子どもと関わる仕事はたくさんあります。「子どもが好き」「子育ての経験を活かしたい」と考えていても、具体的にどのような職種があり、どんな資格が必要なのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
今回は、数ある中から厳選した23個の子どもと関わる仕事をご紹介します。それぞれの仕事の特徴や必要な資格、そして転職活動を成功させるポイントまで解説しますので、ぜひ自分に合った仕事を見つける参考にしてください。
未就学児(0歳~5歳)と関わるお仕事
まずは、小学校に入学する前の、0歳から5歳までの子どもたちと関わる13個の仕事を紹介します。
①保育園
子どもと関わる仕事として、最初に思いつくのは保育園の方も多いのではないでしょうか。
保護者が就労などで家庭にいない間、0歳から5歳の子どもたちを預かり、食事や排泄などの生活支援や遊びを通じて心身の成長を支えます。
保育園には大きく分けて以下の3つの形態があり、働き方も多岐にわたります。
上記一覧からわかる通り、一言で「保育園」といっても様々な形態があり、働き方は多岐にわたります。
保育園で働くためには、基本的には保育士資格が必要でが保育補助などの募集があれば、施設によって資格なしでも働ける場合もあります。
②幼稚園
幼稚園は満3~5歳までの子どもたちを預かり、教育等を行う施設です。
保育園と同じく、子どもを預かる施設ですが以下のような違いがあります。
保育園…「児童福祉法」(厚生労働省)に基づき、子どもの保育を行う
幼稚園…「学校教育法」(文部科学省所管)に基づき、子どもの教育を行う
保育園の標準預かり時間が8時間に対して、幼稚園の標準的な預かり時間は4時間です。そのためメインの時間は9時~14時前後となります。
ただし近年では保護者のニーズをくみとり、早朝や夕方の「預かり保育」を実施する園が増えています。
幼稚園で働くには、幼稚園教諭免許が必要です。ただし、補助的な業務であれば、資格なしで働けるケースもあります。
③ベビーシッター
利用者の自宅などを訪問し、保護者の代わりにマンツーマンに近い形で子どもの保育を行う仕事です。子どもの遊び相手になることはもちろん、ミルクや食事の準備、寝かしつけ、散歩や習い事の送迎など、利用者のニーズに合わせたサービスを提供します。
ベビーシッターをするのに必須の資格はありません。
しかし、保育士や幼稚園教諭免許など、子どもに関連する資格を持っていると、利用者からの信頼を得やすく、指名を受けやすくなるでしょう。
④託児所
保育園や幼稚園のように毎日通うのではなく、保護者が用事を済ませる間、一時的に子どもを預かる施設です。
託児所がある場所はデパート、美容院、病院(クリニック)、結婚式場やイベント会場など多岐にわたります。
預かる子どもの年齢もその時々で異なり、預かり時間は数時間~半日程度であることが多いため、子どもの遊び相手や安全の見守りがメインとなります。託児所によってはミルクや食事、寝かしつけを行う場合もあります。
働くのに資格は絶対に必要なわけではありませんが、保育士などの資格があると信頼されやすく、採用にも有利です。
⑤病児保育
発熱などの病気や、病気の回復期にあるため、保育園や幼稚園、学校に行けない子どもを一時的に預かり、保育や看病を行う仕事です。
自治体が実施する事業と、民間企業が行うサービスがあり、専用の施設で預かる「施設型」と、子どもの自宅へ出向く「訪問型」に分かれます。
体調が万全ではない子どものケアを行うため、観察力や判断力が求められま、看護師や保育士の資格があると就職に非常に有利ですが、運営元によっては無資格でも働ける場合があります。
子育て中の親子支援をする仕事

次に、子どもだけでなく、子育て中の保護者もサポートする仕事を紹介します。
⑥子育て支援センター
地域に住む乳幼児と、その保護者同士が交流できる公的な施設です。
子どもたちが遊べる場所の提供、交流イベントの企画・運営、地域の子育て情報の提供、子育てに関する相談受付や支援などが主な業務です。
子どもと関わるだけでなく、保護者の悩みを聞くなどの支援も行うため、コミュニケーション能力を活かせます。
保育士や幼稚園教諭の実務経験がある方は、その知識を活かしやすく、就職や転職において有利になるでしょう。
⑦児童発達支援施設
未就学の障がいのある子どもを対象に、日常生活の自立や集団生活への適応を目指して療育・支援を行う施設です。
「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」の2種類があります。
日常生活に必要なスキルの獲得、運動・認知・コミュニケーションに関するトレーニング、集団生活への適応訓練などを行います。
また、障がい児通所施設には人員配置の基準が設けられているため、以下の資格があると就職に有利です。
