転職活動を進める中で、職務経歴書などの書類を書くときに「保育士の職種や業種はどう書けばいいの?」と迷ってしまう方は少なくありません。

とくに保育の仕事は、保育士・保育補助・児童指導員・幼稚園教諭など、さまざまな名前の職種が多く、書類にどのように表記するか分かりにくいのが特徴です。

また、応募先によって求められる書き方が異なる場合もあり「この書き方で合っているのかな」と不安になりがちです。

この記事では、転職の書類で必要になる「業種」「職種」の正しい書き方と違いを解説します。

これから応募書類を書く方が、迷わず準備を進められるように分かりやすくまとめています。ぜひ参考にしてください。

保育士の業種と職種

保育士として働くうえで意外と迷いやすいのが、「業種」と「職種」の正式な違いです。

まずはこの2つの違いを整理しながら、保育士がどこに分類されるのかを見ていきましょう。

業種とは?

「業種」とは、すべての企業や施設が“どの分野の事業を行っているか”を示す分類のことです。公的には、総務省の「日本標準産業分類」で分類されます。

仕事の内容ではなく、その組織が社会の中でどんな役割を担っているかを表す言葉だと理解すると分かりやすいかもしれません。

たとえば、どの職場で働く場合でも、提供しているサービス内容によって業種は変わります。スーパーは「小売業」、飲食店は「飲食サービス業」、病院は「医療業」というように、“何を提供している企業か”によって業種が決まります。

▼保育園の業種はどこに分類される?

総務省の基準では、保育園は次のように分類されます。

  • 大分類 : 医療・福祉
  • 中分類 : 社会保険・社会福祉・介護事業
  • 小分類 : 保育所(保育園)

さらに、厚生労働省の分類では、保育所は社会福祉事業(第二種社会福祉事業)に位置づけられています。

つまり、保育園の業種は「医療・福祉」に分類されるということになります。

職種とは?

「職種」とは、保育に限らず“1人ひとりの働く人が職場でどんな役割を担っているか”を示す分類のことです。

業種が「会社や施設そのものの事業の種類」を表すのに対し、職種は“働く人の仕事内容そのもの”に焦点を当てています。

たとえば、同じ職場でかつ組織が同じでも、担当する仕事によって職種は異なります。

  • スーパー : 「販売員」「レジスタッフ」「品出し担当」
  • 病院 : 「医師」「看護師」「事務職員」
  • 幼稚園 : 「幼稚園教諭」「事務職」「給食スタッフ」

このように、職種とは、“あなたが日々どんな仕事をしているのかを端的に示す名前”であり、転職活動の書類でも非常に重要な要素になります。

保育士として働いている場合、履歴書や職務経歴書では次のように記載するのが一般的です。

  • 職種 : 保育士(国家資格を持ち、保育業務を行う場合)
  • 職種 : 保育補助(資格はないが保育士のサポート業務を担当していた場合)

職種は「どこで働いていたか」ではなく、あなたがどんな役割を担っていたかを示すものです。正しく記載することで、経験の中身がより伝わりやすくなります。

参考:
総務省:「日本標準産業分類
厚生労働省:「生活保護と福祉一般:社会福祉法人

保育士でも業種や職種がわかれる場合

保育士の仕事は、「保育園で働く」というイメージが強いかもしれませんが、実際には働く場所によって業種も職種も変わります。

同じ“子どもに関わる仕事”でも、施設の種類や業務内容が変わることで、扱われる職種名や業種分類が異なる場合があるため、転職活動では注意が必要です。

ここでは、保育士が活躍できる場所の一例と、その際にどのように業種・職種が変わるのかを分かりやすく整理していきます。

保育園・企業内保育・院内保育

保育園や企業内保育、院内保育など、いわゆる「保育所」にあたる施設は、次のような業種・職種に分類されます。

【業種】

  • 医療・福祉(児童福祉事業/保育所)

 ※日本標準産業分類:P85-8531 保育所

【職種】

  • 保育士
  • 保育補助(資格がない場合)

児童発達支援・放課後等デイサービスで働いていた場合

発達支援を専門に行う事業所では、保育士資格を活かしつつ、“保育”とは少し違う支援業務を担当するケースが多く、職種名にも違いが出てきます。

【業種】

  • 医療・福祉(障がい児通所支援/児童福祉事業)

 ※日本標準産業分類:P85-8539 その他の児童福祉事業 

【職種】

  • 児童指導員
  • 保育士
  • 児童発達支援管理責任者

児童館・学童保育(放課後児童クラブ)で働いていた場合

児童館や学童保育は、保育園とは役割や目的が異なるため、業種分類も職種名も変わることがあります。放課後の子どもたちを支える仕事が中心です。

【業種】

  • 医療・福祉(児童福祉事業/放課後児童健全育成事業)

 ※日本標準産業分類:P85-8539 その他の児童福祉事業 

【職種】

  • 放課後児童支援員
  • 学童指導員
  • 児童厚生員

幼稚園・子ども園で働いていた場合

幼稚園やこども園は「教育」の分野であり、保育園とは法的な立ち位置が異なります。そのため、職種名も“保育士”ではなく、“幼稚園教諭”となる点に注意が必要です。

【業種】

  • 教育・学習支援業(学校教育/幼稚園)

 ※日本標準産業分類:O81-8111 幼稚園

【職種】

  • 幼稚園教諭
  • 幼稚園教諭/保育士(併任)

