「子どもに寄り添うことを大切にしたい」「子どもの主体性を大事にしたい」など、人によってさまざまな保育観があると思います。保育士をしていると、「この先生と保育観が合わないな」と感じた経験がある方もいるかもしれません。

保育観は人それぞれ違う部分がありますが、保育をするうえで軸となる大切なものです。

保育士として働いている方や、これから働きたいと考えている方は、改めて保育観について考えてみてはいかがでしょうか?

本記事では、保育観とはそもそもどういうものなのか解説します。

保育観の具体例や合わないときの対処法なども詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

保育観とは?

保育観とは、保育をするうえで大切にしたい考え方や価値観のこと。

子ども観と呼ばれることもあります。保育をするうえで軸となる大切なものです。

保育観は、保育園や保育士1人ひとりによっても異なるものです。

なぜなら、人は生まれ育った環境も経験してきたことも出会った人も異なります。

一方で園で決められている保育理念や保育方針を基にそこで働く人たちが一定の価値観や方向性を整えていくものでもあります。

保育観に明確な正解はないですので、すでに自分の考え方があるという方は、これからも自分の保育観を大切にしてくださいね。

また、「自分の保育観が分からない」という方は、これをきっかけに考えてみるとよいでしょう。

保育観の具体例10選

保育観の具体例10選

ここでは、保育観についての一例を具体的にご紹介します。

保育観は0か100かというものではなく、どのような要素がどのくらい持っているか、という「度合い」の部分でもあります

自分の保育観がある方も、まだ分からないという方もぜひ参考にしてみてください。

さまざまな保育観を知ることで、保育の見方が広がるかもしれません。

①コミュニケーションを大切にする保育観

保育の中で大切なのが、コミュニケーションをとることです。

子どもや保護者の考えや思いを知るためには、こまめなコミュニケーションが欠かせません。

コミュニケーションを大切にすることで、子どもや保護者が求めることに対して、適切なアプローチができるようになります。

どんな時でもコミュニケーションを大切にする価値観の方はいるでしょう。

②あるべき論にとらわれない保育観

大人になると「こうあるべき」という型ができやすくなります。

子どもが興味をもって行動したことに対して、「どうせできないから」と決めつけて関わってしまうと、子どもの可能性をつぶしかねません。

どんな時でも、あるべき論にとらわれずに一呼吸をして、幅広い考え方で子どもと関わる視点を大切にしている方もいるのではないでしょうか。

③「待つ」保育観

保育をしていると「危ないから」「時間がないから」という大人の都合で、行動を制限したりせかしたりする場面もあるかと思います。

その中でも子どもの自主性を尊重して「待つ」ことを大切にする価値観もあるでしょう。

その場合でも、「放任」と「見守り」の違いをしっかりと理解して子どもの成長ができる環境作りは大切です。

④子どもの気づきを大切にする保育観

答えをすぐに伝えること、気づくように促すことは簡単ですが、子どもにとって貴重な経験を奪ってしまう可能性があります。

子どもにとって、保育園での経験は感動の連続です。試行錯誤、失敗を繰り返しながら、「こうすればできるんだ」と子どもが自分で経験できれば、気づきが自信に変わるでしょう。

