保育士として安心して働き続けるためには、給与や勤務時間だけでなく、職場のルールを定めた「就業規則」を確認しておくことも大切です。

就業規則には、産休・育休や時短勤務、賞与・昇給、退職時の手続きなど、働くうえで知っておきたいさまざまなルールが記載されています。

しかし、「どこを見ればいいの?」「求人票や雇用契約書だけではダメ?」と疑問に感じる方もいるでしょう。

この記事では、就業規則の基本から、保育士がチェックしておきたいポイント、就業条件を確認するタイミングまで分かりやすく解説します。

長く安心して働ける職場を見極めるためにも、ぜひ参考にしてください。

就業規則とは?保育士にとって大切な理由

就業規則とは、勤務時間や休日・休暇、給与、退職など、職場で働くうえでのルールを定めたものです。

労働基準法では、常時10人以上の労働者が働く事業場に対して、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務づけられています。

また、作成した就業規則は、労働者が確認できるよう周知しなければなりません。

保育士にとっても、就業規則は自分の働き方や待遇を確認するための大切な資料です。

たとえば、産休・育休や時短勤務を利用できる条件、昇給や賞与、退職するときの手続きなど、長く働くうえで気になる内容が定められていることがあります。

求人票や面接だけでは把握しきれないルールもあるため、就業規則を確認しておくことで働き方のミスマッチを防ぎやすくなります。

安心して働き続けるためにも、自分に関係する項目にはあらかじめ目を通しておくことが大切です。

参考:厚生労働省「モデル就業規則について」

保育士がチェックしたい就業規則のポイント

就業規則には、給与や退職、休暇など、働くうえで大切なルールが定められています。

入職後に「思っていた働き方と違った」とならないためにも、自分の生活や今後のキャリアに関わる項目は確認しておきましょう。

ここでは、保育士がとくにチェックしておきたい4つのポイントを紹介します。

産休・育休・時短勤務の制度 

出産や子育てをしながら働き続けたい場合は、産休・育休や時短勤務について確認しておきましょう。

就業規則や育児・介護休業規程などには、制度を利用できる対象者や期間、申請方法、復職後の働き方などが定められていることがあります。

たとえば、以下のような内容です。

  • 育児休業を取得できる対象者や期間
  • 時短勤務を利用できる条件や期間
  • 申請期限や申請方法
  • 復職後の勤務時間や働き方

制度があるかどうかだけでなく、対象者や利用期間、申請方法まで具体的に定められているかを確認しておくと安心です。

また、就業規則だけでは実際の利用状況までは分からないこともあります。産休・育休の取得実績や、復職後に時短勤務を利用している職員がいるかなどもあわせて確認しておくと、実際の働き方をイメージしやすくなります。

賞与・昇給に関する規定

長く働くことを考えるなら、現在の給与だけでなく、賞与や昇給についてもチェックしておきたいポイントです。

就業規則や賃金規程などには、昇給の時期や条件、賞与の支給対象・支給時期・算定基準などが定められている場合があります。

たとえば、以下のような内容です。

  • 昇給をおこなう時期や条件
  • 勤務成績や評価が昇給に反映される仕組み
  • 賞与の支給時期や支給対象
  • 賞与額を決める際の算定基準

「年〇回支給」といった回数だけでなく、どのような基準で賞与が決まり、どのような仕組みで昇給するのかが明確に記載されているかまで確認しておくとよいでしょう。

なお、賞与はすべての職場で必ず支給されるものではないため、支給条件についても確認しておくことが大切です。

退職の手続き・申し出期間 

転職や退職を考えたときに慌てないためにも、退職に関するルールは事前に確認しておきましょう。

就業規則には、退職を申し出る時期や必要な手続きなどが定められていることがあります。

たとえば、以下のような内容です。

  • 退職を希望する場合の申し出時期
  • 退職届などの提出方法
  • 貸与物の返却
  • 担当業務の引き継ぎ

とくに保育園では、クラス運営や職員配置にも関わるため、引き継ぎの時間を確保することも大切です。

円満に退職するためにも、申し出る時期や必要な手続きを事前に把握し、余裕をもって準備を進めましょう。

服務規定

服務規程とは、職員が仕事をするうえで守るべきルールを定めたものです。

職場によっては、身だしなみや遅刻・欠勤時の連絡方法、職場で知り得た情報の取り扱い、SNSの利用などについてルールが設けられていることがあります。

たとえば、以下のような内容です。

  • 勤務中の服装や身だしなみ
  • 遅刻・欠勤時の連絡方法
  • 子どもや保護者の個人情報の取り扱い
  • SNSへの写真や職場に関する情報の投稿ルール

とくに保育士は、子どもや保護者の個人情報を扱う仕事です。知らないうちに職場のルールに反してしまわないためにも、日々の勤務で守るべき内容を事前に確認しておきましょう。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法について」「モデル就業規則について」

