児童館は、子どもたちの遊びや学びの場を提供するための施設です。
そこで働く保育士は、施設の環境整備や衛生管理、子どもたちとのかかわりの中から各サポートを行います。
今回は、児童館という施設の現状や仕事内容、働くメリットなどについて紹介します。
児童館とは
児童館は、地域における「子どもの健全育成活動の推進」を主な目的とし、子どもたちの遊びや学びの場・機会を提供する役割がありながら、子育て支援の拠点でもある施設です。
児童館が初めて設置されたのは1947年のことです。当初は、子どもたちに楽しく、安全な遊びの場や、機会を提供することを主な目的としていました。
その後、社会情勢や家庭環境の変化に伴い、学童保育を行う児童館が増えたり子育て支援機能が追加されたりと、少しずつ形を変え今に至ります。
運営形態などの設置方針は、自治体が行っており、運営の方法は、それぞれの地域の実態やニーズによって異なっています。
2023年時点で国内に、公私合わせて4,259か所の児童館が運営されています。
2025年7月現在の状況では児童館が新設されていることはほぼなく、児童館の数はゆるやかに減少しつつあります。
児童館の種類
児童館は、運営主体別に公営と私営の2つに分けられます。
2023年時点では公営の児童館が2,255か所、私営が2,004か所あります。
また、施設の規模や目的別に以下4種類に分けられます。
・小型児童館(2,427か所) ・児童センター(1703か所) ・大型児童館(18か所) ・その他の児童館(111か所) |
引用:こども家庭庁「児童館について」
それぞれの児童館の違いを、簡単に見ていきましょう。
小型児童館
217.6m²以上の面積の、比較的小規模な児童館です。
小さな地域を対象に、児童に遊びを与え、健康を増進し情操を豊かにする目的で運営されます。子ども会など、地域の活動促進を図る機能も持っています。
設備として、建物には集会室や遊戯室・図書室などの設備のほか、ニーズに合わせて相談室や創作活動室、静養室や児童クラブ室などが設けられています。
児童センター
小型児童館よりも少し大きく、336.6m²以上の施設を持つ施設です。小型児童館の機能に加え、運動を主体とする遊びを通じて、体力増進を図る機能を持ちます。
児童センターの中でも規模の大きい「大型児童センター」は、面積500m²以上で、中・高校生世代の地域の居場所として設置されます。
大型児童センターには、スタジオやアトリエ、トレーニング室、映画ライブラリーや喫茶室など、中高生向けの設備が設置され、社会参加活動の拠点としても活用されます。
大型児童館
都道府県域の子どもたちを対象とした大規模な施設で、A型とB型に分かれます。
A型の施設は面積が2,000m²以上で、都道府県が設置、運営を行います。児童センターの機能に加え、県内児童館の指導や連絡調整といった中枢機能を持ちます。
B型の施設は1,500m²以上で、小型児童館の機能に加え、自然の中で宿泊や野外活動が行える機能を持ちます。
そのため、自然豊かな地域に設置され、子どもたちはキャンプや宿泊体験の中で、自然を生かした遊びを通じた活動に取り組めます。
児童館の仕事内容

児童館で働く保育士の仕事には、以下のようなものがあります。
・施設の環境整備や衛生管理 ・子どもたちの遊びや学びの指導、見守り ・子どもたちの健康や体力増進のサポート ・行事やイベントの企画、運営 ・保護者への子育て支援 |
メインの仕事は、来館者の対応や施設の環境整備、安全・衛生管理です。
合わせて、児童館を利用する子どもたちへの対応も行います。遊びや学びの見守り、サポートがメインとなるでしょう。
子どもが楽しい気持ちになれるように、季節や行事に合わせて壁面飾りなどで施設を装飾するのも大切な仕事です。
七夕に夏祭り、クリスマス会や豆まきなど季節に合った行事の企画にも携わります。
また、子育て支援の一環として、児童館を利用する子どもの保護者を対象に、相談や助言なども行います。


