保育士の就職先は認可保育園や認定こども園をはじめ、さまざまな特徴や働き方が異なるさまざまな職種があります。
今回は保育士資格を活かせる就職先やその選び方について詳しく解説しますので、自分に合った職場探しにぜひお役立てください!
目次
保育士の就職先紹介7選
保育士資格を活かせる就職先は多岐にわたります。ここでは、保育園を中心に保育士が働ける一般的な職場をご紹介します。
認可保育園

保育士と聞いてすぐに思い浮かぶ職場は保育園ではないでしょうか。保育園は全国各地にあり施設数も多いので、多くの保育士が実際に保育園で働いています。
保育園にはいくつかの種類があり、そのうち自治体が定めた厳しい基準や審査をクリアして運営されている施設が認可保育園です。自治体や社会福祉法人などが運営していることから経営が比較的安定しており、福利厚生や給与面の待遇も期待できます。
施設の規模はさまざまですが、年間のカリキュラムに基づいた計画的な保育やイベントが企画・運営されるのが一般的です。研修や新人育成に力を入れているケースも多いため、保育士としての基本的なスキルを学びやすい環境といえます。
定員が多い施設も多いため、集団保育での対応力や保育士同士のチームワークが求められます。自分の保育観に合った園を見つけることが、やりがいを持って働くポイントです。


認可外保育園
保育園のうち、自治体の認可基準を満たしていない施設を認可外保育園といいます。「基準を満たさないと、保育の質も下がるのでは」と思う方もいるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。認可外保育園は認可保育園よりも運営の自由度が高く、独自の保育方針で柔軟に保育を行うために、あえて認可を受けないケースも想定されるからです。
各施設の特色が大きい認可外保育園の仕事を探す際は、保育園の保育方針や保育内容を確認しておくことがポイントです。認可保育園と比べて給与や労働条件にばらつきがあるため、契約内容も見逃さないようにしましょう。
認可外保育園は保育内容の自由度が高いぶん、自分のアイデアやスキルを活かしやすい点が魅力です。
認定こども園
認定こども園は、保育園と幼稚園の機能を兼ね備えた施設で、保育士資格や幼稚園教諭免許を活かして働く場として人気があります。保育と教育を組み合わせた保育方針に基づき、子どもの成長をさまざまな視点で支えます。
認定こども園では、0歳から就学前までの幅広い年齢層の子どもたちと関わるため、乳幼児保育から幼児教育まで幅広いスキルが求められます。たとえば、乳児にはきめ細かなケアを、幼児には集団活動で必要な社会性や学びの場を提供することになるでしょう。
認定こども園にはいくつかの種類がありますが、そのうち「幼保連携型認定こども園」で働く「保育教諭」には、原則として保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が必要とされています。2025年(令和7年)現在、どちらかの資格があれば勤務できる経過措置中ではありますが、今後は両資格を持っていれば大きな強みになるでしょう。
小規模保育事業

小規模保育事業は、おもに0歳から2歳までの子どもを対象としている少人数制の保育施設です。少人数ならではの環境を活かし、一人ひとりの子どもに寄り添った細やかな保育が行いやすい点が特徴となっています。
乳幼児保育に特化したい方や、アットホームな雰囲気で働きたい方にとっておすすめの職場です。また、家庭的な雰囲気を重視する園も多いため、子どもたちとの密な関係性や信頼関係が大きなやりがいにつながります。
託児所
託児所は、一時的な保育を行うための施設です。商業施設や企業内に設置されており、保護者の通院や用事リフレッシュのためなど、幅広い目的で利用されています。
毎日通う保育園とは異なり、その日ごとに利用者がことなる託児所では、限られた時間で子どもとコミュニケーションを取らなくてはいけません。託児所で身に付けたスキルは、別の保育施設でも役立てることができるでしょう。
利用者のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が託児所の魅力です。一般的な保育士よりも短期間に多くの子どもや保護者と接し、幅広い経験を積むことができます。
院内保育園
院内保育園は、医療従事者の子どもを預かる認可外保育施設です。病院内に設置されており、医療従事者の勤務時間に合わせた保育時間で子どもを預かります。通常の保育園とは異なり夜間保育や土日保育、長時間保育を行っている施設が多く、保育士の勤務もシフト制が一般的です。
保護者の職場内で保育する特徴を活かし、勤務時間の共有や子どもの体調不良時の連絡など、常に連携しながら保育を行っています。保護者と直接コミュニケーションを取る機会が多いため、家庭の事情に寄り添った保育を実践できる点が魅力です。
事業所内保育園
事業所内保育園は、従業員の子どもを預かるために、企業内もしくは近隣に設置された認可外保育施設です。施設の保育時間は企業の勤務形態によって異なり、土日休みの企業なら保育時間は平日がメインとなり、シフト制や夜勤のある企業なら保育士も合わせてシフト制になります。
事業内保育園は比較的小規模なため、少人数での運営で一人ひとりの子どもと丁寧に向き合う保育ができます。アットホームな環境で働きたい方や、フレキシブルな働き方を希望する場合におすすめです。仕事探しをする際は、運営元である企業の勤務形態についても確認しておきましょう。


