幼稚園で働くのに必要な「幼稚園教諭免許状」は3種類あり、一種免許は4年制大学で取得する免許で、短大や専門学校で取る二種免許とは、取得期間や待遇面で異なります。幼稚園教諭免許について、くわしく知りたいなら、この記事を参考にしてみてくださいね。
幼稚園教諭一種免許とは
幼稚園教諭一種免許は、幼稚園の先生として働くための資格です。
そもそも幼稚園で働くためには、「幼稚園教諭免許状」が必須です。
幼稚園教諭一種免許も「幼稚園教諭免許」の1つなので、幼稚園教諭一種免許を取得すれば、幼稚園の先生として働けます。
幼稚園教諭一種免許の取得方法
幼稚園教諭一種免許は、4年制大学で学び、卒業に必要な所定の単位(124単位以上)を得ることで取得できます。
4年制大学ならどこでもいいかというとそうではなく、教育学部など、幼稚園教諭の養成を行っている大学や学部を選ぶ必要があります。
幼稚園教諭免許には3種類ある

「幼稚園教諭免許」は、一種免許のほかに2種類あり、全部で以下3つの種類あります。
- 幼稚園教諭一種免許 … 4年制大学で取得
- 幼稚園教諭二種免許 … 短大や専門学校で取得
- 幼稚園教諭専修免許 … 大学院で取得
いずれの幼稚園教諭免許状も、幼稚園教諭養成課程を選択し所定科目を履修しなければならないという点で共通しています。