児童館で活かせる資格
児童館で働くことができる資格をご紹介します。
・保育士 ・幼稚園教諭 ・放課後児童支援員 ・子育て支援員 ・小・中・高校教員 ・社会福祉士 |
これらの資格がなくても、以下の条件を満たしていれば、児童館で働けます。
・学校教育法における高等学校を卒業、児童福祉事業に2年以上従事 ・大学で社会福祉学 ・心理学・教育学・社会学・芸術学や体育学を専修する課程を卒業 |
また、施設によっては、資格がなくても働ける場合がありますので、興味がある場合は、求人票をしっかりチェックしておきましょう。
保育士として児童館で働くメリット
次に、保育士が児童館で働くメリットを紹介します。
保育士が働ける職場には、いろいろな場所がありますが、最もイメージされる職場は、保育園ではないでしょうか。
そこで今回は、保育園と児童館という2つの職場に焦点を当てて、児童館で働くメリットについて、解説します。
幅広い年齢層の子どもと関われる
保育園と児童館の最も大きな違いは、0~6歳の未就学児が通う保育園とは違い、児童館には未就学児から高校生まで、幅広い年齢層の子どもが訪れるという点です。
子どもは年齢が違えば、発達の度合いや遊び方、コミュニケーションの取り方など、あらゆる特徴が異なります。
未就学の乳幼児や小学生、中高生など、さまざまな年齢の子どもたちを相手に仕事をすることで、ほかの仕事ではできない経験ができるでしょう。
異年齢の子どもたちが交流し、一緒に遊んだり、助け合ったりする中で友情を育む姿を見る機会もあるかもしれません。
体力的に負担が少ない
保育園で働く保育士と比べると、児童館の働き方では体力面や精神面での負担が少ないでしょう。
保育園の場合、3歳児未満の乳幼児には、食事や着替えの介助やおむつ替えなど、日常的な保育が必要です。また、子どもたちの身に危険がないよう、常に周囲に気を配らなければなりません。
3歳児以上になると、体を動かす遊びをする時間が長くなり、屋外で走ったり、散歩に出かけたりと、体の負担も大きくなります。
また、担任を持つ場合には、1人ひとりに目を配りつつクラスをまとめる役割があります。
児童館では、未就学児や小学校低学年の子どもたちは親子連れで訪れることが多く、保育園とは違った関わり方となります。
また、小学校中学年以上の子どもたちは子ども同士で遊ぶことが多いので、見守りやサポートが主となります。
残業や持ち帰り仕事があまりない
保育園で働く場合、日々の保育を行いつつ事務仕事やイベントの準備などをすることがあります。
事務仕事に使う時間がなく、やむなく残業や持ち帰り仕事をすることもあるかもしれません。
一方、児童館では小さな子どもは特に親子連れで訪れることが多いので、事務仕事をするタイミングを作りやすい場合があります。
児童館への転職方法
児童館の求人を探すには、以下のような方法があります。
・ハローワーク ・就職・転職サイト ・転職エージェント |
特定の地域で働きたいなら、まずはハローワークの利用がおすすめです。ハローワークは各地域の情報に強いので、さまざまな可能性を提示してくれるでしょう。
特に児童館の半分は、地方自治体が運営する公的機関なのでハローワークに求人が掲載されるケースがあると考えられます。
しかし、各自治体のHPを、1つひとつ自分で確認するのには、時間と手間がかかります。
就職サイトや転職サイトでも、「児童館」をキーワードに検索すると、求人を見つけられる可能性があります。
しかし、児童館の求人を見ただけでは、自分にあった職場なのかわからない場合もあるでしょう。だからこそ、保育士の転職に特化した、転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントなら、自分の希望に合った転職先を紹介してくれるほか、業界や分野に関する情報提供や、非公開求人の紹介が受けられることもあります。
転職エージェントの1つ「保育士人材バンク」では、履歴書の添削や面接対策といった、手厚いサポートも受けられます。
保育士資格を生かして児童館で働きたいと考えている方は、ぜひ活用してみてください。


児童館の仕事まとめ
児童館は、地域における「子どもの健全育成活動の推進」を主な目的とし、子どもたちの遊びや学びの場や機会を提供するとともに、子育て支援の拠点でもある施設です。
児童館で働く保育士は、以下のような仕事に取り組みます。
・施設の環境整備や衛生管理 ・子どもたちの遊びや学びの指導、見守り ・子どもたちの健康や体力増進のサポート ・行事やイベントの企画、運営 ・保護者への子育て支援 |
保育士が児童館で働く場合、以下のようなメリットがあります。
・幅広い年齢層の子どもと関われる ・体力的に負担が少ない ・残業や持ち帰り仕事があまりない |
児童館での仕事は、保育園とは違い、子どもたちと直接関わる仕事よりも、保護者支援、施設の環境整備や衛生管理が中心となるでしょう。
もし、児童館で働きたいと思ったら、転職エージェント「保育士人材バンク」を活用してはいかがでしょうか。