- 保育士、社会福祉士、精神保健福祉士
- 小・中・高等学校の教員免許
- 児童発達支援管理責任者
- 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、看護師
⑧乳児院
家庭の事情(病気、経済的理由、虐待など)により、保護者が自分で養育できない乳幼児を、24時間体制で養育する施設です。
お預かりする年齢は乳児が中心ですが、場合によっては就学前の幼児を預かることもあります。
在所期間は短期から長期まで様々で、長期間にわたる場合は子どもの養育だけでなく、保護者支援や退所後のアフターケアも行います。
専門的なケアが必要なため、基本的には看護師や保育士などの資格が必要です。
保育補助としての募集であれば資格なしで働ける場合もありますが、求人数は比較的少ない傾向にあります。
出産前後の親子を支援する仕事
次に、妊娠中から出産後間もない時期の母子を支える仕事を紹介します。
⑨産婦人科・助産施設
妊娠中から出産、そして産後の育児開始期という過程を通して、患者さんと赤ちゃんのサポートを行います。新生児のお世話や授乳指導などが主な業務です。
これらの場所で働くには、医療行為や専門的なケアを伴うため、基本的に助産師や看護師などの専門的な資格が必要です。
事務や清掃、調理スタッフとして働く場合は資格不要ですが、直接赤ちゃんと関わる機会はほぼないでしょう。
⑩産後ケア施設
出産直後の母親と赤ちゃんが一緒に宿泊し、身体を休めながら育児指導を受けられる施設です。
母体のリカバリーケアと新生児のケアの両方を行うため、産婦人科同様、基本的に助産師や看護師、場合によっては育児の専門家である保育士が連携する場合があります。
小学生以上と関わる仕事
次に、小学生から高校生くらいまでの子どもと関わる仕事の紹介です。
⑪学童保育(放課後児童クラブ)

共働き家庭などの小学生を、放課後や長期休み期間中に預かる施設です。
宿題の見守り、おやつ等の提供、遊びの安全管理を行います。
「放課後児童支援員」という資格がありますが、無資格からでも働き始められます。
⑫放課後等デイサービス
就学している(主に6~18歳)障がいのある子どもが、放課後や休日に通う療育施設です。個々の特性に合わせた療育や学習支援、ソーシャルスキルトレーニングを行います。
学校やその近くに設置されている学童と違い、送迎サービスを行っている施設もあります。
放課後等デイサービスで働く場合、資格は必須ではありませんが児童発達支援施設同様、以下のような資格があれば、就職や転職に有利になるでしょう。
- 保育士、社会福祉士、精神保健福祉士
- 小・中・高等学校の教員免許
- 児童発達支援管理責任者
- 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、看護師
⑬児童養護施設
様々な事情で保護者と暮らせない児童(主に2~18歳)が生活する施設です。家庭的な環境を整え、子どもたちの生活指導や学習指導を行います。
無資格でも勤務可能ですが、保育士、児童指導員、教員免許があると有利です。
教育関係の仕事
⑭学校教諭
小学生以上の教育に携わる仕事として、代表的な仕事として学校の先生があります。
小学校では、国語・算数・理科・社会といった各教科の学習指導を行うほか、児童の日常生活の指導、運動会や音楽会などの行事の企画・運営など、業務は多岐にわたります。
中学校・高等学校になると、国語科、数学科といったように、教える教科(科目)別の担当制になります。学習指導に加え、部活動の顧問や進路指導も重要な業務となります。
働くには、それぞれの校種(小学校・中学校・高等学校)に対応した教員免許状が必要です。また、公立の学校で正規職員として働く場合、地方公務員の立場となあるため、都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施する教員採用試験を受け、合格する必要があります。
ただし、正規採用以外にも、産休・育休中の教員の代わりを務める「臨時的任用教員」や、特定の授業のみを担当する「非常勤講師」として働く道もあります。
⑮学校図書館司書
小・中・高等学校の図書室で、図書の管理・運営や学習支援を行います。
施設によっては本の貸出だけでなく、読み聞かせや調べ学習のサポートも行うため、子どもと関わる機会が多い仕事です。
教員免許は不要なケースが多いですが、基本的には「司書」または「司書教諭」の資格が求められます。
⑯スクールカウンセラー
学校内で、臨床心理の知識を活かし、児童・生徒の心のケアを行う専門職です。
いじめ、不登校、友人関係などの相談に対応し、保護者や教員への助言も行います。
