人間関係や働き方など、さまざまな悩みを抱えがちな保育の仕事。

人手不足などの問題などで、「転職したくても職場になかなか言えない」と悩んでいる方もいるかもしれません。

身近な人に気軽に相談できれば、改善方法が見つかったり、気持ちが楽になったりしますが、相談内容によっては上手く相談できない場合もあるでしょう。

本記事ではそんな方に向けて、保育士さんが悩んだときに相談できる窓口を、色々な角度からご紹介します。

困ったときや悩んでいるときは、1人で抱え込まずに早めに相談するのが大切です。ぜひ、参考にしてみてくださいね!

保育士の行政相談窓口4つ

保育士が悩んだときに相談できる窓口はたくさんあります。

“悩み”と一言でいっても、職場環境や心の問題など、さまざまな悩みがあると思います。

自分の悩みに合わせて、相談窓口を選ぶのがおすすめです。

下記では、保育士の悩みを相談できる、行政相談窓口を4つご紹介します。

①厚生労働省 : 『働く人のこころの耳相談』

職場環境や人間関係、ストレスなどの悩みは厚生労働省の『こころの耳相談』に相談するのがおすすめです。

こころの耳相談は、悩みに合わせて担当の連絡先が分かれておりLINEやメール、電話など自分に合う方法で気軽に悩みを相談できます。

また、ストレスチェックなどの知識を学べるため、自分に合ったセルフケアを取り入れるきっかけにもなるでしょう。

参考:厚生労働省 『働く人の「こころの耳電話相談」

②厚生労働省 : 『こころの健康相談統一ダイヤル』

こころの健康に関する不安や悩みは、厚生労働省の『こころの健康相談統一ダイヤル』に相談するのがおすすめです。

このダイヤルに電話すると、自動で所在地の公的な相談機関につながる仕組みです。

具体的には、各自治体が運営する精神保健福祉センターや、福祉協会などにつながり、専門の相談員が相談にのってくれます。

相談するだけでも気持ちが軽くなるので、「自分の心が傷ついている」、「無理をしすぎている」と感じたときは早めに相談するのがおすすめです。

参考: 厚生労働省 『こころの健康相談統一ダイヤル

③厚生労働省 : 『総合労働相談コーナー』

職場でのパワハラ問題や賃金、不当解雇など、労働に関する問題は、厚生労働省の『総合労働相談コーナー』に相談するのがおすすめです。

各都道府県の労働局や労働基準監督署などに設置されている機関で、職場でのトラブルに関する相談から解決までしっかり対応してくれます。

専門の相談員が在籍しており、対面もしくは電話で相談が可能です。

時間内であれば、事前の予約なしにいつでも気軽に無料で相談できます。

労働基準法に反している場合は、行政指導をおこなう部署にもつないでくれます。

裁判所や法テラスなどの情報提供もしてくれるため、労働に関する悩みを抱えている方は相談してみるとよいでしょう。

参考:厚生労働省『総合労働相談コーナー

④法務省 : 『みんなの人権110番』

いじめやハラスメント、誹謗中傷、差別など、さまざまな人権に関する悩み相談は、法務省の『みんなの人権110番』がおすすめです。

法務局の職員や、法務大臣から委嘱された人権擁護委員が相談にのってくれます。

オンラインでの問い合わせフォームや電話相談、対面相談などさまざまな方法で相談可能です。

相談内容に合わせて、関係機関への紹介や法律上の助言、改善のための救済措置など、さまざまな対応をしてもらえます。

参考:法務省『みんなの人権110番

【保育士の相談】法人内の相談先

保育園内で起きている問題について、園内だけで解決が難しい場合は、保育園の人事部門や法人内の相談窓口に相談するのがよいでしょう。

たとえば、下記のように園内だけで解決するのが難しいケースです。

  • 同僚や上司からのいじめやパワハラについて園長に相談しても改善されない
  • 園長(管理者や代表者など)からパワハラを受けている
  • 保護者からのクレームやトラブルの責任を理不尽に押し付けられる