保育園以外の就職先
保育士資格を活かせる職場は、保育園だけではありません。ここからは保育以外の仕事ができる職種の特徴や魅力をご紹介します。
幼稚園

幼稚園は、3歳から就学前の子どもを対象とした教育施設です。保育士のなかには、幼稚園教諭免許も持っている方が多く、幼稚園への転職も選択肢のひとつになるでしょう。
幼稚園では遊びを通じて教育的なカリキュラムを提供しています。保育園と比べると、「学び」に関する保育内容が多いのが特徴です。運動や音楽、英語学習など、どこかに特化し熱心に取り組んでいるケースもあり、幼稚園によって特色が異なります。
また、幼稚園は土日休みや長期休暇が確保されていることが多く、まとまった休息やプライベートの時間を持ちやすい環境です。クラス担任として一人で業務を進める機会が多いため、保育アイディアが豊富な方や、自分のペースでクラス運営をしたい方にもおすすめです。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障がいを持つ小学生から高校生までの子どもを対象に、放課後や長期休暇中の生活スキル向上をサポートする施設です。子どもの特性に応じた個別対応が必要で、保育士としての柔軟な対応力が活かされます。
活動内容は学習支援や社会性を育むためのプログラムが中心で、子どもの成長を間近で支えるやりがいがあります。保護者との密な連携も求められるため、保育園で培った保護者対応のスキルも役立つでしょう。障がい児支援に特化した経験を積みたい保育士におすすめの職場です。


児童発達支援
児童発達支援は、0歳から6歳までの未就学児を対象に発達支援を行う施設です。言葉や運動、社会性の発達を促すために個別や小グループでの活動を行います。
児童発達支援での保育士の役割は、子どもたち一人ひとりの成長に寄り添いながら、支援計画に基づいた保育を行うことです。保育園で培った観察力やコミュニケーション能力が大きな強みとなります。専門的な知識を活かして働けるため、身に付けたスキルは児童発達支援に留まらず保育園や認定こども園でも役立つため、その後のキャリア形成にもつながります。
学童クラブ

学童クラブは、放課後や長期休暇中の小学生が過ごす安全な環境を提供する施設です。おもな業務で宿題のサポートや遊びの計画・実施、安全管理などで、保育士資格を活かして働くことができます。
小学生を対象とするため、保育園とは異なる年齢層に対応するスキルが求められますが、子どもたちの自主性や社会性を育む重要な役割を担う点では共通しています。保護者とのコミュニケーションや日々の報告業務も多く、保育士としての経験が活かせる職場です。
児童館
児童館は、地域の子どもたちが自由に遊びや学びを楽しめる場を提供する施設です。未就学児から中学生まで幅広い年齢層を対象とし、そこで働く職員は自由遊びの見守りやイベントの企画運営、地域活動のサポートなどを行います。
年齢の異なる子どもが訪れても遊びやすいように遊具の設置場所を決めたり、興味を引くイベントを企画する際に、保育士としての経験やスキルが大いに役立つでしょう。児童館では年間を通じて多くのイベントを開催するため、行事の企画力や運営スキルが求められます。地域の保護者や関係機関と連携する機会も多く、コミュニティに密着した働き方ができる点が特徴です。
就職先の選び方
「良い職場」の条件は、人によって異なります。収入を重視する方にとっては給料の水準が大事なポイントになりますし、子育て中の方なら生活圏内にある近隣の保育園がもっとも条件が良い職場になる可能性があります。
保育士の仕事探しを成功させるためには、まず「ここだけは譲れない」と思うところや「絶対に避けたい」ポイントを洗い出しておくことが大切です。どのような視点で比べていいのか分からないという方は、以下の点を参考にしてみてください。
給料で選ぶ

多くの方にとって、給与は重要なポイントのひとつです。いくら保育にやりがいを感じていても、生活にゆとりがなければ、仕事でも気持ちに余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。保育園のなかでは、自治体の支援を受けている認可保育園が給与や福利厚生が比較的安定しているといえるでしょう。
また、手当やボーナスの内容も重要です。資格手当や役職手当、住宅手当などが充実している施設では、一見手取り収入が低くても、手厚い福利厚生で出費が抑えられたり、収入面でのメリットが大きい場合があります。
さらに、自治体によっては独自の支援制度で保育士の生活をサポートしていることにも注目です。ご希望の地域に保育士を対象とした支援が導入されているか、確認してみるのもおすすめです。
スキルアップ・キャリア形成できる保育園を選ぶ
保育士としてスキルアップやキャリア形成を目指すなら、研修制度が充実している保育園やキャリアアップ研修に積極的な保育園を選びましょう。たとえば、「保育士キャリアアップ研修」を受講することで「職務分野別リーダー」や「専門リーダー」などの役職に就きやすくなり、給与アップや責任のあるポジションへの昇進が期待できます。
また、保育方針や教育理念に力を入れている保育園では、保育士としての専門性を深める経験ができるでしょう。モンテッソーリ教育や自然保育など、特色ある保育を実践している園で働くことで、自分の得意分野を伸ばすことができます。そうした経験は、将来的なキャリアアップにもつながりやすくなります。
スキルアップやキャリア形成に適した保育園で学んだ知識やスキルは、保育士として長く働き続けるための武器となります。チャレンジを応援してもらえる環境を見つけることで、より充実したキャリアを築けるでしょう。
園の規模で選ぶ
園の規模は、働き方や職場環境に大きく影響します。大規模な保育園では、職員数が多いため保育士は一丸となりチームで保育を進めるのが一般的です。保育士には協調性やチームワークが求められますが、一方で行事やイベントの運営など、マンパワーを十分に活かして、効率的に保育業務を進められる点が強みです。準備が多い大型の行事や人手が必要な保育内容も、積極的に提供できます。
小規模保育園では、家庭的でアットホームな雰囲気が魅力です。一人ひとりの子どもと深く関わることができ、小さな成長も見逃さない密な保育ができます。少人数ならではのきめ細かな保育を大切にしたい方には、小規模な園が適しているでしょう。