高い専門性が求められるため、一般的に「公認心理師」や「臨床心理士」の資格が必要です。特定の学校に常駐せず、複数校を巡回する勤務形態が一般的です。
子ども向けの商品やサービスを提供する仕事
⑰ベビー用品店
ベビー服やおもちゃ、子ども向け用品を扱う専門店での販売業務です。
主な客層は子ども連れの家族や妊娠中の方なので、接客を通じて子どもと触れ合う機会が多くあります。
特別な資格は必要ありませんが、保育士資格や子育ての経験があると、お客様の悩みに寄り添った商品提案ができるため重宝されます。
⑱乳幼児対象のスクール
0歳から未就学児を対象とした習い事の教室です。
0~2歳向けのリトミックや、3歳以上向けの英会話、スイミング、体操などがあります。
指導内容に応じたスキルは必要ですが、教員免許のような公的資格を必要としないスクールも多くあります。自分の得意分野やスキルを活かして働きたい方におすすめです。
⑲小学生以上習いごと講師
小学生以上を対象とした、習字、そろばん、スイミングやピアノ、サッカーなどの教室です。
指導者としての技術に加え、子どものやる気を引き出す指導力も大切です。
分野によっては特別な資格が不要な場合も多く、ご自身の特技や経験を直接仕事に活かすことができます。
学習塾講師
学校の授業の予習・復習や、受験対策を行う講師です。
集団指導と個別指導があり、学習指導だけでなく進路相談やモチベーション管理も行います。
必須の資格はありませんが、大学在学中・卒業以上の方や、教員免許を持っていると採用時に優遇されます。大学生のアルバイトとしても人気のある職種です。
⑳家庭教師
生徒の自宅を訪問し、マンツーマンで学習指導を行います。
生徒の学力レベルや目標(受験対策、苦手克服など)に合わせて、きめ細かな指導ができるのが特徴です。
最近ではオンライン家庭教師も増えています。資格は不要ですが、大学生や大卒者、教員免許保持者、受験経験のある方が歓迎されます。
㉑遊園地・室内遊戯場
テーマパークやショッピングモール内のキッズスペースなどで、アトラクションの案内や安全管理、遊びのサポートを行います。
子ども連れの家族がメインの客層となるため、子どもを楽しませる明るい対応が求められます。
必要な資格は特にありませんが、保育士資格などは「子どもの対応に慣れている」証明となり有利です。
㉒写真館
七五三やお宮参りなどで来店する子どもの撮影やアシスタントを行います。
カメラマンとしてだけでなく、アシスタントとして子どもをあやしたり、楽しませて笑顔を引き出すことが重要な仕事です。
保育士の資格や経験があると、子どもをリラックスさせるスキルとして高く評価され、採用に有利になります。
子どもと関わる仕事に転職するポイント

子どもと関わる仕事への転職を成功させるためには、ただ「子どもが好き」という気持ちだけでなく、プロとしての適性や熱意を効果的に伝えることが重要です。ここでは、書類選考から面接、仕事の探し方まで、具体的なノウハウを深掘りして解説します。
履歴書の書き方ポイント
履歴書は、採用担当者が最初にあなたを知るための重要な書類です。自分の経歴や強みが最も魅力的に伝わるように工夫しましょう。
自分に合った履歴書用紙を選ぶ
市販の履歴書には様々なフォーマットがあります。自分の状況に合わせて最適なものを選びましょう。
- 職歴が少ない方(学生・第二新卒など)
「学歴・職歴」欄が短く、「自己PR」「志望動機」「趣味・特技」の欄が広いタイプを選びましょう。人柄やポテンシャルをアピールしやすくなります。
- 職歴が多い方(転職回数が多い・ベテラン)
「学歴・職歴」欄が広いJIS規格などのタイプを選びましょう。これまでの経験やキャリアを詳細に伝えることができます。
「職歴」で経験値をアピールする
正社員としての経験だけでなく、学生時代のアルバイトやボランティア活動も立派な職歴です。特に、保育士、ベビーシッター、キャンプなど子ども関係のイベント引率など、子どもと関わる経験がある場合は必ず記入しましょう。「どのような役割で」「何歳くらいの子どもと」「どう関わったか」を一言添えるだけで、即戦力としてのイメージが湧きやすくなります。
「趣味・特技」「自己PR」は保育スキルと結びつける
この欄は、あなたの人柄やスキルを伝える絶好のチャンスです。単に趣味を書くのではなく、仕事にどう活かせるかを意識しましょう。
- 「特技はピアノです」→「リトミックや合唱の伴奏で貢献できます」
- 「趣味はサッカーです」→「体力に自信があり、外遊びで子どもたちと全力で走れます」
- 「手芸が好きです」→「壁面装飾や衣装作りなど、細かい作業が得意です」
- 「育児経験があります」→「保護者の気持ちに寄り添った対応ができます」
さらに、自分の経験した具体的なエピソードを添えることで、説得力がグッと増します。
「志望動機」で熱意を伝える
