「病棟保育士」とは、入院中の子どもたちの保育にあたる保育士のことを指します。
給料面で比較的好条件のことが多く人気の職業ですが、求人数は多くありません。
この記事では、「病棟保育士」の仕事内容やなり方をご紹介しています。
また、仕事内容ややりがい、大変なことなども一緒にご紹介しますので、お仕事を検討されている方はご参考ください。
目次
- 1 この記事でわかること【病棟保育士】
- 2 病棟保育士とは?
- 3 病棟保育士になるには?
- 4 「病棟保育士」「医療保育士」「院内保育士」「病児保育士」のそれぞれの違いは?
- 5 病棟保育と「保育園」の違い
- 6 病棟保育士の仕事内容(業務内容)
- 7 病棟保育士の給料面・待遇の特徴
- 8 病棟保育士の雇用形態・勤務体制
- 9 病棟保育士の具体的な働き方をイメージしよう
- 10 病棟保育士の求人状況と探し方
- 11 病棟保育士になるために必要な能力・スキル4つ
- 12 病棟保育士のメリット・やりがい(魅力)
- 13 病棟保育士のデメリット(大変なこと・つらいこと)
- 14 病棟保育士として働くうえでの注意点!
- 15 病棟保育士に向いている人は?
- 16 病棟保育士に向いていない人は?
- 17 病棟保育士の採用を有利にするためにできること3つ
- 18 病棟保育士に応募する際の履歴書・職務履歴書の書き方
- 19 病棟保育士のまとめ
この記事でわかること【病棟保育士】
病棟保育士(医療保育士)とは、入院中の子どもの保育にあたる保育士のこと。
現在、保育の仕事を目指している方は、病棟保育士という仕事に興味があるかもしれません。
病棟保育士は病院内に配属される保育士で、0歳~18歳までの子どもに関わります。
ときに小さな子どもの親代わりとなったり、長期入院をしている子どもや保護者の相談相手になったりなど、病棟保育士は大切な役目を担います。
通常の保育園と比べて、また違ったやりがいを感じられる仕事です。
ただ、保育系の仕事としてはそこまでメジャーではなく、求人も多くはないため、詳しい情報を知りたい方も多いはず。
そこで、この記事では、病棟保育士の仕事内容や給料、なり方を解説しつつ、病棟保育士を目指したい方へメリット・デメリットや、向いている人・向いていない人の特徴などをご紹介します。
この記事を読むことで、具体的に病棟保育士として働くイメージがもてるようになり、病棟保育士の目指し方がわかります。
保育の仕事に興味がある方も、ぜひ知識として知っておくといいでしょう。
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしていただければと思います。
病棟保育士とは?
「病棟保育士」とは、病院の入院病棟に配属される保育士のことを指し、主にケガや病気で入院中の子どもの保育にあたります。
あくまでも保育の分野を担当するため、医療行為に関わることはありません。
病棟内に設置されたプレイルームが主な活動場所となることが多いですが、病院によっては病室から動けない子どもを訪問し、個別に保育を行うこともあります。
自治体からの補助金で運営される認可保育園と異なり、雇用元は病院(医療法人など)となるため、給料条件は保育園と比べて好条件となりやすい傾向があります。
病棟保育士の役割は、単に子どもと遊ぶことだけではありません。
保護者と離れて長期入院している子どもの親代わりとなったり、看護師だけでは対応しきれない保護者や子どもの心のケアにあたることもあります。
こうした業務は病棟保育士ならではであり、やりがいにもつながります。
知識や個々への繊細な対応など、求められる能力・資質も高いですが、保育に関わるプロとして、やりがいを感じながら働いていくことができるでしょう。
病棟保育士になるには?
病棟保育士(医療保育士)になるために必要な資格は、「保育士資格」のみです。
医療に関わる仕事ではありますが、特別な勉強や資格は必要なく、病院が出す求人に応募し、採用されることで病棟保育士になることができます。
保育士資格を取得するには、保育士養成学校を卒業する方法と、保育士の国家試験を受ける方法があります。
これから保育系の仕事を目指す学生の方であれば、試験が不要となる保育士養成学校へ進学する方法が一番スムーズでしょう。
「病棟保育士」「医療保育士」「院内保育士」「病児保育士」のそれぞれの違いは?