就業規則がしっかりしている職場で働くメリット

就業規則が整っている職場は、働くうえでのルールや手続きが明確になっているため、安心して働きやすい環境につながります。

ここでは、就業規則がしっかりしている職場で働く主なメリットを紹介します。

働くルールが明確で安心して長く働きやすい

勤務時間や休日、給与、休暇、退職などのルールが明確になっていると、自分がどのように働くのかを把握しやすくなります。

職場によって判断が変わったり、説明があいまいになったりするリスクも抑えやすいため、安心して働き続けることにつながります。

とくに保育士は、シフト勤務や行事対応などで働き方が変則的になることもあるため、あらかじめルールを確認できる職場を選ぶことが大切です。

有給休暇や各種制度を利用しやすい

有給休暇や育休・産休、時短勤務などについて、利用条件や申請方法が明確になっている職場では、必要なときに制度を利用しやすくなります。

制度自体があっても、申請方法や利用までの流れが分かりにくいと、実際には利用しづらいと感じることもあるでしょう。

就業規則などでルールが明確になっているかに加えて、実際の取得状況や職員同士でフォローできる体制が整っているかも確認しておくと安心です。

トラブルや困りごとがあったときに相談しやすい

就業規則に職場で守るべきルールや手続きが定められていると、困ったことが起きたときにも対応の基準を確認しやすくなります。

たとえば、勤務条件について疑問がある場合や、職場内でトラブルが起きた場合でも、ルールが明確であれば上司や担当者に相談する際の判断材料になります。

また、相談窓口や対応方法が定められている職場であれば、一人で抱え込まずに相談しやすい環境につながるでしょう。

就業条件を確認するタイミングと方法

就業条件は、応募するときだけでなく、内定時や入職後にも段階的に確認することが大切です。

確認するタイミングによって見るべき書類やポイントが異なるため、それぞれどのように確認すればよいのかを見ていきましょう。

応募・面接時は求人票や面接で基本条件を確認する

応募・面接の段階では、まず求人票を確認し、給与や勤務時間、休日、雇用形態、勤務地などの基本的な条件を把握しましょう。

求人票だけでは分からないことがあれば、面接時に確認しておくことも大切です。たとえば、残業の有無やシフトの決まり方、有給休暇の取得状況、産休・育休の取得実績など、実際の働き方について質問しておくと、入職後のイメージを持ちやすくなります。

ただし、求人票に記載されている内容は、労働契約を結ぶ際に正式に明示される労働条件とは異なる場合があります。最終的な条件は、内定後に改めて確認しましょう。

内定時は労働条件通知書や雇用契約書で最終確認する

内定を受けたら、労働条件通知書や雇用契約書などで、実際にどのような条件で働くことになるのかを確認しましょう。

労働契約を結ぶ際、勤務先には賃金や労働時間など一定の労働条件を明示することが義務付けられています。

基本給や各種手当、勤務時間、就業場所、業務内容などを確認し、求人票や面接で聞いた内容と違いがないかチェックすることが大切です。

また、近年ルールの変更があり、将来的に系列園などへ異動する可能性があるか(就業場所の変更の範囲)なども明示されるようになりました。転居を伴う異動や系列園への異動の有無もあわせて確認しておきましょう。

入職後は就業規則で職場のルールを確認する

入職後は、就業規則にも目を通し、職場で働くうえでの具体的なルールを確認しましょう。就業規則には、勤務時間や休日・休暇、賃金、退職などに加えて、職場で守るべきルールや各種手続きについて定められていることがあります。

就業規則には、職場への掲示や備え付け、書面での交付、パソコンなどでいつでも確認できる状態にするなど、労働者に周知することが求められています。

どこにあるか分からない場合は、上司や担当者に確認してみましょう。

必要なときに確認できるよう、閲覧場所や確認方法を把握しておくと安心です。

参考:厚生労働省「労働条件通知書」

よくある質問(Q&A)

ここでは、就業規則について保育士が疑問に感じやすいポイントをQ&A形式で紹介します。

就業規則はいつ確認できますか?

勤務先には、就業規則を労働者に周知する義務があるため、入職後は必要なときに内容を確認できます。

職場の見やすい場所への掲示・備え付け、書面での配布、パソコンなどでの閲覧といった方法などがあります。どこで確認できるか分からない場合は、園長や担当者に確認してみましょう。

なお、入職前に就業規則を確認したい場合は、採用担当者に閲覧できるか相談してみるのも1つの方法です。

就業規則と労働条件通知書は何が違いますか?

就業規則は、勤務時間や休暇、賃金、退職など、職場で働く労働者に適用されるルールを定めたものです。

一方、労働条件通知書は、採用時に一人ひとりの労働者へ賃金や勤務時間、就業場所、業務内容などの労働条件を明示するための書類です。使用者には、労働契約を結ぶ際に一定の労働条件を明示することが義務付けられています。

どちらも働き方に関わる大切なものなので、内容をあわせて確認しておきましょう。

就業規則に納得できない場合はどうすればいいですか?

就業規則の内容に疑問がある場合は、まず園長や人事、労務担当者などに内容や理由を確認しましょう。

就業規則の内容が法律に違反している可能性がある場合や、勤務先との話し合いで解決できない場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどの外部窓口に相談する方法もあります。

総合労働相談コーナーでは、労働条件をはじめとした幅広い職場のトラブルについて無料で相談できます。

まとめ

就業規則は、勤務時間や休日・休暇、給与、退職など、保育士として働くうえで大切なルールを確認できるものです。

安心して長く働ける職場を選ぶためには、給与や勤務時間だけでなく、産休・育休や時短勤務、賞与・昇給、退職時の手続きなど、自分の生活や今後のキャリアに関わる内容まで確認しておくことが大切です。

また、求人票だけでは分からないこともあるため、応募・面接時には基本的な条件を確認し、内定時には労働条件通知書や雇用契約書で正式な条件をチェックしましょう。

入職後は、就業規則にも目を通して、職場で守るべきルールや各種手続きを把握しておくと安心です。

「自分に合った働き方ができる園を探したい」「求人票だけでは職場の雰囲気や細かな条件まで分からず不安」という方は、ぜひ保育士人材バンクにご相談ください。

希望する勤務条件や働き方を整理しながら、無理なく長く働ける自分に合った職場を見つけていきましょう!