この記事では、「保育理念」の意味や具体例、似た用語の保育方針や保育目標との違いをわかりやすく解説しています。
転職予定の保育士さんや現職の保育士さんへ向け、保育士として保育理念をどう捉えていくかまで解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
この記事でわかること【保育理念とは?】
「保育理念」とは、園が大切にする保育観・コンセプトを表したものです。
何となく理解できても、「保育方針」や「保育目標」との違いがよくわかっていない方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、保育理念の意味や具体例、似た用語との違いを簡単にわかりやすく解説します。
転職予定の保育士さんや、現職の保育士さんに向け、保育理念の捉え方・保育へのいかし方までご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
保育理念とは園のコンセプトであり大切にする価値観のこと
保育理念とは、園のコンセプトともいえるもの。
「園として、こんな保育をめざしていきます」という、園の価値観を表したものです。
全体として、「のびのびと温かい保育」「笑顔溢れる保育」など、キャッチフレーズのような、抽象的な表現が多くなっています。
保育理念は、保育とはこうあるべきという価値観で、「子どもたちへの想い」を表したものともいえます。
園により、1~5つ程度、複数の保育理念を設定しているケースもあります。
保育理念と保育目標の違い
「保育目標」とは、園で目指すべき保育の目標であり、保育理念より具体的な表現がされます。
「~する子」「~を培う、養う」など、目標とする子どもたちの姿を表すものが多くなっています。
思いやりの心をもつ子自己表現のできる子自ら考え行動できる子心身の健康の基礎を培う興味関心を育てて、心情や思考力の芽生えを培う人に対する愛情や信頼感を育てる
園全体の保育目標のほか、「保育所保育指針」を参考にして、年齢ごとの保育目標を立てることが一般的です。
参考サイト:厚生労働省 保育所保育指針
園により、1~5つ程度、複数の保育目標を設定しているケースもあります。
保育理念と保育方針の違い
保育方針とは、保育理念・保育目標の実現のための、保育の方向性を表すものです。
例えば、「どのような保育を行なっていくか?」という方針を、保育理念・保育目標よりも具体的に表します。
思いを受け止め、心豊かな子どもを育てる子どもの情緒が安定した生活を送れる環境を整える信頼できる大人に無条件に愛される経験から、人への信頼感を育む五感を使ったさまざまな経験を通して、豊かな感性と表現力を育む子どもの興味、関心に応じた活動を通して、自分の頭で考える力を育む
保育方針は、園で育てたい子どもの姿や能力を表しており、「具体的に、どの部分への保育へ力を入れていくか?」を示しているともいえます。
保育理念と保育指針の違い
保育指針とは、基準やガイドラインとなるものです。
日本の保育園は、日本の法律に従って制定された「保育所保育指針」に基づき運営されており、これにより保育の環境や質に差がうまれないような仕組みがつくられています。
参考サイト:厚生労働省 保育所保育指針
保育理念・保育目標・保育方針の関連性
「保育理念」「保育目標」「保育方針」の3つは、保育園を運営するうえで必ず設定が必要な項目です。
ピラミッド構造で表すと、一番上に「保育理念(理想)」があり、その下に保育の方向性を示す「保育目標」がきて、その下に具体的な「保育方針」が定められます。
これらを設定する目的は、園を利用する子どもや保護者に対し、「こんなことを大切にしている園ですよ」「うちの園にくるとこんな力を育てられますよ」と示す意味があります。
また、働く保育士に対しても、「園としてこんな子どもを育てたいから、目標にしたがって保育をしていってね」と示す意味をもちます。
ただし、各言葉の位置づけや意味合いは法人によって違う場合もあります。
しっかりと違いを理解しながら把握していきたいですね。
保育理念のをご紹介!
次に、どんな保育理念があるかをご紹介します。
保育園の保育理念は、スローガン形式のもの、宣言形式のもの、文章で書かれたものなどさまざま。
全体としては、抽象的な表現が多くなっています。
「保育のあり方」を大切にした保育理念の例
全体として、保育のあり方の理想を示す保育理念が多い傾向にあります。
保育のあり方を示す保育理念はさまざまな言葉があります。
「子どもの姿」を大切にした保育理念の例
理想とする子どもの姿を表した保育理念という形の保育理念があります。子どもの姿を中心に掲げていることが特徴です。
スローガン形式の保育理念の例
保育理念には、スローガン形式のものも多くあります。
補足として、スローガンの下に説明する文章を記載している園も多く見受けられます。
「する」や「します」が語尾の保育理念の例
「する」や「します」が語尾の保育理念をかかげる園もあり、宣言スタイルの保育理念としているものもあります。
小規模保育園の保育理念の例
小規模保育園の保育理念としては、一般的な保育園とそこまで大きな違いはなさそうですが、保育園の特徴や大切にしたいことがうたわれています。
家庭的保育の保育理念の例
家庭的保育園の保育理念としては、一般的な保育園とそこまで大きな違いはないですが、家庭的な愛をもったかかわりを理念として掲げる園も多いようです。
保育理念を達成するための保育者の役割
保育理念は、「園として目指すべき理想の保育を掲げたもの」。
保育士にとって重要なことは、保育理念を意識した保育を行なっていくことです。
それにより、方向性の揃った保育をしていくことができ、園全体がまとまっていきます。
「保育士にとって何が大切か?」というと、保育理念・保育目標・保育方針のつながりを理解し、日々の保育をどのように行なっていくべきかを園全体で確認していくことです。
保育理念を理解し、理想の保育を実現するための保育目標(理想とする子どもの姿)を確認し、保育方針に沿って保育の指導案を考えていくこと。
