「今の保育園が合わないから転職を考えている」「保育士としてこの先も働いていけるのか不安・・・」など、悩んでる方はいませんか?
子どもの成長に携わる保育士はやりがいもありますが、さまざまな理由から現場を離れたいと考える保育士さんも多いようですね。
本記事では、東京都の調査で明らかになった保育士が辞める理由ランキングトップ10をご紹介します。
また、辞める前にできる解決策や、辞めることを決めた際に円満に退職するための伝え方や転職時に気を付けるポイントなども詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください!
目次
保育士が辞める理由は?
子どもたちの成長を見守りながらサポートする保育士という仕事は、やりがいのある仕事です。
厚生労働省が、養成校の学生におこなった調査によると、保育職へ就職を目指す理由として下記の回答があげられました。
- 保育者になることが夢だったから(78.6%)
- 資格・免許が取得できるから(25.2%)
- 授業を通して保育の面白さや、やりがいを感じた・・・(24.5%)
- 実習が楽しかったから(13.8%)
- 家族や知人に勧められたから(11.0%)
上記の結果を踏まえると、昔から保育士になるのが夢で保育士を目指している方が多いことが分かります。
しかし、厚生労働省の調査によると、保育士の離職率は9.3%であることが分かりました。
一般職を含めた全体の平均離職率は15.0%なので、調査結果だけで判断すると、日本全体の平均値よりは離職率が低いといえます。
ただし、保育士として働いている人は全国に約59万人いるため、9.3%という離職率を踏まえると、毎年約5.5万人が離職していることになります。
これらの結果を踏まえると、人手不足を抱える保育業界にとって、離職している保育士が多いことは大きな問題といえるでしょう。
憧れを抱いて保育士になったのにも関わらず、なぜ辞める決断に至ったのか、ここからは、東京都が実施した調査結果をもとに、保育士が辞める理由を詳しくみていきます。
参考:
厚生労働省:「保育士の現状と主な取組」
厚生労働省:「-令和4年雇用動向調査結果の概況-」
保育士の辞める理由ランキングトップ10
ここからは東京都の調査結果で明らかになった、保育士が辞める理由ランキングトップ10をご紹介します。
1位:職場の人間関係
保育園では、人間関係に悩んで保育士を辞めてしまう方が多くいます。
保育士同士ペアを組んで、クラス担任として一緒に保育をする場合が多く、価値観の違いで意見が衝突するケースも少なくありません。
中には、先輩保育士からの度を超えた厳しい指導や、陰口に精神を病んでしまう保育士さんもいるようです。
2位:仕事量が多い
日々の保育だけでなく、保育室の環境整備や、書類作成、イベントの準備や保護者対応など・・・保育士の業務は多岐にわたります。
その仕事量の多さが負担となり、保育士を辞めてしまう方も多いようです。
中には、業務時間内に仕事が終わらず、家に持ち帰ってサービス残業する保育士さんも。
とくに人手不足の保育現場では、保育士1人ひとりに過度な負担がかかっているケースも少なくありません。
3位:給料が安い
「給料が少ない」という理由で、離職する保育士さんも多いようです。
厚生労働省が出している、2023年(令和5年)の調査結果によると、保育士の平均年収は約396.9万円ということが分かりました。
近年は、保育士の処遇見直しがおこなわれ、少しずつ改善されつつありますが、まだまだ「給料が安い」と感じる保育士さんは多いかもしれません。
参考:政府統計の窓口「令和5年賃金構造基本統計調査」
4位:健康上の理由・体力的な理由
保育士の仕事は、子どもをおんぶしたり抱き上げたり、屋外で一緒に走り回ったりなど、体力を要する場面がたくさんあります。
そのため、肩こりや腰痛など、身体の不調により辞める保育士さんもいるでしょう。シフト勤務なので生活リズムが乱れやすく、体調不良になる方も。
また、慢性的な過労から精神的なストレスにつながるケースもあります。
5位:労働時間が長い
保育士は、仕事量が多いと前述しましたが、それと比例して労働時間も長くなります。
とくに、事務作業や制作物の準備などは、子どもたちが帰った後におこなうため、自宅に持ち帰るケースも多いかもしれません。
