これから保育士になりたい方や転職を考えている方の中には、「休みが少ないのでは」「休みがとりづらいのでは」と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
多いか少ないかを知るためには、一般的な年間休日について知ることから始めるのが近道です。年間休日数ごとの特徴や確認するポイントなど解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
保育士の年間休日は平均どのくらい?
年間休日とは、企業や保育園が定める1年間の休日数のことです。
地域や勤務する園によってもさまざまですが、平均はどのくらいなのか気になる方もいるでしょう。
厚生労働省が出している調査結果によると、保育士を含んだ医療・福祉分野で働く労働者の平均年間休日数は111.5日です。
また、独立行政法人福祉医療機構による調査結果では、正規職員の年間休日数は「101日以上106日未満」がもっとも多く平均年間休日数は110.2日でした。
一方、厚生労働省の調査によると全業種の平均年間休日数は116.1日です。
この結果を踏まえると、保育士は他の業種よりもやや年間休日が少ないことが分かります。
ただし、冒頭にも触れたとおり年間休日数は企業や園によってさまざまです。
中には、「土日休み」「夏休みあり」「年間休日120以上」など、保育士さんの働きやすさを重視して求人を出している保育園もあります。
参考:
厚生労働省 「令和3年就労条件総合調査の概況 」
厚生労働省 「平成30年就労条件総合調査の概況 」
独立行政法人福祉医療機構 「2020年度「保育人材」に関するアンケート調査」
【年間休日105日】働き方の特徴
ここからは、年間休日数ごとの特徴についてご紹介します。
「年間休日105日」は、労働基準法で定められている最低ラインの年間休日数です。
たとえば、労働基準法によって定められている「1日8時間」「週40時間」で働いた場合、労働日数は最大で260日、年間休日数は105日になります。
この場合、祝日や年末年始、夏季休暇は計算に含まれないため年間休日105日は休みが少ない働き方といえます。
【年間休日110日】働き方の特徴
「年間休日110日」は、夏季休暇、年末年始の休日を合わせた場合が多いでしょう。
完全週休2日制の場合は、年間休日数が104日になりますが、夏季休暇、年末年始にそれぞれ3日間休日が入った場合、年間休日数は110日になります。
前述のとおり、全業種の平均年間休日数は116.1日なので、年間休日が110日の場合も他の業種よりは少なめかもしれません。
しかし、前述した厚生労働省のデータと照らし合わせると保育士の年間休日としては、多くも少なくもなく平均日数といえるでしょう。
【年間休日120日】働き方の特徴
「年間休日120日」は、週休2日にくわえて、夏季休暇や、年末年始、祝日、ゴールデンウィークなどの休日も含まれているイメージです。
休日がカレンダー通りの一般企業は、年間休日が120日の場合が多いです。
しかしながら、保育園は一般企業と違って土曜日も開園している場合が多いため、完全に土日休みは難しいかもしれません。
土曜日出勤の場合は、平日のどこかに休みが入るのが一般的です。
園によっては、長期休暇と合わせて年間休日120日になるように調整する場合もあります。
平均よりも日数が多いため、休みが多い働き方といえます。
【年間休日130日】働き方の特徴
「年間休日130日」は、長期休暇が充実している保育園といえます。
カレンダー通りの休み、夏季休暇や年末年始などの長期休暇にくわえて、企業や保育園独自で休暇制度を取り入れている場合が多いでしょう。
前述したように、保育園はカレンダー通りに休むのが難しい場合もありますが、年間休日130日であれば、連休もとりやすく仕事とプライベートを両立しながら働けるでしょう。
ただし、年間休日130日以上の場合は平日の労働時間が長くなる場合もあるので注意が必要です。転職活動では、就労条件をしっかり確認しましょう。
休日・休暇の種類は?
