企業主導型保育園とは、「企業が従業員のために設置する保育施設」です。

この記事では、企業主導型保育園の概要を、簡単にわかりやすくご紹介するとともに、企業側・利用者側の利用メリットなどを解説していきます。

記事後半では、企業主導型保育園で働きたいと考えている方向けの情報も詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

※新規参入・定員の増員希望の企業は「新規募集停止中」のため注意2023年11月現在、企業主導型保育事業の新規募集は停止されています(令和5年1月より)。停止理由は、当初の目的であった、政府の「子育て安心プラン」等に基づく定員11万人分の受け皿整備が概ね達成されたためとされています。国からの補助金による新規立ち上げや定員増員を検討中の企業は、新規の助成金は受けられないためご注意ください。
参考サイト:内閣府 令和4年度以降の新規募集及び定員調整について

目次

企業主導型保育園とは?

企業主導型保育園とは?【保育士人材バンク】
企業主導型保育園とは?【保育士人材バンク】

企業主導型保育園とは、「企業が従業員のために設置する保育所です。

国(内閣府)からの補助金で運営される点に特徴があり、認可外保育施設でありながら、認可保育園なみの保育料で利用できます。

以下に、企業主導型保育園の特徴を、簡単にわかりやすくご紹介します。

企業主導型保育園の特徴①【会社が社員の子どもを預かる認可外保育施設】

企業主導型保育園は、企業が従業員のために設置する保育所のため、基本的に社員の子どもを預かるために設置されます。

保育園の種類としては、「認可外保育園」の一種です。

認可保育園と認可外保育園の違い
  • 認可保育園:設置基準を満たしたうえで自治体からの認可を受け、自治体からの補助金で運営される
  • 認可外(無認可)保育園:自治体からの認可を受けておらず、独自に保育料を定めて運営される

企業主導型保育園の特徴②【国からの補助金で運営されるため保育料も安い】

企業主導型保育園は、平成28年度に内閣府が開始した企業向けの助成制度「企業主導型保育事業」により補助金を受けて運営される、企業設置の保育園です。

国からの補助金があるため、認可外保育園でありながら、保育料も認可保育園なみに安く設定できるようになっています。

企業主導型保育園の特徴【対象年齢・開園時間・休日を働き方に合わせて柔軟に決められる】

企業主導型保育園では、従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスの提供が可能です。

例えば、通常の認可保育園では日・祝日や19時以降の保育は実施していないケースがほとんどですが、日祝や夜間に勤務が必要な企業では、従業員の働く時間に合わせて保育を提供することができます。

企業主導型保育園の特徴【複数の企業で「共同設置・共同利用」が可能】 

企業主導型保育園は、複数の企業で共同設置や共同利用も可能です。

また、運営は保育事業者への委託も可能です。

企業主導型保育園の特徴【地域の子どもも利用できる(地域枠)】 

企業主導型保育園の利用枠では「従業員枠」のほか、定員の2分の1の範囲で「地域枠」を設けることもできます。

地域枠とは、「地域の子どもを受け入れる枠」です。

地域枠を設けることで、企業は待機児童解消のための社会貢献ができ、地域での企業イメージをアップできます。

参照サイト:内閣府 企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット

企業主導型保育園がつくられた目的・背景

企業主導型保育園の主な目的は、「従業員の子育て支援と待機児童解消」です。

近年の日本では、急激に進む少子高齢化により、人材不足が社会的な課題となっており、この問題を解決するためには、女性の社会進出や、働き方の多様化が急務です。

企業には、子育て世代に仕事と育児を両立させるためのサポートが求められています。そのニーズに応えるかたちで、企業主導型保育事業が導入されました。

企業主導型保育園では、認可保育園ではカバーしにくい夜間や休日の保育所問題も、企業それぞれが柔軟にカバーできます。また地域枠を設けることで、地域の待機児童問題の解消にも一役買うことができます。

【企業】企業主導型保育園を導入・提携するメリット・デメリット

企業主導型保育園を利用するメリットとしては、女性従業員の活躍の後押し・離職率を下げるという点が大きいといえます。

出産による離職を防ぎ、優秀な人材を確保できます。

企業主導保育園を導入している企業は、女性にとって「働き続けたい職場」といえるでしょう。

また、地域枠を設けることで、地元の待機児童解消の問題にも寄与でき、企業のイメージアップにもつながります。

デメリットとしては、自社だけだと安定的に定員の確保ができない可能性があることで、安定運営を続けるためには、共同利用や運営委託などの方法を検討することも必要です。

企業側が企業主導型保育園を利用する方法としては、独自設置のほか、提携(共同利用)などがあります。

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【企業の従業員】企業主導型保育園を利用するメリット・デメリット

