この記事では、児童指導員と保育士の違いやそれぞれの資格のとり方を解説しています。

また、児童指導員から保育士」「保育士から児童指導員」を目指す方法についても解説。

児童や保育関係の仕事で働いていきたいならどちらを目指すべきかのヒントもお伝えします。

この記事でわかること【児童指導員と保育士の違いなど】

児童指導員と保育士ってどう違うの?」「目指すならどちらがいい?」

児童や保育関係の仕事をしたいと考える方で、そのような疑問をお持ちの方も多いと思います。

結論から言うと、これからどちらかの資格取得を目指すなら、国家資格である保育士がおすすめです。

児童指導員とはそもそも資格の種類が違い、社会的信用度も、就職先の選択肢の広さも異なります。

ただ、状況によって保育士から児童指導員を目指したい人や、そもそも児童指導員と保育士がどう違うのかがわからないという方までさまざまだと思います。

そこで、この記事では児童指導員と保育士、それぞれの資格の違いや仕事内容・働ける職場の違いなどを詳しく解説

そのうえで、それぞれの目指し方をご紹介します。

保育関係の仕事に興味のある方、それぞれの資格を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

児童指導員と保育士との違い

児童指導員と保育士の仕事内容の違い【保育士人材バンク】
児童指導員と保育士の仕事内容の違い【保育士人材バンク】

まずは児童指導員と保育士の違いを、簡単にわかりやすくご紹介します。

保育士は国家資格!試験に合格する必要あり

まず、保育士は「国家資格」であり、取得のためには筆記と実技の試験に合格する必要があります(養成校の場合は試験不要)。

試験合格後、お住まいの都道府県に保育士登録することで、保育士として働けるようになります。

保育士の資格は国家資格のため、一度取ったら一生なくなりません

また、社会的信用度が高く、子ども関係の仕事に就く際には非常に有利になります。

児童指導員は任用資格であり、条件を満たせば名乗れる

一方、児童指導員「任用資格」です。

任用資格とは、資格や勤務年数など一定の要件を満たしたうえで、その職種に就くことで名乗れるようになる資格です。

試験などはなく、「その職業で働ける基準を満たした人」であることの証明として設けられています。

つまり、児童指導員の名称は、子どもを指導する立場として必要な要件を満たしていることの証明というわけです。

保育士資格と異なる点は、他の職種に就いた際には保有資格として名乗ることができないところです。

児童指導員は児童福祉施設で働いている状態の人のみが、名乗ることができます。

児童指導員になるために必要な要件については、以下の記事を参考にしてください。

児童指導員とは?必要な資格や働ける職場、仕事内容を詳しく解説!>>

保育士が児童指導員になるには?

保育園から児童発達支援や放課後等デイサービスなどへの転職を考えている方もいるかと思います。

この場合、児童指導員の資格が必要かと思うかもしれませんが、わざわざ資格を取り直す必要はありません

すでに保育士資格を持っているのであれば、保育士として児童発達支援や放課後等デイサービス等で働くことができます

また、放課後等デイサービスのような児童福祉施設では保育士を配置することで加算がつく(施設に入る補助金が増える)ため、事業所側にも重宝されます。

具体的には、児童指導員の加算が123単位なのに対し、保育士の加算は187単位となり、加算される補助金額は保育士のほうが高くなります。

参考サイト:令和3年度障がい福祉サービス等報酬改定の概要_v20(0204体裁修正)

つまり、事業所側からすると、保育士資格をもった人は「欲しい人材」であるといえます。

そのため、児童指導員が働く施設への転職は保育士資格があると有利となります。

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児童指導員が保育士資格をとるには?

児童指導員から保育士資格を目指したいと考える方もいるかと思います。

保育士資格を取得するためには、以下2つの方法があります。

保育士資格の取得方法
  1. 保育士養成校を卒業する
  2. 保育士試験に合格する

もしも、働きながら保育士資格を目指すなら、保育士試験を受ける方法がおすすめです。

養成校は試験なしに保育士資格をとれるのがメリットですが、保育実習なども必要であり、働きながら時間を確保するのはかなり大変といえます。

国家試験合格を目指す方法ならば、独学でも合格を狙えますし、働きながらでも時間を確保しやすくなります。

ただし、保育士の国家試験を受けるためには、学歴等の条件もあるため事前に確認が必要です。

保育士資格を本気で目指してみたい方は、以下の記事で保育士資格取得の方法や条件を詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

保育士免許の取り方は?正式名称や資格の取得ルート、試験の内容、更新、再発行方法は?>>

児童指導員から他業種への転職は可能?

