「子どもと関わる仕事をする職業」というイメージが強い保育士ですが、実際の保育現場では行事の運営や保護者とのコミュニケーションをはじめ、さまざまな業務を行っています。今回は保育士の仕事内容や職場、やりがいや将来性など「保育士のキホン」をじっくり深掘りしてみましょう。

保育士とは?

保育士とは?

保育士とは、子どもの発達を支え、安心できる生活環境を整える専門職です。一般的には0歳から就学前の子どもを担当するケースが多いですが、学童クラブや放課後等デイサービスなどで小学生以上の子どもと関わる職場で活躍することもできます。

一言で保育士といっても、具体的な仕事内容や働く場所は園や施設によってさまざま。働き方が幅広いため、自分の得意分野や価値観に合った施設を選ぶことが大切です。

また保育士の役割は、子どもの成長を見守るだけではありません。保護者が安心して預けられる環境をつくることで、育児と仕事を両立しやすい社会を保育の分野から支えています。子どもの成長や保護者との関係づくり、地域の方との触れ合いなど、得られるやりがいも大きい職業です。

保育士の将来性

少子化で子どもが減っていても、保育士の求人数は一般的な職業と比べても高い状況が続いています。その理由のひとつが、共働き世帯の増加です。

保育の受け皿が不足しがちな地域では、小規模な保育施設や託児施設などの施設を増やし、保護者が安心して働ける環境を整えている状況です。働く保護者が増えれば、保育に対するニーズも幅広くなります。なかには夜間保育や24時間対応の保育施設もあり、変則的な勤務を行う職場も増えてきました。

「需要が高いだけで、給料は低いんでしょ?」と思っている方がいるかもしれませんが、一概にそうとは限りません。国が保育士の収入アップのために導入した「処遇改善手当て」や「キャリアアップ研修」によって、保育士の平均収入は近年右肩上がりに増えています。

さらに、こども家庭庁は2024年11月に「人件費を10.7%引き上げる」という内容の記者会見を行いました。本当に実施されれば、過去最大の引き上げとなります。今後も社会のなかで重要な役割を担う、保育士の給料は改善されていく見込みです。

保育士の仕事内容は?

保育士の仕事内容は?

保育士の仕事は、子どもの身の回りのケアだけではありません。遊びを通じて成長を促す工夫や、さらには行事や事務作業など、多くの業務を行っています。たとえば食事や着替えをサポートする際の声掛けも、年齢や発達段階によって声かけや手伝い方が異なります。日々の変化や成長を見逃さない観察力や、臨機応変さが求められる仕事です。

また、保護者と信頼関係を築くことも日々意識しています。送り迎えのときに子どもの様子を聞き取り、必要に応じて相談や関係機関との連携を行うのも業務のひとつです。

運動会や発表会では、プログラム作成や制作物の準備などに時間を割きながら、保育計画や書類作成などの事務業務も並行して進めることがあります。こうした多様な役割をこなしながら、子どもと保護者が安心して通える環境を作っていくことが保育士の大きな特徴といえるでしょう。

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保育士の勤務時間は?

保育園の多くは朝の7時ごろから夜の7時ごろまで開園しているため、保育士もシフト制が一般的です。以下に代表的なシフト例をまとめました。

  • 早番(7:00~16:00)
    開園準備を行い、朝早い時間から登園してくる子どもを受け入れます。保護者からの連絡事項や子どもの様子を確認し、各クラス担当へ引き継ぎます。出勤時間は早いですが、そのぶん夕方には退勤できるのがメリットです。
  • 日勤(8:30~17:30)
    子どもが登園してからお迎えまでの時間を広くカバーするシフトです。子どもの様子を記録し、お迎えに来た保護者に伝えます。事務作業を終えた後は、遅番の保育士に引き継ぎをしてから退勤します。
  • 遅番(10:00~19:00)
    掃除や閉園準備を行いながら、夕方以降お迎えに来た保護者にその日の様子を丁寧に伝えます。保護者が遅れて迎えに来る場合などにも臨機応変に対応し、最後はしっかりと戸締りを行います。

※勤務時間は一例です。

一般的な保育園だけでなく、夜間保育や24時間保育を行う保育園など、夜勤を含む変則的なシフトでは生活リズムの乱れに留意しながら仕事をしたいですね。一方でシフト制には平日に休めるメリットや、時間外手当など給与面が手厚い側面もあります。働きやすい職場を探すなら、ライフスタイルに合う働き方を選ぶことが大切です。

保育士の仕事場所は?