それが、園で雇用される保育士の役割といえます。
保育士が保育理念を意識したいタイミング4つ
働く保育士にとって、園の保育理念は指針となる大切なものですが、そのほかにも、保育士が保育理念を意識したいタイミングはいくつかあります。
例えば、以下のようなタイミングにおいて、保育理念を確認していくと、保育の方向性がわかり、とるべき役割・指導法を見つけやすくなるでしょう。
- 就職時や転職時
- 子どものかかわり方に悩んだとき
- 職員間で保育方針に相違があるとき
- 保護者とコミュニケーションをとるとき
これらのタイミングにおいて、保育士が保育理念をどう意識していく必要があるかを、以下に解説します。
保育士が保育理念を意識する場面①【就職時や転職時】
保育士の就職時や転職時には、応募先の保育理念をチェックすることで、「自分の保育観に合っている園かどうか?」を確認できます。
保育理念に強く共感できると感じたら、そこが大きな志望動機となるでしょう。
園側としても、理想の保育の達成を一緒にめざしてくれる保育士を求めています。
応募者が一緒に保育理念をめざしてくれる保育士だと感じられれば、採用したいと思うはずです。
保育士が保育理念を意識する場面②【子どもとのかかわり方に悩んだとき】
保育士が保育をしていて、保育のあり方、子どもとのかかわり方に悩む場面は多くあります。
自分だけでは方向性を決められないときは、園の保育理念に立ち返ることで、「どう対応するべきか?」という方向性を決めやすくなるでしょう。
保育士が保育理念を意識する場面③【職員間で保育方針に相違があるとき】
同じ職場で働く保育士でも、それぞれの保育観は異なり、意見が食い違ってしまうこともよくあります。
そのようなときも、園としての保育理念や保育目標、保育方針に立ち返り、理想の子どもの姿に近づくためにはどのような対応が適切かを確認してくことで、同じ方向へ向かいやすくなるでしょう。
保育士が保育理念を意識する場面④【保護者とコミュニケーションをとるとき】
保育理念は保護者に対して「園としてこのような保育をしていきます」と示す意味もあります。
そのため、保護者に対してどのように接するかを考えるときにも、保育士は保育方針を意識しておく必要があるでしょう。
個人の保育観ではなく、園としての保育観を大切にしていくことで、保育士同士の足並みがそろい、保護者の信頼も得やすくなっていきます。
保育士の転職・就職時に意識したい「保育理念」引用の仕方
保育士が転職や就職をする際には、応募先の保育理念を確認しておくことが必要不可欠です。
あとから「自分の思う保育ができなかった……」と後悔しないためにも、保育理念をチェックし、自分の保育観と合うかどうかをしっかり確認しておきましょう。
保育士の履歴書や面接でも、「保育理念をうまく引用した記載ができる」と、採用に大きくつながります。
そこで、本章では、保育理念を就職活動にどう引用するかをご紹介します。
保育士の履歴書(志望動機)での保育理念の引用例
保育士の履歴書で保育理念を引用する際は、志望動機として盛り込むのがいいでしょう。
例えば、以下のように引用すると、その園だから働きたいという、熱意を伝えることができます。
保育士の志望動機【保育理念の引用例】
念に強くひかれたためです。
私も保育において、子ども一人ひとりの思いを大切に、共感することが重要だと考えています。
保育士の共感により、子どもの自発性を伸ばしていけますし、伸び伸びとその子らしい個性を伸ばしていけると思っています。
貴園であれば、私の理想とする保育が実現できると思い、志望させていただきました。
園の保育理念と自分の保育観がマッチすることを伝えた例です。
ただ「共感した」と伝えるのではなく、「自分はどう考えていてどうマッチしているのか?」を具体的に記載することがポイントとなります。
また、ケースによっては、以下のように自己PR欄で保育理念を引用するのもいいでしょう。
保育士の自己PR【保育理念の引用例】
私は大学で栄養学や運動学を学び、心身の健康の分野の知見を深めてきました。
健全な心と体を育てるための土台となる知識があることが、私の強みだと思っています。
貴園は「心身ともに元気な子ども」を保育理念として掲げており、貴園であれば私が学んできた知識を存分にいかせると感じています。
得意分野や強みを、「なぜ、その園でいかせるのか?」理由付けとして保育理念を引用した例です。
保育士の面接での保育理念への引用例
保育士の面接で保育理念を引用する場面は、志望動機を話す際や、質問で「保育理念についてどう思うか?」「あなたの保育観は?」などと聞かれた際でしょう。
履歴書と同様、保育理念と自分の保育観がマッチしていることを伝えることで、その園でなければならない理由や園に対する熱意が伝わりやすくなります。
保育士の面接で話す志望動機は、基本的には履歴書と同じ内容でかまいませんが、より具体的に、保育理念を踏まえて自分がどう園に貢献できるかまで伝えられるといいでしょう。
保育士の面接(志望動機)【保育理念の引用例】
私が貴園を志望した理由は、「子どもが主役となる保育を」という保育理念に強くひかれたためです。
保育において、保育士は先生として前に立つ立場ではありますが、主役はいつも子どもたちだと考えています。
大人の都合で言うことをきかせるのではなく、子ども主体で考えられる保育をしたいと、私も考えています。
具体的には、「答えを提示せずに子ども自身に考えさせる」「子どもと一緒に遊びや制作物をつくっていく」といった保育をしたいと考えます。
貴園であれば、そうした理想の保育が実現できると思い、志望させていただきました。
保育理念まとめ
保育理念とは、園が理想とする保育のあり方を示したものです。
働く保育士は、保育理念をいつも念頭におくことで、園としての保育観を守っていくことができます。
また、転職や就職活動においても、「自分の保育観と応募する園の保育理念がマッチするか?」を確認しておくことは重要です。
保育観がマッチすれば、それが志望の大きな理由となるでしょう。
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