現在、児童指導員として働いており、他業種への転職を考えている方もいるかもしれませんね。

児童指導員は保育士と異なり任用資格のため、保有資格として履歴書に書くことはできません(※同業種なら記載してもOKの場合あり)。

そのため、これまでの経験がいかせず、転職が難しくなるのではと考える方は多いです。

児童指導員から他業種への転職は可能ですが、まったく違う業界よりも、現在の仕事と似た職種のほうが経験をいかして働け、転職時にも経験をアピールできるでしょう。

児童指導員から他業種を目指すなら、以下のような施設への転職がおすすめです。

児童指導員からのおすすめの転職先
  • 学童
  • 児童館
  • 民間の子ども向けサービス(預かり、習い事など)

学童に転職する場合、児童指導員として2年以上の実務経験があれば、研修のみで放課後児童指導員の資格をとることができます

また、これらの施設は無資格でも応募できる求人も多く、児童指導員としての経験が応募の際に有利になる可能性があります。

児童指導員と保育士の働ける場所の違い

児童指導員と保育士の働ける場所の種類には、かなりの違いがあります。

児童指導員と保育士の働ける場所の違い【保育士人材バンク】
児童指導員と保育士の働ける場所の違い【保育士人材バンク】

上の表の赤字部分は保育士と児童指導員の働き先として重複する施設ですが、ご覧のように児童指導員が働くことのできるすべての施設で、保育士も働くことができます。

また、保育士は民間の子ども向けサービスなども就職先の選択肢に入りますが、児童指導員は所定の児童福祉施設のみでしか働くことができません。

したがって、保育士のほうが、勤務先の選択肢は多いといえます。

参考サイト:厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」

児童指導員と保育士の仕事内容の違い

児童指導員と保育士の仕事内容を比べると、以下のような違いがあります。

児童指導員と保育士の仕事内容の違い【保育士人材バンク】
児童指導員と保育士の仕事内容の違い【保育士人材バンク】

※働く場所によって仕事内容に違いがあります。

児童指導員と保育士は資格の種類は異なりますが、同じ施設で働く場合には仕事内容として大きな違いはありません

例えば、放課後等デイサービスで勤務する児童指導員や保育士は、どちらも障がいのある子どもの支援にあたり、勤務上の業務内容はほぼ同じです。

ただし、保育士は0~5歳程度の低年齢の保育が専門分野のため、低年齢児をみるケースのほうが多いといえます(※働く施設による)。

一方、児童指導員は、例えば児童養護施設で働く場合には、小さな子どもから高校生程度の大きな子どもまで、年齢に関係なく対応します。

児童指導員の仕事内容は、生活の支援や社会適合のためのサポートなどで、子どもそれぞれにあわせた支援を行なっていきます。

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児童指導員と保育士の給料・年収の違い

児童指導員と保育士の給料や年収は、一概に比較することはできません

なぜなら、働く施設によっても大きな違いがあるためです。

ただ、同じ施設で働く児童指導員と保育士では、そこまで給料に大きな違いはないといえます。

ただし、保育士は国の取り組みによって処遇改善が進んでいるため、認可保育園で働く場合を想定すると、児童指導員よりも給料アップの可能性が高くなります。

例えば、自治体の認可を受けた保育園で働く保育士の場合は、国の処遇改善によって毎月12,000円~38,000円ほど手当てがもらえる可能性があります。

さらに、リーダー職へのキャリアアップによっても月額最大4万円ほどの上乗せが期待できます。

保育士の処遇改善手当について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

【2023年(令和5年)最新】保育士の処遇改善手当ての額や支給条件、現状をわかりやすく解説!>>

また、働く施設が「公立」か「私立」かによっても給料体系は大きく異なります

公立施設で働くためには地方公務員の試験が必要ですが、児童指導員にしろ保育士にしろ、給料は高くなります。

どちらを目指すべきか迷ったら「保育士」がおすすめ!