園長と直接話し合っても解決しない問題は、人事担当者や法人内の相談窓口に相談することで、解決につながる場合もあります。

【保育士の相談】園内の相談先

保育に関する悩みや人間関係の悩みについて、園内の誰かに相談する場合は、先輩保育士や同僚、主任保育士や園長に相談するのがよいでしょう。

たとえば、「子どもたちとの接し方に悩んでいる」、「行事のアイデアが浮かばない」など、保育に関する悩みは、先輩保育士や同僚に相談するのがおすすめです。

周りの保育士は同じような悩みを乗り越えてきている場合もあり、具体的なアドバイスをもらえる可能性があるでしょう。

また、保育士との人間関係や、保護者対応、働き方に関する問題などは、主任保育士や園長に相談してみるのがよいかもしれません。

同僚には話しづらいことや、自分だけではどうにもならない問題は、園のトップに相談する方がスムーズに解決する場合もあります。

保護者からのクレームなどの問題は、園長が対応しなくてはならないケースも少なくありません。

1人で抱え込んだり、大きなトラブルに発展したりする前に早めに相談しましょう。

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保育士が保育園を辞める理由

業務量の多さや、労働時間が長いなど、大変なイメージが強い保育士。

ここからは保育士が保育園を辞めてしまう理由と、次の章では解決策も一緒にご紹介していきます。

東京都福祉保健局が令和元年5月におこなった、東京都保育士実態調査*によると、退職理由には下記のようなものがあることが分かりました。

  • 職場の人間関係:33.5%
  • 給料が安い:29.2%
  • 仕事量が多い:27.7%
  • 労働時間が長い:24.9%
  • 妊娠・出産:22.3%
  • 健康上の理由(体力含む):20.6%  など

さまざまな退職理由がありますが、調査結果をみると、職場環境や待遇面に関する理由が多いことが分かります。

*複数回答
参考:厚生労働省『図表1-2-62 保育士として就業した者が退職した理由(複数回答)

保育士のよくある悩みと相談先・解決方法

保育士のよくある悩みと相談先・解決方法

ここからは、保育士のよくある悩みに対して、相談先と解決方法をそれぞれご紹介していきます。

人間関係

どの職場でも人間関係に関する悩みはつきものですが、とくに保育園は人間関係に悩む保育士さんが多いかもしれません。

実際に東京都保育士実態調査では、「職場の人間関係」が辞めてしまう理由として一番多いことが分かりました。

具体的に、保育士が人間関係で悩むことは下記のとおりです。

  • 保育方針や考え方の違いで保育士同士ぶつかる
  • 日々の忙しさから先輩保育士の指導が厳しくなる
  • 園長や主任保育士から厳しい指導を受け続ける
  • パートと正社員で働き方が異なるため関係性に悩む

人間関係の悩みは、コミュニケーション不足が問題の場合も少なくありません。

積極的にコミュニケーションをとるようにして、自分の意見を伝えるだけでなく、相手の考え方や想いに耳を傾けることも大切です。

職場の人間関係に悩んだ場合は、同僚や先輩保育士、主任保育士や園長など、自分にとって相談しやすい相手に相談してみましょう。

職場内の人には相談しづらい、解決しないと感じた場合は、人事担当者や外部の相談窓口に相談するのがおすすめです。

どうしても改善が難しい場合は、他の保育園へ転職を考えるのも1つの手です。

お給料関係

「お給料が低い」、「経験年数を重ねても給料が変わらない」、「労働内容とお給料が見合っていない」など、お給料関係で悩む保育士さんもいるかもしれません。

お給料関係で悩んだ場合は、まず園長に相談してみるのがおすすめです。

あなたの実情や希望を踏まえて、納得のいく解決案を提案してくれるかもしれません。

また園長に相談しづらい場合は、前述した厚生労働省の『総合労働相談コーナー』などに相談してみるのも1つです。客観的な立場から色々なアドバイスがもらえるかもしれません。