病棟保育士と似た言葉に、「医療保育士」「院内保育士」「病児保育士」などがあります。
これら「医療保育士」「院内保育士」「病児保育士」の違いについて、以下に詳しくご紹介します。
病棟保育士と「医療保育士」との違い
まず、病棟保育士と「医療保育士」は、ほぼ同じ意味で用いられます。「病棟保育士=医療保育士」と考えて問題ありません。
病棟に配属される保育士について、病院ごとに名称が異なっているため、二種類の呼び方がある状態となっています。
ただし、病院によっては、食事や排泄の補助など看護の分野に関わる業務を請け負う保育士を、医療保育士と呼び分ける場合があります。
病棟保育士と「院内保育士」との違い
病棟保育士と「院内保育士」は似ているようですが、対象となる子どもがまったく異なります。
病棟保育士は「入院中の子ども」を保育するのに対し、院内保育士は院内に設置された従業員のための保育所において「働く医師や看護師の子ども」の保育にあたります。
そのため、勤務先は同じ「病院」ですが、業務内容もまったく異なるため注意しましょう。
院内保育士について、詳しくは以下の記事でご紹介していますので、院内保育士の仕事が気になる方はあわせてご覧ください。
院内保育とは?院内保育で働きたい方必見!給料や求人の探し方、メリットなど詳しく解説
病棟保育士と「病児保育士」との違い
病児保育士とは、病児保育を行う保育施設において風邪などの病気の子どもの保育を行う保育士のことをいいます。
そのため、勤務先は病院ではなく、民間の病児保育施設などとなります。
病棟保育と「保育園」の違い
次に、病棟保育(医療保育)と保育園との違いをご紹介します。
保育園と異なる点としては、以下の4つがあげられます。
これら4つについて、以下に詳しくご紹介します。
病棟保育と保育園の違い①【決まった担当児はいない】
保育園と大きく異なる点が、クラス分けがなく、担当児が決められていない点です。
保育園の場合、通常は年齢によってクラス分けがされ、保育士は担当するクラス・年齢の子どもたちと1年をとおして関わっていくことになります。
一方、病棟保育士は入院期間中の子どもと関わっていくため、特に決まった担当児がいるわけではありません。
キッズスペースなどに配属される場合には、あそびにきた子どもや保護者と関わっていくことになるでしょう。
入院期間が長い子どもとは長く付き合っていくケースもありますが、基本的には退院までの付き合いとなり、日々、関わる子どもたちは入れ替わっていきます。
病棟保育と保育園の違い②【0歳から18歳までの子どもに関わる】
次に、病児保育と保育園の大きな違いが、関わる子どもの年齢です。
保育園の場合、保育を行うのは基本的に0歳~就学前までの子どもまでです。
一方、病棟保育士は小児病棟に入院するすべての子どもに関わる可能性があります。
未就学の子どもに対してはあそびの提供がメインの関わりとなりますが、小学生以上の子どもに対しても、学習面の支援をしたりなど、さまざまな関わり方をしていきます。
病棟保育と保育園の違い③【仕事量が比較的少ない】
仕事量では、保育園勤務の保育士よりも病棟保育士のほうが少ない傾向があります。
これは、病院では運動会のような大人数での大きなイベントが少ないためです。
病院によっては季節のイベントなどを行うところもありますが、基本的には小規模であり、イベント準備の業務も少ない傾向にあります。
病棟保育と保育園の違い④【医療についての知識が必要】
保育園勤務の保育士との違いとして、病棟保育士は医療分野の知識を身につける必要があることもあげられます。
基本的には、病棟保育士が医療行為を行うことはありませんが、さまざまな病状の子どもたちと関わるうえで、病気や医療に関する知識は必ず必要になります。
例えば、痰(たん)の吸引など医療的ケアが必要と感じたときは看護師に声をかけるなど、病棟保育士も医療知識を前提に配慮していかなければならないのです。
多くは働きながら少しずつ知識を身につけていくことになりますが、病棟保育士は自主的に医療知識を学んでいく姿勢が大切になります。
病棟保育士の仕事内容(業務内容)
病棟保育士(医療保育士)は、主に以下のような業務を担います。