休日や休暇といっても、さまざまな種類があります。
以下に休日や休暇といわれるものの一例をご紹介します。
- 慶弔休暇
- 有給休暇
- 産休・育休
- 結婚休暇
- リフレッシュ休暇
- バースデー休暇
結婚休暇、リフレッシュ休暇、バースデー休暇などは、園が独自に作っている場合があります。
下記では、比較的目にする頻度が高い『有給休暇』と『産休・育休』について詳しくご紹介します。
有給休暇
有給休暇とは、下記の条件を満たした労働者に付与される休暇のことです。
- 雇用された日から6ヶ月以上、継続で勤務している
- 6ヶ月間の労働日のうち8割以上出勤している
上記に該当していれば、正規職員はもちろん、パートやアルバイトを含むすべての労働者が有給休暇を取得可能です。
保育園によっては、働きやすさを考慮して入職日からすぐに有給休暇を付与する場合もあります。
独立行政法人福祉医療機構が実施した調査結果によると、8割を超える保育士が有給休暇を40%以上利用していました。
また、2019年にスタートした働き方改革によって、年に10日以上有給休暇が付与された労働者は、年間5日以上有給休暇を取得しなくてはなりません。
これにより、人手不足で休みづらい保育現場も休暇をとってリフレッシュしながら働ける環境が整ってきています。
参考: 厚生労働省 「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」
独立行政法人福祉医療機構 「2020年度「保育人材」に関するアンケート調査」
産前・産後休業・育児休業
産休・育休は下記の条件を満たしていれば、取得可能です。
- 同じ保育園で1年以上働いている
- 子どもが1歳を迎えた後も引き続き働く
- 子どもが2歳になる前に労働契約の更新がされている
(かつ契約更新の継続が見込まれている)
また、期間は次のとおりです。
- 出産予定日の6週間前から産休が取得できる
- 双子以上を妊娠している場合は14週間前から産休が取得できる
- 育休は産後8週間取得できる
産休は労働基準法によって定められている制度なので派遣保育士、パート保育士を含むすべての女性が取得できます。
一方、育休の場合は取得するために要件をクリアする必要があるため、注意が必要です。勤続1年以上など育休の要件を満たしている場合は、男女関係なく取得できます。
産休・育休を取得したいとなった場合は、できるだけ早めに職場に報告・相談するのが望ましいでしょう。その際は、時短勤務制度の利用について、復職後の働き方についてもあわせて相談するのがおすすめです。
参考:厚生労働省 「妊娠・出産・育児と仕事の両立に関する制度 」「働きながらお母さんになるあなたへ」「第2 育児・介護休業法の解説 」
お休みをお願いする時のポイント
人手不足を抱える保育現場が多いため、「休みをお願いしづらい・・」「職場の人の目が気になる・・」と不安を感じる方もいるでしょう。
そこでお休みをお願いする際は、下記のポイントを意識してみてください。
体調不良で当日休む場合はすぐに連絡を入れる
体調不良で当日休む場合は、できるだけ早めに連絡を入れるのが大切です。
基本的にはメールではなく電話で連絡するのがよいでしょう。
インフルエンザなどの感染症になった場合、子どもたちにうつしてしまうリスクもあるため、無理して出勤するのは避けましょう。
病欠でお休みする場合、有給休暇を使ってお休みできる場合もあります。
感染症などで長期間お休みする場合、園側は職員の体制を整えなくてはなりません。
病院受診後は、診断結果などを報告するのが望ましいでしょう。
事前に分かっている場合は早めに相談する
働き方改革で有給休暇がとりやすくなったとはいっても、自由に休みをとるのは難しいこともあるでしょう。
クラス担任をもっていたり会議や行事があったりと、休みがとりづらく感じてしまうこともあります。
そのため有給休暇を使いたい場合は、一緒にクラスを担当している保育士や主任、園長に早めに相談するのがベストです。
早めに相談しておけば、事前にシフトを調整できるなど園側もスムーズに体制を整えられます。
休み中に迷惑がかからないように準備をする
保育園では、休む保育士に代わって代理の保育士が業務をフォローしてくれる場合が多いでしょう。
そのため代理の保育士さんや子どもたちに迷惑がかからないように大切な共有事項は引き継ぎしておくのが大切です。
共有漏れがないようメモに残しておくと、スムーズに引き継ぎができるでしょう。
お休みが取りにくい時の解決方法
まず、休みを取りたいと思ったときは、余裕をもって希望休を出すのがおすすめです。その際、年度初めや年度末、行事が重なる時期は避けるのが望ましいでしょう。
