病児保育士は、病気や病後の子どもの保育を行う保育士です。

病児保育士として働くには、保育士や看護師の資格があると、就職に有利です。今回は、病児保育士の資格のほか、持っておきたいスキルや職場についても、くわしく解説していきます。

病児保育士とは

病児保育士は、病気や病後の子どもを一時的に預かり、保育を行う保育士です。

病児保育事業は、1995年(平成7年度)に「エンゼルプラン」の中で、国の事業として制度化したもので、事業類型は以下の3つに分けられています。

  • 病児対応型・病後児対応型
  • 体調不良児対応型
  • 非施設型(訪問型)

病児対応型・病後児対応型

地域の病児と病後児を対象に病院や保育所などに設置された専用スペースで、看護師や保育士が一時保育を行います。

体調不良児対応型(保育園内対応)

特定の保育園などに通う園児が体調を崩した場合に、園内の専用スペースなどで、看護師や保育士が一時保育を行います。

非施設型(訪問型)

地域の病児と病後児を対象に、看護師や保育士が子どもの自宅に訪問して一時保育を行います。

病児保育士の仕事内容

病児保育士の仕事内容

病児保育士が預かるのは、病気か病後で登園や登校の許可が出ていない子どもたちです。

病児保育で最も重要なのは、子どもの体調をしっかりとチェックしながら、落ち着いた環境の中で保育を行い、体力の回復に努めることです。

とはいえ、病児保育士は基本的に医療行為を行いません。行うのは子どもの観察や見守り、検温などです。定期的な換気や消毒といった、感染対策も欠かせません。

子どもの状態によっては、病院と連携して医師や看護師に連絡、相談をしたり、受診につきそったりする場合もあります。

一般的な保育園のように、大きなイベントなどの実施をすることはあまりないでしょう。

病児保育士になるための資格

病児保育士に必要な資格は、保育士か看護師の資格です。ただ保育補助の場合には、資格が求められないこともあります。

また、スキルアップのため、すでに病児保育の経験がある保育士を対象にしたもので、研修を受講した後に課題やレポートの提出を行い、認定試験を受ける以下2つの民間資格もあります。資格を取得するには、研修費用と認定料がかかります。

・認定病児保育専門士【全国病児保育協議会】

・医療保育専門士【日本医療保育学会】
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病児保育士に必要なスキル

