保育園には、大きく分けると認可保育園と認可外保育園の2つあります。どちらで働くか迷っている保育士さんもいるのではないでしょうか?

本記事では、認可保育園で保育士になるメリットをご紹介しています。

また、保育の質改善と保育士の負担軽減に向けて、少しずつ動き出している「配置基準」についても分かりやすく解説しています。

認可保育園で働きたい方、認可保育園に転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください!

認可保育園に保育士はなぜ必要?

認可保育園に保育士はなぜ必要?【保育士人材バンク】

『認可保育園』とは、都道府県から認可された保育施設のこと。

児童福祉法に基づき設置基準を満たす必要があり、保育士や預かる園児の数、保育室の広さや、設備面などが国の基準によって定められています。

認可保育園として基準をクリアすれば、国から補助金を受けながら安定した運営ができます。

認可保育園はさまざまなルールを守って運営していく必要がありますが、とくに重要なのが配置基準です。

保育の配置基準とは、預かる子どもの年齢や人数に対して、保育士を何人配置するか定められたもの。

保育士の配置基準は、児童福祉法によって下記のように定められています。

  • 0歳児:3人に対して保育士1人
  • 1・2歳児:6人に対して保育士1人
  • 3歳児:15人に対して保育士1人
  • 4・5歳児:25人に対して保育士1人

なお、園児数がどんなに少なくても、保育園には最低でも保育士2人を配置しなくてはならないというルールもあります。

75年ぶりに保育士の配置基準が見直されました!

保育士の配置基準は1948年(昭和23年)に定められました。

しかし、保育士の質を向上するべく、子ども家庭庁は保育士の配置基準の見直しをおこないました。配置基準の見直しがおこなわれたのは、なんと75年ぶりです。

今回見直しがおこなわれたのは、次のとおりです。

  • 3歳児:20人→15人に対して保育士1人に見直し
  • 4・5歳児:30人→25人に対して保育士1人に見直し

昨今、さまざまな保育現場で、不適切な保育や事故などが起きています。

厚生労働省によると、自治体等に対して調査をしたところ、保育所22,720園のうち、不適切な保育をしていると事実確認がとれた園は914件もあることが分かりました。

配置基準の見直しによって、保育士の人数が手厚くなり保育現場に余裕が生まれれば、事故や不適切な保育を未然に防げるかもしれません。

なお、正式に配置基準が変わるのは、もう少し先になることが予想されます。

子ども未来戦略には、「当面は従前の基準により運営することも妨げない」 という明記もあります。

子ども家庭庁が出した「令和6年度保育関係予算案の概要」によると、1歳児についても、子ども6人から「5人に対して保育士1人」と配置基準を改善できるように進めていくとのことです。

参考サイト:

e-Gov「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項」

こども未来戦略会議「 次元の異なる少子化対策の実現に向けて」

子ども家庭庁「令和6年度保育関係予算案の概要」

保育士不足を改善するための配置基準の緩和

社会問題として問題視されていた待機児童問題ですが、2013年22,741人だった待機児童数は、2023年には2,680人まで減少しました(2023年4月1日時点)。

一方で、保育園は増え続けていますが、保育現場は保育士不足を抱えている状況です。

実際に、2024年4月の保育士有効求人倍率は2.42倍です(2024年4月時点)。

2023年よりは低くなっていますが、全職種の平均が1.18倍なので、依然として保育士が足りていないことが分かります。

未来を担う子どもたちの成長を見守りサポートする保育士という仕事は、社会から必要とされる尊い仕事です。

とくに、認可保育園の保育士は、地域の方の育児相談や保護者のサポートをおこなう役割も担っており、地域全体の子育てにも貢献しています。

AIなどの急激な発展により、将来的になくなる職業が出てくるかもしれないと言われる中で、保育士という職業はこの先も必要とされる仕事です。

社会的意義の大きい仕事であり、共働き世代が年々増加傾向にある中で、保育士の需要は今後も高まるといえます。

参考:

子ども家庭庁「令和5年4月の待機児童数調査のポイント」

子ども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」

厚生労働省「図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移」

公立と私立の違いは?

認可保育園といっても、公立保育園と私立保育園の2種類に分かれます。 

公立保育園と私立保育園の大きな違いは、運営元が異なることです。

公立保育園の運営元は地方自治体(市町村)になるので、保育士は公務員として働きます。

すなわち、公立保育園で保育士として働くためには、公務員試験に合格する必要があります。

一方、私立保育園の運営元は、社会福祉法人、民間企業、学校法人などさまざまです。

私立保育園の場合は、希望する保育園や法人の採用試験に合格する必要があります。

自治体が実施する公務員試験は、採用人数が限られていることや、倍率が高いことから、公務員保育士として採用されるのはひと握りです。

一方、私立保育園の場合はたくさんの園があり公務員保育士よりも職に就きやすいでしょう。

なお、公立保育園は、すべての園が国の認可基準を満たした認可保育園です。

私立保育園の場合は、認可基準を満たした認可保育園もあれば、認可を受けていない認可外保育園もあります。

公立保育園も私立保育園も、認可保育園の場合は、同じ認可基準のもと保育がおこなわれます。ただし、私立保育園の方が、独自の保育方針を掲げている場合が多いです。

認可保育園の給料は?