現在、学生の方で、保育の仕事を目指している方も多いと思います。

将来性を考えるなら、さまざまな職種で有利な資格となる「保育士」を目指すのが断然おすすめです。

保育士であれば、児童指導員が働くすべての施設で同様に働くことができます。

一度、保育士資格をとれば、資格は一生有効で、保育に関するさまざまな職種で働くことができます

保育士資格の取得方法は、以下の記事をご参照ください。

保育士免許の取り方は?正式名称や資格の取得ルート、試験の内容、更新、再発行方法は?>>

学生から【療育の仕事】を目指すときのおすすめ資格

児童指導員を目指したいと考える方は、障がい児を対象とした「療育の仕事」をしたいと考えている方も多いかもしれませんね。

障がいのある子どもの支援は、専門的知識だけでなく、子ども一人ひとりを思う気持ちが大切な、やりがいのある仕事です。普通の保育業務と比べても、子ども一人ひとりとじっくり向き合うことができ、関わりが成長につながったときには大きな達成感を得られます。

もしも、療育の仕事をしてみたいと思うのであれば、保育士に限らず以下の資格取得を目指す方法もあります。

【療育の仕事に就くためにおすすめの資格】

療育の仕事に就くためにおすすめの資格
  • 保育士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語療法士
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 臨床発達心理士
  • 看護師(・教員免許)

小さな子どもの支援をメインに考えているのであれば保育士資格取得がおすすめですが、発達支援センターや障がい児施設・事業所などでの勤務を考えているのであれば、リハビリ・看護・心理関連の国家資格取得もおすすめです。

それぞれ障がい児施設に配置が求められる人材であり、保育士は遊びを通した支援、療法士はリハビリに関する支援、心理士は心理面での支援を行うことができます。

看護師は主に医療型障がい児施設などに配置が義務付けられており、医療的ケアでの支援を行います。

教員免許も、療育施設への就職の際には有利になりやすいため、余裕があれば取得をおすすめします。

また、民間資格として以下のような資格を取っておくのもおすすめです。

療育に役立つ知識が学べ、就職の際のアピールポイントにもなります。

【療育に関する民間資格】

療育に関する民間資格
  • 児童発達支援士
  • 子ども発達障がい支援アドバイザー
  • 発達障がい児支援士
  • 早期発達障がい児支援士
  • 発達障がいコミュニケーション指導者
  • 発達障がい学習支援サポーター認定
  • チャイルドカウンセラー
  • 自閉症スペクトラム支援士
  • 運動療育支援員

このように、療育に関する仕事に就くためには、さまざまなルートが存在します。

どのルート・資格が自分に合っているかを見極め、取得する資格を考えていくといいでしょう。

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児童指導員・保育士に向いている人・向いていない人

次に、児童指導員や保育士を目指すことを迷っている方へ、それぞれどんな人が向いているのかをご紹介します。

保育士に向いている人・向いていない人

保育士に向いているのは、以下のような人です。

保育士に向いている人
  • 小さな子どもが好きな人
  • ワクワクする遊びを考えるのが得意な人

小さな子どもが好きで、想像力豊かに子どもが楽しめる遊びを考案できる人は、保育士に向いています

子どもと一緒になって楽しみつつ、必要なときにはリーダーシップを発揮し集団をまとめる能力があると、大人数の子どもにも対処できるでしょう。

一方、以下のような人は保育士に向いていない可能性があります。

保育士に向いていない人
  • 体力に自信がない人
  • にぎやかな環境が苦手な人
  • 感情コントロールが苦手な人

小さな子どもとの関わりは、常に体力勝負です。

にぎやかな環境が苦手だったり、体力がない人は、大人数の保育には向いていない可能性があるため、少人数の保育ができる職場を目指すといいでしょう。

また、保育士は常に笑顔でいられる精神力も重要です。

イライラすることがあっても、感情に任せて叱りつけたりせず、落ち着いて対処しなければなりません。

そのため、感情コントロールが苦手な人は、保育士に向いていない可能性があります。

児童指導員に向いている人・向いていない人

児童指導員に向いているのは、以下のような人です。

児童指導員に向いている人
  • さまざまな年代の子どもと関わりたい人
  • 子ども一人ひとりと向き合って支援をしたい人
  • さまざまな背景をもつ子どもとの関わりから経験を積みたい人