子どもの小さな気づきを大切にする価値観を持っている方もいるのではないでしょうか

⑤認める&褒めることを大切にする保育観

認めること、褒めることは、子どもの自己肯定感を高めます。

逆に否定ばかりしてしまうと、マイナス思考に陥ってしまいます。

保育の中で頑張りを認める&褒めることで、子どもは自信がつき、失敗を恐れずにチャレンジできるようになるでしょう。

保育士自身が、子どもの認める&褒めるポイントを積極的に見つけことを心掛けている方もいらっしゃるのではないでしょうか

⑥子どもが安心して過ごせることを大切にする保育観

長い時間を保育園で過ごす子どもにとって、保育園は第二のお家ともいえます。

保護者と離れることで不安を抱える子も少なくありません。

子どもが安心して過ごせるように、安全で居心地の良い空間を整えることは大切なことです。

子どもが安心することを一番に考え、保育の環境や子どもとの関わりを考える方も多いのではないでしょうか。

⑦気持ちに寄り添う保育観

子どもの本当の気持ちを理解して、寄り添うことは、保育においてとても大切なことです。

子どもの気持ちを受け止めて、「嬉しいね」「楽しいね」「きれいだね」と丁寧に関わっていくことで、子どもとの信頼関係が深まります。

気持ちに寄り添うことは、子どもの自己肯定感を高めるうえでも大切なことです。

子どもに寄り添うことを第一に考える価値観もありますね。

⑧個性を大切にする

個性を大切にする関わりは、子どもが自分らしさを開放するきっかけになります。

保育園は集団生活なので、「みんなで一緒に」と考えやゴールを揃えがちです。

その子が持っている個性を大切にすることで、その子の魅力を伸ばすこともできる。という考え方です。昨今の多様化する社会の中でもよく耳にする言葉ですね。

⑨自由にのびのび過ごせることを大切にする保育観

子どもが自由にのびのび過ごせる保育も大切です。

遊びや活動を大人が用意してあげること、環境を整えてあげることは、きっかけを作るという意味では大切なことです。

しかし、子どもの自主性を育むという点では、子どもが自由にのびのび過ごせる保育も重要といえます。

⑩チャレンジする機会を大切にする保育観

子どもは新しいことにチャレンジするとき、多くの時間をかけて、できるようになります。時間がかかってもできたことは、その子の自信につながるでしょう。

保育において、根気強く待ち成功の機会をつくることは子どもの成長にプラスになります。

保育の活動や保育園で導入しているカリキュラムでチャレンジ体験を入れていることもあるのではないでしょうか。

保育観が合わない時の対処法

一緒に担任をもっているペアの先生や、ほかの先生と保育観が合わなくて悩むこともあるでしょう。ここでは、保育観が合わないときの対処法をご紹介します。

違う保育観について理解する

自分の意見ばかりを主張していては、良い関係性は築けません。

まずは相手に歩み寄って、違う保育観について理解することが大切です。

もし、相手と考えが違ったとしても、否定するのではなく良い部分を探してみましょう。

それでも理解できない部分がある場合は

お互いの保育観を理解しあう機会をつくってみるのはいかがでしょうか。

視点を変えて見てみる

保育観が合わないと感じたときは、視点を変えて見ることも大切です。

一歩引いて客観的に見ることで、今まで気づいていなかった相手の考え方や、良い部分に目を向けられるかもしれません。

視野が狭くなっていると、相手を理解できなくなってしまうので「相手を知りたい」という気持ちで、一歩引いて歩み寄ってみるとよいでしょう。

自分の考えも相手に伝えてみる

保育観が合わない場合は、自分の考えを相手に伝えて、話し合ってみましょう。

お互いの保育観が違っていても、「子どもを一番に考える」という意味では根本は同じというケースも少なくありません。

相手に歩み寄って話し合いをするうちに、お互いの保育を認めることができるかもしれません。

直接相手に伝えづらい場合は、ほかの先生やリーダー、主任に相談してみるのも1つです。経験を踏まえて、良い解決方法を教えてくれるかもしれません。

自身の保育観を見直してみる

前述したように、保育観に明確な正解はありません。相手と保育観が違うからといって、自分が大切にしていることを無理に変える必要はありません。

しかし、自分の保育観を見直す機会を作ることは大切です。

「自分はどうしてこの保育観なのか」客観的にみることで、保育観が合わない相手の気持ちが分かることもあるでしょう。

もし、客観的に見るのが難しい場合は、周りの保育士や先輩保育士に相談すると、ヒントやアイデアをもらえる可能性もあります。

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保育観がどうしても合わなかったら

保育観がどうしても合わなかったら

「相手に歩み寄ってみたけど、どうしても分かり合えない」「そもそも保育園の考え方が合わない」と感じている方もいるかもしれません。

保育観は保育をするうえでの軸となる部分なので、否定されてしまった、周りに理解してもらえないという状況は、保育士さんにとってつらいものだと思います。

もし、保育観の違いで働くのがつらいと感じた場合は、思い切って転職してみるのも1つです。

自分の保育観と合う転職先が見つかれば、自信をもって自分らしい保育ができるでしょう。

【転職時のポイント】職務経歴書や自己PR欄で記載する時の書き方

ここからは、どうしても保育園との価値観が合わない時など、転職を検討する人に向けて、職務経歴書自己PR欄で保育観を記載するときのポイントをご紹介します。

転職活動中の方、これから転職する方はぜひ参考にしてみてください。!

自分の言葉で伝えられない内容は避ける

採用面接では、職務経歴書や自己PRをもとに質問される場合があります。

そのため、自分の言葉で説明できる保育観を記載するのが大切です。

どんなに魅力的な保育観でも、言葉で説明できなければ採用担当者に想いや熱意が伝わりづらくなってしまいます。

難しい言葉は使わずに、自分の言葉で分かりやすく伝えることを意識して書くのがポイントです。

一般的な内容は具体的に理由を伝える

「明るくて元気な保育士」「子どものことを一番に考える」など、どんな内容でも通用する内容を書く場合は、なぜそう思うのかを具体的に自分の言葉で説明できると良いでしょう。

