保育士の勤務時間は、一般的なフルタイムだけでなく、勤務スタイルによってさまざまです。また、施設によっても大きく変わります。

近年は、保育士の人手不足や延長保育の増加により、「保育士の勤務時間は長そう」とイメージを持つ方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、保育士の勤務時間について詳しく解説していきます。

「平均労働時間はどれくらい?」「保育士と幼稚園教諭で違いはあるの?」など、皆さんが気になることもご紹介します。

すでに保育士として働いている方、保育士を目指してる方、保育士として復帰したい方は、ぜひ参考にしてみてください!

保育士の勤務時間は長い?

保育士の勤務時間は長い?【保育士人材バンク】
保育士の勤務時間は長い?【保育士人材バンク】

保育士に限らずですが、法律では「使用者は、原則として一日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」と定められています。

そのため、正社員で働く保育士は、8時間勤務の場合が多いでしょう。

しかし、保育園によって残業時間は異なるため、中には一日の勤務時間が8時間以上という職場もあります。

「全国保育協議会」の調査によると、週あたりの実働時間が40時間~50時間未満の正規社員は約6割です。

一般的には1日8時間で月20日、1週間で40時間の勤務になるため、その結果を踏まえると半数以上の保育士が残業している可能性があります。

また、中には「変形労働時間制度」といって、時期によって勤務時間を調整できる働き方を取り入れている保育園もあります。

たとえば、年度末や運動会シーズンなど忙しい時期は、1日9時間で働く日もあれば、7時間勤務の日もあるというイメージです。

1日の勤務時間が8時間以上超えた場合は、他の週の労働時間を減らして調整をおこなう必要があります。

上記の変形労働時間制度の他、保育士が勤務時間が長いといわれる背景には、「延長保育や夜間保育の増加」「保育士の人手不足」などが理由として挙げられます。

女性の就業率の増加にともない、延長保育などのサービスを充実させる保育園が増えました。延長保育や夜間保育などで保育時間が長くなると、保育士が保育以外の業務をおこなう時間が減ってしまいます。

保育士は、子どもの保育以外にも、制作物や書類の作成などさまざまな業務があるため、業務時間内に終わらなかった仕事は、残業するか、自宅に持ち帰ってやらなければならないのが現状です。

しかし、最近では、保育士の働きやすさを目指して、さまざまな取り組みをおこなっている保育園もあります。

たとえば、ICTを導入して業務効率化を図っている保育園もあれば、子どもの登園人数に合わせて、職員が交代で保育以外の業務をおこなっている園も増えています。

もちろん、中には残業がない保育園もあります。

参考サイト:全国保育協議会『全国保育協議会会員の実態調査2021報告書』

参考サイト:厚生労働省『労働時間・休日に関する主な制度』

参考サイト:厚生労働省『女性の就業率と保育所等利用率の関係』

保育士の勤務時間、平均労働時間(何時~何時まで)はどれくらい?

保育士の勤務時間、平均労働時間(何時~何時まで)はどれくらい?【保育士人材バンク】
保育士の勤務時間、平均労働時間(何時~何時まで)はどれくらい?【保育士人材バンク】

