この記事では、保育士の免許の取り方や正式名称はもちろん、保育士資格取得のルートなどについてわかりやすくご紹介します。この記事を読めば、保育士免許の取得について、どのようなルートを選ぶのがベストかがわかります。ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 保育士免許の正式名称と概要
- 2 保育士資格【免許】とは?
- 3 保育士資格(免許)の取得方法
- 4 保育士試験を受けるための条件
- 5 【学歴別】保育士資格(免許)の目指し方
- 6 保育士試験の科目【免除になる資格】【免除科目】
- 7 保育士試験【受験のステップ(転職・独学ルート)】
- 8 保育士試験の内容(筆記試験/実技試験)
- 9 主婦や社会人が保育士試験合格を独学で目指す場合の勉強法
- 10 保育士試験の合格率
- 11 保育士の給料
- 12 保育士資格(免許)を取得するメリット
- 13 保育士資格(免許)があると働ける施設
- 14 保育士資格【幼稚園教諭免許】の違い
- 15 保育士と幼稚園教諭、両方の免許の取得がおすすめ
- 16 保育士免許のまとめ
保育士免許の正式名称と概要
これから保育士の免許取得を目指したいと考えている方も多いと思います。保育士の免許は、正式には「保育士資格」という国家資格です。
保育士になるため、保育士資格を取得する「保育士養成校を卒業する」、もしくは「保育士試験を受験する」のどちらかの方法を選びます。
多くの保育士養成校では保育士試験不要で保育士資格を取得できますが、2~3年ほどの期間と200万円以上の費用がかかります。そのため、社会人など時間がない方は独学で保育士試験合格を目指す方も多いです。
ただし、保育士試験を受けるためには「短大卒業程度」など学歴の条件もあるため、事前に確認が必要です。
そこで、この記事では、保育士になるまでのルート2つをご紹介したのち、学歴などの条件別に保育士資格(免許)を目指すルートを詳しく解説します。
また記事後半では、保育士試験の内容もご紹介しながら、社会人や転職者が保育士試験を目指す場合の勉強法・対策も詳しくご紹介していきます。
これから保育士を目指してみたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
保育士資格【免許】とは?
保育士資格とは、子どもの保育や保護者への子育て指導に関する専門知識を有していることを証明する”国家資格”です。
保育を行う際は専門的な知識や技術が必要であり、保育園の役割として保護者への支援も求められます。これらの専門性を有していることを公的に証明するのが、”保育士資格”なのです。
保育士は「免許」ではなく【資格】
保育士資格は免許と混同されがちですが、免許ではなく「資格」です。
一方、幼稚園の先生がもつのは幼稚園教諭「免許」です。
免許と資格の違いは、「持たずに仕事をした場合に“法的な処罰の対象”になるかどうか?」です。
免許なく働いた場合には法的に罰せられますが、保育士資格の場合は持たずに働いたとしても法的な処罰の対象にはなりません。
なお、履歴書に記載する場合は、「保育士資格」と正式名称で記載しましょう。
保育士資格(免許)の取得方法
保育士資格を取得するルートは、大きく以下の2つです。
保育士の取得ルート①【保育士養成校を卒業する】
保育士の取得ルート②【保育士試験に合格する】
これら2つのルートについて、以下に詳しくご紹介します。
保育士資格取得ルート①【保育士の国家試験を受験する】
一つ目のルートが、「保育士の国家試験」を受験する方法です。
保育士試験合格を目指す場合は、まず受験資格があることを確認します。基本的には短大卒業程度の学歴があれば誰でも受験可能で、年齢制限もありません。
高卒者など受験資格がない場合も、児童福祉施設での実務経験があれば、受験資格を得られます。
保育士試験の勉強は、市販のテキストや通信講座などを活用しながら独学で進める方法が一般的です。また、保育士試験の受験を前提とした保育士養成校に通いながら勉強する方法もあります。
保育士試験は前期(4月)と後期(10月)の年2回開催されるため、それぞれの申請時期に合わせ、郵送もしくはオンラインで申し込みをします。
保育士試験【前期( 4月 )】申請時期
1月中旬 ~ 2月上旬ごろ
保育士試験【後期(10月)】申請時期
7月中旬 ~ 8月上旬ごろ
参考サイト:保育士試験 受験申請方法(一般社団法人 全国保育士養成協議会)