これらの主な業務について、以下に簡単にご紹介します。
病棟保育士の仕事内容①【あそびの提供】
配属される病棟によっても業務内容が異なる場合がありますが、例えば病棟のキッズスペースに配置される保育士であれば、入院中にあそびにきた子どもと関わり、あそびの提供などを行うのが主な仕事です。
また、「季節に合わせた行事」も病棟保育士が企画運営します。
そのほか、個別に病室を訪問し、絵本の読み聞かせを行なったり、誕生日を迎えた子どもにささやかな誕生日会を開いてあげたりすることもあります。
限られたスペースのなかで子どもたちが飽きずに遊べるよう、お絵描きのための模造紙を用意したり、折り紙を用意したりなど、日によって提供するあそびを工夫するのも、病棟保育士の仕事です。
病棟保育士の仕事内容②【家族支援・心のケア】
キッズスペースには保護者同伴であそびにくることも多いため、病棟保育士は子どもだけでなく保護者とも関わっていくことになります。
そのなかで、保護者や子どもの相談に乗り、心のケアを行うこともあります。
病棟保育士の仕事内容③【環境整備】
病院という特殊な環境で、入院中の子どもたちが安心して楽しめる環境に整えることも大切な業務です。
楽しく季節感を感じられる空間にするために、空き時間には壁面の飾りを作るなど、病棟保育士は環境整備を行います。
また、入院中の子どもはウイルスに対する免疫が落ちていることも多いため、使用した玩具を毎回、点検・清掃・消毒し、安全に保つことも病棟保育士の重要な仕事です。
病棟保育士の仕事内容④【生活支援】
保護者が付き添えない子どもに対し食事や着替えのサポートを行ったり、小さな乳児には抱っこや寝かしつけを行ったりなど、病棟保育士は親代わりとなり生活全般の支援を行うこともあります。
病棟保育士の仕事内容⑤【医師・看護師と連携】
医師や看護師と連携しながら保育を行うことも、病棟保育士の重要な仕事です。
子どもの病状は一人ひとり異なり、配慮すべき点も異なります。
病棟保育士は看護師と一緒に毎日のカンファレンスに参加し、一人ひとりの病状を把握し、適切な対応をとれるよう勤めます。
医療の知識を深めるため、病院によっては疾患等の研修会に病棟保育士が参加することもあります。
病棟保育士の給料面・待遇の特徴
病棟保育士(医療保育士)は、保育職のなかでも比較的待遇が良いとされています。
以下に、病棟保育士の一般的な給料や待遇をご紹介します。
【給料面】一般的な保育園より高給になりやすい
運営母体によって差がありますが、求人情報などをみると病棟保育士の年収は350〜500万円ほどとなっています。
保育士の平均年収は330万円ほどとされているため、保育士の就ける仕事のなかでは比較的好待遇な仕事といえるでしょう。
病棟保育士の月収や年収は、一般的な保育園よりも高めになるケースが多いです。
理由として、病棟保育士を配置する病院は比較的大きな病院であるケースが多いことがあげられます。
病院の運営母体は、個人病院のほか、国立や県立、医療法人などがありますが、小児の大きな入院病棟が設置されている病院は、公立であったり大きな医療法人であったりすることがほとんどです。
そのため、福利厚生も充実しており、全体の給料水準も高めになります。
【待遇面】産休や育休がとりやすい(福利厚生が充実)
病棟保育士の待遇面では、「育休」や「産休」がとりやすい特徴があります。
これは、大きな病院では福利厚生が充実しているためです。
一般的に、病棟保育士の給料体系や待遇は、病院で働く看護師と同等になります。
病院では看護師の多くが女性であり、人員確保のため育休・産休制度が充実したところがほとんどです。
つまり、病院で働く病棟保育士も看護師と同等の福利厚生を受けられるため、産休や育休といった休暇もとりやすくなるのです。
なお、病棟保育士の勤務時間は基本的に日中のみであり、夜勤もありません。
そうした点を踏まえても、保育士の働く環境としてはかなり理想的といえるでしょう。
なお、病院が保育業務を外部に委託している場合には、外部の保育業者が雇用主となるケースもあります。
病棟保育士の雇用形態・勤務体制
病棟保育士(医療保育士)の雇用形態は、病院によって正社員・契約社員・パートなどさまざまです。