残業が多い職場や、長時間労働が続いてしまうと、仕事とプライベートの切り替えが難しくなり、心身の不調につながる場合もあります。
6位:妊娠・出産
妊娠や出産をきっかけに、退職を決意する保育士さんもいるでしょう。
具体的には、妊娠中の体調の変化や、出産後の育児と仕事の両立が難しいことから、産休・育休をとらずに辞めてしまう場合もあるようです。
また、保育園によっては、人手不足を抱えている園も多いため、「産休・育休制度があっても何となく使いづらい」という方もいます。
7位:他業種への興味
他の職業に対して興味がわいて、キャリアチェンジを考える保育士さんもいるようです。
たとえば、保育士よりも高収入が狙える業種や、スキルアップが目指せる職業へ転職する方もいます。
「収入が安定していない」「昇給が見込めない」などの不満を感じている場合は、「他の業種にチャレンジしたい」と転職を考えやすくなるでしょう。
8位:結婚
結婚をきっかけに退職する保育士さんもいます。
結婚後は、引越しや環境の変化が起こりやすいため、仕事とプライベートの両立が難しくなる場合もあるかもしれません。
前述したように、業務量が多かったり、労働時間が長かったりすると、「今の状況では、結婚後は難しいかも・・・」と働き続けるのを断念してしまう方もいるでしょう。
また、結婚後にパートナーの転勤が決まり、退職するケースもあります。
9位:保育園や法人の保育理念に共感できなかった
保育園によって、理念や方針は異なります。
保育園や法人の保育に対する考え方が、自分の考えと合わない場合、理想と現実のギャップがつらくなり、辞めてしまう方もいるでしょう。
とくに、「子ども1人ひとりに寄り添う保育をしたい」「見守る保育を大切にしたい」など、子どもたちと丁寧に関わりたいと思っている保育士さんにとって、規模の大きい園や、効率重視の方針は合わないと感じる場合が多いでしょう。
10位:子育て・家事
保育士の仕事と、育児・家庭との両立が難しくて退職する場合もあります。
結婚や出産をきっかけに、正社員からパートタイマーに切り替える方もいますが、人手不足を抱える保育園では、柔軟に働くのが難しい場合もあるでしょう。
また、ライフスタイルの変化により、「保育士としてキャリアアップして活躍するのは難しいかもしれない」と諦めてしまうケースもあるかもしれません。
参考:東京都福祉局「東京都保育士実態調査 結果の概要 」
辞める前に改善できることはある?
保育士を辞めたいと思っている方は、下記の方法を試してみるのがおすすめです。
ご紹介する6つのポイントを意識することで、今抱えている悩みが改善される可能性があります。
1.職場の人とのコミュニケーションを工夫してみる
人間関係を理由に悩んでいる方はコミュニケーションを工夫してみるのも1つです。
たとえば、他の保育士と積極的に意見交換したり、先輩保育士に質問・相談してみたり、相手の考え方に耳を傾ける姿勢をもったり、職場の人との関わり方を変えてみましょう。
意識的に関わり方を工夫することで、職場の人と信頼関係が築きやすくなり、自身の働きやすさにもつながるでしょう。
2.リフレッシュできる時間を意識的に作る
仕事とプライベートの切り替えが難しいと、心身の不調につながる可能性があります。
そこで意識的にリフレッシュできる時間をつくることで、疲労を軽減できるでしょう。
たとえば、休憩時間に軽いストレッチや深呼吸をおこなったり、休みの日に散歩や運動をしたり、リフレッシュできる習慣を取り入れるのがおすすめです。
日常的に、自分の好きなことや趣味をする時間をつくるのも効果的です。
リフレッシュできる時間を作ることで、仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。
3.職場の同僚や上司に相談してみる
仕事の悩みは1人で抱え込まずに、職場の同僚や上司に相談することで、改善につながるケースもあります。
たとえば、業務負担の調整や、働き方の見直し、解決策の提案など、サポートを得られる場合もあるでしょう。
また、職場の同僚に相談することで、孤立感がなくなり、前向きになれる場合も少なくありません。
1人で抱え込まずに、まずは身近な同僚や上司に相談してみてはいかがでしょうか?