試験に合格すれば、保育士資格を得られます。
保育士資格取得ルート②【保育士養成校を卒業する(試験なし)】
二つ目のルートが、厚生労働省が指定する「指定保育士養成施設」へ進学し、卒業する方法です。
学校にもよりますが、多くの学校では試験不要で卒業と同時に保育士資格を得られます。(※一部の学校では保育士試験の受験が必要なため注意)
保育士養成校には以下のようにいくつか種類があり、在学年数も2年制から4年制までさまざまです。
指定保育士養成施設の種類
- 専門学校(2年・3年)
- 短期大学(2年)
- 大学(4年)
これらの保育士養成校では、専門のカリキュラムを履修しながら保育実習等を行なっていきます。これから進学を考える学生の方は、保育士養成校への進学の方法を目指すといいでしょう。
また、指定保育士養成施設には通信教育部や夜間部もあるため、忙しい主婦や社会人の方でも無理なく資格取得を目指せる可能性があります。
以下の厚生労働省リンクより、全国の指定保育士養成施設を探せます。
参考サイト:厚生労働省「子ども・子育て 保育関係」
保育士試験を受けるための条件
保育士試験を受けるには、学歴などの条件を満たす必要があります。本章では、保育士試験の受験資格について、詳しくご紹介します。
保育士試験の条件①【受験資格】
保育士試験は、最終学歴が短大卒程度であれば、受験資格を得られます。
保育士養成校以外の大学・短大・専門学校に「在学中」の方も、在学期間や必要単位の条件を満たしていれば受験が可能です。
また、年齢制限もないため、学歴の条件のみ満たせば何歳の方でも受験が可能です。
ただし、最終学歴が高卒や中卒の場合にも、児童福祉施設での実務経験により受験資格を得られる場合があります。
これらの条件について、詳しくは次章でご紹介していきます。
参考サイト:保育士試験の受験資格詳細(一般社団法人 全国保育士養成協議会)
保育士試験の条件②【保育士試験の高卒・中卒者の受験資格「実務経験」とは?】
最終学歴が高卒・中卒の方は、児童福祉施設での実務経験の条件を満たせば保育士試験の受験資格を得られます。
実務経験とは、「該当施設で実際に働いた経験」のことです。
また、児童福祉施設とは、「子どものための保育や養護を行う施設」のことです。
保育士試験の受験資格を得られる勤務先としては、以下があげられます。
引用:保育士試験の受験資格「勤務経験」(一般社団法人 全国保育士養成協議会)
これらの施設で、高卒なら2年(2,880時間)以上、中卒なら5年(7,200時間)以上働いた経験があれば、保育士試験の受験資格を取得できます。
正社員でなくとも、必要時間を満たしていればOKです。
また、以下の施設で同様の年数勤務している場合は、都道府県知事の認可を受けることで受験資格を得られます。
【認可を受けることで保育士試験の実務経験にカウントされる施設】
・認可外保育施設(認証保育園、認定保育園 等を含む)
・小規模保育事業(小規模認可保育所 等)
・幼稚園型認定こども園
・地域裁量型認定こども園
・幼稚園(特別支援学校幼稚部を含む)
・家庭的保育事業(保育ママ 等)
・居宅訪問型保育事業
・事業所内保育事業
・放課後児童健全育成事業(学童クラブ・放課後児童クラブ・学童保育 等)
・一時預かり事業
・へき地保育(特例保育)
・小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
・障害児通所支援事業(保育所訪問支援事業を除く)
・一時保護施設
その他
・ 放課後等デイサービス(児童デイサービス)
・ 院内保育
・ 企業主導型保育事業
など
引用元:保育士試験の受験資格「勤務経験」(一般社団法人 全国保育士養成協議会)
参考サイト:受験資格認定(知事認定)の申請方法
【学歴別】保育士資格(免許)の目指し方
ここまで、保育士試験の受験資格についてご紹介してきました。
大学・短大・専門学校を卒業された方であれば、特に条件なく保育士試験の受験資格を得られます。
また、中卒・高卒の方も、児童福祉施設での実務経験があれば受験資格を得られる可能性があります。
本章では、よりわかりやすく整理するため、学歴条件から、保育士資格を目指すルートをそれぞれご紹介します。
「自分の場合、保育士資格を得るまで何年かかるのだろう?」「最短の保育士資格取得ルートは?」などと悩まれている方は、ぜひ参考にしてください。
※詳しい条件は、下記の全国保育士養成協議会HPでご確認ください。
