保育士が活躍する職場は、保育園だけではありません。最近は児童発達支援や認定こども園、小規模保育施設など、さまざまな施設が増えています。今回は保育士の新しい働き方について詳しく紹介しますので、ご自身に合った働き方についてあらためて考えてみましょう。
目次
保育士の新しい働き方のご紹介
支援を必要とする子どもたちをサポートする施設や、小学生を対象とする施設など、最近では保育士のスキルを活かす場が増えています。保育士が活躍できる新しい職場や働き方にはどのような選択肢があるのか、詳しく見ていきましょう。
認定こども園
働く保護者にとっても、保育園と幼稚園の両方のニーズを満たせる認定こども園は非常に便利です。子育て支援のひとつとして国が推進してきたこともあり、認定こども園は大きく施設数を増やしました。
年度 | 全国の認定こども園施設数 |
平成19年 | 105件 |
令和4年 | 6475件 |
参考:都道府県別の認定こども園の数の推移 2007年(平成19年)~2022年(令和4年)
認定こども園は、保育園と幼稚園の機能を兼ね備えた施設で、就学前の子どもたちに保育と教育を提供する場です。保育園のように子どもを長時間預かるだけでなく、幼稚園のように教育カリキュラムに沿った学びの機会も提供しています。
認定こども園で働くには、「幼保連携型認定こども園」の場合、両方の資格を持つ「保育教諭」の配置が必須です。実際に保育・教育両方のスキルや知識が求められ、職員同士の細やかな連携も欠かせません。
保育士としては、保育だけでなく幼児教育にも深く関わることができるため、キャリアの幅を広げる機会となります。
児童発達支援
児童発達支援は、発達に遅れや障がいのある子どもたちに必要な支援を行う施設です。おもに0歳から6歳までの未就学児を対象に言葉や運動、社会性など個別のニーズに合わせた支援を行います。
一般の保育園と比べてより個別的な対応が求められ、専門的な知識も必要です。しかし、そのぶん子どもの成長が感じられたときのやりがいも大きく、保護者と子どもの成長を一緒に見守れるよろこびを感じられるでしょう。発達支援に関するスキルを磨くことは保育士としてのキャリアアップにもつながり、その後の転職でも強みとなります。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスでは、障がいを持つ小学生から高校生までの子どもを対象に、放課後や長期休暇中に支援サービスを行っています。児童発達支援と同じように子ども一人ひとりに合わせたサポートが行われますが、放課後等デイサービスのサポート内容には、学習支援や生活技能の向上を目指すプログラムも含まれるのが特徴です。
近年、放課後等デイサービスを利用する家庭が増えており、今後も需要が拡大していくと思われます。保育士の知識や経験を活かしつつ、障がいのある子どもたちが安心して過ごすための、地域や関係機関と連携していく経験やスキルも得られるでしょう。
小規模保育園
小規模保育園は、定員6〜19人の少人数制保育施設で、主に0歳〜2歳までの未就学児を対象としている施設形態です。2015年4月から認可事業として始まり、2023年からは3歳以上の子どもも必要に応じて受け入れられるようになりました。
小規模保育園は一度に保育する子どもの人数が少ないため、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな保育がしやすいのが特徴です。子どもたちが安心して集団生活を送れるように、乳幼児に適した家庭的な環境を作っています。
また、小規模保育施設にはパートタイムや時短勤務など、保育士自身のライフスタイルに合わせた働き方も豊富です。少人数ならではの保育環境を好む方にとって、魅力的な職場になるでしょう。
ICTを導入している保育園
ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)は、業務の効率化のためにさまざまな分野で導入されており、保育業界にも広まってきました。
実際にICTを活用している保育園では、書類作成や保護者との連絡、保育士間の情報共有がデジタル化され、事務作業の負担が大きく減っています。そのぶんの時間を子どもたちとの直接的な関わりや、ほかの業務に回すことができるのがメリットです。保育園で働き続けながら、働き方を見直したい場合にはICT化を進めている保育園への転職も選択肢のひとつです。
放課後児童クラブ(学童)
放課後児童クラブ(学童)は、放課後や長期休暇中の小学生を預かる施設です。社会的な需要もある学童は、共働きやひとり親家庭など、保護者が日中不在となる家庭の子どもが、安心して過ごせる環境を提供しています。
子どもたちの安全を守りながら、遊びや学習をサポートするのが保育士のおもな役割です。また、子どもたちの社会性や協調性を育む場としても重要な役割を果たしています。長時間子どもたちと接するため、日々の成長を見守ることができるのも、やりがいのひとつです。
保育士総合職(マネージャー)
保育士総合職(マネージャー)とは、一般的な保育士の業務に加えて、施設全体の管理や職員のマネジメントを行う役職のことです。通常の保育業務に加えて、保育士をまとめ、スムーズに保育運営できるようなサポートが求められます。場合によっては、保護者対応や施設運営に関する業務にも関わるため、広く客観的な視点が必要です。