企業主導型保育園は、利用する従業員にとってはかなりメリットの大きいサービスで、簡単にあげるだけでも、以下のように多くのメリットがあります。

企業の従業員が企業主導型保育園を利用するメリット
  • 時間や曜日を気にすることなく勤務時間に合わせた利用ができる
  • 送り迎えも会社の側でできる
  • 利用料も認可保育園と変わらない
  • 自治体の認可も不要で入園手続きが簡単

一方、デメリットとしては、以下があげられます。

企業の従業員が企業主導型保育園を利用するデメリット
  • 保育環境が狭いことがある
  • 一定の年齢で転園が必要な場合がある

一定の基準はあるものの、保育環境は認可保育園と比べると狭かったり制限があったりするケースがあります。

また、企業主導型保育園では、待機児童の多い0〜2歳までの子どものみを入園対象としている園も多く、この場合は2歳以上になると転園が必要になります。

園によっては3歳児以上も通える認可保育園などの提携施設があり、そちらに入園できる場合もありますが、そうでなければ保活が必要となるケースも少なくありません。

【地域の保護者】企業主導型保育園を利用するメリット・デメリット

企業主導型保育園の地域枠の利用者のメリットとしては、以下があげられます。

企業主導型保育園の地域枠の利用者メリット
  • 直接園に申し込むため手続きが簡単
  • 保育料が安い場合もある
  • パートでも入れる
  • 日・祝・夜間に利用できるところもある

待機児童が多いエリアでは、高い保育料を払って認可外の保育園を利用する家庭も少なくありません。

また、パートなどの短時間勤務の場合だと、認可保育園に入れず待機児童になってしまうことも。

企業主導型保育園であればパートでも入りやすく、認可保育園と変わらないか安いくらいの料金で子どもを預けられます

一方、デメリットとしては以下があげられます。

企業主導型保育園の地域枠の利用者デメリット
  • 保育環境が狭いことがある
  • 一定の年齢で転園が必要な場合がある

こちらは従業員のデメリットと同様です。

ただ、特に入りにくく保育料が高くなりがちな0歳~2歳の年齢を安い保育料で預けられるため、認可保育園の空きを待つ方が一時的に利用するには、かなりメリットは大きいといえるでしょう。

企業主導型保育園の対象児

企業主導型保育園の対象児【保育士人材バンク】
企業主導型保育園の対象児【保育士人材バンク】

企業主導型保育園の対象児は、「従業員の子ども」と「地域の子ども」です。

地域の子どもは、企業側が「地域枠」を設定している場合のみ利用できます。

【企業枠】従業員の子ども

従業員の子どもは、会社に直接申し込むことで利用できます。

【地域枠】地域の子ども

企業主導型保育園を利用できるのは、基本的には企業の従業員の子どもですが、任意で地域枠を設けることもできます。

園に直接申し込むことで利用できますが、利用のためには、就労要件を満たす必要があります。

参照サイト:内閣府 企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット

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企業主導型保育園の設置基準と設置場所

次に、企業主導型保育園の設置基準や設置場所についてご紹介します。

企業主導型保育園【設置基準】

企業主導型保育園は、保育の質を担保するため、一定の設置基準が設けられています。

設置基準は、以下の通り。

【企業主導型保育園の設置基準】

職員配置基準<職員数>・0歳児3人につき1人・1・2歳児6人につき1人・3歳児20人につき1人・4・5歳児30人につき1人とし、その合計数に1人を加えた数以上
<保育士資格>・職員の半数以上は保育士(保育士以外の職員は、地方自治体や児童育成協会が行う子育て支援員研修を修了すること)
設備等の基準・厚生労働省が定める「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」を遵守すること・厚生労働省が定める「認可外保育施設指導監督基準」を遵守すること
保育の実施及び子どもの安全に関する事項・保育所保育指針を踏まえ、保育を実施・「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」にもとづき対応・事故が発生した場合は都道府県へ報告・賠償責任保険と傷害損害保険に加入
その他・認可外保育施設として児童福祉法を遵守する・児童育成協会による指導・監査の実施

参照サイト:内閣府 企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット

これらの基準を満たした企業主導型保育園が、助成金を受け取ることができるようになっています。

企業主導型保育園【設置場所】

企業主導型保育園の設置場所はさまざまで、企業内の一角のほか、企業近くのビルや空き家などを改装して保育園を設置するケースなどがあります。

お近くの企業主導型保育施設がどこにあるか知りたい方は、内閣府のポータルサイトから検索できます。

企業主導型保育事業ポータル(企業主導型保育施設検索)>>

企業主導型保育園の今後や問題点は?