保育士が活躍できる場所はたくさんあります。どの年代の子どもと関わりたいか、どのような保育方針を実践したいかを考えることで、自分に合った就職先を見つけやすくなるでしょう。保育士が働ける職場のうち、代表的なものをいくつかご紹介します。

保育園(認可・認可外)や幼稚園

  • 認可保育園:自治体の基準を満たして運営されており、給与面が比較的安定しています。園の規模は大小さまざまで、自分のスタイルに合わせて選びやすいです。
  • 認可外保育園自由度の高い保育を実践するところが多い傾向があります。英語教育や自然保育、少人数制など、独自路線の園で働きたい方に向いている職場です。
  • 幼稚園教育要素が強く、3歳から5歳児を対象に活動を行います。保育士資格だけでなく、幼稚園教諭免許が必要となる場合が多いですが、長期休みが比較的取りやすいのが特徴です。

事業所内保育園・院内保育園

  • 事業所内保育園:企業の従業員の子どもを預かるために設置される保育施設です。企業の勤務体系に沿ったシフトになる場合が多く、土日祝休みの会社であれば保育園も同様に休みとなる可能性があります。
  • 院内保育園:医療従事者向けの保育園で、夜勤や休日勤務にも対応しなければならないことがありますが、その分給料が高い場合があります。

児童福祉施設・児童発達支援

  • 放課後等デイサービス:小学生以上の障がいのある子どもに対し、学習や社会性を育む支援を行う施設です。一人ひとりの特性を理解し、個別に対応する観察力が求められます。
  • 児童発達支援:発達に遅れや特性がある就学前の子どもを対象に、集団活動や個別療育を提供する施設です。言語聴覚士や作業療法士などとチームを組み、専門性の高い環境で働けます。
  • 児童養護施設:家庭の事情により親と離れて暮らす子どもたちが生活する場所で、衣食住はもちろん、精神面での支えが必要になるケースも多いです。長期的に子どもと深くかかわりたい方に向いています。

学童クラブ・児童館

  • 学童クラブ:小学生の放課後や長期休暇を安全に過ごせる場所を提供し、宿題や遊びのサポートを行います。
  • 児童館:地域の子どもたちが集まる拠点で、イベントや講座を企画しながら、未就学児から中高生まで幅広い年代に対応する施設です。

保育士のやりがい

働く職場によって実際の仕事内容は異なるものの、いずれも「子どもと向き合う仕事」という点では同じです。大変さはありますが、保育士ならではのやりがいもたくさんあります。その中でもよく挙げられるやりがいをいくつかピックアップしました。

子どもの「できた」を間近で感じる

子どもが成長する姿は、保育士にとって強いモチベーションになります。最初は言葉を発しなかった子がはっきりと自分の意思を伝えてくれたり、運動が苦手だった子が頑張って縄跳びを跳べるようになったりする瞬間を見届けると「この仕事をしていてよかった」と感じる人も多いです。

成長するシーン以外にも、子どもが子どもらしく喜怒哀楽を表現する姿には大人もほっこり癒されることばかりです。「子どもが好き」「寄り添いたい」という方には、あっという間に育っていく幼児期の子どもとの触れ合いが大きなやりがいになるでしょう。

保護者の悩みに寄り添い、一緒に乗り越える

保護者の悩みに寄り添い、一緒に乗り越える

保護者の中には、育児と仕事の両立に疲れている方や、子どもの発達面で不安を抱えている方も少なくありません。相談を持ちかけられることや、家庭の様子を聞く機会もたびたび訪れるでしょう。信頼関係ができ、保護者の方に「先生がいるから安心できる」「相談できて気持ちが楽になった」と言ってもらえたとき、自分自身の役割の大きさを再確認できます。