病棟保育士の配置は義務ではなく、病院ごとに雇用条件を定め、人員募集をしています。
そのため、病院によって雇用形態・待遇・勤務体制が大きく異なるのです。
例えば、小児病棟のキッズスペースにフルタイムの保育士1名のみ配置している病院もあれば、パート職員を数名配置し、シフト制勤務にしているところもあります。
県立や市立の病院の場合は平日勤務が基本になりますが、土日祝も保育士を配置している病院もあります。
求人への応募の際は、条件や雇用形態をよく確認する必要があるでしょう。
病棟保育士の具体的な働き方をイメージしよう
次に、病棟保育士(医療保育士)が配属される病棟や、どんな子どもとかかわっていくかについて、具体的にご紹介します。
また、キッズスペースに配置される病棟保育士を例に、1日の流れも簡単にご紹介していきます。
ぜひ、本章を参考に具体的な働き方をイメージしてみてください。
病棟保育士【病院内での配属先例】
病棟保育士が配属されるのは、基本的には子どもたちが入院している病棟です。
ただ、「手術用の病棟」「内科治療用の病棟」「リハビリ用の病棟」など、病院によって小児が入院する病棟は細かく分けられているケースがあり、どこに配属されるかによっても働き方が変わってきます。
以下は、病棟保育士が配属される病棟例と、仕事内容のイメージです。
小児病棟のキッズスペース
一般的に配属されることが多いのは、小児病棟内のキッズスペースです。
玩具や遊具が常備されており、あそびにきた子どもに対しキッズスペース内で保育を行います。
入院病棟(手術・内科治療)
手術や内科治療等によって長期入院中の子どもに対し、個別に病室を訪問しながら読み聞かせなどあそびの提供を行います。
医療病棟・短期入所病棟
術後の回復期を過ごす子どもや、レスパイトとして短期間だけ入院してくる子どもに対し、保育を行います。
こちらも専用のキッズスペースがあることが多く、主にキッズスペース内で活動します。
リハビリ入院(親子)
病院によって、リハビリ目的での親子入院専用の病棟を設けていることがあります。
親子リハビリ入院では、1か月程度の期間をリハビリをしながら過ごします。
その際に、プログラムとして保育的なあそびの提供や製作活動をすることがあり、保育士はあそびの考案や保護者への指導等にあたります。
病棟保育士【関わる子どもの例】
これから病棟保育士を目指してみたいと考えている方は、どんな子どもと関わるのか気になりますよね。
病棟保育士は、以下のようにさまざまな病状の子どもと接することになります。
保護者の付き添いはさまざまであり、完全看護ありとしている病院では乳幼児でも子どもだけで入院しているケースがあります。
病棟保育士を配置するような病院は大きな病院がほとんどであり、そうした病院には重い病気を抱えた子どもも多く入院しています。
日常生活にもさまざまな配慮が必要で、なかにはいきなり病状が急変してしまうケースも少なくありません。
病棟保育士は、覚悟をもってこのような子どもたちと関わる必要があり、日々の保育にも責任が求められます。
病棟保育士【一日の流れ(タイムスケジュール)】
病棟保育士の勤務時間は、基本的には9時〜17時ごろの日中勤務となります。
入院中の子どもたち一人ひとりの病状の確認のため、看護師と一緒に病棟のカンファレンス(申し送り)に参加したのち、配属先で業務開始となります。
1日を子どもたちと過ごしながら、空き時間には清掃や消毒を行なったり、壁面制作を作ったり、破れた絵本を直したりなど細々とした業務を行なっていきます。
一般的に残業になることはほぼなく、定時には退勤となります。
病棟保育士の求人状況と探し方
病棟保育士(医療保育士)の求人は、多くはありません。
給与や待遇がよいこともあり、人気の職種のため採用は狭き門といえるでしょう。
また、病棟保育士は少人数の勤務となることが多いため、保育士としての「経験年数」が重要視されるケースも少なくありません。
病院としても、即戦力となる人材を確保したいという気持があるのです。
そのため、新卒よりも転職や復職の方のほうが、採用されやすい傾向にあります。
病棟保育士の求人では経験年数が募集の条件となっていることも多いです。