参考サイト:保育士試験の受験資格詳細(一般社団法人 全国保育士養成協議会)
保育士資格の目指し方①【保育士養成校以外の大学等を卒業された方】
- 保育士試験を受ける
- 指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)に通い卒業する
現在、主婦や社会人で、保育とは関係ない大学・短大・専門学校を卒業された方でも、保育士試験の受験資格は取得できます。
そのため、受験の申し込みを行うことですぐに保育士試験の受験が可能です。
保育士試験合格を目指す方は、市販のテキストなどを利用しながら受験対策を始めましょう。
独学のほか、サポート校を利用しながら勉強する方法もあります。
また、主婦の方など時間がとれる場合は、保育士養成校に通う方法もあります。この方法では費用と時間はかかりますが、卒業と同時に、確実に保育士資格を取得できます。
保育士資格の目指し方②【高卒資格の方】
- 指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)に通い卒業する
- 児童福祉施設で2年以上勤務し、保育士試験を受験する
最終学歴が高卒の方が保育士試験を受験するためには、2年以上の実務経験が必要です。実務経験があれば、そのまま受験が可能です。
実務経験がない場合は、保育園の保育補助などで2年以上働くことで受験資格を得られます。
時間と費用をかけられるのであれば、保育士養成校に通うのもいいでしょう。
専門学校であれば、200万円ほどの費用はかかりますが、学力を問われず入学できます。2年もしくは3年で確実に資格を取得でき、就職にもつながりやすくなります。
保育士資格の目指し方③【中卒資格の方】
【選択できるルート】
①高卒認定を取得し保育士養成校に通う ②高卒認定を取得し児童福祉施設で2年以上勤務、保育士試験を受験する ③児童福祉施設で5年以上勤務し、保育士試験を受験する |
- 高卒認定を取得し保育士養成校に通う
- 高卒認定を取得し児童福祉施設で2年以上勤務、保育士試験を受験する
- 児童福祉施設で5年以上勤務し、保育士試験を受験する
最終学歴が中卒の場合、最短で確実に保育士資格を取得できるのは、「高卒認定を取得し保育士養成校に通う」方法です。
保育士養成校に通うためには高卒資格が必要なため、まずは、高卒認定の取得が必要になります。
高卒認定を取得するためには、文部科学省の「高卒認定試験」を受ける必要があります。
「国語・数学・英語」といった教科の勉強が必要ですが、取得することで生涯年収も上げられる可能性があります。
参考サイト:文部科学省 高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)
高卒認定取得後に保育士養成校に通い卒業すれば、確実に保育士資格を取得できます。
学校に通う費用や時間を捻出するのが難しければ、高卒認定ありで2年以上の実務経験があれば保育士試験を受験できます。
その他、児童福祉施設で5年以上の実務経験を積むことで受験資格を得られます。
すでに該当施設で5年以上の勤務経験があれば、そのまま保育士試験を受験可能です。
保育士試験の科目【免除になる資格】【免除科目】
幼稚園教諭や社会福祉士などの免許をお持ちの方は、保育士試験の受験科目が一部免除になる可能性があります。
受験前に確認し、受験の際は忘れずに申請を行いましょう。
保育士試験免除①【幼稚園教諭免許をお持ちの方】
幼稚園教諭免許状があれば、保育士試験の9科目のうち「保育の心理学」「教育原理」「実技試験」が免除されます。
また、幼稚園教諭として3年以上(かつ4320時間以上)の実務経験があれば、上記科目にあわせて「保育実習理論」も免除となります。
さらに、3年以上の実務経験がある方は、「特例制度」を利用することで、指定保育士養成施設で指定科目を履修すれば、最大6科目が免除可能となります。
特例制度とは、保育の充足のために政府が設けた時限付きの制度で、幼稚園教諭免許を持っている人が保育士資格を取得しやすくする特例です。
令和7年3月31日までは、指定の大学等で必要単位を取得することで、保育士試験の受験科目を減らすことができます。
参考サイト:厚生労働省「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」
保育士試験免除②【社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士資格をお持ちの方】
