この記事では、障がい児通所支援とは何か、わかりやすく紹介します。

各施設の種類や働き方、必要な資格などについても具体的に解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。

また、障がい児通所施設における保育士のニーズや、求人の探し方も説明しているので、施設で働きたいと考えている保育士の方にとって、具体的な内容となっています。

障がい児通所支援にはどんな種類があるの?

障がい児通所支援とは、身体障がいや知的障がい、発達障がいといった障がいのある子どもたちが、施設などに通って受ける、さまざまな支援のことです。

障がい児通所支援は目的や対象者別に、主に以下3種類に分けられます。

児童発達支援…未就学の子どもを対象に支援を行う

放課後等デイサービス…小学生~高校生までの子どもに支援を行う

保育園等訪問支援…障がいのある子どもが通う保育園や学校に訪れ、支援を行う

児童発達支援や放課後等デイサービスは、子どもたちが施設に通って受ける支援です。

一方、保育園等訪問支援は、障がいのある子どもが通う保育園や学校に支援員が訪問し、子どもの状況を把握したうえで、行われます。

障がい児通所支援のこれまでとこれから

障がい児通所支援は、2012年4月に改正された児童福祉法によって始まりました。

元々、障がいのある子どもへの通所支援は、対象となる子どもの障がいの種類(知的障がい、聴覚障がい、肢体不自由など)によって分けられていました。

しかしそれでは支援が行き届かないケースがあったため、より支援を受けやすい環境を整えるため、通所施設を一元化した、障がい児通所支援が設けられました。

障がい児通所支援のこれまでとこれから【保育士人材バンク】
出典:厚生労働省「障害児支援の強化について

その後、10年ほどが経過し、障がい児通所支援の利用者や事業者数は大幅に増加。

支援を受けやすい環境整備をするという当初の目標が果たされた一方、施設の運営体制や支援の質の低下などが課題となっていました。

これらの課題の解決を目指し、2024年の児童福祉法改正には、障がい児通所支援の体制整備や機能強化などが盛り込まれています。

障がい児通所支援は、今後も、社会環境や家庭のニーズに応じて変わり続けていくでしょう。

参考:こども家庭庁支援局障害児支援課「障害児支援施策について

障がい児通所支援の最新報酬改定(2024年6月時点)

2024年4月の改正児童福祉法の施行に伴い、大幅な報酬改定が行われました

例えば以下の項目の改定は、児童発達支援と放課後等デイサービスを対象にしたもので、支援の質を向上させるという点で、大きな意義を持っています。

  • 児童指導員等加配加算【見直し】

児童指導員などの加配加算について、これまでは加味されていなかった配置形態(常勤・非常勤等)や経験年数に応じて評価されることになります。

この見直しで、専門職や経験ある人材を、よりフレキシブルに活用、評価することができるようになりました。

  • 自己評価・保護者評価の充実(基準)

児童発達支援の事業者は、支援の質の評価及び改善を目指して、自己評価と保護者評価の実施を求められるようになりました。

具体的には、事業者は年に一度、以下の内容について保護者に示すとともに、インターネット等での公表を求められます。

・自己評価

・保護者評価の内容

・上記2点を反映した改善の内容

障がい児通所支援は、2021年にも報酬改定が行われています。

このように、何度も報酬改定が行われているという事実からも、障がい児支援の分野への、国や社会からの注目度の高さがうかがえるのではないでしょうか。

各施設のご紹介

各施設のご紹介【保育士人材バンク】

ここからは、障がい児通所支援が行われる施設(障がい児通所施設)を紹介していきます。

今回紹介する施設は以下3つです。

障がい児通所支援の種類障がい児通所支援が行われる施設(障がい児通所施設)
児童発達支援①児童発達支援センター
②児童発達支援事業所
放課後等デイサービス③放課後等デイサービス

ここから、3つの施設について、1つずつ解説していきます。

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、未就学(6歳まで)の子どもを対として、主に「児童発達支援」を行う施設です。

児童発達支援センターの具体的なサービスの対象者と内容は、以下の通りです。

利用する方(対象者)
・地域に住む障がいのある子どもとその家族(身体、知的、精神※発達障がいを含む)

・地域に住む肢体不自由のある子どもとその家族

・障がい児を預かる施設(地域の園や事業所)の職員など
サービス内容
▽子どもとその家族に対するサービス

【児童発達支援】

※未就学児(6歳まで)が対象

・日常生活に必要なスキルを獲得するための練習

・運動、認知、コミュニケーションに関するトレーニング

・集団生活に適応するための訓練


【放課後等デイサービス、保育園等訪問など】

※主に就学児(6~18歳)が対象

▽障がい児を預かる施設に対するサービス

・児童発達支援に関する援助や助言

後述する「②児童発達支援事業所」も、児童発達支援については、同様の支援を行います。

しかし、児童発達支援センターは事業所よりも大型の施設で、通所支援の機能だけでなく、地域の中核を担う役割を持っています。

また、地域の障がい児やその家族への対応だけでなく、障がい児を預かる施設などへの援助・助言なども行います。

さらに、児童発達支援だけでなく、放課後等デイサービスや保育園等訪問の実施なども、発達支援とともにワンストップで提供するセンターも多く、中には医療的ケアが可能な施設もあります。