採用担当者が最も注目するのが志望動機です。「なぜこの職場でなければならないのか」を明確にしましょう。以下の3ステップで構成するとスムーズです。
- 情報収集
ホームページやパンフレットで、その施設の理念(「のびのび育てる」「教育に力を入れている」など)を調べます。 - 共感と理由
その理念のどこに共感したか、自分の経験や考えと照らし合わせて書きます。 - 貢献と展望
自分がそこでどのように働き、どう成長したいかというポジティブな未来像を伝えます。「家から近いから」などの条件面だけでなく「ここで働きたい!」という熱意を込めることで、採用の可能性を高められます。
面接のポイント
面接は「会話」の場です。緊張するかもしれませんが、子どもと接するときのような柔らかい雰囲気を意識しましょう。
事前準備とシミュレーション
履歴書に書いた内容を深掘りされても答えられるよう、事前に整理しておきます。以下の基本項目は必ず頭に入れておきましょう。
- 自己紹介(1分程度で簡潔に)
- 長所・短所(短所は「どうカバーしているか」までセットで考えておきましょう)
- 趣味・特技(実演を求められることも想定しておきましょう)
- 自己PR・志望動機
子どもと関わる仕事特有の質問対策
一般企業とは異なり、以下のような質問があることも想定しておきましょう。
- 「なぜ子どもと関わる仕事を選んだのですか?」
(きっかけとなったエピソードや、やりがいを感じる瞬間を話しましょう) - 「子どもが泣き止まないとき、どう対応しますか?」
(具体的な場面を想定し、子どもの気持ちに寄り添う姿勢を見せましょう) - 「保護者対応で大切にしたいことは?」
(信頼関係の構築や、丁寧なコミュニケーションについて触れましょう) - 「体力に自信はありまか?」
(健康管理の方法やスポーツ経験などを交えて答えましょう)
「丸暗記」ではなく「自分の言葉」で
回答を一言一句丸暗記すると、どうしても棒読みになり、感情が伝わりづらくなります。
話したい内容の「キーワード」や「要点」だけを覚えておき、その場の会話の流れに合わせて臨機応変に話すのがおすすめです。
多少言葉に詰まっても、自分の言葉で一生懸命伝えようとする姿勢の方が、誠実さが伝わります。
第一印象は「笑顔」と「身だしなみ」で決まる
子どもや保護者は、先生やスタッフの「表情」や「身だしなみ」を見て安心感や信頼感を覚えます。
- 表情
鏡の前で練習し、口角を上げた自然な笑顔を意識しましょう。友人や家族にチェックしてもらうのも有効です。
- 身だしなみ
子どもと関わる仕事では、清潔感と安全性が最優先です。
・(必要な職場は)爪は短く切っているか?
・長い髪はまとめているか?
・アクセサリーは派手すぎないか(または外しているか)?
これらは面接官がよくチェックするポイントです。
専門の転職エージェントを活用する
特に保育・教育関係では自分一人で仕事を探す方法(ハローワーク、求人サイト、求人誌など)は、手軽に多くの求人を見られる反面「自分に合っているかわからない」「詳細な情報が少ない」といった悩みもつきものです。そこで強くおすすめしたいのが、業界専門の転職エージェントの活用です。
保育業界専門転職エージェントのメリット
子どもと関わる仕事は、職場環境によって働きやすさが大きく変わります。「失敗したくない」「長く働きたい」という方こそ、専門家のサポートを活用することをおすすめします。
子どもと関わる仕事まとめ
今回は、未就学児から小学生以上まで、子どもと関わる仕事を厳選して23種類ご紹介しました。「子どもが好き」という想いを活かせる場所は、保育園や学校以外にもたくさんあります。記事の中でご紹介した転職のポイントや資格情報を参考に、ぜひご自身のライフスタイルやキャリアプランに合った仕事を見つけてください。
「資格はあるけれど未経験で不安」「ブランクがあるけれど復帰したい」「もっと好条件の職場に転職したい」そんな悩みをお持ちの方は、ぜひ「保育士人材バンク」にご相談ください。
保育士人材バンクでは、保育・福祉業界に精通した経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなた専任のパートナーとなります。お悩みのヒアリングから、非公開求人のご紹介、面接対策まで、トータルでサポートいたします。
都道府県などの自治体の認可を受けた施設です。0~5歳の子どもを対象とし、定員は20名以上です。
市町村などの自治体の認可を受けた、比較的小規模な施設です。定員19名以下の「小規模保育」、保育者の自宅などで行う「家庭的保育」、企業の従業員や地域の子どもを預かる「事業所内保育」などがあり、主に0~2歳の乳幼児を対象とします。
認可保育園ではない施設のことをさします。企業が主導して運営する「企業主導型保育」や、夜間保育・宿泊も行う「ベビーホテル」などがここに含まれます。