい児通所施設とは、発達障がい」「知的障がい」「身体障がい」などの障がいをもつ子どもたちが通うことのできる福祉サービス施設です。

リハビリや療育などを行なったり、遊びを通して社会性を身につけたりなど訓練目的のほか、放課後や日中に過ごす居場所として活用されています。

この記事では、障がい児通所施設の種類や利用方法など、概要をわかりやすくご紹介します。

また、記事後半では通所施設で働きたい方へ、知っておきたい情報をまとめてご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

障がい児通所施設とは?概要紹介

障がい児通所施設とは?【保育士人材バンク】
障がい児通所施設とは?【保育士人材バンク】

障がい児通所施設とは、児童福祉法に基づく「障がい児通所支援」という福祉サービスを提供する施設です。

障がいのある子どもを対象としており、保育園や学童保育のように自宅から通って利用するため、”通所”という名称になっています。

一方、施設に入って暮らすタイプは入所施設と呼ばれます。

障がい児通所施設は大きく分けて、0~5歳の未就学児を対象としたものと、6~18歳の小学生以上を対象としたものの2つがあり、さらにそれぞれ、医療的ケア児を対象とする「医療型」とそれ以外の障がい児を対象とする「福祉型」に分けられます。

なお、施設型ではなく訪問で支援を行なう「訪問支援」も通所支援に含まれます。

※保育所等訪問支援障がい児通所支援のひとつで、保育所等に通う子どもに対し、支援員が訪問して必要な支援を行います

障がい児通所施設を利用するためには自治体から「障がい児通所受給者証」を発行してもらう必要があります。

福祉サービスのため、利用者は低料金で利用できます(原則1割負担。所得により上限あり)。

障がい児通所支援の定義

障がい児通所支援は、児童福祉法により以下のように定義されています(障がい児通所施設の根拠法は児童福祉法となります)。

障がい児通所支援の定義

第六条の二の二  この法律で、障害児通所支援とは、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス及び保育所等訪問支援をいい、障害児通所支援事業とは、障害児通所支援を行う事業をいう。

【引用先】:児童福祉法 第六条の二の二

障がい児通所施設は社会福祉施設の一種であり、療育施設(発達支援を行なう施設)とも呼ばれます。

施設型の療育施設は、保育園などと同様、児童福祉事業に含まれます。

障がい児通所施設の種類一覧

障がい児通所施設の種類一覧【保育士人材バンク】
障がい児通所施設の種類一覧【保育士人材バンク】

障がい児通所施設は、利用児の年齢により、大きく以下2つに分けられます。

児童発達支援施設:未就学児対象

放課後等デイサービス:小学生以上対象

これらの通所支援を行なう事業所は、以前は統合して「児童デイサービス」と呼ばれており、今でも「デイサービス」の名称で呼ばれることが多くなっています。

この2種類について、以下に詳しくご紹介します。

【参考サイト】:厚生労働省 障害児通所支援・障害児入所施設の概要

障がい児通所施設の種類児童発達支援施設(医療型/福祉型)

児童発達支援施設とは、障がいのある未就学児を対象とする施設です。

※医療型では看護師が勤務し、医療が必要な子ども(医療的ケア児)に対して医療ケアを行います

※現在、児童発達支援は医療型と福祉型に分かれていますが、今後、令和6年の法改定を目途に「医療型」と「福祉型」の通所施設は一元化される見込みです
【参考サイト】:厚生労働省 児童発達支援センターの位置づけについて

児童発達支援のサービスの内容は、リハビリや療育、遊びの提供などとなります。

週に数回のみの利用など、保育園・幼稚園・認定こども園との併用も可能ですし、保育園代わりとして毎日通うこともできます(※支給日数による)。

またいくつかの事業所の併用も可能です。

児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い

児童発達支援施設には「児童発達支援センター(地域の中核施設)」と「児童発達支援事業所(より身近な施設)」の2つがあります。

それぞれの違いは以下のとおりです。

児童発達支援センター
  • 事業所よりも大型の施設
  • 地域全体の子どもたちが対象
  • 地域の事業所や園などへ助言やサポートを行う
  • 他の機関や事業が併設されていることが多い
児童発達支援事業所(デイサービス)
  • 児童発達支援センターよりも小型で身近な施設
  • 利用契約した子どもが対象
  • 利用児や家族への支援を行う

