保育士や幼稚園教諭として働いている方の中には、将来的に園長を目指したいと考えている方もいるかもしれません。
また、園長として働く場合、さまざまな選択肢がありますが、近年需要が高まっている『認定こども園』で働きたいと考える方もいるでしょう。
認定こども園の園長になるために必要な資格、仕事内容、年収など詳しくご紹介するので、下記のような方はぜひ参考にしてみてください。
- 園長の仕事をしてみたい
- 認定こども園で園長になりたいと考えている
- 幼稚園や保育園から認定こども園へ転職したいと考えている
目次
認定こども園の園長とは?
子どもに関わる施設で園長(管理者)として働く場合、保育園や幼稚園、その他の児童福祉施設などさまざまな選択肢があります。
その中の1つが、幼稚園と保育園、両方の機能を持ち合わせた施設、『認定こども園』です。
国会で、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立したことで、平成18年(2006年)に新しく設立されました。
認定こども園が設立された背景には、待機児童問題や、さまざまな家庭や保護者に多様なニーズが求められるようになったことが挙げられます。
また、認定こども園は、子育てに不安を抱える保護者をサポートする『地域子育て支援』としての役割もあるため、核家族化が進む日本では今後も需要が高まるでしょう。
なお、認定こども園とひと口にいっても、4種類に分かれます。
それぞれの違いは下記のとおりです。
種類 | 機能 | 特徴 |
幼保連携型 | 幼稚園 + 保育所 | 単一の施設として認定こども園の機能を果たす |
幼稚園型 | 認可幼稚園 + 保育所 | 幼稚園の要素が強い認定こども園認可幼稚園が預かり時間や年齢の枠を広げる |
保育所型 | 認可保育所 + 幼稚園 | 保育所の要素が強い認定こども園認可保育所が幼稚園の機能をプラス |
地方裁量型 | 認可外施設 | 保育所や幼稚園以外の保育施設が移行した認定こども園 |
認定こども園で園長として働く場合は、上記4つの選択肢があることを覚えておきましょう。
認定こども園は年々増加傾向にある
内閣府の資料によると、認定こども園の数は年々増えていることが分かります。
【認定こども園数の推移】
年度 | 認定こども園の数 |
平成23年 | 762 |
平成24年 | 909 |
平成25年 | 1,099 |
平成26年 | 1,360 |
平成27年 | 2,836 |
平成28年 | 4,001 |
平成29年 | 5,081 |
平成30年 | 6,160 |
平成31年 | 7,208 |
令和2年 | 8,016 |
令和3年 | 8,585 |
令和4年 | 9,220 |
近年は、保育園・幼稚園が認定こども園に移行するケースも見られるため、今後も認定こども園の数が増え続けていくことが予想されます。
今は幼稚園や保育園で働いていて、将来的に園長になりたいと考えている方は、認定こども園でのキャリアアップも選択肢の中に入れると、選択肢の幅が広がるでしょう。
参考:子ども家庭庁 『認定こども園概要』
内閣府 『認定こども園制度の概要』
内閣府 『認定こども園に関する状況について(令和4年4月1日現在)』
認定こども園の園長の仕事内容
ここでは、認定こども園で働く園長の仕事内容について詳しく解説していきます。
気になっている方は、ぜひチェックしてみてください。
保育園や幼稚園の園長との違いは?
園長の仕事内容について、一例をご紹介します。
なお、法人や園によっては業務内容に違いがあるので役職に就く前や転職をする際には、予め確認しておきましょう。
- 施設の安全管理・衛生管理
- 行政や自治体とのやりとり
- 運営費・補助金の計算
- 人事採用に関する活動
- 職員の指導・管理
- 園児の様子や家庭環境の把握
- 入園に関する相談や説明会の実施
- 保育に関する書類の最終確認
- 保護者対応
- 事故やトラブル・クレーム対応
園の安全管理や保育士への指導、外部とのやりとりをはじめ、トラブルが起きた場合の対応など、仕事内容は多岐にわたります。
認定こども園の園長と、一般的な保育園・幼稚園で働く園長とを比べても責任ある仕事としては大きな違いはありません。
しかし前述したように、認定こども園は保育園と幼稚園の要素を兼ね備えているため、両方の役割を理解した上で運営していく必要があるでしょう。
認定こども園の園長の年収
全国保育協議会によると、認定こども園で働く園長(施設長)の平均年収は次のとおりです。
- 幼保連携型認定こども園:614.9万円
- 保育所型認定こども園:573.9万円
認可保育園で働く園長(施設長)の平均年収は599.2万円なので、幼保連携型認定こども園の場合、園長の年収は高めとなります。
なお、役職手当の金額や給与形態は施設によって異なる可能性があります。
参考:全国保育協議会 『全国保育協議会会員の実態調査報告書2016』
認定こども園で園長になるための資格は?
