今回は、公務員保育士に起こりやすい問題の解決方法や、転職を考える際に役立つ情報を詳しくご紹介します。
公立保育士が抱える悩みは、人間関係や異動、昇進に関するものなどさまざまです。みなさんはどのようなときに「辞めたい」と思いますか?
また、私立保育園で働いている方も同様の悩みを持つ方はいらっしゃるのではないでしょうか。さまざまな問題の解決方法をご紹介していきます。
公立保育園を辞めたいと思うパターン
ここでは公立保育士によくある悩みをご紹介しますので、ご自身に当てはまるものがないか照らし合わせてみましょう。
定期的な異動
公立保育園で働く保育士は、数年おきに異動するのが一般的です。新しい環境になじむのが得意な人もいれば、異動によるストレスや不安が大きい人もいます。慣れた職場での信頼関係が築けた矢先に異動を命じられると、やる気を失う場合もあるでしょう。異動先での保育方針の違いや人間関係を作り直す難しさも、辞めたいと感じる原因になりがちです。
人間関係
職場での人間関係は、よく辞めたい理由に挙げられます。
コミュニケーションが必須の保育園で人間関係で悩んでしまうと、働くこと自体がストレスに感じられるでしょう。心身への負担が大きくなり、離職を検討するきっかけになります。
早期キャリアアップが難しい
比較的経験年数に応じて昇進していく公立保育園では、私立保育園と比べてキャリアアップのスピードが遅いと感じることがあります。「もっと早く主任や園長のような役職に挑戦したい」と思う人にとっては物足りないと思うかもしれません。役職やキャリアアップはモチベーションに繋がることも多いため、なかには公立保育園で自分の実力や努力を実感できず不満や不安を抱えている人がいます。
給与が低い
公立保育士の給与は、保育士全体で見ると高めですが、若手保育士のうちは「思ったほど高くない」と感じるケースも少なくありません。年功序列型で昇給していくため、経験が浅いときは成果が給与に反映されにくい仕組みが要因のひとつです。保育士の平均では比較的高い年収でも一般的な職業のなかでは決して高年収とはいえないため、とくに物価が高い都市に住んでいる方は、収入が十分でないと感じる場合もあります。「もっと早く給与を上げられる職場で働きたい」と考える若手保育士はモチベーションの低下や転職を検討するきっかけになることもあります。
働き方の制約がある
公立保育園で異動することになれば、異動先の新しいシフト体制や職場環境に慣れるまで身体的・精神的な負担も増えるでしょう。「自宅の近くに通いたい」「電車はできるだけ乗りたくない」といった希望がいつも叶うとは限らず「もっと自分の生活に合わせた働き方をしたい」と感じている方もいるでしょう。
園のルールや方針に違和感がある
勤めている園の保育方針やルールに、自分の価値観や保育観がマッチしない可能性もあります。保育方針が合わない環境では自分のモチベーションを保つのは難しく、不満や窮屈さへとつながるおそれがあります。
保護者からのプレッシャーを感じる
「公務員」というイメージや立場によって、公立保育園は保護者から高い期待を寄せられることも少なくありません。公的サービスとしての役割を果たしながら、保護者との関係性を築くことの難しさが、公立保育士を辞めたいと思う要因のひとつと考えられます。
パターン別解決方法
公立保育園で「辞めたい」と感じる理由はさまざまですが、保育自体が嫌いで辞めたいという方は少ないのではないでしょうか。辞めたくなった問題を改善することで、悩みが小さくなる可能性があります。ここでは、悩みのパターン別に解決法をお伝えします。
人間関係の改善策
人間関係が原因で辞めたいと思っている方は、まずは周囲とのコミュニケーションを見直すことが大切です。もし、意見が対立したり誤解が生じたりなど明らかなすれ違いが起きている場合は早めに話し合いの場を設ける必要があるでしょう。信頼できる上司や同僚がいれば相談し、状況を共有することで解決の糸口が見つかることもあります。
また、仕事はある程度のコミュニケーションが取れるほうがスムーズに進みますが、友達のように無理に気が合う間柄になる必要はありません。協力し合って保育に向き合うことができれば、それで十分であるケースも多くあります。どのような人づきあいが心地よいのかは人それぞれですので、自分と相手の適切な距離感を探ってみましょう。
定期的な異動への心構え
