実は保育士には、転職時に利用できるさまざまな支援制度があります。補助金や資格取得支援、借り上げ制度など、制度の内容は多岐にわたります。

本記事では保育士が活用できる、主な支援制度や利用条件を分かりやすく解説します。

復職を考えている方や転職を考えている方、保育士を目指している方は、新しい一歩踏み出すための参考にしてみてください!

保育士が使える制度

保育士が使える制度

保育士が働きやすくなるよう、現在さまざまな制度が設けられています。

ここでは、転職やキャリア形成をサポートする、代表的な支援制度をご紹介します。

借り上げ制度

保育士の家賃負担を軽くする『借り上げ制度』は、とくに家賃負担が大きい都市部で働く保育士にとって心強い制度です。

自治体や保育園が、家賃の一部または全額を補助してくれるため、家計の負担を大幅に軽減できます。

補助の条件や金額は自治体によって異なるため、自治体のホームページを確認しましょう。

処遇改善制度

保育士の待遇を改善するための『処遇改善制度』は、給与アップやキャリア支援を目的とした制度です。

具体的には、経験年数や役職に応じた手当が支給されます。

処遇改善制度を利用すれば、収入面の向上だけでなく、スキルアップのチャンスも得られるため、キャリアアップを目指す保育士さんにとって魅力的な支援です。

幼保特例制度

幼保特例制度』は、保育士資格をもつ方が幼稚園教諭免許を取得する際に、役立つ特例措置です。

短期間で必要な資格を取得できるため、キャリアの選択肢を広げたい保育士さんにおすすめの制度です。

特例措置の対象や条件、取得方法は、各自治体や教育機関によって異なります。

「活躍の場を広げたい」「キャリアアップしたい」という保育士さんは、早めに情報を確認するのがおすすめです。

保育士に復帰する方や目指す方の知っておきたい制度

ここでは、復職を考えている方や、保育士を目指す方にとって、役立つ支援制度をご紹介します。

保育士の修学金補助

保育士養成施設に在学する方に対し、学費や生活費を無利子で貸し付ける制度で、修学金や、入学準備金、就職準備金などが含まれます。

この制度を利用することで、学費の心配を減らし、学業に集中できる環境が整います。

卒業後、一定期間(通常5年間)保育士として従事すると、返還が全額免除される場合もあり、経済的負担を軽減しながら資格取得を目指せる点が大きなメリットです。

詳細の条件や利用方法は、各自治体や団体によって異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。

就学準備貸付

就職準備金貸付は、保育士資格を持った人が復職を目指す際に、必要な費用をサポートする制度です。

この制度では、保育士として再就職するためのスーツや資格更新にかかる費用、引っ越し費用などが対象となり、無利子で貸付を受けられます。

一定期間(通常2年間以上)保育士として勤務することで、貸付金の返還が免除されるため、経済的な負担を大幅に軽減することが可能です。

復職を考える保育士にとって、ブランクの有無にかかわらず、スムーズに新しい環境でスタートを切れる準備ができるのが大きなメリットといえるでしょう。

また、制度を活用することで、初期費用の心配をせず、仕事や家庭と両立しながら新しいキャリアを築くサポートを受けられます。

とくに、保育士不足が深刻な地域では、再就職に対する支援が充実しており、自分のスキルを活かせる環境を見つけやすいのも魅力です。

子どもの預かり支援

子育て中の方が保育士として復帰する際、子どもを安心して預けられる環境を整える支援制度です。

保育士が自分の働く保育園で子どもを預けられる場合や、自治体が補助を提供するケースもあります。

子育てと仕事を両立できる環境が整うため、子育て中の保育士が復帰しやすくなります。

安心して働けることで、家庭とキャリアのバランスを取りやすいのが大きな魅力です。

保育入園ポイントアップ制度

自治体が運営するポイント制度で、保育士として勤務することで、自分の子どもの保育園入園が優先される仕組みです。

待機児童が多いエリアでは、保育士自身がこの制度を活用することで、入園の可能性が広がります。

この制度により、子どもの保育環境を早期に整えられるため、仕事に集中しやすく、子育てとキャリアを両立しやすくなるのがメリットです。

保育士資格取得支援

保育士資格を目指す方を対象とした支援制度で、講座費用の負担軽減や試験対策のサポートが受けられます。