求人募集の時期もこれといった傾向はなく、人が不足したときに募集をかけるケースが多くなっています。
そのため、病棟保育士の求人を探したいときは、こまめに「保育士求人サイト」やハローワークをチェックすることが大切です。
病棟保育士になるために必要な能力・スキル4つ
病棟保育士の求人は多くはないですが、もし採用されれば好条件のもと、やりがいのある仕事に就くことができます。
ただし、保育園の保育士よりも専門性が求められる病棟保育士には、それなりの「能力」「スキル」「資質」が必要です。
以下は、病棟保育士(医療保育士)に求められる主な能力・スキルです。
これら4つの項目について、以下に詳しくご紹介します。
病棟保育士に必要なスキル能力①【豊富な保育の知識やあそびの引き出し】
病棟保育士に重要なスキルのひとつが、”あそびの引き出し”です。
保育園と異なり、病棟保育では一般的に限られた環境の中で保育を行う必要があります。
限られた環境の中で子どもたちを楽しませられるかどうかは、病棟保育士の手腕にかかっていると言っても過言ではありません。
特に、長期入院をしている子どもは環境自体に飽きてしまい、同じ遊びでは楽しめなくなってしまうこともよくあります。そんなときに、保育士がさまざまなあそびを提案できると、子どもたちを楽しませることができるでしょう。
保育経験が少ない方でも、保育やあそびの知識は保育雑誌や書籍、ネットなどから集めることができます。
病棟保育士を目指したいのであれば、あそびや製作の引き出しをたくさん増やしておきましょう。
病棟保育士に必要なスキル能力②【子どもの状況に合わせた保育を考える発想力】
病棟保育士には、”発想力”も重要です。
例えば、ケガや手術で入院中の子どもは、寝たきりの状態から動けないこともあります。
そうした状況でも、「今日はペープサートをしよう」「手遊びをしよう」など、楽しめるあそびを提案できると、入院生活を楽しくさせてあげられるでしょう。
「〇〇ができない」「〇〇は禁止」など、子どもによって制限が多いなかで、どのようなあそびを提供するかは、保育士としての手腕にかかっており、やりがいにもつながる重要な役目です。
病棟保育士に必要なスキル能力③【いつも笑顔で対応できる力】
病気やケガで不安な子どもが多い病院内だからこそ、病棟保育士は「いつも笑顔」が重要です。
保育士がいつも笑顔でいることで、保護者や子どもたちも安心してあそびを楽しむことができます。
病棟保育士に必要なスキル能力④【なにがあっても動じない力】
病院では子どもの病状が急変することも少なくありません。
そんなときにも動揺せず、病棟保育士は落ち着いた対応をできる能力が必要です。
病棟保育士のメリット・やりがい(魅力)
次に、病棟保育士(医療保育士)のメリット・やりがい(魅力)をご紹介します。
病棟保育士のメリットとしては、給料や待遇面以外にも、以下の4つがあげられます。
これら4つについて、以下に詳しくご紹介します。
病棟保育士のやりがい①【一人ひとりの子どもと深く関われる】
集団生活を送る保育園と異なり、一人ひとりの子どもと深く関われるのは病棟保育士のメリットです。
その子に必要な保育をじっくり考え、個別に考えたアイデアを実践できるのは、病棟保育士ならではのやりがいにつながります。
病棟保育士のやりがい②【幅広い年齢の子どもとの関わり方を学べる】
病棟保育士は18歳までの子どもと関わる可能性があり、通常の保育園・保育施設では身につけられない幅広い年齢層の子どもへの関わり方を学べます。
幅広い年齢層との関わり方を学ぶことで保育の幅を広げることができ、保育士として大きな成長につながるでしょう。
病棟保育士のやりがい③【大変な状況の子どもや保護者に寄り添ってあげられる】
保護者と離れて暮らす子どもたちにとっては、病棟保育士は親代わりとなる重要な存在です。
愛のある関わりをしていくことで、精神的支えとなることができます。
入院中、不安そうだった子どもの顔が、日々の関わりによって明るく変わっていけば、それだけで大きなやりがいを感じられるでしょう。
加えて、病棟保育士は保護者と会話をする機会も多く、不安を抱えた保護者の気持にも寄り添ってあげられます。