希望休は他の保育士の協力が必要な場合もありますが事前に申請すれば、比較的休める場合が多いでしょう。
とはいえ、慢性的に人が足りていない場合や、休みづらい雰囲気の職場だと、「お休みが取りにくい」という方もいるかもしれません。
その場合は、下記の方法を検討してみましょう。
- 早い段階からお休みの件を相談しておく
- ワークライフバランスが調整しやすいパートやアルバイトに雇用形態を変える
- 年間休日数が多く、休みが取りやすい保育園へ転職する
パートやアルバイトの場合は、正規職員よりも比較的自由に休みがとりやすい可能性があります。時間給になるため、休みが多いと当然お給料も少なくなりますが、家庭の事情などで「休みが多く欲しい」という方には1つの選択肢といえるでしょう。
また、年間休日数が多く、休みが取りやすい保育園へ転職を検討してみるのも1つです。
「保育士として長く働き続けたい」という方は、職場選びが重要になります。
年間休日数が多い保育園であれば、気兼ねなく休めるのがポイントです。
福利厚生が充実していたり、保育士の人員体制が整っていたりする職場であれば、しっかり休んでリフレッシュしながら、メリハリのある働き方ができるでしょう。
年間休日の見方解説
「休みが多くて環境が整った保育園へ転職したい」という保育士さんは、下記のポイントを意識してチェックしてみてください。
休日の種類を理解する
「休日」と一言でいっても様々な表記があります。下記に一般的によく見られるものをご紹介します。
週休2日制
「週休2日制」は、週に2日の休みがあることを指します。「完全週休2日制」とは別で、毎週必ず2日休めるわけではなく、1か月のトータルで週休2日分お休みするケースがあり注意しましょう。
週休2日制(日・他)と表記されている場合もあります。その場合は「毎週日曜日とその他の曜日が休みになる週もある」というイメージです。
完全週休2日制
「完全週休2日制」は、毎週必ず2日休める日があるという意味になります。ただし、休みの曜日は保育園によって異なるため、事前の確認が必要です。
基本的には土日がお休みで、月に1~2回程度土曜日に出勤となるケースが多いでしょう。その場合、平日のどこかに休みが入ります。
隔週週休2日制
「隔週週休2日制」の場合は、隔週で週2日休めることを指します。
たとえば、1週目に休みが1日しかなかった場合、2週目に2日休みがあるというイメージで、週2日休みが月に2~3回ある計算になります。
4週〇休
「4週〇休」と記載されている場合は、4週間の中でその日数だけ休めるという意味になります。たとえば、4週8休の場合は、4週間(28日間)のうち8回休めるイメージです。
『変則労働時間制』と呼ばれる勤務形態の1つで、開園時間が長い保育園や、夜間保育をおこなっている保育園に多く見られます。
シフト制を導入している場合は、求人票に休日に関する記載がない場合もあるので確認が必要です。
月〇~〇日
求人票の休日欄に「月〇~〇日」と記載がある場合は、月によって休日が異なることを指しています。たとえば、月6~8日の場合は、休みが6日の月もあれば、8日の月もあるイメージです。
休日数を確認する
求人票を確認する際は、年間休日の記載もチェックしましょう。
前述しましたが、年間休日120日以上と記載がある場合は、土日祝日にくわえて、夏季休暇や年末年始の休みがあるケースが多いです。
とはいえ、年間休日数が105日と書かれている場合でも、他に休みを設けているケースもあるため、事前に確認してみるとよいかもしれません。
求人を探す場合は、「年間休日120日以上」と検索すると、休みが多い求人を見つけやすくなるでしょう。
保育士の年間休日まとめ
保育士の年間休日について詳しく解説しました。
保育士の年間休日は、厚生労働省が出している調査結果によると、医療・福祉分野で働く労働者の平均年間休日数は111.5日でした。
とはいえ、企業や園によって異なるため事前に確認するのがよいでしょう。
また、年間休日数だけでなく休日の種類や、園が独自で設定している「休暇」についてもチェックするのがおすすめです。
保育士人材バンクでは、「年間休日120日以上」「産休育休取得率高め」「福利厚生充実」など、休みがとりやすく働きやすい保育士の求人を多数ご紹介しています。
「今の職場が休みづらくて悩んでいる」「プライベートと仕事を両立できる保育園へ転職したい」など、転職するか悩んでいる保育士さんはぜひお気軽にご相談ください。
「今は転職するかまだ決めていない」「職場の悩みを誰かに相談したい」という方のご相談も大歓迎です。
履歴書添削や面接対策、条件交渉など働きながらだと難しい転職活動のサポートもおこなっているので、忙しい方もご安心ください。