企業主導型保育園は設置のしやすさや自由度の高さから、導入企業が数年で一気に増加しました。

特に令和3年から令和4年にかけては、下図のように利用者数の顕著な増加がみられました。

企業主導型保育所の利用者数【保育士人材バンク】
企業主導型保育所の利用者数【保育士人材バンク】

参照サイト:保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)及び「子育て安心プラン」「新子育て安心プラン」集計結果を公表

こうした増加を受け、政府は当初の目的であった「子育て安心プラン」等に基づく定員11万人分の受け皿整備が概ね達成されたとし、令和5年1月に新規受付の停止を発表しています。

平成28年の創設から一気に広がり、急速に整備された企業主導型保育ですが、企業や利用者のメリットが大きい一方で、いくつかの問題点も指摘されています。

例えば、2019年に実施されたサンプル調査では、全体の約4割が、定員に対する児童数の割合(充足率)が5割未満だったことがわかっています。

参考サイト:日本経済新聞 企業主導型保育所、定員半数割れ4割 会計検査院調べ

つまり、保育園をつくったものの、実際には定員割れをして赤字運営となってしまうケースが多かったのです。

加えて、保育環境や職員の資格条件などから、保育の質の問題も指摘されています。

企業主導型保育園によくある疑問

次に、企業主導型保育園についてのよくある疑問と回答をご紹介します。

企業主導型保育園と認可保育園の違いは?併用は可能?

企業主導型保育は、「認可外保育園」の一種です。

認可保育園認可外保育園の違いは、大きなところでいうと、「自治体の認可を受けているかどうか?」です。

認可を受けるためには一定の設置条件をクリアしなければなりませんが、認可を受けた園は自治体から補助金を受けた運営が可能になります。

そのため、認可保育園は保育の質が担保された状態であり、安心して利用ができる特徴があります。

その他、企業主導型保育と認可保育園では以下のような違いがあります。

企業主導型保育と認可保育園の違い

企業主導型保育認可保育園
対象年齢企業が自由に決められる0歳~未就学児
開園時間・休園日企業が自由に決められる概ね7時半~18時半/日祝休園
対象児・従業員の子ども・地域の子ども(1/2まで)保育の必要性を自治体で認められた家庭の子ども
申し込み先園に直接自治体窓口
補助金運営内閣府から補助金あり自治体から補助金あり(認可必要)
保育料高くない・無償化対象高くない・無料化対象
設置基準比較的ゆるい厳しい

ただし、企業主導型保育園も助成を受けるために一定の設置基準が設けられており、自治体による立ち入り調査なども実施されています。

そのため、比較的新しい保育施設ではありますが、認可外保育園のなかでは安心して利用できるでしょう。

なお、企業主導型保育園と認可保育園の併用自体は可能ですが、無償化の対象となるのはどちらか1つの施設のみです。

「事業所内保育所」と「企業主導型保育園」の違い

企業主導型保育園も、事業所内保育所も、「企業内の保育所」という点が共通しています。

主な違いは、以下の通りです。

企業主導型保育と認可保育園の違い

企業主導型保育事業所内保育所
対象年齢企業が自由に決められる0歳~2歳
地域枠任意で定員の1/2までの範囲で地域枠の設定が可能定員の1/4は地域枠として開放が義務
対象児・従業員の子ども・地域の子ども(1/2まで)保育の必要性を自治体で認められた家庭の子ども
申し込み先園に直接自治体窓口
補助金運営内閣府から補助金あり自治体から補助金あり(認可必要)
保育料高くない・無償化対象高くない・無料化対象

大きな違いは、「認可か?」「認可外か?」という部分。

事業所内保育施設は、一般的な保育園と同じように、認可保育施設として自治体からの補助金で運営されます。

また、事業所内保育所では対象年齢が「0歳~2歳」と決められている点も、企業主導型保育園とは異なります。

企業にとってより自由度が高く使いやすいのは、企業主導型保育園といえます。

働くうえでの詳しい違いを知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

企業内保育所とは?働くメリット・デメリットや給料、仕事内容、事例、転職の仕方について詳しく解説!>>

企業主導型保育園の保育料は?無償化対象?