児童発達支援センターは2022年10月時点で、全国に794施設(うち福祉型703、医療型91)あります。

参考:厚生労働省「令和4年 社会福祉施設等調査の概況

児童発達支援センターについて、よりくわしく知りたい場合には、厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」を参考にしてください。

児童発達支援事業所

児童発達支援事業所は、前述の「①児童発達支援センター」と同じく、未就学(6歳まで)の子どもを対象として「児童発達支援」を行う施設です。

児童発達支援事業所の、具体的なサービスの対象者と内容は、以下の通りです。

利用する方(対象者)
・障がいのある未就学(6歳まで)の子どもとその家族(身体、知的、精神※発達障がいを含む)

・肢体不自由のある未就学(6歳まで)の子どもとその家族
サービス内容
・日常生活に必要なスキルを獲得するための練習

・運動、認知、コミュニケーションに関するトレーニング

・集団生活に適応するための訓練

前述した「①児童発達支援センター」とは違い、児童発達支援事業所では基本的に、児童発達支援のみを行っています。

事業所は児童発達支援センターよりも小規模で、利用契約を交わした利用者と家族だけを対象に、支援サービスを行います。

2021年1月時点で、児童発達支援事業所は全国に約7,521施設あります。

児童発達支援事業所数【保育士人材バンク】
参考:厚生労働省「児童発達支援センターの位置づけについて

児童発達支援を行う施設のうち、児童発達支援事業所が占める割合は約91%で、残り約9%が児童発達支援センターです。

児童発達支援事業所の施設数は、設置が始まった2012年から増え続けており、2021年時点で、当初の8倍近くの事業所が運営されています。

出典:厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービス

児童発達支援事業所について、よりくわしく知りたい場合には、厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」を参考にしてください。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、小学校から高校までの学校に通う子どもを対象として、放課後や休日、長期休暇中に発達支援を行う施設です。

放課後等デイサービスの、具体的なサービスの対象者と内容は、以下の通りです。

利用する方(対象者)
・6~18歳までの学校(小・中・高校)に通っている障がい児とその家族(条件によっては20歳まで)
サービス内容
・日常生活に必要なスキルを獲得するための練習

・運動、認知、コミュニケーションに関するトレーニング

・集団生活に適応するための訓練

2021年時点で、放課後等デイサービスは全国に約17,298施設ありました。

参考:厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービス

放課後等デイサービスの施設数は、設置が始まった2012年から増え続けており、2021年時点で、当初の6倍近くの事業所が運営されています。

放課後等デイサービス事業所数【保育士人材バンク】
出典:厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービス

放課後等デイサービスについて、よりくわしく知りたい場合には、厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」を参考にしてください。

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働くのに有利な資格

障がい児通所支援を行う施設で働く場合、以下のような人員配置が定められています。

・保育士

・児童指導員


・児童発達支援管理責任者

児童指導員には、特定の資格があるわけではないため、資格試験に受かる必要はありません。ただし、要件の定めはあり、以下の資格を持っていると、児童指導員として働けます。

・社会福祉士

・精神保健福祉士

・小、中、高等学校か中等教育学校の教員免許

施設の事業者は、人員配置の基準を満たす必要があるので、これらの資格を持った人材を求めています。資格を持っていると、施設への就職や転職に有利でしょう。

ただし、これらの資格がなくても、特定の学校の卒業や、学科や課程の修了、児童福祉事業での勤務経験といった要件があれば、児童指導員として働けます。

くわしくは以下の記事をご確認ください。

児童指導員とは?どんな仕事?任用資格の取得方法や要件、平均年収、仕事内容、保育士との違いを詳しく解説!

また、児童発達支援管理責任者になるには、一定の実務経験と、所定の研修の修了が必要です。くわしくは、以下の記事が参考になります。

【2024年度最新】児童発達支援管理責任者(児発管)とは?研修や資格要件、平均年収もご紹介!なるのは難しい?

ほかにも、以下のような資格があると、障がい児通所施設で働くのに有利です。

・理学療法士(PT)

・作業療法士(OT)

・言語聴覚士(ST)

・看護師

専門的な機能訓練を取り入れている障がい児通所施設では、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)いずれかの資格を持った人員配置が必要です。

また医療的ケアの必要な子どもが施設にいる場合には、看護師の配置が必要です。

保育士だけでなく、これらの資格も持っているという場合、施設への就職や転職にかなり有利にはたらくと考えていいでしょう。

【施設別】働き方の違い

【施設別】働き方の違い【保育士人材バンク 】

障がい児通所支援の働き方は、働く施設によって異なります。

ここからは2つの施設の働き方について、見ていきましょう。

・児童発達支援施設(センター・事業所)