もちろん、人として保育士として大切なことですが、当たり前すぎる内容だと、中身がないとネガティブな印象をもたれる可能性があります。

反対に当たり前の内容でも、しっかりと筋が通っていて自分の言葉で「なぜそう思うのか」を説明できると面接時に信用を得られるでしょう。

自分の経験やエピソードを交える

採用担当者は、「なぜその保育観なのか」を知りたいと思っています。

ポイントは、自分の経験やエピソードに絡めてなぜその保育観なのかを記載することです。

失敗から学んだことや自分の心が動いたエピソードなど、想いや熱意が伝わるように、実体験やエピソードを入れてみましょう。 

園の方針とかけ合わせる

職務経歴書や自己PR欄では、志望園の方針と自分の想いのかけあわせで記載しましょう。

自分の保育観と、園の理念の内容がずれてしまうと、「就職するならどこでもいいんだ」と思われてしまいます。

採用担当者に「ここの保育園だから働きたい」という熱意が伝わるように、説得力のある内容にしましょう。

合わない保育観を否定するのはNG

職務経歴書や自己PR欄で、自分と違う保育観を否定するのは避けましょう。

前述したように、保育観に正解はありません。

否定的な内容を書いてしまうと「この人は周りが見えていない人」「柔軟性がない人」と悪い印象を与えかねないので注意しましょう。

【転職時のポイント】面接時の回答

ここでは、面接で保育観について答える際のポイントを紹介します。

結論から伝えるようにする

面接で保育観について聞かれた場合は、結論から答えるとスムーズに伝わります。

理由から話してしまうと、「この人は何を伝えたいんだ」と、自分の伝えたいことが上手く伝わらなくなってしまいます。また、自分の意図していない形で伝わる可能性もあるでしょう。

下記の流れで答えると、面接官に自分の伝えたいことが分かりやすく伝わります。

【ステップ①結論】 自分の保育観を伝える
【ステップ②理由】 なぜその保育観なのかの理由を伝える
【ステップ③具体例】 保育観につながるエピソードやきっかけを伝える
【ステップ④結論】 自分の保育観を伝える

面接官に違和感を与えない範囲で、自分の保育観と園の方針がマッチしているポイントも説明できると納得感を得ることができます。

矛盾を与えないようにする

自己PRや職務経歴書と、面接で話す内容に矛盾が生じないよう注意しましょう。

たとえば、書類では「子どもに寄り添う保育がしたい」と書いているのに、面接ではいきなり「保護者とのコミュニケーションを大切にしたい」と答えてしまうことです。

どちらも大切な保育観ですが、書類と面接で内容がいきなりずれてしまうと、説得力のない回答になってしまうので注意しましょう。

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【転職時のポイント】自分の保育観を具体的にする方法

ここからは転職時「自分の保育観が分からない」「保育観が定まらない」という方に向けて、保育観を具体化する方法をご紹介します。自分の保育観を見つめ直す良い機会として、下記の方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。

憧れている人の保育を思い浮かべてみる

自分の保育観が分からない方は、憧れている先輩や同僚の保育を思い浮かべてみるのも1つです。

素敵だなと思う保育をイメージすることで「自分が目指しているもの」が見える可能性があります。

どこの部分に自分が魅力を感じているのか、を考えることで、「自分が大切にしていること」「自分にとって理想の保育士像」が分かるようになるでしょう。

自分が大切にしてきたことを書き出してみる

自分の保育観が分からない方、定まっていない方は、自分が保育をする中で大切にしてきたこと(していること)を書き出してみるのもおすすめです。

イメージしづらい方は、「これだけはしないように注意してきたこと」から掘り下げていってももよいでしょう。

一度書き出してみることで、自分の保育観が明確になるかもしれません。

定期的に振り返る機会を作る

保育観は、定期的に振り返ることも大切です。

経験を重ねていくと、広い視野で保育ができるようになります。

これまで自分が正しいと思っていたことも、「実は少し違うかもしれない」と気づくこともあるかもしれません。

また、『社会的な価値観』もどんどん変化していきます。

自分の保育観を見直し、振り返ることは保育士としての成長にもつながります。

自分の保育観を好きになる

自分の保育観を好きになる

繰り返しになりますが、より良い保育に正解がないように、保育観にも正解や間違いはありません。

人と違う保育観であっても、自信をもって自分の保育観を好きになることも大切です。

また、保育経験がない方や新卒の方は、「自分の考えは間違っているかもしれない」と不安になることもあるかもしれません。

その中でも「子どもや保護者」のことを一番に思っての保育観であれば、経験がない新卒の方、新人の方でもその保育観を大切にしていってくださいね。

保育観まとめ

『保育観』をテーマに、具体例や合わないと感じたときの対処法、転職活動のポイントなどを詳しく解説してきました。

保育観には明確な正解はないので、保育士の数だけ保育観があるといっても過言ではありません。

「保育をするうえで考え方が違う」というのは一見ネガティブに考えがちですが、実はそうとは限りません。

子どもはこれからたくさんの人と関わり、色々な考え方に触れて成長していきます。

1つの考え方だけで保育をしてしまうと、子どもも偏った考え方になってしまうことがあります。

さまざまな保育士さんと関わり、多種多様な保育観の中で成長していくことは、実は子どもにとってプラスなことでもあります。

そのため、周りと保育観が合わないと感じても悲観的にならず自信をもってください

とはいえ、保育観が合わなくて今の環境がつらいと感じたら、保育観が合う保育園へ転職するのも1つの手です。

保育士人材バンクでは、あなたの保育観に合った職場をご紹介します。悩んでいる方、転職に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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