長い入院生活で病棟保育士と話す時間を楽しみにしている保護者も多く、病棟保育士は保護者にとっても大切な相談相手となるのです。
病棟保育士のやりがい④【専門的な医療知識が身につく】
医療従事者の一員として働く病棟保育士は、日々さまざまな病状の子どもと関わっていきます。
そのなかで、医療分野の知識を身につける必要があり、医療を必要とするさまざまな状況の子どもやその対応法を知ることができます。
こうした状況は他の保育施設では体験し得ないものであり、病棟保育士ならではの専門性ともいえるでしょう。
長く務めることで、他にはない専門性をもった保育士として独自の知識・スキルを身につけていくことができます。
病棟保育士のデメリット(大変なこと・つらいこと)
大きなやりがいを感じられる病棟保育士ですが、デメリットもいくつか存在します。
以下は、病棟保育士のデメリットと呼べる部分です。
これら4つについて、以下に詳しくご紹介します。
病棟保育士のデメリット①【集団を扱うスキルは身につきにくい】
病棟保育士は、基本的に個別で子どもと関わっていくため、集団での活動や大規模なイベントを経験する機会は少なくなります。
そのため、集団を扱うスキルは身につきにくいといえるでしょう。
病棟保育士のデメリット②【退院と同時に子どもに会えなくなる】
退院と同時に関わった子どもと会えなくなるのは、病棟保育士のつらい部分です。
退院はうれしいことではあるのですが、関わりが深ければ深いぶん、寂しさも強くなります。
病棟保育士のデメリット③【何かあったときの責任が重い】
病棟保育士は、看護師と同じように医療従事者です。
子どもの命に関わる仕事をしており、配慮が欠ければ病状を悪化させてしまうこともあり得ます。
何かあった際に保育士にすべての責任がいくというわけではありませんが、自分の配慮不足で問題が生じれば、自責の念にかられてつらく感じてしまうこともあるでしょう。
病棟保育士のデメリット④【病気に対して無力感を感じることがある】
病棟保育士がどんなにがんばって愛情をかけたとしても、医師や看護師ですらどうしようもできない病気もあります。
関わった子どもに何かあれば、何もできないもどかしさを感じてしまうこともあるかもしれません。
病棟保育士として働くうえでの注意点!
大きなやりがいとともに、プロとしての配慮が必要な病棟保育士。
働くうえでは、いくつか注意しなければならない点があります。
病棟保育士(医療保育士)として働くうえでの注意点としては、主に以下3つがあげられます。
これら3つについて、以下に詳しくご紹介します。
注意点①【日頃から感染対策を徹底する必要がある】
勤務時だけでなく、日常生活から感染対策を心がけるのは、医療従事者として重要な注意点です。
小児病棟には、少しの感染で命にかかわる子どもが大勢入院しています。
保育士や従業員が外部から菌をもちこめば、病院や病棟を封鎖しなければならないような事態に陥ることも考えられます。
病棟保育士として働くのであれば、医療従事者としての自覚を持ち、公私ともに意識的な感染対策をしていく必要があるでしょう。
注意点②【医師や看護師との連携を大切にする】
病棟保育士は、医師や看護師との連携が欠かせません。
勝手な判断で動いてしまうと、病状や命に関わることもあるため注意が必要です。
例えば、手術前に絶食の子どもに水を飲ませてしまっただけでも、手術の予定が狂うこともあります。誤嚥(ごえん)のある子どもであれば、水の誤嚥(ごえん)から命に関わるケースもあります。
子どもからの要求があったとしても、常に最悪のケースを想定し、医師や看護師に相談しながら対応することが非常に重要です。
注意点③【医療や病状に関することは子どもや保護者へ話さない】
病棟保育士は看護師と一緒にカンファレンスに参加するため、子ども一人ひとりの病状を知ったうえで業務にあたります。
しかし、医療や病状に関することは、勝手に子どもや保護者へ話さないよう注意が必要です。
「こんな治療をするらしいから、きっとよくなるよ」など、医師が説明していないことを保護者や子どもに勝手に話をしてしまうと、問題になることもあります。
医療的な説明は医師や看護師から行うものと理解し、知っていても勝手に話さないことが大切です。
病棟保育士に向いている人は?
