2026年12月から始まる「日本版DBS」は、新しく採用される保育士だけでなく、すでに現場で働いている現職の保育士も対象となります。
「今働いている保育士はいつ確認されるの?」「現職はどんな影響があるの?」など、不安や疑問を感じている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、日本版DBSが現職の保育士にどのように適用されるのか、確認される時期や対象となる犯罪歴、犯歴が判明した場合の対応まで分かりやすく解説します。
日本版DBSは現職の保育士も対象になる?
日本版DBSは、新しく採用される保育士だけでなく、制度の対象となる保育園などで、すでに働いている現職の保育士も対象です。「施行前から働いているから、確認の対象にはならない」というわけではありません。
保育園では、園長(施設長)や保育士、保育補助者などが対象とされています。また、看護師や調理員なども、子どもとの関わり方や業務内容によっては対象となる場合があります。
ただし、現職者のなかでも、新しく働き始めた時期や事業者が制度の対象となった時期によって対応が異なります。次の章では、現職者の区分別に詳しく見ていきましょう。
現職者には2種類ある(施行時現職者・認定時現職者の違い)
日本版DBSでは、制度が始まった時点ですでに働いていた人と、事業者が認定を受けた時点で働いていた人を、それぞれ「施行時現職者」「設定時現職者」と区分しています。
大きな違いは、制度が施行される時点ですでに働いている人なのか、事業者が日本版DBSの認定を受けた時点ですでに働いている人なのかという点です。
施行時現職者
施行時現職者とは、日本版DBSが施行される2026年12月25日時点で、対象となる業務にすでに従事している人を指します。
また、施行日の前日までに対象業務に就くことが決まっており、施行日以降に働き始める人も含まれます。育児休業や産前産後休業などで施行日時点に休業している場合でも、対象業務に在籍していれば施行時現職者に含まれます。
認可保育園など、日本版DBSへの対応が法律上義務づけられる施設・事業で、制度開始時点から働いている保育士などが該当します。
認定時現職者
認定時現職者とは、民間教育保育等事業者が日本版DBSの認定を受けた時点で、すでに対象業務に従事している人を指します。
認定日の前日までに対象業務に就くことが決まっており、認定後に働き始める人も対象です。また、育児休業や介護休業、産前産後休業などを取得している人も含まれます。
つまり、施行時現職者が「制度の施行時点」を基準とするのに対して、認定時現職者は「勤務先の事業者が認定を受けた時点」を基準としている点が大きな違いです。
現職者の確認はいつ・どのくらいの頻度で行われる?
日本版DBSでは、現職者についても一定の期限までに「犯罪事実確認」をおこなう必要があります。初回の確認期限は、施行時現職者と認定時現職者で異なります。
また、一度確認すれば終わりではなく、その後も対象業務に継続して従事する場合は定期的な再確認が必要です。
施行時現職者は制度開始から3年以内に確認される
施行時現職者は、日本版DBSが施行される2026年12月25日から3年以内に犯罪事実確認をおこなう必要があります。つまり、確認時期は2029年12月24日までです。
対象者が多いため、全員の確認を制度開始直後に一斉におこなうわけではなく、こども家庭庁では申請時期を分散させ、期限までに順次確認を進める方針としています。
そのため、実際に確認を受ける時期は勤務先などによって異なる可能性があります。
認定時現職者は認定から1年以内に確認される
認定時現職者については、勤務先の事業者が日本版DBSの認定を受けた日から1年以内に犯罪事実確認をおこなう必要があります。
たとえば、学習塾やスポーツクラブなどの認定対象事業で、認定を受けた時点ですでに対象業務に従事している人が該当します。
施行時現職者とは確認期限の起点が異なり、「制度の施行日」ではなく、「事業者が認定を受けた日」が基準となります。
その後も5年ごとに性犯罪歴の再確認が行われる
初回の犯罪事実確認を終えた後も、対象となる業務に継続して従事する場合は、5年ごとに再確認をおこなう必要があります。
つまり、現職者は一度確認を受ければそのあとは確認されないわけではありません。一定期間ごとに性犯罪歴の有無を改めて確認することで、継続的に子どもの安全を守る仕組みとなっています。
参考:こども家庭庁:「こども性暴力防止法施行(12月25日)に向けた義務事業者用準備ガイド Ver.1.1」
こども家庭庁:「こども性暴力防止法に関する研修資料」
性犯罪歴が判明した場合はどうなる?
