保育士や幼稚園教諭として働くうえで「認定こども園の給料ってどうなんだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか?
とくに、保育園との違いや今後給料が上がる可能性については、転職やキャリアを考えるうえでも重要なポイントです。
この記事では、認定こども園の給料事情や保育園との比較、今後の見通しについて分かりやすく解説します。
「認定こども園への転職を検討している」「将来的な収入アップを目指したい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
認定こども園の給料

認定こども園で働く保育教諭の給料は、ここ数年で改善傾向にあります。
令和6年度に実施された「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」では、以下のような結果が出ています。
▼認定こども園における保育教諭の平均給与(月額)
勤務先 | 平均給与月額 | 平均勤続年数 |
私立認定こども園 | 約33.2万円 | 約9.8年 |
公立認定こども園 | 約34.6万円 | 約9.8年 |
公立・私立ともに、保育教諭の平均給与月額は30万円台前半となっており、とくに私立施設では、前回調査(平成31年度)と比べて約5.2万円の増加が見られました。
この背景には、下記のような国の支援策が影響していることが考えられます。
- 処遇改善等加算制度の拡充
- 保育士・保育教諭の処遇改善政策
また、私立認定こども園では、人件費比率(収益に対する人件費の割合)が約72.0%となっており、前回調査(平成31年度)の69.5%から約2.5ポイント上昇しています。
このことから、施設全体で職員給与の改善に取り組んでいる傾向がより強まっていることが分かります。
参考:
子ども家庭庁:「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>」
内閣府:「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」
認定こども園の給料は今後上がる?
認定こども園の保育士給与は、政府の処遇改善策や制度改革により、今後も上昇が期待されています。その理由を以下で詳しく見ていきましょう。
公定価格の見直しと給与引き上げ
2024年度には、保育士や幼稚園教諭の給与を10.7%引き上げる処遇改善策が実施されました。
これは、保育士の待遇改善を目的としたもので、今後も公定価格の見直しを通じて、給与水準の向上が図られる見込みです。
経営情報の「見える化」による透明性の向上
2025年度からは、保育事業所に対して職員の給与実態の報告が義務付けられます。
これにより、給与の透明性が高まり、適切な処遇改善が促進されることが期待されています。
これらの施策により、認定こども園で働く保育士の給与は、今後も上昇傾向が続くと予想されます。処遇改善や制度改革の動向を注視し、キャリアアップや転職を検討する際の参考にするのがよいでしょう!
参考:
子ども家庭庁:「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策の重点事項」
子ども家庭庁:「保育所等における継続的な経営情報の見える化について」
子ども家庭庁:「保育政策の新たな方向性」
子ども家庭庁:「公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について」
処遇改善等加算の一本化と拡充
これまで保育士の給与改善には、処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲが適用されてきましたが、制度の複雑さや事務負担の大きさが課題とされていました。
これを受けて、政府は加算制度の一本化を検討しており、よりシンプルで効果的な処遇改善が期待されています。
保育園の給料とどのくらい違うの?
「認定こども園と保育園では、給料にどのくらい差があるの?」と気になる方も多いかもしれません。
令和6年度に発表された調査によると、両者の給与水準に大きな差は見られません。
▼認定こども園と保育園の平均給与(月額)
勤務先 | 平均給与月額 | 平均勤続年数 |
私立認定こども園 | 約33.2万円 | 約9.8年 |
公立認定こども園 | 約34.6万円 | 約9.8年 |
私立保育園 | 約33.5万円 | 約10.0年 |
公立保育園 | 約34.8万円 | 約10.0年 |
上記のデータをみると、下記のことが分かります。
- 私立同士・公立同士で比較しても、給与水準にほとんど差はない
- 公立施設の方がやや高めではあるものの、わずかな違いにとどまっている
また、過去(令和元年度)のデータと比較しても、認定こども園・保育園ともに平均月収が上がっていることが分かりました。
参考:
子ども家庭庁:「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>」
内閣府:「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」


幼稚園の給料とはどのくらい違う?

