日本版DBSは、2026年12月25日から施行されます。
制度開始にともない、保育園などでは対象職員の犯罪事実確認や、子どもへの性暴力を防ぐための体制整備が求められます。
「すでに働いている保育士にはいつから影響する?」「施設は何を準備すればいい?」と気になる方もいるでしょう。
この記事では、施行までのスケジュールや施行時期の背景、現職者・採用への影響が出るタイミング、保育士や施設が準備しておきたいことを分かりやすく解説します。
日本版DBSはいつから?
日本版DBS(こども性暴力防止法)は、2026年12月25日から施行されます。
こども性暴力防止法は、2024年6月19日に成立し、同年6月26日に公布されました。
法律では、施行日について「公布の日から起算して2年6ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、その後、政令によって2026年12月25日に施行することが正式に決まりました。
つまり、法律が成立・公布された直後に制度が始まったわけではなく、施行までには約2年半の準備期間が設けられています。
施行後は、対象となる保育園などで犯罪事実確認をはじめ、子どもへの性暴力を防ぐためのさまざまな取り組みが本格的に始まります。
施行までのスケジュール
日本版DBSの施行に向けて、法律の成立・公布後は、具体的な運用ルールの整備や事業者向けの準備が段階的に進められてきました。
ここでは、制度がどのような流れで施行を迎えるのか、主なスケジュールを時系列で見ていきましょう。
・2024年6月 法律が成立・公布
⇒6月19日にこども性暴力防止法が成立し、6月26日に公布されました。
・2025年4月~ 制度の詳細について検討
⇒こども家庭庁の検討会で、犯罪事実確認や安全確保措置、認定制度など、施行に必要な具体的なルールについて議論が進められました。
・2025年12月~ 政令・内閣府令などを整備
⇒施行日を2026年12月25日と定める政令をはじめ、制度を運用するために必要な下位法令が整備されました。
・2026年1月~ 施行ガイドラインを策定
⇒事業者が制度へ対応する際の考え方や具体的な方法をまとめた「こども性暴力防止法施行ガイドライン」が公表されました。
・2026年4月~7月 業務対象事業者の情報を事前登録
⇒認可保育園などの業務対象事業者は、GビズIDを取得したうえで、指定された期間に事業者情報の事前登録を進めます。
・2026年12月25日 日本版DBSが施行
⇒法律が施行され、対象となる事業者では犯罪事実確認をはじめとした制度上の取り組みが本格的に始まります。
なぜこのタイミングで施行される?
日本版DBSのもととなる「こども性暴力防止法」は、2024年6月19日に成立し、同年6月26日に公布されました。その後、約2年半の準備期間を経て、2026年12月25日に施行されます。
成立後すぐに施行されなかった背景には、制度を実際に運用するための体制を整える必要があったことがあります。
日本版DBSでは、犯罪事実確認だけでなく、対象となる職員や事業者の範囲、確認手続き、安全確保措置、認定制度など、さまざまなルールを具体化する必要があります。
そのため、法律の成立後には施行準備検討会が設置され、下位法令やガイドラインなど、制度の運用に向けた準備が段階的に進められてきました。
このように、2026年12月25日の施行に向けて、保育園をはじめとする対象事業者が制度に対応できるよう、必要なルールや体制が整えられてきたのです。
現職・採用への影響はいつから出る?