犯罪事実確認によって現職者に対象となる性犯罪歴が判明した場合は、事業者は子どもへの性暴力を防ぐために必要な措置をとらなければなりません。
ただし、「性犯罪歴が確認された=すぐに解雇」という扱いになるわけではなく、まず本人を子どもと接する業務から外すために、配置転換や業務内容の見直しなどを検討することになります。
原則は子どもと接しない業務への配置転換で対応する
現職者に対象となる性犯罪歴が判明した場合は、その職員を子どもと接する対象業務に従事させないための対応が必要です。
そのため、まず検討されるのが、子どもと直接関わらない業務への配置転換です。たとえば、保育業務を担当している職員であれば、事務作業など子どもとの接触が生じない業務へ変更する方法などが考えられます。
性犯罪歴が判明したからといって、ただちに雇用関係を終了させるのではなく、まずは雇用を維持しながら子どもの安全を確保できる方法がないかを検討することが基本となります。
配置転換が難しい場合は業務範囲の限定などを検討する
すべての保育施設に、子どもとまったく接しない部署や業務が用意されているとは限りません。とくに小規模な保育園では、職員の配置転換そのものが難しいケースも考えられます。
そのような場合には、担当する業務の範囲を限定し、子どもと接する対象業務から外す方法などを検討します。また、勤務先だけでの対応が難しい場合には、状況に応じて出向や転籍など、ほかの働き方を検討することもあります。
ただし、どのような措置をとる場合でも、施設側が自由に決められるわけではありません。雇用契約や就業規則、労働条件などを踏まえながら、子どもの安全確保と本人の雇用の両面を考慮して対応する必要があります。
性犯罪歴が判明しても直ちに解雇されるわけではない
現職者に性犯罪歴が確認された場合でも、その事実だけを理由として直ちに解雇されるとは限りません。
とくに、採用時に性犯罪歴について明示的な確認がおこなわれていなかった場合には、まず配置転換や業務範囲の限定など、解雇を避けるための対応を十分に検討することが求められます。
一方で、施設の規模や業務内容から、子どもと接しない仕事を用意することがどうしても難しい場合には、最終的に普通解雇などが検討される可能性もあります。ただし、解雇が認められるかどうかは、個々の事情によって判断されます。
また、採用時に性犯罪歴について確認されていたにもかかわらず、本人の虚偽の申告をしていた場合などは、別途、懲戒処分などが検討されるケースもあります。
参考:こども家庭庁:「こども性暴力防止法施行ガイドライン」
転職を考える時の注意点
日本版DBSの施行後に転職する場合は、求人の条件だけでなく、転職先での犯罪事実確認や制度への対応状況も確認しておくことが大切です。
現職で確認を受けているかどうかによって、転職時に手続きの流れが変わることもあります。転職後に慌てないためにも、事前に制度の仕組みを理解したうえで準備を進めましょう。
転職先でも犯罪歴の再確認が必要になる場合がある
現職で犯罪事実確認を済ませていたとしても、別の事業者へ転職して新たに対象業務に就く場合は、転職先で改めて犯罪事実確認が必要になります。
これは、現在の勤務先で確認した結果を、そのまま別の園や事業者へ引き継げる仕組みではないためです。そのため、転職のタイミングによっては、現職で確認を受けて間もないうちに、転職先でも改めて犯罪事実確認がおこなわれることがあります。
また、新しく対象業務に就く場合は、原則として業務を始める前に確認を済ませる必要があります。転職先によっては、入職までに必要な手続きや書類の提出を求められることも考えられるため、採用が決まった段階で犯罪事実確認の流れを確認しておくと安心です。
一方、同じ事業者内で勤務先の園が変わる場合などは、必ずしも改めて確認が必要になるとは限りません。転職なのか、法人内での異動なのかによって扱いが異なる点にも注意しましょう。
転職先が日本版DBSにどう対応しているか事前に確認する
転職先を選ぶ際は、その施設が日本版DBSの対象となっているか、どのような体制で制度に対応しているかも確認しておきたいポイントです。
認可保育園や認定こども園など、法律上対応が義務付けられている施設がある一方、施設の種類によっては国の認定を受けて制度に参加するケースもあります。そのため、求人票を見るだけでは、制度への対応状況が分かりにくいこともあります。