さまざまな能力・スキルが求められる病棟保育士ですが、次のような人には向いているといえます。
これら5つの特徴について、以下に詳しくご紹介します。
病棟保育士に向いている人①【一対一の関わりを大切にしたい人】
集団での活動よりも、子ども一人ひとりとじっくり向き合いたい人には、病棟保育士の仕事は向いています。
一般的な保育園では、集団での活動が主となるため、個別にじっくり関わる時間は少なくなる傾向があります。
その点、病棟保育士なら、一人ひとりとじっくり向き合いながら、”深い絆”を紡いでいくことができます。
病棟保育士に向いている人②【子どもだけでなく保護者にも寄り添いたい人】
病棟保育士は、不安な保護者に”寄り添ってあげたい”という気持ちをもった人にも向いています。
子どもの付き添いで長い期間を病院で過ごす保護者にとって、病棟保育士との会話の時間は医師や看護師ではできない話もできる大切な時間です。
保護者の気持ちを大切に聞いてあげられる人であれば、病棟保育士として保護者の方の助けになることができるでしょう。
病棟保育士に向いている人③【製作物の作成が得意な人】
誕生日カードや壁面制作など、制作物の作成が得意な人も、病棟保育士に向いています。
病棟保育士は病室から出られない子どもに対し製作物をプレゼントしたり、誕生日を迎えた子どもには誕生日カードやケーキの製作物などを作ってあげたりすることがあります。
個別にゆっくり関われるからこそ、製作に手をかけることができるのは、病棟保育のメリットです。
製作が得意な人であれば、子どもや保護者にも喜んでもらえるでしょう。
病棟保育士に向いている人④【常に学び続ける姿勢をもった人】
新しいことを学ぶことが好きな人や、常に学び続ける姿勢をもった人も、病棟保育士に向いています。
病棟保育士が学ぶ知識としては、例えば、保育やあそびの知識や、さまざまな病気に関する知識などがあげられます。
常に知識をアップデートし蓄積していくことで、プロ意識をもって長く働き続けることができるでしょう。
病棟保育士に向いている人⑤【ピアノが得意でない人】
ピアノが得意でない人も、病棟保育士なら問題なく働くことができます。
病棟保育ではピアノは必須ではなく、ピアノ自体が設置されていない病院も多くあります。
ピアノが苦手でも、製作やあそびの知識が豊富であれば、十分に病棟保育士として役目を果たすことが可能です。
病棟保育士に向いていない人は?
病棟保育士に向いていない人は、以下のような人です。
これら2つのタイプについて、以下に詳しくご紹介します。
病棟保育士に向いていない人①【集団イベントで達成感を味わいたい人】
通常の保育園のような「運動会」や「発表会」などの大規模な行事を経験してみたい人にとっては、病棟保育士は物足りない可能性があります。
病棟保育の場合、イベントはあっても非常に小規模です。
大人数でのイベントのような達成感は味わえないでしょう。
病棟保育士に向いていない人②【医療知識などの専門的な学びに意欲がない人】
積極的な学びの姿勢がない人には、病棟保育士は向いていません。
病棟保育士はさまざまな病気の子どもたちを相手にするため、保育のみならず病気に関する医療知識も常に学んでいく必要があります。
そうした学びに意欲がなければ、最悪の場合、子どもたちの”命を危険にさらす”ことにもなりかねません。
学びへの意欲は、プロとしての覚悟でもあります。
覚悟のない人は、人の命を預かる医療従事者になるべきではありません。
病棟保育士の採用を有利にするためにできること3つ
病棟保育士(医療保育士)の求人は非常に少なく、募集があったとしても採用は簡単ではありません。
採用されるためには、「保育経験」に加え、「医療保育にかかわる経験」などが重要です。
新卒の場合などは保育経験がなく採用は難しいと考えるかもしれません。
しかし、採用を有利にするためにできることはいくつかあります。
採用を有利にする方法は、以下の3つです。
これら3つについて、以下に詳しくご紹介します。
「医療保育専門士」の資格を取得する
病棟保育士の採用を有利にする資格としては、「医療保育専門士」があります。