認定こども園や保育園と比較して、幼稚園教諭の給料はどう違うのか?気になる方も多いかもしれません。
令和6年度に発表したデータを参考にすると、幼稚園教諭の給与は勤務先(公立・私立)や地域によって差が大きいことがわかります。
▼幼稚園と保育園の平均給与(月額)
勤務先 | 平均給与月額 | 平均勤続年数 |
私立幼稚園 | 約33.5万円 | 約9.2年 |
公立幼稚園 | 約40.4万円 | 約11.2年 |
私立認定こども園 | 約33.2万円 | 約9.8年 |
公立認定こども園 | 約34.6万円 | 約9.8年 |
私立保育園 | 約33.5万円 | 約10.0年 |
公立保育園 | 約34.8万円 | 約10.0年 |
上記の表では、保育園や認定こども園に比べて、幼稚園の平均給与月額が高めであることが読み取れます。
▼令和5年度地域別幼稚園教諭の平均年収
都道府県名 | 年収 |
全国 | 407.6万円 |
北海道 | 383.9万円 |
青森県 | 376万円 |
岩手県 | 357.4万円 |
宮城県 | 366.7万円 |
秋田県 | 369.5万円 |
山形県 | 367.1万円 |
福島県 | 347.6万円 |
茨城県 | 451.6万円 |
栃木県 | 413.7万円 |
群馬県 | 414.3万円 |
埼玉県 | 406.7万円 |
千葉県 | 440.7万円 |
東京都 | 432.5万円 |
神奈川県 | 437.8万円 |
新潟県 | 379.1万円 |
富山県 | 380.7万円 |
石川県 | 379.6万円 |
福井県 | 377.1万円 |
山梨県 | 421.7万円 |
長野県 | 372.7万円 |
岐阜県 | 400.1万円 |
静岡県 | 425.9万円 |
愛知県 | 433.7万円 |
三重県 | 402.7万円 |
滋賀県 | 428.2万円 |
京都府 | 417.6万円 |
大阪府 | 434.8万円 |
兵庫県 | 431.8万円 |
奈良県 | 435.4万円 |
和歌山県 | 449.2万円 |
鳥取県 | 363.1万円 |
島根県 | 367.4万円 |
岡山県 | 388万円 |
広島県 | 404.7万円 |
山口県 | 383.2万円 |
徳島県 | 350.9万円 |
香川県 | 369.5万円 |
愛媛県 | 379.2万円 |
高知県 | 352.9万円 |
福岡県 | 404.8万円 |
佐賀県 | 382.6万円 |
長崎県 | 361.4万円 |
熊本県 | 388.5万円 |
大分県 | 399.8万円 |
宮崎県 | 390.6万円 |
鹿児島県 | 378.6万円 |
沖縄県 | 360.1万円 |
令和5年度の地域別データを見ると、幼稚園教諭の年収には地域差があることが分かります。
とくに東京都や千葉県、大阪府などの都市部では年収が高めの傾向がある一方、全国平均を下回る地域も見られます。
年収は重要なポイントのひとつですが、就職・転職を考える際には、給与水準だけでなく、地域ごとの生活費や勤務条件も合わせて比較検討することが大切です。
働きやすい職場の探し方
認定こども園や保育園の給料水準が改善されつつある今「収入」だけでなく、「働きやすさ」も重視して職場を選びたいという方も増えています。
ここでは、無理なく長く働きつづけるために意識したい職場選びのポイントをご紹介します。
まずは今の環境を見直してみる
シフトの相談ができるか、業務量に偏りがないかなど、まずは今の職場で改善できることがないかを振り返ることが大切です。
「無理だ」と思いこまず、できることから柔軟に工夫や相談を試みることが、今の環境を少しでも快適にするための第一歩になります。
どうしても難しい場合は選択肢を広げる
どうしても現状が変わらない場合には、自分に合った働き方ができる施設を選ぶことも大切です。
たとえば、下記のような働き方もあります。
- 固定時間勤務で勤務できる施設形態
- 残業が少ない職場
- 産休・育休取得実績が豊富な法人
給与面だけでなく、「休みのとりやすさ」や「ライフステージに合わせた働き方」も重視して探すのがおすすめです。
専門の転職サポートを活用するのもひとつ
働きながら自分に合う職場を探すのは、意外と大変なものです。
そんなときは、保育士専門の転職支援サービスの活用も選択肢のひとつ。
保育士人材バンクでは、あなたにピッタリの職場探しをしっかりサポートいたします。
「収入も大事、でも自分らしく働ける環境も大事」そんな想いを大切にしたい方は、ぜひ一度相談してみてくださいね!
認定こども園の給料まとめ

認定こども園の給料は、ここ数年で改善が進んでいます。
令和6年度に発表した調査結果からも、私立・公立問わず給与水準が底上げされていることが分かりました。
保育園との間でも大きな差はなくなりつつあり、働き方の施設の方針に合わせて自分に合った職場を選べる時代になっています。
ただし、給与だけでなくシフト体制や業務負担、働きやすさといったポイントも重要です。
これからのキャリアを考えるなら、収入面と働きやすさの両方をバランスよく見極めることが大切だといえるでしょう。
「もっと自分らしく働きたい」「働きやすさも大事にしながら職場を探したい」そんな方はぜひ「保育士人材バンク」へお気軽にご相談ください。