保育園の開園時間は、7時~19時くらいまでのところが多いようです。

そのため、保育士は「早番」「中番」「遅番」のシフト制で働くのが一般的で、「何時~何時まで働くか?」はシフトによって変わってきます。

シフト勤務の時間帯は保育園によって異なりますが、一般的に多い例としてそれぞれのシフトの時間や仕事内容をご紹介します。

保育士のシフト勤務時間帯【早番】

保育士の早番は、保育園を開ける朝7時~16時までの実働8時間勤務です。

主な仕事内容は、開園準備や早朝預かりを利用する子どもの保育をおこなうことです。

子どもを預かる際は、保護者に家庭での様子や健康状態を細かく確認します。

クラス担任が早番とは限らないので、保護者から聞いた内容を漏れがないように担任へ伝達するのも早番の大切な仕事です。

保育士のシフト勤務時間帯【中番】

保育士の中番は、朝8時~17時までの実働8時間勤務です。

子ども達は8時~9時頃にかけて多く登園してくるので、保育士を手厚くするために、中番勤務の保育士を多めに入れている保育園が多いかもしれません。

中番の仕事内容は、担当クラスの保育がメインです。

保護者への連絡事項を、遅番担当の保育士に引き継ぐのも大切な業務になります。

保育士のシフト勤務時間帯【遅番】

保育士の遅番は、10時~19時までの実働8時間勤務です。

通常の保育と、その後の延長保育を担当します。

一般的に延長保育は預かる子どもの人数が少なくなるため、年齢を分けない異年齢保育をおこなう場合が多いです。

お迎えの際には、クラス担任から引き継いだ連絡事項を保護者に伝えるのも大切な仕事です。

ここでご紹介した遅番の時間は19時までですが、中には夜の22時まで預かる保育園もあります。

保育士の1か月の平均労働時間は?

週あたりの実働時間が40時間~50時間未満の保育士(正規社員)の数は約6割ほどで、1ヶ月の平均労働時間は、160時間~200時間前後になります。

労働基準法によると、「使用者は、原則として一日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」と定められています。

一般的な企業は定時で退社する場合、1ヶ月で160時間勤務となるため、保育士は同じくらいか、それより少し多い労働時間ということになります。

参考サイト:厚生労働省『労働時間・休日に関する主な制度』

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保育士の出勤時間は何分前?

「保育士は何分前に出勤すればいいの?」と気になっている方もいるかもしれません。

結論をお伝えすると、保育着に着替えることなどを考えて、余裕をもって5分~10分前に出勤するのがよいでしょう。

とはいえ、中には30分前出勤が暗黙の了解になっている保育園もあるようです。

また、早番は開園前に保育室の掃除をしたり、受け入れ準備をしたりするため、開園の10~20分前に出勤する園もあります。

保育園はどの園も人手不足を抱えているため、多くの子どもが登園する時間帯は早めに出勤する保育士もいるようです。

出勤時間については、保育園によって異なるため、転職活動中で不安を感じている方は、出勤時間についても担当者に確認してみるのもよいかもしれません。

保育士の帰宅時間は?

保育士の帰宅時間についても、保育園によってさまざまですが、残業がない保育園の場合、定時で帰ることも可能です。

一方で、人手不足を抱えていたり、業務量が多い保育園は、残って仕事を終わらせる保育士もいます。

また、勤務時間内に終わらなかった仕事を、自宅に持ち帰っておこなう人もいるようです。

そのため、保育士の帰宅時間は保育園によって変わってくるでしょう。

保育士の勤務時間、休憩時間は?

業務量が多く、忙しいイメージが強い保育士ですが、「休憩はちゃんと取れるの?」と気になっている方もいるでしょう。

労働基準法によると、「労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合は60分の休憩を労働時間の中に入れなくてはならない」と決められています。

そのため、8時間以上勤務する保育士は、少なくとも60分の休憩時間を取る必要があります。

実際の保育現場はどうなっているのでしょうか?

結論をお伝えすると、保育園によってさまざまです。というのも、保育士の休憩は一般的にイメージする休憩とはちょっと違うかもしれません。

保育園では子どもが午睡(ごすい)をするので、子ども達が寝ている間に交代で休憩をとるのが一般的です。

しかし、午睡中も子どもを見守ったり、連絡帳を書いたりするので、人手不足を抱えている保育園では、保育室で休憩を取る場合が多いでしょう。

とはいえ、中には別室でしっかり休憩を確保できるように、環境や人員配置を整えている保育園もあります。

各保育園では、保育士が休憩時間を取れるように人員配置をしているため、しっかりと休憩をとれる園も多くあるようです。

参考サイト:e-GOV 法令検索『労働基準法(第34条第1項)』

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保育士の休日は?