ここでは、病児保育士に必要な5つのスキルを紹介します。

・観察力

・判断力

・臨機応変な対応能力

・寄り添い力

・コミュニケーション能力

それぞれのスキルについてくわしく見ていきましょう。

観察力

病児保育士が預かるのは、病気の症状が出ているか病後でまだ体調が不安定な子どもです。子どもは大人のように、自分の体や体調について詳細に説明することができません。

だからこそ周りの大人が、子どもの表情やしゃべり方などをよく観察し、状態を見極める必要があります。

病児保育士は、その子どもについて一番の理解者である保護者に代わって保育を行います。

そのため、子どもをしっかりと見守り、ささいな状態の変化や違いに気づけるスキルを持つ必要があると言えます。

判断力

1つ目のスキルで紹介した「観察力」で子どもの異変に気付いたら、その異変に対して、何かしらの判断を行います。

ひとまず様子を見るのか、横になって安静にするかなど、病児保育では子どもの様子に応じて、1つひとつの行動の選択を求められます。

だからこそ病児保育士には、その場その場で正しい判断ができるスキルが必要なのです。

臨機応変な対応能力

元気なときと比べて子どもの様子に予測を立てるのが難しい場面もあります。

熱が急激に上がることや、嘔吐した、呼吸が頻回でゼイゼイしているなど、あらゆる変化を示す子どももいるでしょう。

病児保育士は、どんな状況でも冷静に臨機応変な対応ができるスキルが必要です。

寄り添い力

病気のときの子どもは、体調はもちろん、精神的にも不安定なこともあるでしょう。

特に病後保育では、最も信頼のおける保護者と離れ、不安で心細い気持ちでいる子どもが多いことも予想されます。

病児保育士は、1人ひとりの子どもの寂しさや不安な気持ちに寄り添い、子どもに対しては常に忍耐強く、穏やかで優しい言動を取ることが必要です。

また、子どもだけでなく、保護者にも寄り添う気持ちが大切です。

保護者は、体調の悪い子どもを心配し不安な気持ちを抱きながら働いています。

このようなことを理解したうえで親子両方の気持ちに寄り添い、細やかな配慮の姿勢で接しましょう。

コミュニケーション能力

病児保育士は、子どもや保護者はもちろん、一緒に働く保育士や看護師、病院の医師など、さまざまな人とコミュニケーションを取りながら保育を行います。

子ども本人や、関わりのある人からの情報を、保育に生かす必要があるからです。

保護者から体調の変化について話を聞いたり、医師から病状の説明を受けたりする、どの場面でも、コミュニケーション能力が求められます。

病児保育士として働くメリット

ここでは、病児保育士として働く4つのメリットを紹介します。

・少人数の子どもと関係づくりができる

・異年齢保育ができる

・体力的な負担が少ない

・責任とやりがいがある

病児保育士として働くイメージを、ふくらませてみてくださいね。

少人数の子どもと関係づくりができる

病児保育では、一度に大勢の子どもの保育をすることは、ほとんどありません。

「1日◯人まで」という人数制限を設けている施設が多く、1つの施設で病児は10人以下、病後児で、多くても20人ほどの子どもを預かる場合がほとんどです。

参考:厚生労働省「病児保育事業の運営状況に関する調査

また、子どもの年齢や病状で、いくつかのグループに分けて、数人の保育士で手分けして保育を行う場合もあります。

そのため、1人ひとりの子どもと時間を過ごす中で、親密な関係づくりができるでしょう。

異年齢保育ができる

利用者の子どもの年齢はさまざまですが、実際の調査によると、1歳の利用が最も多く、次に、0歳や2~5歳の未就学児の利用が多い傾向にあります。

参考:厚生労働省「病児保育事業の運営状況に関する調査

病児保育では、数名~20人ほどの少人数を、数名のスタッフで保育する場面が多く、基本的には、保育を行う子どもの年齢はバラバラです。

そのため、さまざまな年齢の子どもを同時に保育する、異年齢保育ができる機会が多いといえます。

体力的な負担が少ない

病児保育は、基本的に室内で行います。

病状が出ている子どもは、横になって休む時間があり、回復期にあたる病後の子どもも、室内で安静に過ごすことが大切です。

大きな行事などは基本的に無く、遊ぶとしても、おもちゃを使った遊びや図画工作などを、室内で行います。

そのため、あまり体力に自信のない方でも、働きやすいと言えるでしょう。

責任とやりがいがある

病気の子どもたちの保育をするため、子どもの状態をきちんと把握して、子ども1人ひとりに合った対応をする必要があります。

決まった時間に検温をすることや、感染症対策も大切なお仕事です。

子どもの健康を把握しながら責任のある仕事だからこそ、やりがいも伴います。

また、社会的にも病児保育士は、共働き家庭の保護者にとって、なくてはならない存在です。「いつもありがとうございます」「助かります」といった感謝の言葉をもらう機会が多いでしょう。

病児保育士として働ける場所

病児保育士として働ける場所

病児保育士として働ける場所は、主に以下4箇所あります。

・単独型施設

・医療機関併設の施設

・保育園併設の施設

・病児保育専門のシッター派遣業者(利用者の自宅)

それぞれの施設の概要は、以下の通りです。

  • 単独型施設

NPO法人や民間企業が運営する、病児保育を専門に行う施設で、看護師が常駐しています。

  • 医療機関併設の施設

病院や診療所などの医療機関に併設される形で設けられている、病児保育の施設です。小児科が敷地内にあることで、看護師や医師との連携が取りやすくなり、受診もすぐにできます。

  • 保育園併設の施設

保育園内の一室や、園に併設した専用スペースで、病児保育を行う施設です。

保育中に体調不良になった子どもなど、比較的軽症の子どもや、回復期にある病後児に限定して保育を行うケースが多いようです。

  • 病児保育専門のシッター派遣業者(利用者の自宅)

主にNPO法人や民間業者などが、病児保育専門のシッター派遣を行っています。この場合、それぞれの派遣業者などに登録をして、病児保育の必要な利用者の自宅に訪問します。

日によって異なる利用者の自宅に派遣され、基本的には子どもと2人きりの環境で、保育を行います。

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病児保育士のなり方まとめ

病児保育士は、病気の子どもを一時的に預かり、保育を行う保育士です。

病児保育士になるには、保育士か看護師の資格があると有利です。ただし、保育補助の仕事の場合には、資格は求められません。

病児保育士には、以下のようなスキルが求められます。

・観察力

・判断力

・臨機応変な対応力

・寄り添い力

・コミュニケーション能力

また、2024年現在、病児保育のニーズは増加しつつあり、働く場所も増えてきています。

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