児童指導員は、一対一の関わりから集団での関わりまでさまざまな関わり方が必要なことが多く、また支援にあたる年齢も職種によってさまざまです。

そのため、さまざまな年代の子どもと関わりたいと思う人は、児童指導員に向いているといえます。

同時に、子ども一人ひとりと向き合って支援をしたいと考える人も、児童指導員に向いています

児童指導員として働くことで、障がいのある子や虐待(ぎゃくたい)を受けた子どもなど、さまざまな背景をもつ子どもと関わることになり、そうした子どもたちと関わるプロフェッショナルとして経験を積むことができます。

一方、以下のような人は児童指導員に向いていない可能性があります。

児童指導員に向いていない人
  • 客観的立場で子どもをみれない人
  • 感情コントロールが苦手な人

児童指導員は、常に指導的立場でいることが求められます。

そのため、その子に必要な支援を考え、その時々で対応や言葉がけを考えていかなければなりません

したがって、子どもと遊んでいるだけになってしまうなど、客観的立場に立つことが苦手な人は、児童指導員が向いていない可能性があります。

また、感情コントロールがしっかりできることも重要です。

児童指導員・保育士の求人の探し方(転職・ブランク・新卒)

最後に、児童指導員や保育士を目指したいと考える方へ、状況別の求人の探し方をご紹介します。

ぜひ今後の参考にしてください。

転職の場合の求人の探し方

転職で保育士や児童指導員を目指す場合、ハローワークなどの求人サービスを活用する方法が一般的です。

加えて、当サイト「保育士人材バンク」のような保育系職専門の求人サイトを活用すると、より効率的に条件にあう求人を探せます。

転職では、前職での在職中、あるいは失業手当がなくなるまでの期間に次の就職先を探す必要があるため、効率的な転職活動が求められます。

保育士専門の求人サイトなら、保育士や児童指導員資格が必要な求人などを、地域などの条件を絞って探すことができます。

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ブランクあり復職の場合の求人の探し方

保育士の復職の場合、結婚後など、住む場所が決まった状態で職を探すケースが多いかと思います。

そうしたときには、ハローワークや保育系の求人サイトのほか、地域の情報誌や新聞の広告欄を見てみるのもおすすめです。地域の広告が掲載されているため、近場で職を探すことができます。

復職の場合も同様に、保育系の求人サイトを活用すると効率的な職探しが可能です。

子どもがいても、家にいながら職探しができるため便利ですよ。

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新卒の方の求人の探し方

新卒で保育や療育の仕事を探すなら、まずは卒業する学校に届く求人をチェックしてみましょう。

保育系の学校の場合、保育に関連する求人が直接学校に届く場合が多く、求人を出す側も学生を対象と考えているため、新卒者でも採用につながりやすい特徴があります。

また、もしも住む場所を問わずに保育系の仕事を探すのであれば、当サイト「保育士人材バンク」をはじめとする保育系の求人サイトを活用するのがおすすめです。

都市部など、自治体によっては保育士に独自の給料上乗せをしているところもあり、条件のよい求人へ応募することができます。

ぜひ全国の求人をチェックし、給料の違いをみてみてください。

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児童指導員になりたい方は、保育士資格も取得を目指してみて

児童指導員と保育士、どちらを目指すべき? 」と悩んでいる方は、できるなら保育士資格の取得をおすすめします。

保育士なら国家資格として社会的信用度も高く、児童指導員が働くすべての施設で同様に働けます。

保育士として認可保育園で働けば、国や自治体の処遇改善により給料アップが期待できますよ。

すでに児童指導員として働いている方は、働きながら、独学で保育士資格取得を目指すことも可能です。

保育士や児童指導員として転職・復職・就職をお考えの方は、ぜひ保育士人材バンクで、どんな求人があるかをチェックしてみてくださいね。

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