自治体や教育機関が提供する場合が多く、金銭的な支援だけでなく、実践的なスキルを学べる場が用意されることもあります。

この制度を活用することで、経済的負担を軽減しながら効率よく学習できます。

これから保育士を目指す未経験者や、キャリアチェンジを考えている方にとって、安心して新たな一歩を踏み出せる支援制度です。

各市区町村が独自で行っている制度

各市区町村が独自で行っている制度

各市区町村ごとに設けられている制度は、保育士として働く方にとって心強い支援となるものが多くあります。

継続勤務褒賞

一定期間、保育士として勤務を続けた場合に、市区町村から褒賞金が支給される制度です

支給額や条件は地域によってさまざまですが、長く勤務することを奨励する目的があります。

この制度は、保育士にとって生活の安定につながるだけでなく、仕事へのモチベーションアップにも貢献するのが大きなメリットです。

また、安心して安定的に働き続けられる環境を支えることは、地域全体の保育環境の向上にもつながっています。

給料上乗せ制度

市区町村独自の給料上乗せ制度は、保育士の給与を増額し、待遇の向上を目指す取り組みです。

具体的には、基本給に一定額を追加したり、資格取得や勤務年数に応じた手当の支給などが含まれます。

制度によって給与が増えることで、経済的な余裕が生まれ、生活の安定が図れるだけでなく、将来への安心感からモチベーションや働きがいも向上します。

また、同じ保育園で長く働き続けることで、主任保育士や園長への昇進のチャンスが増えるなど、キャリアアップの可能性が広がるのも大きな魅力です。

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企業が独自で行っている制度

保育士不足解消や、働きやすい環境づくりのために、企業が独自に展開している支援制度もあります。

下記では、代表的な取り組みを2つご紹介します。

引っ越し代補助

保育士が新しい職場で働く際に、引っ越しにかかる費用を一部または全額、補助してくれる制度は、とくに遠方へ転職を考える方にとって大きな支えとなります。

また、通勤距離を短くするために引っ越しを検討している方にとっても嬉しいサポートです。

引っ越し費用の補助制度には、引っ越し業者の費用を全額または一定金額まで支給するものなど、さまざまなものがあります。

引っ越し費用の補助を受けられれば、経済的な負担を大幅に軽減でき、スムーズに新生活をスタートできるでしょう!

引っ越し代負担ありリンク

さらに、金銭的な負担が少ない分、就職活動において勤務地や条件をより柔軟に選べる自由度が広がります。これにより、妥協せず、自分に最適な職場を見つけやすくなるのもメリットです。

一人暮らし初期費用補助

新しく一人暮らしを始める際の初期費用を、企業が補助する制度です。

一人暮らしを始める際には、敷金・礼金や家賃の前払い、家電や家具の購入など、まとまった資金が必要となります。これらの費用を補助する制度を利用することで、金銭的な負担を大幅に軽減できます。

たとえば、企業によっては、敷金・礼金の全額負担や、家電購入費用の一部支給など、具体的な支援内容が用意されているケースもあります。

こうした補助を受けることで、引っ越しにともなう金銭面の不安を減らし、転職後に安心して新しい環境に集中できるようになります。

また、経済的な負担が少ない分、生活のスタートをスムーズに切ることができ、新しい地域での生活を楽しむ心の余裕も生まれるでしょう。

制度が使える求人の探し方

制度が使える求人の探し方

ここまで、保育士として働く際に便利な支援制度をご紹介しましたが「どのように制度が使える求人を探せばいいの?」と気になっている方もいるでしょう。

ここからは、支援制度が利用できる求人を効率よく見つける方法をご紹介します。

自治体が紹介する求人情報を活用する

自治体の求人情報は信頼性が高いだけでなく、地域に密着した支援制度を利用できる求人が見つかりやすいのが魅力です。

たとえば、奨学金返済支援や保育士取得支援の有無が明確に記載されている求人も多く、具体的な条件やサポート内容を比較しながら応募を検討できます。

自治体のサイトは、地元で転職を考えている方だけでなく、UターンやIターンを希望する保育士さんにとっても有益です。地域外からの応募者向けに転居費用の補助や、住居支援の有無が分かる求人も見つかる可能性があります。

まずはお住まいの自治体や希望地域のホームページをチェックし、信頼性の高い情報を収集してみましょう!