・放課後等デイサービス

児童発達支援施設(センター・事業所)

童発達支援を行う、センターや事業所といった施設での主な仕事内容は、未就学(6歳まで)の障がいがある子どもを対象にした発達支援(療育)です。

発達支援(療育)には、主に以下2つの種類があり、施設によって取り組み方が異なります。

・個別療育…マンツーマンで子どもに療育をおこなう

・集団療育…集団生活への適応を重視し、5~20人程度の子どもたちが一緒に取り組む

個別と集団のプログラムを、1日の中で組み合わせて行う場合もあります。

個別療育や、集団でも年少児を対象にした支援では、1~3時間程度のプログラムを実施します。また、集団で年長児を対象にした支援では、全日(6時間程度)のプログラムを行う場合もあります。

発達支援(療育)を行うための、個別支援計画の作成や、面談や勉強会の実施などによる利用者の家族への支援も大切な業務です。

また児童発達支援センターと事業所では、それぞれ業務内容に一般的に以下のような違いがあります。

児童発達支援センター
・センターのある地域に住む、全ての子どもを支援の対象としている

・利用者に医療的ケアを行う場合も多い

・児童発達支援(療育)だけでなく、保育園等訪問などに関わる場合がある

・子どもの通う保育園や、地域の児童発達支援事業所に援助や助言を行う場合がある
児童発達支援事業所
・民間企業が運営しているケースが多い

・利用契約を結んだ利用者を対象に、支援を行う

・医療的ケアが可能な施設は割合として少なめ

・個別療育や小集団で療育を行う施設が多い

どちらの施設も、発達支援(療育)の対象は未就学(6歳まで)の子どもなので日中であることがほとんどです。

②放課後等デイサービス

放課後等デイサービスでの主な仕事内容は、小学校から高校までの学校に通う、障がいのある児童を対象にした発達支援(療育)です。

厚生労働省の「放課後等デイサービスガイドライン」によると基本活動は、主に以下4つに分けられます。

①自立支援と日常生活の充実のための活動

子どもの発達に応じて、日常生活の基本的な動作や、自立生活を支援します。プログラムの内容は、本人の興味・関心や発達段階に合わせて組み立てられます。

②創作活動

自然に触れる機会や、ものづくりの時間を設け表現する喜びを体験することで、豊かな感性を養います。

③地域交流の機会の提供

地域の社会福祉事業や、さまざまな学習・体験・交流活動との連携、ボランティアの受け入れなどを積極的に行い、地域交流を通じて子どもの社会経験の幅を広げます。

④余暇の提供

子どもが落ち着いて過ごせる居場所をつくり、自分の力で遊び、リラックスする練習をするために、さまざまなプログラムを提供します。

子どもを対象とした発達支援(療育)のほかにも、以下のような業務を行います。

・発達支援(療育)を行うための、個別支援計画の作成

・面談や勉強会の実施などによる、利用者の家族への支援

・学校や自宅への送迎

・おやつや食事の準備

・清掃や事務作業など

放課後等デイサービスは、主に就学児を利用対象としているため支援を行う時間帯は、平日の放課後(14~18時ごろ)がメインです。

施設によっては土日祝日などの休日、夏休みや冬休みなどの長期休暇中にもサービスを提供しています。このように子どもの学校が休みの日には、日中(9~17時ごろ)に、発達支援(療育)を行います。

各施設が保育士を必要としている理由

障がい児通所施設が、保育士を必要としているのは、国の規定により一定数の保育士配置が定められているからです。

障がい児通所支援で働く肩書きとして「児童指導員」が知られていますが、

児童指導員は、所定の要件を満たせば名乗れる、いわゆる「任用資格」です。

一方、保育士は「国家資格」であり、資格さえ持っていれば対象になります。

保育士資格は児童指導員と同等の資格として見なされるため、障がい児通所施設の人材として重宝されます。

また、もし保育園で働いたことがある人は、子どもとの関わり方や専門的な知識があり、活躍がさらにしやすい可能性があります。

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障がい児通所支援の求人の探し方

障がい児通所支援の求人を探すには、以下のような方法があります。

・ハローワーク

・新聞や地域情報誌の求人欄

・一般の求人サイト

・専門の転職エージェント

これらの方法であれば、特定の地域の求人を網羅的にチェックすることができます。

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障がい児通所支援まとめ

障がい児通所支援とは、身体障がいや知的障がい、発達障がいといった障がいのある子どもたちが、施設などに通って受ける、さまざまな支援のことです。

障がい児通所支援は、目的や対象者別に、主に以下3種類に分けられます。

・児童発達支援…未就学の子どもを対象に支援を行う

・放課後等デイサービス…小学生~高校生までの子どもに支援を行う

・保育園等訪問支援…障がいのある子どもが通う保育園や学校に訪れ、支援を行う

障がい児通所施設では、国の規定により一定数の保育士の人員配置が定められています。

保育士の資格を持っている場合、就職や転職に有利にはたらくでしょう。

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