ここまで、保育士の勤務時間について詳しくご紹介しましたが、「休みや有給休暇は自由にとれる?」「産休や育休は?」と休日について気になった方もいるかもしれません。

保育士は、週休2日制で働くのが一般的です。

日曜日と祝日がお休みになる保育園が多いので、その場合は保育士も休みになります。

土曜日は、子どもが登園する時と行事がある場合は出勤になりますが、その際は振替休日があります。

また、土曜日保育は子どもの人数が少ない保育園が多いので、保育士が2~4人出勤するケースが多いでしょう。

それ以外の保育士はお休みになるので、基本的には土日お休みで、月に1~2回土曜日出勤があるイメージです。

保育士の有給休暇

有給休暇は正式には「年次有給休暇」といって、一定期間勤続した労働者に対して付与される休暇になります。

以下の条件を満たしていれば、パートやアルバイトで働く保育士も付与されます。

  • 雇入れの日から6か月間継続して働く
  • 全労働日の8割以上出勤する

たとえば、フルタイムで勤務した場合、初年度は勤続6ヶ月で120以上出勤していれば、10日間の有給休暇が付与されるイメージです。

2019年4月、有給休暇の義務化が始まり、有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、雇用主は年5日以上有給を取得させる義務が生じました。

また、有給休暇を取得するタイミングについても、できるだけ労働者の意見を尊重する必要があると定められているため、多忙な保育士も自分の希望に合わせて有給を取得できるようになりました。

参考サイト:厚生労働省『年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています』

保育士の産休・育休について

保育士の産休や育休についても、以下の条件を満たしていれば取得できる事が多くあります。

  • 現在勤務している保育園で1年以上働いていること
  • 子どもが満1歳6ヶ月の誕生日以降も、引き続き雇用されることが見込まれること

また、平成29年3月に厚生労働省が、育児・介護休業法が改定したことで、子どもが1歳6ヶ月になっても預け先が見つからない場合は、2歳まで育休期間の延長が認められるようになりました。

参考サイト:厚生労働省『育児・介護休業法の改正について』

保育士の勤務時間、固定勤務とシフト制の違いは?

保育士の勤務時間、固定勤務とシフト制の違いは?【保育士人材バンク】

基本的に、保育園ではシフト制を採用している場合が多いですが、固定勤務制を導入している保育園もあるようです。

以下で、保育士の「シフト制」と「固定勤務制」の違いをご紹介します。

保育士の勤務時間①【シフト制】

シフト制は、労働日や労働時間が固定されていない働き方のことで、ほとんどの保育園で採用されています。

また、シフト制といっても「固定シフト制」「自由シフト制」「完全シフト制」などさまざまな種類があります。

出勤する曜日や時間帯がバラバラだと、予定を組みづらかったり、家庭との両立が難しかったりする方もいるかもしれません。

固定シフト制の場合だと、毎週同じシフトで出勤できるケースもあるので、生活リズムを整えたい人や、プライベートと両立したい人には向いているかもしれません。

保育士の勤務時間②【固定勤務制】

固定勤務制は、一般的な企業で多く導入されているため、保育園では珍しい働き方かもしれません。

保育園の場合は、8:00~17:00、9:00~18:00など、子ども達の人数が多く、保育士を手厚くする時間帯に固定で働く場合が多いかもしれません。

固定シフト制と同様に、働く時間が固定になるため、小さいお子さんがいる人や家庭を持っている人には働きやすい勤務形態といえるでしょう。

一般的に取り入れている保育園は少ない傾向がありますが、派遣保育士の場合は固定勤務制を導入している場合もあるようです。

保育士の勤務時間、パートは?

中には、パートで働く保育士の方もいて、勤務時間は1日4~6時間という人もいれば、8時間と長時間勤務の人もいます。

短時間勤務の場合は、早朝~お昼まで、夕方~閉園時間までと、働きやすい時間帯に合わせて働くことができます。

パートで働く保育士でも、条件を満たしていれば有給休暇を取得することも可能です。

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保育士の勤務時間、私立と公立の違いは?