制度への対応がきちんと整っている園かどうかを確認することは、子どもの安全だけでなく、保育士自身が安心して働ける職場を選ぶうえでも重要な判断材料になります。
退職時期は現職での確認状況も踏まえて決める
転職を考えている場合は、現在の職場で犯罪事実確認がいつおこなわれる予定なのかも把握したうえで、退職や入職の時期を考えることが大切です。
また、現職で確認を受けてから転職したとしても、別の事業者へ移る場合は転職先で改めて犯罪事実確認を受けることになります。そのため「今の園で確認を済ませてから転職したほうが手続きが楽」とは一概にいえません。
また、転職先でも確認をする工程が入るため、余裕を持った転職活動のスケジュールを組むことが大切です。
退職時期は、日本版DBSの確認状況だけでなく、引き継ぎや有給休暇、転職先の入職日なども含めて総合的に考えることが大切です。
確認のタイミングや転職先の対応状況が分からず不安な場合は、保育業界に詳しい転職エージェントに相談しながら、無理のない退職・入職スケジュールを組むと安心です。
よくある質問(Q&A)
ここでは、日本版DBSについて現職の保育士が疑問に感じやすいポイントをQ&A形式でまとめます。
すでに働いている保育士も対象になりますか?
はい。日本版DBSは、新しく採用される保育士だけでなく、制度の対象となる施設で、既に働いている現職の保育士も対象です。
2026年12月25日の制度施行時点で、対象となる業務に従事している保育士などは「施行時現職者」として犯罪事実確認の対象になります。
「制度が始まる前から働いているから対象外」というわけではないため、現在保育園などで勤務している方も制度の仕組みを理解しておきましょう。
確認はいつまでに完了しますか?
現職者の区分によって、初回の確認期限が異なります。
施行時現職者は2026年12月25日の制度開始から3年以内、2029年12月24日までに犯罪事実確認をおこないます。一方、認定事業者で認定時点から働いている「認定時現職者」は、事業者が認定を受けてから1年以内に確認する必要があります。
対象者全員が制度開始直後に一斉に確認を受けるわけではないため、実際の確認時期は勤務先によって異なる場合があります。
性犯罪歴が判明したら解雇されますか?
性犯罪歴が判明したからといって、直ちに解雇されるとは限りません。
現職者に対象となる性犯罪歴が確認された場合は、まず子どもと接する対象業務から外し、子どもと接しない業務への配置転換や業務範囲の限定などを検討します。
配置転換などによって雇用を継続できる方法がないかを検討したうえで、それでも対応が難しい場合には解雇が検討される可能性があります。解雇できるかどうかは、雇用契約や就業規則、個別の事情などを踏まえて判断されます。
何度も確認を受ける必要がありますか?
はい。犯罪事実確認は一度受ければ終わりではなく、その後も5年ごとに再確認が必要です。
また、現在の勤務先で確認を受けたあとに別の事業者へ転職し、転職先で対象業務に就く場合には、5年を待たずに転職先で改めて犯罪事実確認を受けることになります。
そのため、長く同じ職場で働いている場合でも、転職する場合でも、一定のタイミングで繰り返し確認を受ける仕組みになっています。
まとめ
日本版DBSは、新しく採用される保育士だけでなく、すでに保育現場で働いている現職の保育士も対象となる制度です。
現職者には「施行時現職者」と「認定時現職者」があり、それぞれ犯罪事実確認をおこなう期限が異なります。また、一度確認を受ければ終わりではなく、その後も5年ごとに再確認がおこなわれます。
対象となる性犯罪歴が判明した場合も、直ちに解雇されるわけではありません。まずは子どもと接しない業務への配置転換や業務範囲の限定など、子どもの安全を確保しながら雇用を継続できる方法などが検討されます。
制度の開始を前に、「自分はいつ確認を受けるの?」「転職したらもう一度確認が必要?」など、不安を感じる方もいるでしょう。大切なのは、日本版DBSの仕組みを正しく理解したうえで、自分の働き方や今後のキャリアを考えることです。
もし転職を考えているものの、転職先の日本版DBSへの対応状況や退職・入職のタイミングに迷っている場合は、保育業界に詳しい転職エージェントへ相談する方法もあります。
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