日本版DBSの施行後は、すでに働いている保育士と、新しく採用される保育士で、犯罪事実確認を受けるタイミングが異なります。
2026年12月25日の施行時点ですでに働いている保育士は、施行後すぐに全員が確認を受けるわけではありません。認可保育園などの対象施設で働いている場合は、制度開始から3年以内に順次、犯罪事実確認がおこなわれます。
一方、2026年12月25日以降に内定・内示などが出て、新たに対象となる仕事に就く人は、原則として実際に働き始める前までに犯罪事実確認を受ける必要があります。(確認猶予期間もあり)
そのため、施行後は保育士の採用手続きにも犯罪事実確認が加わることになります。
なお、2026年12月24日までに内定・内示などが出て、対象となる仕事に就くことが決まっている人は、制度開始時点ですでに働いている人と同じ「施行時現職者」として扱われます。この場合も、制度開始から3年以内に確認がおこなわれます。
このように、同じ保育士でも、現在の勤務状況や採用が決まった時期によって確認のタイミングが異なります。
現職の保育士がいつ確認を受けるのか、確認後はどのような流れになるのか詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
保育士・施設が施行までにしておきたい準備
日本版DBSの施行に向けて、保育士・施設それぞれが事前に確認し、準備しておきたいことがあります。
施行後に慌てず対応できるよう、自分の立場に応じて必要な情報や準備内容をあらかじめ把握しておきましょう。
保育士が施行までに確認しておきたいこと
保育士側は、施設のように制度運用の体制を整える必要はありませんが、自分がいつ・どのような確認を受けるのかを把握しておくことが大切です。
勤務先から案内があった際にスムーズに対応できるよう、施行前から基本的な流れを確認しておきましょう。
自分が犯罪事実確認の対象になるか確認する
まずは、自分が日本版DBSの確認の対象になるのかを確認しておきましょう。
認可保育園などでは、保育園の長や保育士、保育補助者が対象となります。一方、看護師や調理員などは、実際の業務内容や子どもとの関わり方によっては対象となる場合もあります。
また、同じ対象者でも、制度開始時点ですでに働いている人と施行後に新しく対象業務に就く人では、確認期限が異なります。自分がどの区分に当てはまるのか分からない場合は、勤務先へ確認しておくと安心です。
勤務先からいつ頃案内があるのか把握する
現在すでに保育士として働いている場合、2026年12月25日の施行日に全員が一斉に犯罪事実確認を受けるわけではありません。
施行時点ですでに対象業務に就いている「施行時現職者」は、2029年12月24日までに順次確認がおこなわれます。そのため、実際にいつ手続きが始まるのかは勤務先によって異なります。
施行前後になって慌てないためにも、園や法人からいつ頃説明がある予定なのか、犯罪事実確認をどのようなスケジュールで進めるのかを事前に確認しておくとよいでしょう。
確認手続きの流れや必要事項を確認しておく
犯罪事実確認は、原則として「こまもろうシステム」を利用しておこなわれます。手続きは施設側だけで完結するものではなく、対象となる保育士本人が対応する内容もあります。
従事者本人が氏名・住所・生年月日などの本人情報を入力し、本人確認書類を登録する手続きなどもあります。
実際の手続きが始まった際にスムーズに対応できるよう、勤務先から案内があったら内容をよく確認し、自分がおこなう手続きを把握しておきましょう。
確認時期や手続きに関する最新情報をチェックする
日本版DBSについては、施行に向けてガイドラインやQ&A、システムに関する資料などが順次更新されています。
確認手続きの詳しい方法や運用について新しい情報が公表される可能性もあるため、勤務先からのお知らせだけでなく、こども家庭庁や自治体などの公的な情報も確認しておくと安心です。
とくに、自分の確認時期や必要な手続きに関係する情報は、最新の内容を確認するようにしましょう。
施設側が施行までに準備しておきたいこと
施設側は、施行後すぐに制度へ対応できるよう、対象者の確認から各種手続き、職員への周知、安全確保のための体制づくりまで幅広い準備が必要です。
直前になって対応が集中しないよう、自施設に必要な準備を整理し、できるところから早めに進めておきましょう。
自施設が義務対象・認定対象のどちらに該当するか確認する
施設側は、まず自施設が日本版DBSへの対応を法律上義務付けられている事業者なのか、国の認定を受けて制度に参加する事業者なのかを確認する必要があります。
認可保育園などは「業務対象事業者」に該当します。一方、学習塾やスポーツクラブなど一定の民間事業者には、要件を満たして国の認定を受ける仕組みが設けられています。
どちらに該当するかによって必要な手続きが異なるため、最初に自施設の位置づけを確認しておくことが大切です。
対象となる職員をあらかじめ整理する
施設内で誰が犯罪事実確認の対象になるのかも、施行前に確認しておきましょう。
保育園では、保育園の長や保育士、保育補助者は対象となりますが、看護師や調理員などは業務内容によって判断が異なる場合があります。
職種名だけで判断するのではなく、一人ひとりの仕事内容や子どもとの関わり方を確認し、対象となる職員をリストアップしておくことで、施行後の手続きを進めやすくなります。
必要な登録や申請・書類整備を進める
業務対象事業者は、日本版DBSの施行に向けて、事業者情報の登録など必要な手続きを進めておく必要があります。
また、認定を受けて制度に参加する事業者では、認定申請に向けた準備が必要です。自施設に必要な手続きを確認し、期限直前になって慌てないよう、必要書類や担当者などを早めに整理しておきましょう。
安全確保措置や研修・相談体制を整える
日本版DBSへの対応は、犯罪事実確認だけではありません。
施設側には、子どもへの性暴力を未然に防ぐための取り組みや、問題を早期に把握して適切に対応するための体制整備も求められます。
そのため、職員への研修、子どもが相談しやすい環境づくり、性暴力が疑われる場合の報告・対応ルールなどを施行前に確認し、必要に応じて整備しておくことが大切です。
犯罪事実確認に関する情報管理体制を整える
犯罪事実確認では、性犯罪歴に関する重要な個人情報を扱うため、情報の取り扱いに十分な注意が必要です。そのため、施設側は「誰が情報を取り扱うのか」「どのように管理するのか」といった情報管理のルールも整えておく必要があります。
必要以上の職員が情報を閲覧できないよう権限を設定したり、情報を取り扱った記録を適切に管理したりするなど、個人情報が不必要に広がらない仕組みを準備することが重要です。
制度運用やスケジュールの最新情報をチェックする
施行に向けて、日本版DBSのガイドラインやQ&A、システムの利用方法などは随時更新されています。
施設側は、こども家庭庁や自治体から発表される情報を定期的に確認し、登録期限や手続き方法、必要な対応に変更がないかチェックしておきましょう。
とくに2026年12月25日の施行が近づくにつれて、実際の運用に関する案内が追加・更新される可能性があります。担当者を決めて最新情報を確認し、必要に応じて施設内の準備内容にも反映できる体制を整えておくことが大切です。
日本版DBSは転職に影響する?