公立保育園で働く保育士は公務員になるので、拘束時間は8時間45分、労働時間は7時間45分という自治体が多いようです。

一方、私立の保育園は、拘束時間が9時間、労働時間は8時間が一般的です。

参考サイト:人事院『勤務時間の改定に関する勧告のポイント』

幼稚園教諭と保育士の勤務時間の違い

幼稚園教諭と保育士の勤務時間について、違いが知りたいという方もいるかもしれません。

前提として、幼稚園の利用時間は保育園より短めなので、15時前後には園児は降園します。

そのため、子どもと関わる時間は幼稚園の方が少ないですが、実働時間は保育園同様に8時間です。

勤務形態は「固定勤務制」を取り入れている幼稚園が多いため、勤務時間は8時~17時が一般的です。

幼稚園は行事がない限り、土日祝日が通常のお休みになるので、その場合は職員もお休みです。土曜日出勤がある園は、職員が交代で出勤します。

また、幼稚園の場合は、「春休み・夏休み・冬休み」が設けられていることがあり、長期休暇に合わせて職員も休みになる場合もあります。

保育士の処遇改善手当

「業務量が多い」「給与が少ない」「勤務時間が長い」など、ネガティブなイメージを持たれやすい保育士。

しかし、保育士不足を改善すべく、政府は2015年から保育士の収入を増やす施策をスタートしました。

認可保育園などになりますが、キャリアアップがしやすい取り組みも始まり、段階的に給料を上げていく仕組みになりました。

現在、保育士の処遇改善は、「処遇改善等加算Ⅰ」「処遇改善等加算Ⅱ」「処遇改善加算Ⅲ」の3種類あります。

「処遇改善加算Ⅰ」は、勤務年数に応じて給料が毎月12,000円~38,000円アップする仕組みです。

対象は正社員だけでなく、パートや派遣保育士などの非常勤職員も含まれ、非常勤の場合は、1日6時間以上、月20日以上勤務などの条件があります。

「処遇改善加算Ⅱ」は、研修を受けてキャリアアップしていくことで、手当がもらえる仕組みです。

具体的な役職については以下のとおりです。

「処遇改善加算Ⅱ」役職
  • 職務分野別リーダー・・・ 対象者すべてに毎月5,000円以上が支給される
  • 専門リーダー、副主任保育士・・・対象者の中で1名のみが毎月4万円支給される

2022年2月からは、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げる「処遇改善加算等加算Ⅲ

」が始まり、保育士が働きやすいように労働環境が改善されつつあります。

なお、処遇改善手当が個人へどれだけ分配されるかは、保育施設によって異なります。

参考サイト:厚生労働省『保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ』

参考サイト:厚生労働省『職種別平均賃金(役職者除く)(月収換算)』

保育士の勤務時間のまとめ

保育士の勤務時間のまとめ【保育士人材バンク】
保育士の勤務時間のまとめ【保育士人材バンク】

保育士の勤務時間について、詳しくご紹介しました。

記事内でご紹介したように、保育士の平均勤務時間はそこまで長いわけではありません

しかし、人手不足や業務量が多いことから、残業したり、持ち帰って仕事をしたりする保育士さんもいらっしゃいます。

とはいえ、前述したとおり、処遇改善制度やICTの導入など、保育士の労働環境を改善するための動きが広がってきています

また、残業なしや、給料を高めに設定している保育園も徐々に増えてきています

保育士は、子どもの成長に携われることができ、やりがいが大きい職業で、パートや派遣など、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働けるのもメリットです。

そのため、これから保育士として働こうと思っている方は、ぜひ、自分に合った保育園を見つけてみてください。

一方で、いま働いている保育園が「労働環境が悪い」「サービス残業がつらい、しんどい」「給料が低くてキャリアアップが難しい・・」など、働き方が合わないと感じている方は転職を検討してみるのも一つの方法です。

保育士資格を活かして活躍できる職場はたくさんあります。

「自分に保育士は合わないかも・・」と悩んでいる方は、自分に合う職場へ転職することで、楽しくやりがいを感じながら働くことができるかもしれません。

もし、いまの働き方が合わず、「転職を検討したいと思っている」「現在の悩みを相談したい」方は、保育士人材バンクにご相談ください

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