認可保育園の給料は?【保育士人材バンク】

認可保育園の給料はいくらくらいなのか、気になる方もいるでしょう。

公立保育園、私立保育園(認可保育園)で働く保育士の平均給料は次のとおりです。

▼公立保育園、私立保育園(認可保育園)で働く正社員保育士の平均給料

公立保育園私立保育園(認可保育園)
保育士の給料(月額)303,113円301,823円

保育士人材バンクに掲載されている求人情報を参考にすると、認可外保育園で働く正社員保育士の給料は、190,000円〜300,000円です。

認可保育園は、国の認可基準にしたがって運営しており、自治体から補助金を受けている分、保育士の給料も比較的安定しています。

エリアや運営母体によっても異なりますが、認可外よりも認可保育園の方が給料相場が高くなる傾向があるでしょう。

参考:e-Stat「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」

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認可保育園で働くメリット

認可保育園で働くメリットは次の3つです。

①給料が安定している場合が多い

認可保育園で働くメリットは、給料が安定している場合が多いことが挙げられます。

認可保育園は、国の認可基準に沿って運営しています。

保育士の給料も、国や自治体からの補助金にもとづいて支払われます。

そのため、給料や福利厚生などが安定している場合が多いです。

②保育士にとって働きやすい環境が整っている

認可保育園は、施設の広さや設備面が充実している場合が多いです。

また、保育士の配置基準や、開所時間など、厳しい基準のもと運営されているため、人手不足や過度な長時間労働などが起こりにくいといえます。

保育士にとって「働きやすい」「保育がしやすい」環境が整っているため、長期間安定して働きたいという方には認可保育園がおすすめです。

③保育士としてスキルアップが目指せる

認可保育園は、人材育成に力を入れている保育園が多いです。

前述したとおり、保育士の配置基準が厳格に定められているため、保育士の人数が安定しており、その分スキルアップのための研修などに参加できる機会が多いといえます。

また、運営費にも余裕があるため、その分、保育士の育成にも力を入れやすいのがメリットです。

スキルと経験を身につけて、保育士として成長していきたいという方には認可保育園が合っているといえるでしょう!

認可保育園の求人の探し方

認可保育園の求人の探し方【保育士人材バンク 】

認可保育園の求人を探す方法は次のとおりです。

ハローワークを利用する

厚生労働省が全国各地に設置している公共職業安定所、『ハローワーク』を利用することで、認可保育園の求人が見つかる可能性があります。

ハローワークは地元の求人情報が豊富にあるため、自分が住んでいるエリアの認可保育園が見つかりやすいのがメリットです。

ほかにも、職業訓練プログラムの実施や、セミナーの受講、面接対策などもおこなっています。

自治体のサイトをチェックする

自治体の運営するサイトで、認可保育園の求人情報が公開されている場合もあります。

とくに公立保育園の求人情報は、自治体のサイトで見つかりやすいでしょう。

公務員試験に関する情報も公開される場合が多いため、公立保育園で働きたい方はチェックしておくのがおすすめです。

さらに、自治体主催の合同説明会や、就職・転職フェアが開催される場合も少なくありません。

保育園のホームページをチェックする

保育園によっては、ホームページで求人情報を出している場合もあります。

保育園側が直接求人を出している分、詳細な情報がしっかり掲載されていることが多いのがメリットです。

気になる認可保育園があれば、こまめにホームページをチェックするのがよいでしょう。

知人や同僚に紹介してもらう

認可保育園で働いている知人や同僚に、求人を紹介してもらうのも1つです。

信頼できる知人や同僚からの紹介は、求人情報では分からないリアルな情報を得られるのがメリットといえます。

保育士の求人サイトを利用する

保育士専門の求人サイトを利用するのもおすすめです。

保育士専門の求人サイトは、地域、職種、雇用形態、希望条件などを入力して、自分に合った求人を探せるのがメリットです。

通勤時間などのスキマ時間を利用して、自分のペースに合わせて求人を探せます。

保育士専門の転職エージェントを利用する

「1人で転職活動するのが不安・・」「自分に合った認可保育園を探したい」という方は、保育士専門の転職エージェントを利用するのがおすすめです。

保育士専門の転職エージェントは、保育の転職事情に詳しいキャリアパートナーのサポートを受けながら、二人三脚で転職活動を進められるのがメリットです。

サイトには掲載されていない非公開求人を紹介してもらえたり、応募書類の添削や、面接対策、条件交渉などもお願いできたりと、手厚いサポートが魅力といえます。

働きながら転職活動したい方も、効率よく転職活動が進められるでしょう!

認可保育園の保育士まとめ

認可保育園で保育士になるメリットや配置基準についてご紹介しました。

認可保育園は、国の認可基準を受けて運営しているため、給料や職場環境が安定しているのが魅力といえます。

しかし、保育理念や保育園の雰囲気、人間関係などは、保育園によってさまざまです。

給料面などの待遇面はもちろんですが、保育理念や保育の雰囲気も重視したうえで、自分に合った保育園を選びましょう。

「自分に合った認可保育園で働きたい」という方は、お気軽に保育士人材バンクまでご相談ください!

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