他にも、転職も視野に入れている場合は、保育専門の転職エージェントに相談することで、今より待遇がよい保育園が見つかるかもしれません。

仕事量が多い

よくある悩みとして業務の多さもあるでしょう

保育士は、クラス運営や、書類作成、製作物や行事の準備など、とにかく仕事量が多く、

残業をしたり、仕事を家に持ち帰ったり・・という保育士さんも中にはいるでしょう。

仕事量の多さに悩んだ場合、まずは、自分の仕事内容を見直してみましょう。どんな仕事をしていて、どのくらいの時間掛かっているのかを一覧にして出してみます。その中で、時間短縮が可能な仕事がないか?自分がやらなくても良い仕事はないか?など、一つ一つの仕事を見直してみると、削減できる仕事が必ずあるはずです。

それでも、明らかに業務時間内で終わらない仕事がある場合は、主任保育士や園長に相談してみるのがおすすめです。業務の分担や、業務効率化のための見直しなど、改善のために動いてくれる場合もあります。

それでも改善が見られない場合は、人事担当者や法人内の相談窓口をはじめ、前述した厚生労働省の『総合労働相談コーナー』など、行政相談窓口に相談してみましょう。

別途、今の職場でどうしても改善が難しいと感じた場合は、仕事量が少ない保育園へ転職を考えるのも1つの選択肢です。

ICTシステムを導入している保育園や、行事が少ない小規模園に転職することで、悩みが解消する可能性もあります。

勤務時間が長い

前述したとおり、保育士は仕事が多いため、遅くまで残業したり、家に仕事を持ち帰ったりする保育士さんもいるでしょう。

また、中には人手不足で、そもそも保育士1人ひとりの勤務時間が長くなっている場合もあるかもしれません。

勤務時間が長いと心身にストレスがかかり、体調不良や病気につながるリスクもあるため、体調を崩す前に早めに何かしらのアクションをするのがよいでしょう。

勤務時間が長い場合は、仕事の量を減らすか、一つひとつの仕事にかける時間を短くできないか、見直すと良いでしょう。

また、スキマ時間を有効活用することも大切です。

一日の中で、どのタイミングでどのくらいの時間が捻出できるかを予測しておき、そこでやる仕事も考えて準備しておくと、時間が空いた時すぐに仕事に取り掛かれます。

有限である時間を効率的に使っていくことが大切ですね。

また、自分一人ではどうしても勤務時間内に終わらない場合は、主任や園長に相談してみましょう。事務仕事ができる時間を作ってくれたり、シフトを調整してくれるかもしれません。

それでも身体を壊したり、相談しても改善されない場合は、法人内の相談窓口や厚生労働省の『こころの耳相談』、『総合労働相談コーナー』に相談してみるのも1つの手です。

他には、職場の環境を変えてみるのも一つの考え方です。自分の好きな保育という仕事を継続して行なう為に、持ち帰りや残業がない保育園や、休みが多い保育園を探して転職するのもおすすめです。

ライフプランが変わる時の相談先・相談方法

ライフプランが変わる時の相談先・相談方法

ライフプランが変わるときに、保育士が悩みがちなことは次のとおりです。

  • 「結婚・引越しが決まったから、自分に合う転職先を見つけたい」
  • 「子どもができたから少し仕事をセーブしたい」
  • 「子育てが落ち着いたから保育士として復帰したいけどブランクが心配・・」

ライフプランが変わるときは、下記に相談してみるのがおすすめです。

保育園(施設内)の上司に相談

保育園などで仕事をしている方は、ライフプランが変更になり、仕事に影響する可能性がでてきた段階で相談をしておきましょう。

相談先は、直属の上司が一般的ですが、何かの事情で相談がしづらい時でも園長には話をしておくと良いでしょう。

早ければ早いほど、保育園側も人員補填の準備やそれに向けての対応ができる期間を持ててスムーズな移行ができます。

また、その時には「どんな状況で」「いつごろから」「どんな影響がありそうか」という部分を伝えることで、お互いの認識が揃いやすくなり、お互いに負担が少ない中で話を進めることができるでしょう。