求人情報に支援制度が明記されているかチェックする

求人情報を確認する際は「引っ越し費用を補助します」「資格取得費用の補助制度あり」など、具体的な支援制度が記載されているかをチェックしましょう。

また、求人情報には記載がない場合でも、実際には制度が用意されているケースも少なくありません。

問い合わせをすることで、隠れたメリットを見つけられる可能性もあるため、気になる求人があれば確認してみるのもおすすめです。

さらに、求人情報に記載されている支援制度が、他の職場と比較して、自分にとってどの程度魅力的なものなのか見極めることも大切です。

しっかり制度内容を確認して、自分のキャリアにとって最適な求人を見つけるために、求人情報の内容を比較し、支援制度の詳細を調べて、必要であれば企業や保育園に直接問い合わせてみましょう。

保育士専門の転職サイトを利用する

保育士向けに特化した転職サイトでは、支援制度が充実している求人を簡単に検索できます。

上京歓迎」「借り上げ社宅制度「初期費用負担あり」などの条件を絞り込んで検索することで、自分に合った求人を効率よく探せるのがメリットです。

さらに、転職エージェントでは、応募前に企業や保育園の評判など、一般には公開されていない情報を確認できる場合も多く、応募後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

「転職で失敗したくない」「支援制度を受けられる保育園へ転職したい」という方は、保育士専門の転職サイトや転職エージェントを利用するのがおすすめです。

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知人やネットワークを活用して情報を集める

保育士として働いている知人や、保育業界のネットワークを通じて情報を集めるのも一つです。

求人情報には載っていない職場環境や支援制度の活用状況など、リアルな情報を直接聞くことができます。

たとえば「実際にどれくらいの頻度で支援制度が使われているのか」「上司や同僚のサポート体制はどうか」など、細かい情報は求人サイトでは分かりにくい部分です。

実際に制度を活用している知人の体験談や口コミは、自分に合った職場を見つけるための重要な手助けとなるでしょう。

保育士の支援制度まとめ

転職を考える保育士さんにとって、支援制度を上手に活用することは、新しい一歩を踏み出す大きな助けとなります。

国や自治体では、資格取得をサポートする奨学金や返済免除制度、キャリアアップに役立つ研修費用の助成など、さまざまな取り組みがおこなわれています。

また、企業や保育園でも、労働条件の改善や福利厚生の導入を通じて、保育士が働きやすい環境づくりを進めています。

こうした支援制度を活用することで、転職後の不安を軽減し、新しい環境でも安心して働き始めることができます。

とくに、キャリアアップを目指す方にとっては、スキルを磨くための研修支援が頼れる存在となるでしょう。

さらに、福利厚生が充実した職場を選ぶことで、仕事とプライベートのバランスを保ちながら、安心して長く働く環境を手に入れられます。

『保育士人材バンク』では、これらの支援制度を活用しやすい職場や、あなたの希望条件に合った保育園をご紹介しています。

転職をお考えの方や、今の職場に不安を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください!

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参考:
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例
東京都福祉局「保育士修学資金貸付事業
厚生労働省「保育士修学資金の貸付け等について
厚生労働省「保育士確保プラン
こども家庭庁「保育士等の子どもの優先入所等に係る取扱いについて
こども家庭庁「未就学児をもつ保育士の子どもの預かり支援資金
東京都江東区「江東区保育士等の継続勤務に係る報酬支給要網
東京都足立区「足立区保育従事者永年勤続表彰要綱
千葉県福祉人材センター「就職準備金貸付とは?