異動によるストレスを軽減するためには、新しい環境に慣れるスキルを高めることが重要です。まずは異動前に、その園の保育方針や運営状況をできるだけ調べておきます。公務員保育士は横のつながりも生まれやすいため、同僚や先輩から情報収集しておくのもおすすめです。
異動は不安になる方も多い一方で、同じ職場に留まっていると見えなかった視点やスキルを学べる機会でもあります。数年おきにやってくる異動をネガティブに捉えるのではなく、新たな経験を積むチャンスと受け止めるのもおすすめです。ポジティブなマインドで異動に臨むことで、次第に不安が軽減されるでしょう。
異動先での同僚や上司とスムーズに関係を築くためには、最初のあいさつや自己紹介で好印象を持ってもらうことがポイントです。良い第一印象で異動のスタートを切り、居心地の良い職場になるよう心がけてみてください。
キャリアアップは外部の研修や資格取得を活用
早期キャリアアップを目指すなら、公立保育園で役職のポストが空くのを待つだけではなく、外部での研修や資格取得も積極的に活用するのがおすすめです。保育士キャリアップ研修を受けてスキルを高めることもできます。
保育士スキルが高まれば自信がつき、その姿やリーダーシップで上司からの評価が高まってキャリアアップのチャンスが増えるかもしれません。公立保育園ではキャリア形成に時間がかかる場合も多いですが、自分で動くことでその期間を有効に活用できます。
給与の不満を解消するには
給与に不満を感じている場合は、退職する前に現在の年収だけでなく、将来の年収も確認してみましょう。公立保育園は手当や昇給制度、退職金など一般的な保育施設よりも福利厚生が充実しています。若手保育士のうちは基本給が低く、私立保育園で働く保育士のほうが年収が高いかもしれませんが、勤続年数とともに収入アップを実感できるでしょう。
昇給や給与改善を積極的に狙うなら、努力が見える形で上司に実績をアピールすることも必要になります。面談や自己評価の場があれば、仕事への意欲や実績を示すチャンスと捉えましょう。
働き方の制約を改善するには
働き方の自由度を高めたい方は、まずは上司や管理職と相談し自分の希望を具体的に伝えてみましょう。時短勤務やフレックスタイム制などの柔軟な勤務形態ができる場合は、それを活用することも選択肢のひとつです。ICTシステムの導入状況を確認し、仕事を効率化するための改善や提案をしてみるのもよいでしょう。
自由な時間を増やすための工夫としては、仕事の優先順位に合わせて効率的に業務を行う習慣づけもおすすめです。
園のルールや方針に適応するには
園のルールや方針に違和感がある場合、まずは「自分に合う保育とはなにか」を振り返り、どの部分が合わないのかを明確にします。すぐに辞めてしまう前に、上司や同僚に自分の考えを相談し、どのような保育を行いたいか少しずつ提案してみましょう。
また、意見交換会やワークショップが開催されていれば積極的に参加し、自分の意見を広く発信してみるのもおすすめです。第三者の意見を聞いて自分の保育観についてさらに理解を深められます。働き続けるだけではなく辞めて転職する場合も、自分の保育観について知っておけば、今後の働きやすさやスキルアップにつながりやすくなるでしょう。
保護者との関係を円滑にするには
保護者からのプレッシャーを軽減するには、日々いかにマメなコミュニケーションを行うのかがポイントです。連絡帳や面談を通じて、保護者に「先生は子どもを丁寧に見てくれている」と思ってもらうことで、信頼関係を築きやすくなります。子どもの成長や日常の様子を小まめに共有し、苦情や要望に対しても冷静に受け止める姿勢を心がけましょう。
ただし、保護者対応をすべて一人で背負う必要はありません。対応に困った場合は、周囲に相談や協力を申し出て、保育園全体で対応してください。役割分担で助け合い、プレッシャーを分散させることも長く働くための秘訣です。
どうしても解決ができない場合
さまざまな改善策を試しても問題を解決できない場合は、転職も視野に入れる必要があります。公立保育園で働く保育士が転職する場合、考えられる2つのパターンをみてみましょう。
別の公立保育園へ転職する
運営主体が同じ自治体でも、各園ごとに職場の雰囲気や一定のルールに違いがあります。現在の職場で働きにくさを感じていても、別の公立保育園に移ることで解決するかもしれません。
同じ自治体内であれば異動を申請することで、新しい職場で仕切り直すことが可能です。生活環境に大きな変化を起こさずに、人間関係のリセットや新しい保育方針の職場で働くことができます。