「児童発達支援センター」「児童発達支援事業所(デイサービス)」共に障がい児通所支援の福祉サービスを提供する施設です。

児童発達支援センターは地域の中核となる「大型施設」で、自治体運営のところも多くなっています。

子どもに対してリハビリや療育を行なうほか、地域の施設や園に対してもサポートを行なっています。療育センターなどと呼ばれることもあります。

一方、児童発達支援事業所は障がい児が身近に通える「通所施設」で、個別に契約することで利用できます。

子どもへのリハビリや療育、遊びの提供や、家族の相談支援なども担います。

障がい児通所施設の種類放課後等デイサービス】

放課後等デイサービスとは、障がいのある小学生以上(~18歳 ※場合により20歳まで)の子どもを対象とする施設です。

放課後や休日、長期休みなどに利用でき、いくつかの事業所の併用も可能です。利用の際は個別に事業所と契約が必要です。

サービスの内容は、リハビリや療育、遊びの提供、学習面のフォローなどとなります。施設によっても特色があり、リハビリ・学習などプログラム特化の事業所も多くあります。

放課後等デイサービスについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

放課後等デイサービスとは?仕事がきつい?目的、仕事内容、給料などわかりやすく解説!>>

障がい児通所施設の目的・役割

障がい児通所施設の役割と目的【保育士人材バンク】
障がい児通所施設の役割と目的【保育士人材バンク】

障がい児通所施設の目的・役割は、「障がいのある子どもの支援を行うこと」です。

障がいのある子どもはそれぞれの病気や特性によって苦手さや生きるうえでの困難さをもっているケースが多く、そうした困難さを軽減していけるよう、専門知識をもつ職員が日常のなかでサポートをしていきます。

具体的には、身体障がいで体が動かしにくい子どもにはPTなどの専門スタッフがリハビリを提供したり、発達障がいで人間関係に苦手さがある子どもには、児童指導員などが遊びや集団活動を通してサポートを行なったりしていきます。

子どもの預かり場所としても機能する障がい児通所施設ですが、利用の際は子ども一人ひとりに対して児童発達支援管理責任者が「個別支援計画」を作成し、必要な支援ができるよう計画に沿ってサポートや評価を行います。

また、保護者に対する相談等の支援も障がい児通所施設の役割のひとつといえます。

【参考サイト】:厚生労働省 児童発達支援ガイドライン

【参考サイト】:厚生労働省 放課後等デイサービスガイドライン

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障がい児通所施設の利用対象者

障がい児通所施設の利用対象児は、障がいのある子どものほか、医師や専門機関から特別な支援の必要性を認められた子どもです(例:グレーゾーンや発達の遅れなど)。

対象疾患としては、以下があげられます。

<障がい児通所施設の対象疾患>

障がい児通所施設の対象疾患
  • 発達障がい
  • 知的障がい
  • 身体障がい
  • 聴覚障がい
  • 視覚障がい など

障がい児通所施設で働きたい方が知っておくべき概要

ここからは、障がい児通所施設で働きたい方が知っておくべき概要をご紹介します。

障がい児通所施設で働く①必要資格】

障がい児通所施設で働くなら、以下のような資格を持っていると採用に有利になります。

障がい児通所施設でいかせる資格

【児童指導員になるために有利な資格】

  • 幼・小・中・高の教員免許
  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士

児童発達支援や放課後等デイサービスでは必要な人員配置が決まっており、保育士または児童指導員・児童発達支援管理責任者の配置は必須となっています。

保育士は国家資格であり、障がい児通所施設でも即戦力となる有利な資格です。保育士資格の取り方は以下の記事を参考にしてください。

保育士免許の取り方は?正式名称や資格の取得ルート、試験の内容、更新、再発行方法は?>>

一方、児童指導員は働くことで名乗ることができる任用資格であり、こちらも配置が必須になっています。詳しくは以下の記事をご参照ください。

児童指導員とは?どんな仕事?任用資格の取得方法や要件、平均年収、仕事内容、保育士との違いを詳しく解説!>>

必ず一人以上の配置が求められる児童発達支援管理責任者は、要件を満たしたうえで研修を受けると取得できる資格です。詳しくは以下の記事をご参照ください。

【2023年最新】児童発達支援管理責任者(児発管)とは?なるのは難しい?資格取得の要件や業務内容、平均年収、将来性は?>>

その他、療法士資格があると機能訓練担当職員として勤務できます。また看護師資格があると医療型施設で勤務が可能です。

また、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所では、無資格でもサポート人員として働けるケースもあります。