企業主導型保育園は認可外の保育施設ですが、保育料は認可保育園と大差ありません。

むしろ、福利厚生の一貫として一部を企業が負担し、認可保育園よりも低めに設定されているケースもあります。

「企業主導型保育園の保育料はなぜ安いの?」と気になる方もいるかもしれません。

保育料が安く設定される理由は、企業主導型保育園に認可保育園とほぼ同等の助成金が交付されていることがひとつ。

さらに、利用者負担額の設定は、平均的な水準額を原則とすると定められているからです。

企業主導型保育園は無償化の対象となる

企業主導型保育園も保育料無償化の対象施設です。

無償化を受けるためには「保育の必要性」の認定を受ける必要があります。

参考サイト:内閣府 企業主導型保育事業における 幼児教育・保育の無償化について

なお、3歳以下の利用では、無償化の範囲には上限があり、企業主導型保育園の1か月当たりの利用者負担額は、以下のとおりです。

企業主導型保育園の1か月当たりの利用者負担額
  • 0歳児:37,100円
  • 1、2歳児 37,000円

※3歳児以上、3歳児以下でも非課税世帯は無償

ただし「地域枠」の場合、保育認定が必要

企業主導型保育園の入園条件は?

企業主導型保育園には「企業枠」「地域枠」があり、それぞれの枠で入園条件が異なります。

「企業枠」の入園条件

「勤め先の企業が保育園を設置しているか?」他の企業や事業者が設置した保育園と利用契約を交わしていれば、従業員は勤め先への申し込みで、子どもを「企業枠」に入園させられます。

雇用形態はパート等でも利用できますが、利用のためには、「就労要件等を満たしているか」「保育の必要性」が認められる必要があります。

「地域枠」の入園条件

「地域枠」に関しては、その地域に住んでさえいれば入園させられるわけではありません

入園条件としては、就労要件等を満たしているか、「保育の必要性」が認められる必要があります。

企業主導型保育園に入園を希望する場合、保育園と利用者は直接契約を結びます。

その際、両親ともに働いている場合には、勤務先の就労証明書の提出が必要です。就労以外の理由がある場合には、居住地の市町村による保育認定(2号・3号)を受けなければなりません。

保育認定における「保育を必要とする事由」には、以下のようなものがあり、いずれかに該当する必要があります。実際の運用は各自治体によって異なるため、あくまでも一例として参考にしてください。

<保育を必要とする事由>

保育を必要とする事由

就労妊娠、出産保護者の疾病、障害同居又は長期入院等している親族の介護看護災害復旧・求職活動(起業準備を含む)就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)

参考サイト:内閣府 よくわかる「子ども・子育て支援新制度」

企業主導型保育園で一時預かりや病児保育は?

企業主導型保育園のなかには、「一時保育」「病児保育」を行なっている園もあります。

一時預かりを利用する場合、両親のどちらかが「保育を必要とする事由」に該当していなくても、預けられる場合があります。

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企業主導型保育園の探し方

お近くの企業主導型保育施設がどこにあるか知りたい方は、内閣府のポータルサイトから検索できます。

企業主導型保育事業ポータル(企業主導型保育施設検索)>>

ここまで企業主導型保育園の概要をご紹介してきました。

本章以降は、企業主導型保育園で働きたいと考える方へ、知っておきたい情報を詳しくまとめていきます

企業主導型保育園は働きやすい?