また、ほかの自治体で公立保育園を検討することも選択肢のひとつです。ただし、自治体を変えて転職するには、新たにその地域の公務員試験や採用面接が必要となる可能性があるため、事前の情報収集が欠かせません。自治体ごとに給与や勤務条件の基準が異なる場合があるため、しっかりと条件を比較しておきましょう。
私立保育園へ転職する
「保育自体は続けたい」という場合は、保育業界を離れずに私立保育園への転職も検討してみてください。私立保育園は公立保育園と比べて運営方針や働き方が幅広く、自分の価値観やライフスタイルに合った環境を見つけやすいのが特徴です。
私立保育園の魅力のひとつは、施設ごとの運営スタイルに幅があることです。たとえば、子ども一人ひとりに寄り添える小規模園では家庭的な保育が重視され、一方で、先進的なプログラムを取り入れている大規模園では保育士としての新たなスキルを学ぶ機会が得られる場合に恵まれています。
また、オープニングスタッフ募集や株式会社、社会福祉法人が運営する保育園では昇進のスピードが速い傾向があり、早期のキャリアアップを目指す人におすすめです。
さらに、私立保育園は保育のアイデアを比較的実践しやすい環境であるため、やりたい保育が定まっている方や目標を持つ人にとっては働きやすいといえるでしょう。英語教育や体操、リトミックに特化した保育を行う園では、自分の得意分野を活かす機会も豊富です。
ただし、私立保育園を選ぶ場合は、給与や福利厚生などの労働条件を事前にしっかり確認しておきましょう。私立保育園は園によって待遇面の違いも大きいため、情報収集せずに転職すると、予想と実際のギャップに悩む可能性があります。施設見学や面接を通じて園の方針や働き方を確認し、自分に合った職場を選んでくださいね。
自分に合った職場を探す方法
自分に合った職場を見つけるために、まず自分の希望条件を洗い出してみてください。求める条件が決まったら、以下にご紹介する方法で理想の保育園を探してみましょう。
ハローワークを活用する
ハローワークは、地域に根付いた求人を探す際に効果的な方法です。求人情報を閲覧できるだけでなく、職業相談や履歴書の添削などのサポートも受けられます。とくに、初めて転職活動を行う人にとっては、対面で就職の相談ができるハローワークは安心して利用できる環境といえるでしょう。ただし、公開されている情報量が限られている場合があるため、保育方針や細かな条件については面談時にしっかりと確認が必要です。
転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用すれば、保育業界に詳しいキャリアアドバイザーからのサポートを受けながら転職活動できます。なかでも、保育士特化型の転職エージェントである保育士人材バンクは非公開求人の紹介や面接対策のアドバイス、条件交渉の代行など、業界ならではの知識と手厚いサービスが受けられるのが特徴です。
自分の希望条件に合った職場を提案してもらえるため、転職におけるミスマッチを減らせる点が大きなメリット。ただし、自分に合う職場をスムーズに紹介してもらうためには、エージェントとのやり取りを通じて自分の希望を明確に伝えておくことがポイントになります。
求人サイトを利用する
求人サイトは勤務地や給与、保育理念など、さまざまな条件を比較しながら職場を選べる、便利で効率的な手段のひとつです。自宅にいながら簡単に多くの求人情報を閲覧できるため、仕事が忙しい方も好きなときに情報収集できるのが大きな魅力です。
保育業界に特化している求人サイトなら、求人情報だけでは判断しにくい職場の雰囲気や実際の保育の様子を動画や画像で紹介しているケースもみられます。保育士の「就職する前にココが知りたい」を熟知しているので、面接や見学前に多くの情報を得られるでしょう。
公立保育士を辞めたいと思う理由まとめ
公立保育士を辞めたい理由は人間関係や異動、給与、キャリアアップの難しさなど多岐にわたります。
まずは問題を整理し「自分が本当に悩んでいるのはなにか」じっくりと向き合いましょう。
辞める選択肢を選ぶ前に改善策を試すことをおすすめしますが、もしそれでもうまくいかない場合は、自分らしく働ける職場への転職も検討してみてくださいね!
初めての転職は不安、忙しくて求人を探す暇が無いという方は、保育士人材バンクにご相談ください。
あなたにあった求人を探すお手伝いをさせていただきながら、転職に関するさまざまなサポートをさせていただきます。