会社の人事(専用窓口)に相談

園の中で誰にも相談ができない場合には、会社が設けている相談窓口や人事の方に相談できる場合があります。

特に、産休・育休をする場合には会社にどんな制度があっていつから利用できるかなど必要な情報を貰うことができます。

ただし、この様な場合でも園長から会社に聞いて、園長からご本人にお伝えする流れが多く、やはり先に園内で話を通しておくことが良いと考えられます。

保育士・保育所支援センター

ライフプランの変更を機に転職を考える際は、地方自治体に設置されており、おもに保育士の求人や求職に関する悩み相談に向いている「保育士・保育所支援センター」に聞いてみるのも手です。

自治体によって対応方法はさまざまですが、保育経験のあるコーディネーターが電話で、就職・転職に関するアドバイスをしてくれる場合もあります。

また、保育士としてブランクがある方に向けて、研修やセミナーを実施している場合もあります。

ライフプランの悩みを相談することで、再就職や転職に向けてよい解決策が見つかるかもしれません。

参考:東京都保育人材・保育所支援センター

保育士専門の転職エージェント(保育士人材バンク

最後に紹介させて頂くのは保育士さんのための就職・転職マッチングサービスである保育士人材バンクです

東証プライム市場上場企業が運営しており、独自のルートから最新かつディープな求人情報をご紹介可能です。

保育士転職市場に詳しい、エリア専任のキャリアパートナーが、あなたの悩みや不安に寄り添い、ライフプランに合ったアドバイスや求人をご提案いたします。

登録から求人のご紹介だけでなく、履歴書添削や面接サポート、条件交渉なども完全無料でご利用いただけます。

転職が不安という方や、転職の方法が分からない方も、一度利用してみてはいかがでしょうか。

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明らかに法律違反がある時は

不当な解雇や雇止め、配置転換、賃金の引き下げ、賃金未払い、長時間労働など、明らかに法律違反があると感じたときは、『総合労働相談コーナー』や『労働基準監督署』に相談しましょう。

なお、総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談した場合、相談者の氏名等が保育園側に伝わる心配は原則ありません。

自分が直面している問題が、労働基準法に違反するものかどうか判断できない場合は、総合労働相談コーナーに相談するのがおすすめです。明らかに違反していると判断されれば、労働基準監督署に引き継がれます。

参考:厚生労働省『総合労働相談コーナー

参考:厚生労働省『労働基準監督署の役割

相談してもどうしても現状が変わらない時は

相談してもどうしても現状が変わらない時は

園内や相談窓口、行政機関に相談しても現状が変わらない場合は、今の職場を離れることを検討してみても良いかもしれません。

悩みや問題を抱えたまま、無理をして働くと、心身の病気につながったり、トラブルに巻き込まれたりする可能性もあります。

近年は、保育士の働きやすさに力を入れている保育園も増えてきています。

働きやすい保育園へ転職すれば、今の悩みや問題が解消する可能性もあるでしょう。

悩みやストレスは1人で抱え込まずに、第三者に相談し、早い段階で自分に合う保育園へ転職するのがおすすめです。

保育士の相談まとめ

保育士が悩んだときの相談窓口など、詳しくご紹介しました。

保育に関する悩みは、職場の同僚や先輩保育士に相談してみるのがおすすめです。

また、働き方の悩みは、可能であれば園長や人事担当者に相談するのがよいでしょう

それが難しい場合は、行政相談窓口を利用したり、転職エージェントに相談したりして新しい職場を見つけるのも1つです。

保育士に限らずですが、働いているとさまざまな悩みや問題にぶつかることがあります。時には、1人で解決するのが難しい場面もあるかもしれません。

そんなときは、1人で抱え込まずに誰かに相談するのが大切です。

相談することで気持ちが楽になったり、解決策が見つかったりすることも少なくありません。

保育士人材バンクでは、「転職するか迷っている」、「職場で起きている悩みを聞いて欲しい」という方でもお気軽にご相談いただけます。まずはお気軽にご相談ください!

【行政の相談窓口】

厚生労働省 : 『働く人のこころの耳相談

厚生労働省 : 『こころの健康相談統一ダイヤル

厚生労働省 : 『総合労働相談コーナー

法務省 : 『みんなの人権110番