障がい児通所施設で働く②施設の種類・特徴】

一口に児童発達支援・放課後等デイサービスといっても、実は事業所ごとに特色があり、いくつかの種類に分類できます。

特に、民間の事業所は特定のプログラムに特化しているものも多くなっています。

以下は、子どもを対象とするデイサービスの主な種類と特徴です。

施設の種類・特徴①【学習型】

学習支援に特化。

発達障がいやLDの子どもを対象とする。

施設の種類・特徴②【習い事型】

体操、ダンス、サッカー、プログラミング、音楽、アートなどのプログラムに特化し、習い事のように通える施設。

施設の種類・特徴③【療育型】

個別療育、リハビリなど療育を中心とする施設。

専門スタッフが支援にあたる。

施設の種類・特徴④【学童型】

自由遊びを中心に、保育所や学童のように預かりとしてのサービスをメインに行う施設。

施設の種類・特徴⑤【障がい特化型】

視覚障がい児専門、自閉症児専門など、病気や障がいに特化した施設。

施設の種類・特徴⑥【医療型】

看護師が在籍し医療的ケアを行う施設。重症心身児専門デイサービスなど。

このほか、未就学児のデイと小学生以上のデイを一緒に運営し一緒に活動するところや、生活介護なども併設している事業所もあり、そうした施設は「多機能型(複合型)施設」と呼ばれます。

児童発達支援・放課後等デイサービスの運営元には、自治体、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、営利法人などがあります。

また、児童発達支援センターは公立施設として運営されるものも多く、児童発達支援センターで働く場合は地方公務員試験に受かったうえで、公務員として勤務することになります。

施設によって、働き方も変わってくるため、事前に知っておくといいでしょう。

障がい児通所施設で働く③給料】

障がい児通所施設の給料は、公立か民間かで大きく変わりますが、児童発達支援・放課後等デイサービスの多くが、株式会社や社会福祉法人が運営する民間施設です。

以下は、児童指導員の給料・年収の目安です。

保育士も同程度の給料となります。

また、役職や保有資格によっても給料は変わり、責任者や管理者になれば給料額も増やすことができます。

以下は、放課後等デイサービスの役職ごとの年収比較です。

【参考サイト】:平成28年分民間給与実態統計調査結果について

民間施設は施設によって給料のバラつきが大きいため、働く際はボーナス額や手当ての有無など、給料を左右するポイントもしっかりチェックが必要です。

障がい児通所施設で働く④仕事内容】

障がい児通所施設で働く場合、保有資格や施設の種類・特色によっても仕事内容は変わりますが、主に以下のような仕事を行います。

仕事内容【障がい児通所施設】

  • 個別支援計画に沿った支援
  • 遊びの提供
  • 学習支援
  • 子どもの見守り
  • 生活のサポート(排泄・着替え・食事など)
  • 送迎
  • お便り帳の記入
  • 保護者対応など