4.別の視点から物事を考えてみる
別の視点から物事を考えてみると、今まで気づかなかった見方ができたり、解決策が見つかったりする場合もあります。
日々の忙しさに追われていると、余裕がなくなり視野が狭くなりがちです。
一度立ち止まって新しい視点で状況を見直すことで、ポジティブな見方ができるようになり、やりがいやモチベーションアップにもつながるかもしれません。
5.第三者に相談してみる
職場以外の第三者に相談してみるのも1つです。
たとえば、家族や学生時代の友人、専門のカウンセラーに相談して、客観的な意見をもらうことで、「自分がどうすべきなのか」という道筋が見えてくる場合もあります。
また、専門のカウンセラーに相談することで、専門的なアドバイスや改善策を提案してもらえる可能性もあるでしょう。
6.スキルアップを目指してみる
役立つ資格を取得したり、研修に参加したりして、スキルアップを目指すのも1つです。
保育士としてスキルアップできれば、活躍の場が広がり、キャリアアップのチャンスが増える可能性もあります。また、保育士の仕事に対する、自信や意欲にもつながるでしょう。
どうしても辞めたいときは
同僚や上司、第三者に相談したり、自分の意識を変えてみたり、できることをやっても状況が変わらない場合は、転職を検討するのも1つです。
今働いている保育園が合わない場合は、別の保育園へ転職することで自分らしく働ける可能性があります。
保育園によって、待遇面や、保育園の規模、方針、職員の雰囲気は異なります。
自分に合う保育園が見つかれば、ストレスなく楽しく働けるはずです。
また、保育士が活躍できる場所は、保育園以外にも豊富にあります。
学童保育や院内保育、児童発達支援施設や幼稚園など、選択肢を広げて、転職先を検討してみるのも1つでしょう。
保育士専用の転職エージェントである保育士人材バンクでは、あなたにあった転職先を、一緒に探すことができます。
完全無料で利用ができますので、ご活用を検討してみてください。
辞める時の伝え方
今の職場をトラブルなく円満に辞める場合は、下記のポイントを意識して伝えましょう。
理由は簡潔に伝える
退職理由は簡潔にまとめることが大切です。
必要以上に長々と話してしまうと、誤解を与えたり、トラブルにつながったりする可能性があります。
ネガティブな印象を与えないように、伝えたい情報は簡潔にまとめて話しましょう。
嘘はつかずにポジティブな言い方を意識する
退職理由は、正直かつポジティブに伝えるのが重要です。
たとえば、給与などの待遇面に不満があったとしても、「新しい環境でキャリアアップを目指したい」など、前向きに伝えることで、相手にネガティブな印象を与えなくて済みます。
退職理由はできるだけポジティブに言い換えて伝えるのが、円満退職への第一歩です。
感謝の気持ちをしっかり伝える
退職の意思を伝える時は、これまでお世話になった感謝の気持ちをしっかり伝えるのが大切です。
たとえば、「貴重な経験をたくさんさせていただき、感謝しています」など、感謝の言葉を素直に添えることで、良好な関係のまま退職できるでしょう。
退職日まで責任をもって働くことを伝える
「退職日まで、全力で業務を全うします」「子どもや保護者、先生たちに迷惑がかからないように、しっかりと引継ぎをします」など、退職まで責任をもって働くことを伝えるのも重要です。
とくに、引継ぎが円滑に進むように、自分から積極的に協力する姿勢を見せることは、周りの人への安心感や、自分のモチベーションを保つことにもつながります。
最後まで誠実さやプロとしての姿勢を示すことで、円満退職ができるでしょう。
次の転職先を長く続けるためのポイント
さいごに、転職時に気を付けるポイントを4つご紹介します。
転職してから「イメージと違った」「転職しなければよかった」と後悔しないように、下記のポイントを意識して転職活動をしましょう。
1.転職理由を明確にする
転職活動を成功させるためには、「自分がなぜ転職したいのか」、「何を求めているのか」を明確にすることが大切です。
転職理由があいまいだと、転職後も同じ悩みを抱える可能性があります。
転職理由が明確であれば、「どのような転職先を選べばいいのか」も明確になるため、自分に合った職場が選べます。
2.必ず園見学をして雰囲気を確認する
保育園内の雰囲気や職場環境などは、ホームページや求人票、面接だけでは確認しづらい部分です。
そのため、必ず園見学をして、「園の雰囲気が自分に合っているか」、「長く働き続けるイメージが持てるか」などを自分の目で確かめるのが大切です。
気になる園が見つかったら、複数の園を見学をして比較して決めましょう!
3.給与などの待遇面だけで決めない
転職先を選ぶうえで、給与や待遇面は大切な部分ですが、これをメインに転職先を選んでしまうと、別の悩みや不満が生まれる可能性があります。
同じ職場で長く働き続けるためには、園の方針や理念、人間関係、福利厚生なども重要なポイントです。
転職後に後悔しないためにも、総合的に判断して転職先を決めましょう。
4.キャリアアップするための環境が整っているか確認する
長期的に働くためには「キャリアアップするための環境が整っているかどうか」も、重要なポイントです。
具体的には、研修などスキルアップのための機会があるか、キャリアパス制度があるか、昇進の機会があるかなどを確認しましょう。
「自分が保育士として今後どのようになりたいか」を考えて、転職先がその目標を実現できる環境なのか見極めるのが大切です。
保育士の辞める理由まとめ
保育士が辞める理由ランキングトップ10や、円満に辞めるための伝え方、転職時に気を付けるポイントなどをご紹介しました。
ご紹介したように、給料の安さや、人間関係、業務量の多さなどで悩む保育士さんは多いかもしれません。
自分で関わり方を意識したり、同僚や上司に相談したりして、悩みが改善される場合もありますが、状況が変わらない場合は、別の保育施設へ転職を検討してみるのも1つです。
実は、保育士さんが活躍できる場はたくさんあります。
たくさんの選択肢の中から、「自分らしく働ける職場を探したい」という方は、保育士人材バンクへ相談してみませんか?