認定こども園の園長に必要な資格は、施設の種類によって異なります。
【幼保連携型認定こども園】
幼保連携型認定こども園の場合は、保育と学校教育を一体的におこなう施設であるため、園長は『保育士資格』と『教諭免許状*』の2つの資格・免許が必要です。
くわえて、児童福祉事業もしくは教育職で5年以上の経験が必要となります。
ただし、これと同等の資質を有する場合は経験がなくても認められます。
【保育所型認定こども園】
保育所型認定こども園の場合、園長に必要な資格や規定は設けられていませんが、運営費の基準では、「児童福祉事業に2年以上従事した者」もしくは「同等以上の能力を有すると認められた者」と定められているため、その条件を満たしているのが望ましいでしょう。
【幼稚園型認定こども園】
幼稚園型認定こども園の園長は、教諭免許状*にくわえて5年以上の実務経験か、10年の教育職経験が必要となります。
ただし、同等の資質をもっていると認められた場合は特例として認められる場合もあるようです。
*専修・1種免許状のみ
【地方裁量型認定こども園】
地方裁量型認定こども園の園長は、「保育園の園長と同等の資質および能力を有する者」と定められています。
そのため、資格の規定は設けられていませんが、保育所型認定こども園と同様に、「児童福祉事業に2年以上従事した」もしくは「同等以上の能力を有すると認められた方」が望ましいでしょう。
なお、各都道府県の条例によって規定が異なる場合もあるため、働きたい自治体に確認するのがよいでしょう。
【免許・資格の併有促進のための経過措置について】
前述したとおり、幼保連携型認定こども園の園長は、『保育士資格』と『教諭免許状*』の2つの資格・免許が必要です。
しかしながら、中には両方の資格をもっていない人もいるため、国は2024年度末(令和6年)までの経過措置を設けました。
具体的には、幼稚園教諭免許状または保育士資格のいずれかを持っていれば、幼保連携型認定こども園で働けるというものです。
ただし、経過措置期間終了後は、両方の資格をもっている必要があるため、それまでに両方の資格を取得する必要があるでしょう。
なお、免許・資格取得を推進するために特例制度も設けており、資格要件の緩和もおこなっています。
どちらにしても、認定こども園で園長として働く場合は、両方の資格をもっている方が望ましいでしょう。
片方しかもっていないという方は、経過措置期間中に資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
*専修・1種免許状のみ
参考:厚生労働省 『幼保連携型認定こども園で勤務する保育教諭に係る保育士資格取得の特例について』
東京都福祉局 『新たな幼保連携型認定こども園の基準について』
千葉市 『千葉市幼稚園型、保育所型及び地方裁量型認定こども園認定等要綱』
認定こども園で働くためには?
認定こども園で働く場合、『保育教諭』の資格が必要です。
保育教諭になるためには、保育士資格と幼稚園教諭の免許が必要になります。
認定こども園の種類にもよりますが、幼保連携型認定こども園の場合は、両方の資格が求められます。
今はどちらか1つしか資格がないという方は、キャリアアップの1つとして取得を検討してみるのがおすすめです。前述したように、経過措置期間中であれば、従来よりもスムーズに資格が取得できるかもしれません。
認定こども園に転職するメリット
認定こども園に転職するメリットは大きく2つあります。
転職先の選択肢が多い
冒頭にも触れましたが、認定こども園は年々数が増えているため、将来性がある施設といえます。
認定こども園の求人を見てみることで、自分に合う条件の職場が見つかるかもしれません。
転職先の選択肢が多ければ、自分にとって理想の園が見つかりやすいといえます。
幅広い経験を積める
認定こども園で保育教諭としてキャリアを積めば、保育と教育2つの側面を学ぶことができます。
これまで保育士として長く働いてきた方は、教育に関する知識やスキルが学べるでしょう。逆に幼稚園教諭の経験しかない場合は、教育的な要素にくわえて、子どもの生活や情緒面を踏まえた関わりができるようになります。
また、認定こども園は、保育園と比べると行事が多い傾向にあります。
今まで行事が少ない保育園などで働いていた方は、行事の企画や準備、当日の進行など、新しく学べることが多いのもメリットです。
認定こども園の園長まとめ
ここまで、認定こども園の園長についての全体的なご説明や、転職するメリットも詳しくご紹介してきました。
認定こども園は、保育士や幼稚園教諭にとって新しい活躍の場といえます。
保育教諭としての経験が積めるので、キャリアアップしたい方におすすめの転職先です。
また、認定こども園は今後も施設数が増え、さらに需要が高まることが予想されます。将来的に園長を目指したいと考えている方は、認定こども園を選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか?
「自分に合う認定こども園に転職したい」「認定こども園で園長を目指したい」という方は、ぜひ保育士人材バンクにご相談ください。
今の状況やご希望を伺って、転職を一からサポートします。