企業主導型保育園は働きやすい?【保育士人材バンク】
企業主導型保育園は働きやすい?【保育士人材バンク】

企業主導型保育園は、「給料・待遇面」、「相対的な業務量」からみて、働きやすい職場といえます

企業主導型保育園①【高給料・好待遇が期待できる】

大企業運営の企業主導型保育園で働く場合は、一般的な保育園よりも好待遇が期待できる場合があります。

企業の運営する企業主導型保育園で働く場合、一般的には保育士も、その企業の従業員として扱われます。

そうなると、休暇や手当などの福利厚生も、保育士にも適応されます。

つまり、運営元の企業規模が大きく、経営が安定している場合、好条件での勤務も期待できるでしょう。

企業主導型保育園【少人数制が多く業務負担も少ない】

企業主導型保育園では、一般的な保育園よりも定員数が少ないケースが多く、業務負担も少なくなります

多くの企業主導型保育園では、園児のメイン層が0〜2歳の乳幼児です。

加えて全体の園児数の少ない園が少なくありません。

そのため、1人ひとりの園児に向き合い、丁寧な保育ができますので、大きな行事が少ないことから残業も少なく、仕事の負担は比較的軽いといえるでしょう。

企業主導型保育園の仕事内容

企業主導型保育園の仕事内容は、一般的な保育園とそこまで違いはありません

基本的には子どもたちの生活のお世話をしながら、日々の関わりのなかで健全な成長をサポートしていきます。

<企業主導型保育園の仕事内容の例>

企業主導型保育園の仕事内容の例
  • 食事やオムツ替えなど身の回りの基本的な生活習慣を身につけさせる
  • 集団遊びや個別遊びの提供
  • イベントや行事の計画・実行
  • 施設やおもちゃの清掃・点検
  • 毎日の連絡帳の記入・保護者とのやりとりなど

定員10人~20人ほどの小規模な園も多いことから、小規模保育園に近い仕事内容となることがほとんどです。

小規模保育園について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

小規模保育園とは?特徴や仕事内容、給料など働くうえでのメリット・デメリットを紹介!>>

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企業主導型保育園の一日の流れ

企業主導型保育園の一日の流れは、日中の保育の場合は一般的な保育園と変わりありませんが、開園時間が夜間にかかっている場合などはイレギュラーな勤務になります。

企業主導型保育園の1日のスケジュール例【保育士人材バンク】
企業主導型保育園の1日のスケジュール例【保育士人材バンク】

勤務は原則8時間のシフト制で、どの時間帯にシフトが入るかは園によって設定が異なります。

夜間の保育を行なう園では、補食もしくは夕食の提供のほか、入浴や寝かしつけ対応も行なう場合があります。

企業主導型保育園の給料(手取り)や平均年収、ボーナス、待遇は?

次に、企業主導型保育園の給料や待遇面を詳しくご紹介します。

企業主導型保育園の給料は?

企業主導型保育園で働く職員の給料の相場は、保育士の平均よりも少ない傾向にあります。

日本の労働者の平均(443万円)に対し、保育士全体の給料水準は年収で約381万円、対して企業内保育所で働く保育士の給料相場は年収300〜340万円ほどです。

参照元:e-Stat_政府統計の総合窓口:令和4年賃金構造基本統計調査

しかし、企業主導型保育園の給料は、運営する企業によって異なり、企業によっては好待遇のケースもあるのです。

業績の良好な企業であれば、保育士として働く場合でも他の従業員と同じような待遇の良さが見込めます。

その他、残業手当や有給休暇の取りやすさ、昇給やボーナスにも期待できます。

企業主導型保育園の処遇改善手当、住宅補助は?

2013年から内閣府(国)が実施している「処遇改善加算」の制度は、基本的に認可保育園が対象とされています。

ただし、まったく同じ形態ではないものの、企業主導型保育園でも運営補助の加算のひとつに処遇改善が導入されており、申請により助成金がもらえます

ただ、「申請をするかどうかの判断」は園それぞれが行なうため、必ずもらえるものではありません。処遇改善手当が出るかどうかは、園による、ということです。

住宅補助に関しても、認可保育園を対象とした借り上げ社宅制度は利用できませんが、独自の住宅手当等を設けている場合はあります。

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企業主導型保育園の勤務時間や有給休暇、残業は?

企業主導型保育園の勤務は、基本的に原則8時間のシフト制勤務です。

これは、労働基準法において「原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」という決まりがあるためです。

参考サイト:労働基準法

2019年の働き方改革により、労働時間に関する取り決めは厳しくなり、監査でも厳しくチェックされます。

そのため、比較的新しい施設である企業主導型保育園では、過度な労働を強いられるケースは少ないといえるでしょう。

労働基準法では、休日は原則、週に1日、有給休暇は年10日(うち5日は時季を指定して)取得することが義務付けられています。

乳児保育がメインのところが多く、かつ少人数の職場であることから、残業や持ち帰りの仕事も少ないと考えられます。

企業主導型保育園のキャリアアップは?英語は必要?