医療保育専門士とは、2007年に日本医療保育学会が創設した認定資格で、病児保育・障害児保育に関わる保育士の専門性を証明するものです。
医療保育専門士の資格を取得しておくことで、医療の知識を備えた保育士として採用者から認められやすくなります。
ただし、医療保育専門士になるには、日本保育医療学会が定める一定の基準を満たす必要があります。
【参照サイト】一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士」資格認定実施要綱
これらの基準を満たしたうえで資格認定研修に参加し、レポートや論文を提出、面接による口頭試問に合格すれば、医療保育専門士の資格を取得できます。
医療にかかわる保育施設や障害児施設で勤務経験のある方は、病棟保育士に転職や復職をする前に、資格取得を検討してみるといいでしょう。
その他、病棟保育士は子どもや保護者の心のケアも担うため、「心理系」資格の取得もアピールポイントになる可能性があります。
医療や保育のセミナーに参加する
病児保育研修などの医療・保育のセミナーに積極的に参加することでも、意欲をアピールすることにつながります。
セミナー参加をアピールポイントとして伝え、採用者に意欲が伝われば、採用に有利にはたらく可能性があるでしょう。
セミナーに参加したことは履歴書の自己PR欄などに記載しつつ、そこから学んだことや、病棟保育士としてどのように経験をいかしていくかなどをあわせて記載するといいでしょう。
病院の保育ボランティアに参加する
学生や保育経験がない方の場合には、病院や病児保育などを行う施設の保育ボランティアに参加してみるのもひとつの方法です。
保育ボランティアの募集は、保育学校のボランティアサークルや、病院独自の募集、NPOの活動、自治体のボランティアセンターや社会福祉協議会などさまざまな団体で行われています。
保育士資格のない学生でもOKのところもあるので、探してみるといいでしょう。
貴重な社会経験となり、採用時のアピールポイントにもなります。
病棟保育士に応募する際の履歴書・職務履歴書の書き方
病棟保育士(医療保育士)の求人に応募する際は、履歴書の書き方が非常に重要です。
採用枠に対し応募者が多くなるケースが想定されるため、他とは異なる自分だけの「経験」や「強み」をアピールしましょう。
以下に、採用者の目にとまる志望動機・自己PRの書き方と、面接のポイントをご紹介します。
志望動機・自己PRの書き方のポイント
志望動機では、なぜその病院を選んだのか、理由を具体的に書くことが大切です。
「前の職場より条件がよいから」などの自分本位の理由ではなく、相手に熱意が伝わるような書き方で記載しましょう。
自己PRでは、自身の得意なことや経験を踏まえ、病院にとって自分がどのように役に立つかを具体的にアピールできると良いでしょう。
病棟保育士の面接のポイント
面接で大切なポイントは、「笑顔」と「清潔感」です。
書類審査を終えた面接では、人柄をみることがほとんどです。
服装に清潔感があり、明るい人柄だと感じられれば、採用者も安心して採用に踏み切れます。
また、質疑応答では「自分の考え・信念をもっているか?」をみられます。
履歴書に記載の内容と一貫性をもたせつつ、「ハキハキとした受け答え」を心がけましょう。
質問内容を想定し、あらかじめ答えを用意しておくと安心です。
病棟保育士のまとめ
病棟保育士は責任も伴いますが、とてもやりがいのある仕事です。
募集が少なく狭き門ではありますが、採用されれば好条件で働いていけるでしょう。
少ない求人を見つけて応募するためには、こまめな情報収集が重要です。
「保育士求人サイト」やハローワークなどをいくつか登録し、求人がないかを定期的に確認するといいでしょう。
また、保育士人材バンクでは保育士に特化したキャリアパートナーが、転職をサポートいたします。
「今より好条件の職場で働きたい」「保育士の資格を活かした転職をしたい」「そもそも求人ってどんなものがあるの?」など、転職に関するご相談をお気軽にいただければと思います。
ぜひ、この機会に保育士人材バンクでに登録をしてみてくださいね。