その他、資格・役職によって以下のような業務を担っています。

仕事内容①【児童発達支援管理責任者】

  • 個別支援計画の作成、保護者との面談、職員の指導など

仕事内容②【機能訓練担当職員】

  • 身体機能のリハビリ

仕事内容③【看護師】

  • 医療的ケア

保育士・児童指導員は大きく仕事内容が変わらないケースが多いでしょう。

デイサービスの特徴としては、福祉サービスに含まれる「送迎」を職員が担当するケースが多くなっています。

障がい児通所施設で働く⑤求人状況】

障がい児通所施設の利用者は年々増加傾向にあり、求人も全国で増加しています。

今後も国は障がい児への福祉を充実させていく方針であり、求人需要は続くと考えられます。

障がい児通所施設で働くメリット・デメリット

次に、これから障がい児通所施設で働きたいと考えている方へ、障がい児通所施設で働くメリット・デメリットをご紹介します。

障がい児通所施設で働くメリット

障がい児通所施設で働くメリット
  • 成長の喜びを感じられる
  • 障がいに関する知識や専門性が身につく

障がい児通所施設では、子ども一人ひとりの障がいや特性に合わせた支援を、時間をかけて行なっていきます。

子どもと密に関わりながら身近に成長が感じられるため、大きなやりがいを感じられる仕事といえます。

障がい児通所施設で働くなかで障がいに関する専門知識やスキルを身につけられるため、専門性を高められることもメリットでありやりがいにつながります。

障がい児通所施設で働くデメリット

障がい児通所施設で働くデメリット
  • 個々に合わせた対応が難しい
  • 体力的に大変なことがある

障がい児通所施設では個々に合わせた対応が求められますが、子ども一人ひとり特性や適した関わり方が異なるため、簡単な仕事とはいえません。

ただ見守るだけでなく、苦手さの克服・成長といった目的のために、プロ意識をもった関わりが必要です。

また、デイサービスの事業所では多動や知的障がいのある子どもなどを複数人みるケースも多く、放課後等デイサービスでは体の大きな児童もいます。

そのため、対応する子どもによっては体力的に大変さを感じる場合もあるでしょう。

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障がい児通所施設の勤務に向いている人・向いていない人

次に、障がい児通所施設の勤務に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介します。

障がい児通所施設の勤務に向いている人

障がい児通所施設の勤務に向いている人
  • 子どもと関わるのが好きな人
  • 寛容(かんよう)で細かな気配りができる人
  • 客観的に物事を考えられる人

障がい児通所施設の勤務に向いているのは、前提として子どもが好きであることはもちろん、寛容で細かな気配りができる人です。

障がいのある子どもは支援者の思うように行動できないケースも多く、癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうこともよくあります。

そうしたときに、子どものペースを大切に寛容に見守ることができなければ、子どもとの関わりがストレスになってしまうでしょう。

また、支援者として関わるうえで、客観的・中立的に物事を考えられる能力も大切です。

私的感情で特定の子どもに入れ込むのではなく、どの子に対しても平等に、必要な支援を行えることが障がい児支援のプロとして重要といえます。

障がい児通所施設の勤務に向いていない人

障がい児通所施設の勤務に向いていない人
  • 障がいに偏見がある人
  • 気が短い人
  • 体力がない人

障がいに対して偏見があるような人はもちろん、気が短い人は、障がい児支援の仕事には向いていない可能性があります。

なぜなら、特定の分野に苦手さや困難さがある子どもは、課題をクリアするまでに多くの時間を要するからです。

例えば、癇癪(かんしゃく)を起こして気持ちを落ち着けるまで、大抵の子どもが時間を要します。

支援者は、特性を理解しつつ、寛容に待つ姿勢が大切です。

また、障がい児通所施設では体の大きな子どもの介助を行ったり一緒に外で遊んだりすることも多いため、体力に自信がない人は、働く施設を選んだほうがいいかもしれません。

個別支援を行う通所施設や、重要心身障がい児専門のデイなどは、比較的、体力面の心配は少ないでしょう。

障がい児通所施設の求人の探し方

障がい児通所施設の求人は、以下のような場所で探すことができます。

・ハローワーク

・地域の情報誌の求人欄

・インターネットで検索

・福祉窓口からの紹介

保育系の求人情報サイト

その他、最近ではHPやInstagram等で職員を募集する施設も多くみられます。働きたい施設が近くにある場合は、HPやSNSも調べてみるといいでしょう。

ネットでの検索も便利ですが、「保育士人材バンク」をはじめとする、保育系の仕事を集めた求人情報サイトを活用すると、効率的に条件に合う求人を探せます。

エリア別に、雇用形態や給与条件などから条件を絞って検索ができるため、ぜひ活用してみてください。保育士人材バンクでは障がい児通所施設の求人も多数取り扱っています。

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障がい児通所施設の履歴書の書き方と面接のポイント

最後に、児通所施設の求人に応募する際の、履歴書や面接のポイント・注意点をご紹介します。

応募前に、事前に確認しておきましょう。

障がい児通所施設志望動機のポイント】

障がい児通所施設の履歴書では、志望動機が重要なポイントです。

「子どもが好きだから」などありきたりな理由ではなく、「なぜ、障がい児支援をしたいのか?」「なぜ、その施設でなければならないのか?」など、自身の価値観や経験を踏まえて書くようにしましょう。

障がい児通所施設職務履歴書のポイント】

転職や再就職の方は、職務履歴書の提出を求められることがあります。

職務履歴書では、自分がどんな経験やスキルを持っているかを簡潔に伝える必要があります。

その施設で働いたときに、自分の経験やスキルをどういかせるかを考えながら、アピールすべき項目を経歴として記載するようにしましょう。

障がい児通所施設面接のポイント】

障がい児通所施設の面接では、人柄や考え方、コミュニケーション能力などがチェックされます。

緊張や背伸びをしすぎず、笑顔で自分らしい受け答えを意識しましょう。

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障がい児通所施設のまとめ

障がい児通所施設は、未就学児対象の「児童発達支援」と、小学生以上対象の放課後等デイサービスに分かれます。

民間のデイサービス事業所は求人の数も多く、施設ごとにさまざまな特色があります。

自分の得意分野・価値観に合った事業所を選ぶことが、就職や転職成功のカギとなります。

障がい児通所施設でこれから働きたいと考えている方は、保育士や療法士などの資格を取っておくのもいいでしょう。

障がい児通所施設への転職・就職に興味がある方は、ぜひ、保育士人材バンクで求人情報をチェックしてみてくださいね。

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