保育方針で選ぶ
保育園によって、保育方針や教育理念はさまざまです。たとえば、子どもの自主性や創造性を育むことを重視している保育方針では、保育士はできるだけ介入せず、子ども同士で考え、相談する姿を大切にしています。また、少し難しい課題を提供することで子どもの成長を促している保育園では、運動や楽器演奏などを取り入れ子どもの「もっと上手になりたい」という気持ちや成長を促しています。
保育方針が自分の価値観や保育観に合っていれば、日々の業務にやりがいを感じやすくなります。職場探しをしている段階で保育方針を必ず確認し、共感できる理念を持つ職場を選びましょう。
保育士の負担軽減に積極的な園を選ぶ

長く働き続けられる職場をお探しなら、保育士の負担軽減に積極的な保育園がおすすめです。たとえば、ICT(情報通信技術)を導入している園では、書類作成や保護者との連絡などがデジタル化され、事務作業の効率があがります。ICT化で生み出された時間のぶん、子どもと直接関わる時間が増え、より充実した保育が可能になるでしょう。
IT技術は日々進化しており、保育業界のICT化も施設によって差がありますが、「働きやすさ」を比較する際のものさしのひとつとして注目してみてください。
自分に合う就職先を見つけるには
自分の重視する条件がはっきりと定まったら、いよいよ職場探しのスタートです。求人情報を確認する方法はいくつかあり、それぞれ特徴が異なります。
以下に代表的な方法を挙げてお伝えします。
<求人の探し方>
ハローワーク | 地元密着型の求人情報が多く、履歴書作成や面接練習など総合的なサポートが受けられます。初めての転職活動でも安心して利用できるのがポイント。 |
自治体のサイト | 地域特有の求人や独自の支援制度を探せます。補助金や家賃補助の情報も掲載されている場合があり、地元就職に便利です。 |
求人サイト | インターネットで手軽に求人検索が可能です。非公開求人や口コミ情報が充実しているサイトを活用することで、効率的な情報収集ができます。 |
転職エージェント | 保育士業界に特化したプロのアドバイスが受けられます。応募書類の添削や面接対策をしてくれるほか、非公開求人を紹介してもらえることも魅力です。 |
友人や知人の紹介 | 実際の職場環境や人間関係など、リアルな情報を聞けます。紹介者の信頼がある場合、採用される確率が高まることもあります。 |
施設に直接問い合わせる | 気になる施設に直接連絡を取り、求人が出ていなくても採用を検討してもらえることがあります。見学を通じて現場の雰囲気を確認できるのも利点です。 |
プロに相談したい方は、転職エージェントの利用がおすすめ

「良い求人を見分けるのが苦手」「自分の強みが分からない」という悩みを持つ方には、転職エージェントの利用がおすすめです。エージェントは保育業界の動向に詳しく、希望条件に合った求人を提案してくれるだけでなく、給与交渉や勤務条件の調整も代行してくれます。
また、非公開求人を紹介してもらえるのもエージェントの大きな魅力です。これらの求人には、好待遇の施設も多く含まれており、理想の職場に出会える可能性が高まります。
さらに、履歴書の添削や面接対策といったサポートも充実しているため、初めての転職活動でも心強い味方となります。特に、今現在働きながら仕事探しをしている忙しい保育士にとって、転職活動をスムーズに進められるのは大きなメリットです。
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保育士の就職先まとめ
保育士資格を活かせる職場は、保育園だけにとどまりません。認可保育園や認定こども園、小規模保育事業などの一般的な選択肢から、児童発達支援や学童クラブなど幅広い就職先があります。
自分に合った職場を見つけるためには、希望条件を明確にすることが大切です。さらに、保育士人材バンクのような転職エージェントの活用で、希望に沿った職場に出会える可能性がぐっと高まります。自分らしく働ける職場を見つけ、新たなステージで活躍しましょう。