国が実施する処遇改善加算Ⅱでは、保育士のキャリアアップ制度が設けられました。

保育士は一定のキャリアを積むことで役職に就くことができ、給料アップが可能になっています。

このキャリアアップ制度は申請により企業主導型保育園も取り入れることが可能です。

ただし、申請を行なうかどうかは園によるため、園ごとに確認が必要です。

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英語に関しては、特に必要ではありません

英語教育に力を入れている園では役に立つこともありますが、企業主導型保育園は待機児童の多い0~2歳児をメインに受け入れているところも多いため、英語を使用する場面は多くはないでしょう。

企業主導型保育園の園長になるために必要な資格は?給料や年収は?

企業主導型保育園の園長(施設長)には、特別な資格や経験、専任・兼任といった条件などは定められていません

つまり、保育士資格や保育経験がなくとも、企業側が任命すれば、施設長になることが可能です。

はじめから園長になりたい方は、「企業主導型保育園の園長」の求人を探してみることをおすすめします。

園長経験者を求める求人もありますが、未経験・保育士資格なしでも可とする求人もあり、どなたでも可能性があるといえます。

なお、企業主導型保育園の園長(施設長)の給料は、求人情報からみると20万円~30万円程度が多くなっています。

一般的な保育園の園長の平均年収は約694万円のため、それに比べると劣りますが、一般保育士よりは高い給料が期待できます。

参照サイト:内閣府 令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】

企業主導型保育園で働くメリット

次に、企業主導型保育園で働くメリットをご紹介します。

企業主導型保育園で働くメリット①【業務負担が少ない】

0~2歳の低年齢の保育がメインとなることが多く、定員が少めな企業主導型保育園では、保育士の業務負担も少なくなります

年齢が低く人数が少なければ制作の準備などの負担も減りますし、行事の準備なども一般的な保育園と比べると多くはないでしょう。

日々の業務に追われることなく少人数でゆったりと関われるのは、企業主導型保育園のメリットといえます。

企業主導型保育園で働くメリット②【自分の子どもを預けられる】

企業設置の企業主導型保育園で働く場合には、自分も企業の従業員となるため、従業員枠を利用して自分の子どもを預けることができます

そのため、職探しと並行して保育園探しをしなければならない人にとっては、メリットが大きいといえます。

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企業主導型保育園で働くデメリット

次に、企業主導型保育園で働くデメリットをご紹介します。

企業主導型保育園のデメリットとして、園によって運営が安定しないリスクがあることがあげられます。

地域の子どもを自治体が均等に振り分ける認可保育園と異なり、企業主導型保育園は利用枠が企業の従業員と希望した地域の子どもに決められています。

従業員枠は必ずしも安定した人数を確保できるとは限らず、場合によっては利用者が集まらないことも考えられます。

利用者がいなければ園も休園や閉園という手段を取るしかなくなるため、その点は大きな懸念点といえるでしょう。

解決策としては、共同利用などの利用スタイルをとっている企業主導型保育園を選ぶと、定員の確保という面では安心です。

企業主導型保育園に向いている人は?

企業主導型保育園に向いている人は?【保育士人材バンク】
企業主導型保育園に向いている人は?【保育士人材バンク】

企業主導型保育園に向いている人をご紹介します。

企業主導型保育園に向いている人①【保活と保育士としての就活を同時進行している人】

子どもを保育園に預けて働きたいと思っている保育士さんには、企業主導型保育園はかなりおすすめです。

企業主導型保育園では、保育士を確保するために、優先的に入園が認められるケースもあります。

そのため、子どもの預け先と仕事を探している保育士にとっては、うってつけの職場です。

企業によっては働く保育士さんの子どもの保育料を無償としている場合もあります。

企業主導型保育園に向いている人②【負担の軽い保育士の仕事がしたい人】

企業主導型保育園は、「保育の仕事がしたいけれど、できるだけ負担の軽い職場で働きたい」と思っている人にも向く職場です。

企業主導型保育園は0〜2歳の乳幼児がメインで、全体の園児数も少ない傾向にあります。

残業対応も少ないので、仕事の負担は比較的軽いでしょう。

企業主導型保育園に向いている人③【責任を持ってしっかり働きたい有資格者】

保育のプロとして責任をもって仕事がしたい人にも、企業主導型保育園は向いています

企業主導型保育園で働く職員は、無資格やパート職員の割合が多い可能性があります。

そのため、保育士資格のある職員の知識や経験は重要で、有資格者は職場を引っ張っていく存在になります。

よって、やりがいを感じながら責任感を持って働き、保育士としてのキャリアを積みたいという方には企業主導型保育園はおすすめできます。

企業主導型保育園に向いていない人は?