また、保護者と関係が築けると、家庭と保育で連携がしやすくなり、子どもによい環境を作りやすくなります。子どもの様子を保護者と一緒によころべるのは保育士の特権です。

行事やイベントがもたらす達成感

運動会や発表会などの大きな行事では、保育士も準備段階から時間をかけて取り組んでいきます。大変なことも多いですが、本番当日に子どもたちが成功体験を積み、笑顔でステージを終えたときの達成感は格別です。行事やイベントで「頑張ってよかった」と思えると、また次の日からの保育も頑張れちゃいそうですよね。保育園には行事がたくさんありますので、そのたびに大きなやりがいを感じるでしょう。

保育士同士のチームワークが身に付く

保育園での仕事は、保育士がひとりいても成り立たちません。複数の担任でクラスを運営することもあれば、行事では担当者同士が連携して進めることもあります。「協力してほしいときに、どのように助けをもとめるのか」を学んだり、「相手の求める動きを察する経験」を積んだりと、コミュニケーション力を身に付けやすい職場といえます。

保育士同士で意見を出し合う機会も大切です。ほかの人の考え方や保育観を知って自分の視点が広がり、スキルアップにもつながります。

社会に欠かせない大切な仕事

保育園は、社会に求められて存在している福祉施設です。もし保育園がなければ預け先がなく困ってしまう保護者や、働きたくても働けない保護者が増えてしまうでしょう。

保育士として働くことは、子どもと保護者を支えるだけでなく、地域や社会にとっても重要な歯車になるということでもあります。少子化という時代だからこそ、保育士の存在はますます欠かせないものになっていくでしょう。

自分自身の成長につながる

仕事のミスで落ち込んでいるときに、苦手なことでもあきらめずに挑戦する子どもの姿に励まされ「私も頑張ろう!」と思ったことはありませんか。保育士として働いていると、子どもたちの様子に自分自身が影響を受けることがたびたびあります。子どもは日々成長し続けているので、大人に見せる様子も毎日変化しています。常にさまざまな発見があり、多くの刺激を受けられるのが、保育士ならではの魅力です。

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自分に合った職場の探し方

保育士として長く働くために大切なのは「自分に合った職場を見つけること」です。就活や転職活動の際の際には、以下のポイントを意識してみてください。

自分の希望をリストアップしてから求人情報を見る

保育士の求人は、ハローワークや自治体のサイトをはじめ、さまざまな手段で探せます。ですがその前に、「給与」「通勤時間」「保育方針」「施設の規模」「ICT導入状況」など、自分が重視している条件をリストアップしてみましょう。給与を重視している方なら賃金面が良い求人を、通勤時間を重視している方なら自宅に近い職場が「自分に合った職場」ということになります。やみくもに求人を検索するよりも転職活動がスムーズに進み、なおかつ、働き始めてから「思っていたのと違う」という可能性も下げられます。

気になるところは見学・面接でチェックする

実際の雰囲気や職員構成など、求人票ではわからない情報も大切です。施設の見学や面接を行う際は、子どもの様子や保育士の動き、職員室の雰囲気などもチェックしてみてくださいね。疑問や不安な点があれば、思い切って質問するのも良いでしょう。連絡帳や事務作業をどのように進めているか、残業や持ち帰り仕事の有無、年間行事の準備体制などを具体的に質問しておくと、実際に働き始めてからのギャップを減らせます。

転職サイトや転職エージェントを活用する

「どのように求職活動を進めていいのか分からない」という方も少なくありません。そのような場合は転職サイトや転職エージェントを活用し、プロに相談しながら進めるのもおすすめです。

転職サイトや転職エージェントは、一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえたり、履歴書の添削や面接対策の相談ができたりと、転職をスムーズに進めるためのサポートが充実しています。忙しい現役保育士やブランクのある方でも、効率的に職場探しを進められるでしょう。

保育士の仕事まとめ

保育士の仕事まとめ

保育士は、子どもの日々の生活を支えるだけでなく、保護者や地域のサポートとしても大きな役割を担っています。少子化が進んでいる現在も、保育士の求人は高いままです。給与や待遇面が改善されつつあるので、長く働きやすい職場も増えていくと思われます。

自分に合った職場を見極めるためには、まずは「どんな働き方が自分に合うのか」を洗い出し、条件にあう求人に絞っていきましょう。もし転職に疑問や不安を感じたら、転職サイトや転職エージェントなどのサービスも検討してくださいね。全国の保育業界に詳しい保育人材バンクに、ぜひご相談ください!

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