最近は、保育施設の増加や、保育ニーズが多様化していることもあり、様々な問題を解決することができる総合的なポジションの必要性が増えていることでしょう。
キャリアアップを目指す保育士にとって、管理職に挑戦することは大きなステップアップになるでしょう。マネジメントや経営面での知識とスキルを習得できるため、長く働くためのキャリア形成としても魅力的です。
保育の仕事が向いている人
ここでは、保育士の仕事に向いている人の特徴について紹介します。自分に当てはまると感じたら、ぜひ保育士の道も検討してみてくださいね。
前向きに考えて行動できるひと
保育士として働いていると、ときどき子どもたちが思い通りに行動してくれない場面にも直面します。予想外のことが起きた時こそ、それを楽しみながら前向きに対応できる姿勢が大切です。
また、子どもたちを励ましたり指導したりする際には、マイナスな言葉よりも前向きな言葉がけが求められます。「こうすればできるよ!」「次はもっと上手にできるよ!」といった言葉で子どもたちをサポートするためには、保育士自身がポジティブなマインドを持つ必要があるでしょう。前向きな気持ちで日々の保育に取り組める人は、保育士の仕事に適しています。
見通しを立てて行動ができるひと
保育士には、一日のスケジュールを事前に計画し、見通しを立てて行動する能力が求められます。生活リズムを守りつつ、充実した一日を提供するためには遊びや学習、食事、昼寝などの活動をバランスよく組み入れなければいけません。状況に応じて柔軟に対応することも必要ですが、基本的にはあらかじめ決まった予定に基づいて日々の保育を進めるスキルが必要です。
また、年間行事やイベントに向けての準備も計画的に進めなければなりません。こうした予定を見通す力は、子どもたちが安心して過ごせる環境を整えるために欠かせないものです。
子どもの気持ちを感じ取れるひと
保育士にとって、子どもの気持ちを敏感に感じ取る力はとても重要です。子どもは感情や考えをまだ言葉で十分に伝えられないことも多いため、表情や仕草、声のトーンなどから、子どもの気持ちを感じ取ることが求められます。
たとえば、慣れない環境に子どもが不安になっていても、保育士が気付くことができれば、安心して過ごせるようすぐに配慮できます。保育士が子どもの気持ちを察して対応できることは、子どもたちの信頼を得るためにも大切です。
職場の探し方
保育士として働く職場を探す方法には、いくつかの選択肢があります。それぞれメリットとデメリットがあり、自分に合った方法を選ぶことがポイントです。ここでは、保育士の就職活動として代表的な方法を3つご紹介します。
ハローワーク
ハローワークは、全国に展開されている公共の職業安定所です。さまざまな職種の求人情報が提供されており、保育士資格を持っている方やこれから保育士として働きたい方が求人情報を検索できます。地域に密着した求人が多いため、とくに地元で働きたい方にとっては便利な方法です。
ハローワークを利用するメリットは、無料で職業相談を受けられて、面接対策や履歴書の書き方に関するアドバイスを受けられる点です。一方で、求人の詳細情報が少ない場合や、最新の求人情報がネットに比べてやや遅れることもデメリットとして挙げられます。
求人サイト
求人サイトは、インターネットを通じて保育士の仕事を探す際に非常に便利なツールです。検索機能を活用することで、自分の希望条件に合った職場を効率よく探すことができます。
求人サイトのメリットは、24時間いつでもアクセスでき、全国各地の求人を簡単に比較できる点です。大手求人サイトでは、転職に役立つコラムやサポート機能も充実しており、求職活動を総合的にサポートしてくれるのも強みです。ただし、気軽に多くの方が求人情報を得られるぶん、人気の求人は早く締め切られてしまうこともあるため、こまめにサイトをチェックする必要があります。
転職エージェント
転職エージェントは、保育士の転職活動をサポートしてくれる専門のサービスで、専任のキャリアアドバイザーが個別に相談に乗り、適切な求人を紹介してくれます。
転職エージェントの大きなメリットは、応募先企業との調整をエージェントと主に行い、効率的に転職を進められることです。給与や勤務条件にあう求人を見つける時間が無い時も、より希望に沿った条件での転職が実現しやすくなります。
また、面接対策や履歴書の添削といったサポートも提供してくれるため、初めての転職活動でも安心して進められるのが特徴です。
保育士の新しい働き方まとめ
保育士の働き方は保育園だけに限らず、認定こども園や児童発達支援、小規模保育施設など、選択肢が幅広くなっています。働ける職場が増え、保育士は自分のスキルやライフスタイルに合わせて柔軟に働くことができるようになりました。
管理職や総合職といったキャリアアップの道もあり、保育士としての成長機会も広がっています。保育士がさらにやりがいを感じられる新しい働き方を見つけ、自分に合った職場で活躍しましょう。
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