保育士試験の9科目のうち「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」の3科目が免除となります。
保育士試験【受験のステップ(転職・独学ルート)】
現在、社会人として何らかの仕事に就かれている方や、保育士養成校に通う費用や時間を確保できない方は、独学で保育士試験を目指す方法が現実的です。
保育士試験は記述式ではなく選択式のため、難易度はそれほど高くなく、独学でも合格を目指せます。
通信や市販のテキストの利用でも、比較的簡単に資格取得を目指せるでしょう。
養成校ではなく保育士試験を受験するルートを選択する場合は、事前に必要なステップを確認しておきましょう。
以下は、保育士試験までに必要なステップです。
保育士試験を受験することを決めたら、まずは申請方法や申請時期、試験の日程や申請に必要な書類などを確認しておきましょう。
ある程度の日程を把握したら、自分のペースで勉強を開始しましょう。
申請時期がきたら忘れずに申請を行います。
申請後、受験票が届き、受験票で指定された会場で一次試験(筆記)の受験となります。
その後、筆記試験に合格すると案内が届き、二次試験(実技)を受験します。
筆記試験から実技試験までは2~3か月の期間が空くため、ピアノなどの実技試験対策は筆記試験合格後から始めるといいでしょう。
すべての試験に合格すると合格通知とともに「保育士登録の手引き」が届くため、それに従ってお住まいの都道府県に保育士登録を行います。登録後、保育士証が配布され、保育士として働けるようになります。
保育士試験の内容(筆記試験/実技試験)
保育士試験では、一次試験で8科目の筆記試験を受け、合格者は二次試験で実技試験を受けられます。
本章では、保育士試験の内容を簡単にご紹介します。
保育士試験の内容①【筆記試験の科目】
筆記試験の科目は、以下の8科目です。
- 「保育原理」
- 「教育原理および社会的養護」
- 「子ども家庭福祉」
- 「社会福祉」
- 「保育の心理学」
- 「子どもの保健」
- 「子どもの食と栄養」
- 「保育実習理論」
出題形式は選択制のマーク式です。
5つの回答のうちから正しい回答を選び、マークシートを鉛筆で塗りつぶします。
それぞれの科目で6割以上の得点をとれば合格となります。
合格した科目は、申請すれば3年間(特例制度※により最大5年間)有効となるため、3年(特例制度対象者は5年)のうちに残りの科目を合格できれば、二次試験に進むことができます。
※特例制度を利用できるのは、合格科目の保有期間中に、所定の児童福祉施設等において勤務経験がある人のみとなっています。
例えば、幼稚園や認定こども園で勤務しながら保育士資格を目指すような場合に対象となります。
勤務の必要時間や対象施設などについては以下のリンクをご参照ください。
参考サイト:筆記試験合格科目における 合格科目免除期間延長制度について(一般社団法人 全国保育士養成協議会)
保育士試験の内容②【実技試験の科目】
実技試験では、以下の3科目のうち2科目を選んで受験します。
- 音楽表現(ピアノなどの弾き歌いを2曲演奏)
- 造形表現(出されたお題を絵画で表現)
- 言語表現(子どもの年齢・人数のお題に合わせて素話をする)
なお、保育士試験ではピアノを弾けないことを懸念する方が多いですが、実技試験は選択制のため、ピアノが弾けない方でも問題なく受験できます。
また、音楽表現ではピアノのほか、アコースティックギターやアコーディオンを選択することも可能です。
二次試験の受験対策は一次試験終了後から始めるといいでしょう。
主婦や社会人が保育士試験合格を独学で目指す場合の勉強法
独学で保育士試験合格を目指せば、費用をかけずに保育士資格を取得できます。
独学で勉強する方法としては、以下2つがあげられます。
- 市販のテキストを購入
- 通信講座を利用する
市販のテキストには、9科目すべてを1冊で網羅できるものもあります。
また、保育士試験の予想問題集なども市販されています。
市販のテキストを購入する勉強法は一番お金がかかりませんが、テキスト選びには注意が必要です。
保育士試験の問題は法改正等にあわせて毎年変更されるため、なるべく最新のテキストを選ぶようにしましょう。
一方、通信講座を受講する場合、費用はかかりますが、最新のテキストが確実に手に入ります。
講師による添削などのサービスを受けられる点や、動画などを見ながらカリキュラムに沿って進めやすい点がメリットです。