職務経歴書に書く場合

転職活動では、これまでの経験をどのように整理して伝えるかが重要です。

とくに保育士の場合、働いていた施設の“業種”や、自分が担っていた“職種”を正しく書くことで、採用担当者にあなたの経験がより正確に伝わります。

ここでは、職務経歴書を書く際に迷いやすい、業種・職種・職務内容の書き方を、ポイントを押さえて分かりやすくご紹介します。

業種の書き方

業種は「その職場がどんな事業をおこなっているか」を示す項目です。保育業界では、次のように書くのが一般的で、採用担当者にも伝わりやすい表現です。

  • 保育園・企業内保育・院内保育の場合

医療・福祉(児童福祉事業/保育所)

  • 児童発達支援・放課後等デイサービス・学童・児童館の場合

医療・福祉(児童福祉事業)

  • 幼稚園・幼稚園型こども園の場合

教育・学習支援業(幼稚園)

難しい分類名称をそのまま書く必要はありません。正式な名称をもとに、読み手に分かりやすい形で整理するのがポイントです。

職種の書き方

職種は「あなたがどんな役割の仕事をしていたか」を示す項目です。働いていた施設によって適切な職種名が異なるため、正しく書くことが大切です。

代表的な書き方は次のとおりです。

  • 保育園で働いていた場合

保育士保育補助(無資格の場合)

  • 児童発達支援・放デイで働いていた場合

児童指導員保育士児童発達支援管理責任者

  • 幼稚園の場合

幼稚園教諭

  • 認定こども園

保育士(保育士資格のみ)/幼稚園教諭(幼稚園免許のみ)/幼稚園教諭・保育士・保育教諭(両方の資格を持っている場合)

職種は、採用担当者があなたの“スキル”や“経験”を理解する際の重要な項目です。実際の役割に基づき、正式な職種名を記載することが求められます。

職務内容の書き方

職務内容は、「日々どんな業務を担当していたか」を具体的にまとめる項目です。

採用担当者がもっとも詳しく知りたい部分なので、実務がイメージできるように書いていきます。

書き方のポイントは次の3つです。

  • 担当した年齢やクラス規模を書く(例:0~2歳児、定員12名の小規模園など)
  • 自分の役割を明確にする(例:複数担任、フリー保育士、行事リーダー)
  • 工夫したこと・意識していた点を一言添えると印象アップ

【書き方例】

  • 0~5歳児の保育業務全般
  • 日々の保育計画の作成・環境設定
  • 保護者対応(連絡帳・面談・送迎時のコミュニケーションなど)
  • 行事の企画・準備・運営
  • 複数担任としての協働(役割分担・会議での調整)
  • 安全管理・事故防止のための見守りと環境整備
  • 記録業務(日誌・個別記録・月案/週案など)
  • 新人職員や実習生のフォロー・指導

子ども・保護者・職員それぞれが安心して過ごせるよう、コミュニケーションと環境づくりに配慮しながら保育に取り組んでいました。

職務内容は、あなたの経験をもっとも魅力的に伝えられる部分です。丁寧に整理して書くことで、書類の完成度が大きく上がります。

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自分にあった職場を見つけるには

保育の仕事は働く場所や環境によって、働きやすさや求められる役割が大きく変わります。

自分に合う職場を見つけるために、まず「どんな働き方をしたいのか」「どんな環境が安心できるのか」を知ることが大切です。

ここでは、職場選びで意識しておきたいポイントを、分かりやすく整理してご紹介します。

働き方の優先順位を整理する

どんな働き方をしたいのかを最初に明確にすると、職場選びの軸がぶれません。

「シフトの融通」「給与」「人間関係」「担当クラス」「残業の有無」など、譲れない条件を整理しておくことが、迷わず選ぶための第一歩です。

施設ごとの特徴を知る

保育園・こども園・学童・放デイなど、施設が変わると働き方も大きく変わります。それぞれの特徴を知ることで、「自分が心地よく働けるのはどのタイプか」が見えてきます。

職場見学や面接で雰囲気をチェックする

実際に園を訪れると、求人票では分からない雰囲気や働きやすさが分かります。子どもの様子や職員の表情、環境づくりなどを見て、「自分に合うか」を判断していきましょう。

担当業務や役割を事前に確認する

同じ“保育士”でも、園によって求められる役割は大きく異なります。担任かフリーか、行事担当の頻度、保護者対応の方針などを明確にしておくことで、入職後のギャップを減らせます。

細かい待遇や制度もしっかり比較する

給与・賞与だけでなく、持ち帰り仕事の有無、休暇制度、研修体制、配置人数など、働きやすさに直結する要素はたくさんあります。

条件を比較しながら、自分にとって安心できる職場を見つけましょう。

プロに相談して客観的なアドバイスをもらう

一人では気づけない選択肢や、自分では見つけられない求人も多くあります。転職のプロに相談することで、希望条件の整理や職場選びのポイントも整理しやすくなります。

もし、「自分に合う園を調べたい」「1人で転職活動するのが不安」と感じたら、保育士人材バンクへお気軽にご相談ください。

保育士の業種・職種まとめ

保育士の「業種」と「職種」は、似ているようで実はまったく別もの。

保育園・こども園・学童・放デイなど、働く場所によって分類が変わり、その違いを理解しておくことで、転職活動でも自分の経験を正しく伝えやすくなります。

職務経歴書では、次の点を丁寧に整理して書くことが大切です。

  • 業種⇒働いていた施設がどんな事業を行っていたのか
  • 職種⇒その職場であなたがどんな役割を担っていたのか

正式な名称で記載することで、採用担当者にも経験が伝わりやすくなり、ミスマッチを防ぎながら自分に合った職場に近づくことができます。

もし、「自分の書き方が合っているか不安」「一人で転職活動するのが不安」と感じたときは、私たち保育士人材バンクにぜひご相談ください。

経験の棚卸しから書類づくり、職場選びまで、あなたに寄り添いながら全力でサポートいたします。

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