企業主導型保育園に向いていない人をご紹介します。

企業主導型保育園に向いていない人①【大きなイベントで達成感を味わいたい人】

大人数での行事やイベントを経験したい方には、企業主導型保育園は向いていない可能性があります。

企業主導型保育園は少人数の乳児保育を行なう園も多く、3~5歳の保育や大イベントを経験する機会は一般的な保育園と比べて少なくなります。

そのため、アクティブな3〜5歳児の保育や、大きなイベントや行事の企画や運営がしたい場合には、張り合いがないかもしれません。

企業主導型保育園に向いていない人②【正社員として長く働き続けたい人】

正社員として同じ職場で長くキャリアを積んでいきたい保育士さんは、企業主導型保育園の職場選びには慎重になったほうがいいかもしれません。

企業主導型保育園は、従業員の子どもをメインに預かるというスタイルから、定員の確保に苦労することも多く、定員が確保できなければ休園に追い込まれることも。

正社員として職を失ってしまわないよう、「安定経営ができる運営システムかどうか?」事前にチェックする必要があるでしょう。

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企業主導型保育園の求人状況

企業主導型保育園の求人は、比較的多く出回っており、求人は探しやすい状況といえます。

特に、企業主導型保育事業の新規募集停止が令和5年1月ということもあり、令和5年度時点ではオープニングスタッフの募集求人なども多くみられます。

雇用形態としては、正社員とパートなどの保育補助などのほか、無資格者・未経験者の募集も多くみられます。

条件にあう雇用形態・待遇の求人を探しやすい状況といえるでしょう。

企業主導型保育園の求人の探し方

企業主導型保育園の求人を探す方法としては、以下があげられます。

■企業主導型保育園の求人の探し方

企業主導型保育園の求人の探し方
  • ネットで検索する
  • ハローワークで調べる
  • 地域の情報誌の求人広告欄をみる
  • 保育士専門の求人情報サイトで調べる

企業主導型保育園の求人はネット検索でも多く見つかりますが、より好条件の求人を探したいのであれば、当サイト「保育士人材バンク」を活用いただくのがおすすめです。

保育士人材バンクでは、好条件の保育士求人を多数取り扱っており、さらに雇用形態や手当ての有無など条件を細かく絞った求人検索ができます。

ぜひ一度、ご希望に合う求人を探してみてください。

保育士人材バンクで求人を探してみる>>

企業主導型保育園の履歴書(志望動機・自己PR)の書き方

企業主導型保育園の求人に応募する際は、履歴書の書き方が非常に重要です。

採用担当者のほとんどが、履歴書の内容により面接に進めるかどうかを判断するためです。

履歴書を書く際は、丁寧に書くことはもちろん、志望動機や自己PRの欄を特に意識して書くことをおすすめします。

企業主導型保育園を選んだ理由とともに、その園でなければならない理由を盛り込むことで、熱意が伝わる志望動機になります。

自己PRの欄は、応募先の園でいかせるスキルや特技を書くことが重要です。

応募先が採用メリットを感じられる書き方を意識してみてください。

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企業主導型保育園の面接対策

転職・就職活動をすると決めたら、面接対策までぬかりなく行なっていきましょう。

面接では笑顔であなたらしく受け答えをすることが重要ですが、それだけでは薄っぺらい答えしか答えられないこともあります。

事前によくある質問をチェックしておき、自分なりの回答を用意しておくと、スムーズに答えられるでしょう。

企業主導型保育園のまとめ

企業主導型保育園のまとめ【保育士人材バンク】
企業主導型保育園のまとめ【保育士人材バンク】

企業主導型保育園は、企業が従業員のために設置・運営する保育園です。

認可外保育園にはなりますが、自治体の認可が必要な事業所内保育園と同じ基準が設けられており、一定のレベル以上の保育を提供しています。

補助金の交付により、利用料も認可保育園と遜色(そんしょく)ありません。

企業主導型保育園の園児のメイン層は0〜2歳で、小規模園が多い傾向にあります。

保育士の職場としては、比較的負担が軽い方でしょう。

自分の子どもを入園させられるので、子どもがいて求職中の保育士には、特に、おすすめしたい職場です。

また、企業の経営状況によっては好待遇が望めます

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