通信講座には色々な形式がありますが、参考としてはこれらのサイトがあります。
>参考
・転職に有利な資格を取得するなら|フォーサイト
・通信教育講座なら生涯学習のユーキャン
・資格の大原 社会人講座
各社、料金や進め方は様々ですので見比べて探してみましょう。
保育士試験の合格率
保育士試験の合格率は、20~25%ほどとなっています。
これは、4~5人に一人は合格できる倍率です。
さらに、保育士試験の合格科目は通常3年間、繰り越しが可能なため、地道に努力を重ねれば合格できる可能性はかなり高いといえます。
また、保育士試験は合格人数の枠も決まっていないため、合格基準さえ満たせば確実に合格できます。
幼稚園教諭免許の保有者などは特例制度を利用することでさらに高い確率で資格取得が目指せます。
参考サイト:厚生労働省 保育士試験の実施状況(令和3年度)
保育士の給料
令和2年賃金構造基本統計調査※によると、保育士の平均給料は約25万円、同データから計算した保育士の平均年収は約375万円となります。
※参考サイト:e-Stat_政府統計の総合窓口:令和2年賃金構造基本統計調査
ちなみに、保育士と似た職業に幼稚園教諭や保育教諭がありますが、いずれも給料面で大きな差はありません。
保育士の給料について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】保育士の給料や手取りはいくら?給料が安い理由や平均年収(推移)、今後賃金が上がる?
なお、保育教諭とは幼稚園教諭と保育士の両資格を持つ認定こども園の先生のことです。
保育教諭について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】保育教諭とは?必要資格や保育士との違い、仕事内容などをわかりやすく解説!
保育士資格(免許)を取得するメリット
保育士の国家資格を取得することの大きなメリットは、保育園に限らずさまざまな施設で働ける点です。
例えば、幼稚園教諭免許を取得していても基本的には幼稚園でしか働くことができませんが、保育士資格があると、児童養護施設などさまざまな施設で働くことができます。
国家資格は社会からの信頼性が高いため、保育士の国家資格を保有しておくことで職業の選択肢も広がります。
さまざまな場所で活躍できるようになるのは、保育士資格を取得する大きなメリットといえるでしょう。
保育士資格(免許)があると働ける施設
以下に、保育士資格があると働ける主な施設を一覧でご紹介します。
<児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設>
・保育園
・認定こども園
・児童厚生施設(児童館)
・児童養護施設
・助産施設
・乳児院
・母子生活支援施設
・障害児入所施設
・児童発達支援センター
・児童心理治療施設
・児童自立支援施設
・児童家庭支援センター
<その他の保育関連施設>
・認可外(無認可)保育施設(認証保育園、認定保育園など)
・小規模保育事業(小規模認可保育所など)
・幼稚園型認定こども園
・地域裁量型認定こども園
・家庭的保育事業(保育ママなど)
・居宅訪問型保育事業(ベビーシッターなど)
・事業所内保育事業(企業内の認可保育所など)
・放課後児童健全育成事業(学童保育など)
・一時預かり事業
・へき地保育(特例保育)
・小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
・一時保護施設
・児童発達支援事業所
・放課後等デイサービス事業所
・企業主導型保育事業(院内保育や企業内保育所など)など
保育士資格【幼稚園教諭免許】の違い
保育士資格を取りたいと考えている方は、幼稚園教諭免許との違いが気になるかと思います。
両者の違いは、主に以下があげられます。
保育士資格は厚生労働省管轄の「国家資格」であり、幼稚園教諭は「教育職員免許法」にもとづく「教員免許」です。
仕事内容(目的)における両者の大きな違いは、「保育」か「教育」かという部分にあります。
保育士は保育の欠ける子どもに対し生活支援などの保育を提供するのに対し、幼稚園教諭は就学準備としての「教育」を行います。
さらに、保育士は職業の選択肢も広いため、対応する子どもの年齢にも違いが生じます。
例えば、保育園で働く保育士は0歳~未就学の子どもに対応しますが、院内保育や放課後等デイサービスなどで働く場合は18歳くらいの子どもにも対応するケースが考えられます。