幼稚園教諭二種免許との違い
前述した3つのうち、幼稚園教諭の免許を取ることを目的としたときに現実的なのは、一種か二種の免許ではないでしょうか。
そこで、ここでは一種と二種の免許の違いについて解説します。
資格を取るのにかかる年数
一種と二種の免許の最も大きな違いは、資格を取得する年数です。
幼稚園教諭一種免許 | 幼稚園教諭二種免許 | |
取得先 | 4年制大学 | 短大や専門学校 |
年数 | 最低4年 | 最低2年 |
卒業要件単位 | 124単位以上 | 62単位以上 |
参考:幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例に関する検討会議
幼稚園教諭一種免許は4年制大学で取るため、取得には最短でも4年かかります。
一方、二種免許は短大や専門学校で取得するため、最短2年で取得できます。
その分、幼稚園教諭一種免許を取得する単位の数は124単位以上と、二種免許に必要な単位(62単位以上)の倍必要です。
単位が多いということは、勉強する内容が広く・深くなるため、幼稚園教諭一種免許を取得する方が、身に付けられる専門性は高いといえます。
待遇や給与
持っている資格が幼稚園教諭一種免許か、二種免許かというのは就職後の待遇や給与にも影響する可能性があります。
将来、長期的に幼稚園の先生として働きたいと考えているのなら、幼稚園教諭一種免許の方が経済的・キャリア的なメリットが大きいということもあります。
園長職に就けるかどうか
幼稚園の園長先生になるには、幼稚園教諭一種免許か幼稚園教諭専修免許を持っていることが必要です。
長期的に幼稚園の先生として働きたい、園長職も含めてキャリアアップも目指したいと考えているのなら、一種免許の取得を検討してみましょう。
二種免許状は一種免許に変更できる
本章では、二種免許を持っている方に向けて一種免許への変更方法をお伝えします。
4年制大学を卒業していない場合
4年制大学ではなく、短大や専門学校を卒業している場合、幼稚園教諭として5年以上働いていれば、一種免許への切り替えができるようになります。
勤務年数に応じた必要単位は、以下の通りです。
勤務年数(在籍期間) | 必要な単位数 |
5年 | 45単位 |
6年 | 40単位 |
7年 | 35単位 |
8年 | 30単位 |
9年 | 25単位 |
10年 | 20単位 |
11年 | 15単位 |
12年 | 10単位 |
とはいえ、1年経験を増やすごとに、必要となる単位が5単位ずつ減るので、キャリアをしっかり積んだのちに、切り替えを検討するのもいいでしょう。
4年制大学を卒業している場合
4年制大学を卒業している方の場合、二種免許の取得後、3年以上幼稚園教諭として働いていれば、一種免許への切り替えが可能となります。
勤務年数に応じた必要単位は、以下の通りです。
勤務年数(在籍期間) | 必要な単位数 |
3年 | 25単位 |
4年 | 20単位 |
5年 | 15単位 |
6年 | 10単位 |
勤務年数が長ければ長いほど、必要な単位数が少なくて済みます。
他のおすすめ資格
幼稚園教諭免許を取るか考えている方に、他におすすめしたい資格を紹介します。
今回紹介するのは、以下3つの国家資格です。
- 保育士
- 小学校教諭
- 児童発達管理責任者
ここからは、上記3つの資格について、1つずつ紹介していきます。
保育士
保育士は、「児童福祉法」に基づく国家資格で、0~5歳までの、乳幼児を含む未就学の子どもたちのお世話などを行う仕事をします。
幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持っていると、幼稚園や保育所はもちろん、「認定こども園」でも働けます。
- 幼稚園教諭との違い
未就学児を預かるという点では幼稚園と同じですが、幼稚園教諭免許は「教育職員免許法」に基づく教員免許で、預かるのは、基本的に満3歳以上の子どもという点で異なります。
また、幼稚園の先生が子どもに提供するのは就学前の「教育」であるのに対し、保育士が提供するのは日々の「生活」です。よって、幼稚園で子どもを預かるのは日中4時間が基本ですが、保育園では12時間前後が一般的です。
幼稚園の場合8時~17時まで8時間ほどの勤務時間が想定されますが、保育園は7時~19時ごろの時間内で、職員間でシフトを組んで、勤務を回すことが多いでしょう。
- 保育士資格の取り方
保育士資格を取るには、大きく分けて以下2つの方法があります。
・指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業する ・保育士試験を受験する |
1つ目の方法では、指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業することで、試験を受けることなく、保育士資格を取得できます。
2つ目の方法は、自分で保育士試験を受け、資格を取る方法です。保育士試験を受験するには、次の2つのうち、どちらかの条件を満たす必要があります。
・一般の大学・短大・専門学校(2年以上の専修学校)を卒業している ・児童福祉施設において、一定期間以上の実務経験がある(中卒、高卒の場合) |
指定保育士養成施設ではない、一般の大学や短大、専門学校(2年以上の専修学校)を卒業している場合、他の条件は特になく、保育士試験を受験できます。
一方、最終学歴が中卒や高卒で、保育士試験の受験資格を得るためには、児童福祉施設での実務経験を積む必要があります。
すでに幼稚園教諭の免許を持っている場合、2030年3月までの「幼保特例制度」を使って、保育士資格を取得できます。(2025年7月現在)
制度を使うと、幼稚園教諭免許を持ち、幼稚園教諭として3年以上の経験がある場合に限り、大学などで最大8単位を修得するだけで、保育士資格が取れます。
小学校教諭
小学校の先生は、子どもたちに「教育」を行うという点で、幼稚園教諭と同じです。
ただし、小学校に通う子どもの年齢は満6歳から12歳までと幅広く、年齢に伴って教育内容は複雑化し、難易度も上がります。
小学校教諭は、担任としてクラスを受け持ち、学級経営や生活指導をしながら、国語、算数、理科、社会や音楽、図工、体育まで、あらゆる教科を教えます。
- 小学校教諭になるには
小学校教諭になるためには、大学や短大で教職課程を履修し、小学校教諭免許を取得します。さらに、公立の小学校で働くには、教員採用試験に合格しなければなりません。
ただし、幼稚園教諭免許を持っている場合、小学校や幼稚園で勤務経験があれば、少ない単位数で小学校教諭免許の取得を目指せます。
例えば東京都の場合には、常勤3年以上の経験があれば、13単位以下で小学校教諭免許を取得でき、教育実習も必要ありません。
児童発達管理責任者
児童発達管理責任者(以下、児発管)は、障がいのある子どもの、保育や療育に携わる仕事をします。
主な職場は、障がい児の通う児童発達支援施設や放課後等デイサービスのほか、入所支援施設や医療機関などです。
責任者として、各施設への配置が義務付けられており、業務内容は多岐にわたり、主に以下のような業務に携わります。
・個別支援計画の作成 ・本人や家族による相談受付や助言 ・スタッフへの技術指導 ・契約業務や見学者対応、利用者送迎など |
児発管の資格を取るには、実務経験などの要件を満たしたうえで基礎研修を受け、OJT(実地研修)を経て、実践研修を受ける必要があり、比較的ハードルの高い資格といえます。
児発管の資格について、くわしくは「【2025年度最新】児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件や研修内容(基礎・実践・更新)について詳しく解説!」をご覧ください。
幼稚園教諭を持ち、なおかつ5年以上の経験がある方は、児発管になるための要件を満たしているので、OJTや研修を受けることで、資格取得を目指せます。
幼稚園教諭の就職先の見つけ方
幼稚園教諭の求人を探すには、一般的に、以下のような方法があります。
・ハローワーク ・就職サイト ・転職エージェント |
新卒の場合には、学校の求人票をチェックしたり、就職課に相談したりもできるでしょう。
最も手軽なのは、求人サイトで仕事を探す方法ですが、求人の数が多い分、好条件の求人を探すのが大変で、自分に合った条件を見極めるのは難しいかもしれません。
そこでおすすめなのが、保育士や幼稚園教諭を対象とした転職エージェントの活用です。
専門の転職エージェントでは、保育士資格や幼稚園教諭免許を生かした仕事しか扱われていないので、自分のやりたい仕事を見つけやすいでしょう。
検索システムを使って自分で求人情報を探すだけでなく、自分の希望に合った転職先を紹介してもらうこともできます。
転職エージェントである保育士人材バンクでは、履歴書の添削や面接対策といった、手厚いサポートが受けられる場合もあり、初めての就職・転職活動でも安心です。


幼稚園教諭一種免許まとめ
幼稚園の先生として働くには、「幼稚園教諭免許状」が必須です。
幼稚園教諭免許には、以下3つの種類があり、それぞれ取得できる学校が異なります。
・幼稚園教諭一種免許 … 4年制大学で取得 ・幼稚園教諭二種免許 … 短大や専門学校で取得 ・幼稚園教諭専修免許 … 大学院で取得 |
上記3つのどの幼稚園教諭免許状も、取得するには幼稚園教諭養成課程を選択し、所定科目を履修しなければなりません。
一種免許と二種免許には、大きく分けて以下3つの違いがあります。
・資格を取るのにかかる年数 ・園長職に就けるかどうか ・待遇や給与 |
幼稚園教諭として長く働きたい、キャリアアップしたいと考えているのなら、一種免許を取得した方が、後々有利に働くでしょう。
幼稚園教諭免許を生かして働きたいなら、転職エージェント「保育士人材バンク」の活用をおすすめします。