日本版DBSが施行されても、保育士の転職そのものが制限されるわけではありません。ただし、転職先での採用手続きには犯罪事実確認が加わるため、これまでとは流れが変わります。
別の保育園や事業者へ転職する場合は、今の勤務先ですでに犯罪事実確認を受けていても、転職先で改めて確認を受ける必要があります。
また、新しく採用される人は、内定などで働くことが決まったあと、早急な場合など猶予期間はありながらも原則として勤務を始める前に犯罪事実確認を受けます。
そのため転職活動の際には、内定から入職までの間に確認手続きが加わることを理解しておきましょう。
施設側でも、募集・選考・内定・犯罪事実確認までを含めた採用の流れを整えていく必要があります。とくに、犯罪事実確認は応募した段階で誰にでも行えるものではなく、対象業務に就くことが決まった人に対しておこなわれます。
転職を考えている保育士は、応募先が日本版DBSにどのように対応しているのか、入職までにどのような手続きが必要なのかを事前に確認しておくと安心です。
よくある質問(Q&A)
ここでは、日本版DBSの施行時期や認定申請、現職の保育士・転職活動への影響について、よくある疑問をQ&A形式でまとめます。
Q. 日本版DBSは正式にいつから施行されますか?
日本版DBSのもととなる「こども性暴力防止法」は、2026年12月25日から施行されます。法律は、2024年6月19日に成立し、同年6月26日に公布されました。
Q. 日本版DBSの認定申請はいつから受付が始まりますか?
認定対象となる事業者は、2026年12月25日の施行日から認定申請が可能です。ただし、申請には事前準備が必要になるため、対象となる事業者は必要書類や体制を早めに確認しておきましょう。
Q. すでに保育士として働いている人(現職者)はいつから対象になりますか?
すでに働いている保育士も、日本版DBSの対象です。
ただし、施行日に全員が一斉に確認されるわけではなく、施行時点ですでに働いている人は、原則として施行後3年以内に順次確認されます。
Q. 転職・就職活動中の場合、施行前でも日本版DBSの影響を受けますか?
施行前に内定が決まった場合でも、勤務開始の時期や内定日によって確認の扱いが異なります。
また、施行が近づくにつれて、求人票や採用時の説明に日本版DBSに関する内容が加わることも考えられます。
まとめ
日本版DBSは、2026年12月25日から施行されます。
施行後は、保育園などで対象となる職員の犯罪事実確認が始まり、すでに働いている保育士や新しく採用される人にも順次影響が出てきます。
また、施設側には、対象職員の確認・整理や必要な手続き、安全確保措置、情報管理体制の整備なども求められます。
制度が始まってから慌てないためにも、保育士は自分がいつ確認を受けるのか、施設はどのような準備が必要なのかを事前に把握しておくことが大切です。
今後も制度の詳細や運用に関する情報が更新される可能性があるため、こども家庭庁や自治体などの最新情報も確認しておきましょう。
また、日本版DBSの施行を前に、「転職する場合はどのような手続きが必要?」「転職先は制度にきちんと対応している?」など、今後の働き方に不安を感じる方もいるかもしれません。
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参考:こども家庭庁
「こども性暴力防止法に関するQ&A」
「こども性暴力防止法に基づく措置を行うに当たって活用できる各種ひな型・参考例」
「こども性暴力防止法の施行までに必要な対応」
「こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)」
「子ども性暴力防止法に関する研修資料」
「こども性暴力防止法の施行について」