保育士との違い①【書き換えや再発行など手続きの違い】
幼稚園教諭免許も保育士証も、結婚による名前の変更などがある場合は、保育士証や教員免許状の書き換え手続きが必要となります。
再発行の手続きは、保育士は登録事務処理センターへ、幼稚園教諭免許は授与を受けた都府県教育委員会へ申請が必要です。
保育士との違い②【幼稚園教諭免許の種類と更新の有無の違い】
保育士資格に種類はありませんが、幼稚園教諭の免許には一種と二種があります。
一種と二種では、給料面や昇進などに若干の違いが生じる場合があります。
なお、保育士資格と幼稚園教諭免許は更新の有無にも違いがありましたが、現在はどちらも更新不要となっています。
※2009年には教員免許の更新制度が始まり、更新をしないと期限切れとなり免許が失効となっていましたが、この更新制度は廃止となりました。そのため、保育士資格と同様、更新不要で免許を保有し続けられます。
参考サイト:文部科学省 教員免許更新制の発展的解消と「新たな教師の学びの姿」
保育士と幼稚園教諭、両方の免許の取得がおすすめ
前章で保育士と幼稚園教諭の違いを解説しましたが、最近では両者の違いは薄れてきています。
国は幼保一元化を進めており、保育所と幼稚園を一体化した「認定こども園」が増加しつつあります。
特に、「幼保連携型」の認定こども園においては、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を有した保育教諭を配置することが義務づけられたため、働く職員は両資格の保有が求められます。
そうしたなか、これから保育の仕事を目指すのであれば、保育士と幼稚園教諭、どちらの免許も取得しておいたほうが将来的にも有利といえます。
本章では、保育士資格と幼稚園教諭免許をあわせて取る方法と、保育士資格取得後に幼稚園教諭免許を取得する方法の2パターンをご紹介します。
保育士・幼稚園教諭①【両方の資格・免許をとる方法】
保育士養成校に通って保育士資格の取得を目指すのであれば、幼稚園教諭免許も取得できる学校を選ぶといいでしょう。
厚生労働省の一覧表でも、保育士資格とあわせて幼稚園教諭の免許が取得可能な学校かどうかをチェックできます。
参考サイト:厚生労働省「子ども・子育て 保育関係」
保育士・幼稚園教諭②【保育士資格の取得後に幼稚園教諭免許を取得する方法】
保育士資格を取得したあとに、別途、幼稚園教諭免許の取得を目指すこともできます。
令和6年3月31日までは、保育士資格保有者に対し、幼稚園教諭免許の取得をサポートする特例制度※が設けられているため、所定の大学等で必要単位を取得すれば幼稚園教諭免許を取得できます。
※参考サイト:文部科学省 幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例
ただし、この特例を利用するためには3年(かつ4,320時間)以上の実務経験が必要です。
よって、これから保育士資格取得を目指す方は“特例”は使えないため、短大・大学・専門学校に再度進学し、単位を取得する必要があります。
効率を考えると、初めから保育士資格と幼稚園教諭免許、両方が取れる保育士養成校に通う方法が現実的といえます。
もちろん、保育士資格のみでも保育園やその他保育施設で働けるため、今後の働き方に応じて幼稚園教諭免許を取得するべきかを判断するといいでしょう。
保育士免許のまとめ
保育士になるには、保育士養成校に通うか、保育士の国家試験に合格する必要があります。
転職などで保育士を目指す方であれば、独学でも十分に保育士試験合格を目指せるでしょう。
なお、今後も一般の保育園や認定こども園で働いていきたいと考えるのであれば、保育士資格とあわせて幼稚園教諭免許を取得しておくことをおすすめします。
両資格・免許があれば、幼保一元化にも対応した働き方ができるようになります。
保育士資格があると、さまざまな職場での就職が有利になり、プロとしての自信をもって子どもたちと関わっていけるようになります。
ぜひこの記事を参考に、保育士の夢を叶えてくださいね。
・保育所(利用定員20名以上)
・保育所型認定こども園
・幼保連携型認定こども園
・児童厚生施設(児童館)
・児童養護施設
・助産施設
・乳児院
・母子生活支援施設
・障害児入所施設
・児童発達支援センター
・児童心理治療施設
・児童自立支援施設
・児童家庭支援センター(※児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設)