この記事では保育士でも一人暮らしができること、その理由や根拠を国のデータなどから解説していきます。新卒の場合や各地域の想定生活費のデータもまとめているので、ご自身のニーズに合わせてチェックしてみてください。

一人暮らしに不安を感じている保育士の方は、ぜひ参考にしてくださいね。

保育士で一人暮らしはできる?

結論から言うと、保育士の一人暮らしは可能です。

その根拠となるのは、保育士を対象とした調査に基づくデータです。

まず「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、34歳までの保育士の平均給与額は、額面で約24万5,000円。ここから算出できる手取り額は、およそ20万円です。

一方で一人暮らしにかかる生活費の平均は、34歳までの単身世帯で月々約15万8,000円です(「令和4年家計調査」による)。

支出のざっくりとした内訳は、以下の表にまとめた通りです。

保育士で一人暮らしはできる?支出表【保育士人材バンク】

参考:令和4年家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表

収入が月に約20万円、支出が約16万円なので平均的な給与を得ながら一般的な生活をしていれば、一人暮らしは可能だといえます。

しかし実際のところ、勤務先の地域や園によって収入には個人差があります。また、住んでいるエリアや生活スタイルによっては、希望通りの生活ができない場合もあるかもしれません。

家賃補助制度を使って理想の一人暮らしを

先ほど紹介した、一人暮らしの支出の内訳を金額の大きい順に並べると最も負担が大きいのは、家賃にかかる約3万6,000円でした。

この金額は全国の平均なので、住んでいる地域や個々の事情によって、かなり差があると推測できます。実際、日本で一番家賃が高い東京都内だと一人暮らしの部屋でも6~8万円が相場だといわれています。

そんな保育士の一人暮らしの生活を支えてくれるのが家賃補助制度です。さまざまな制度がある中で今回は、以下2つの制度を紹介します。

・保育士借り上げ社宅制度
・法人独自の家賃補助制度

保育士借り上げ社宅制度とは

保育士借り上げ社宅制度は、保育園の運営法人が保育士の社宅として、マンションやアパートの部屋などを借り上げ、その費用を国や自治体が補助する制度です。

国の事業としては、採用から10年以内の職員に対して1人当たり最大月8万2,000円までの家賃を補助できるようになっています。

勤務先の法人が制度を導入している場合のみ、保育士借り上げ社宅制度を利用することができ、家賃の全てか一部を負担してもらえます。

保育士借り上げ社宅制度は、園などの法人が主導するため、実際の運用は園の裁量に任されています。中には以下のような運用をしている法人もあります。

初期費用や引っ越し代の負担無し

一人暮らしを始める初期費用の平均は、敷金・礼金や仲介手数料などで50万円ほどかかるといわれています。しかし、借り上げ社宅制度では、園の法人が物件の契約をするため、初期費用を負担してもらえるケースがあります。

別途、法人によっては、引っ越しにかかる費用も負担してくれるケースもあり、この場合は、さらに約5万~10万円程度費用が浮く計算になります。

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不動産指定OK

前述したように保育士借り上げ社宅制度では、園の運営法人が社宅用の部屋を借り上げて運用するのが一般的です。
しかし法人によっては、制度を利用する保育士が住みたい物件を指定できるケースもあります。この場合、法人と相談したうえで物件を決める流れになるでしょう。

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ペット可能

保育士借り上げ社宅制度では、一般のマンションやアパートの一室を園の運営法人が借り上げる形が基本です。指定の部屋がペット可の物件だった場合には、ペットを飼うこともできます。

もし、すでにペットを飼っている場合には、ペット可の物件を指定できないか、借り上げ社宅制度を利用する際に相談してみてはいかがでしょうか。

また、あらかじめ以下の「ペットOK」求人から探してみても良いかもしれません。

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法人独自の家賃補助制度

保育園などの法人が、福利厚生の一環として、独自に家賃補助制度を設けていることがあります。この場合、主に2つの制度に分かれるでしょう。

・住宅手当
・寮、社宅制度

住宅手当

勤務先の法人が、働く保育士の家賃負担を軽くするために出す手当です。
住宅手当の金額は、法人により様々で、1万円の手当もあればそれ以上の金額もありえます。また、以下に住宅手当を受け取れる条件の一例をご紹介します。

  • 扶養家族がいる場合
  • 賃貸物件に住んている場合
  • 世帯収入が法人基準を超えない場合

手当の金額自体はあまり多くありませんが、以下のような点はメリットといえます。

・自分で選んだ家に住める
・職場が変わっても(手当は出ないが)、住み続けられる

寮・社宅制度

保育園が職員のために、寮や社宅を用意しているケースです。

「寮」の場合、お風呂やトイレは共同の学生寮タイプや、同じ物件に複数の人が住むシェアハウスタイプなどがあります。また、「社宅」の場合には、法人が所有するアパートやマンション、あるいは部屋に住むパターンが一般的です。

法人の寮や社宅に住む場合、そのエリアにある賃貸物件のおよそ20~50%の家賃で住めるケースがあります。例えばエリアの家賃相場が5万円の場合、1~2万5,000円の負担で住むことができる計算です。

法人によっては無料で住める場合もあるので、住むエリアによっては、かなり経済的負担が軽くなるでしょう。

ただし、以下のようなデメリットもあります。

  • 住む部屋を選べない
  • 寮の場合、ほかの職員と共同生活をしなければならない
  • 退職したら、引っ越さなければならない

【手取り別】保育士の想定生活費と貯金額

ここからは、保育士の手取りごとに、想定生活費と貯金額をシミュレーションしていきます。ご自身の手取りに近いケースを、参考にしてくださいね。

いずれのケースも、以下に挙げた、一般的な生活費と貯金額の割合を参考に作成しています。

特に手取り15万円の場合は、自炊などで食費を削って生活する必要があります。急な出費があると対応が難しくなるため、実際に生活費を算出してみてから一人暮らしに踏み切るようにしましょう。

保育士で一人暮らしはできる?支出割合【保育士人材バンク】

手取り15万の想定生活費と貯金

【手取り別】保育士の想定生活費と貯金額。手取り15万【保育士人材バンク】

手取り20万の想定生活費と貯金額

【手取り別】保育士の想定生活費と貯金額。手取り20万【保育士人材バンク】

手取り25万の想定生活費と貯金額

【手取り別】保育士の想定生活費と貯金額。手取り25万【保育士人材バンク】

手取り30万の想定生活費と貯金額

【手取り別】保育士の想定生活費と貯金額。手取り30万【保育士人材バンク】
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【場所別】保育士の想定生活費

次に、保育士の住んでいる場所ごとに、想定される生活費をシミュレーションします。

今回挙げるのは、東京23区、大阪市、横浜市の3つのエリアです。それぞれの都市における、保育士の平均給与(額面)は、以下の通りです。

・東京23区…30万2,000円
・大阪市…29万8,700円
・横浜市…29万1,400円

参考:消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 年報 年次 2022年

今回は3エリアとも保育士の平均的な手取り25万円を基準に生活費を算出してみました。

手取り25万の想定生活費と貯金額

【手取り別】保育士の想定生活費と貯金額。手取り25万【保育士人材バンク】

参考:消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 年報 年次 2022年

住む地域によって家賃や物価の相場が異なるといわれますが、意外にも今回挙げた3都市の生活費は、平均と大きくは変わりませんでした。「都心に住むと生活費がかかるから…」と、心配している方でも、「意外と大丈夫かも?」と思えるような結果になっています。

ご自身の住みたいエリア、住む予定のあるエリアを当てはめて、生活費がどのくらいかかりそうか、確認してみてくださいね。

東京23区内で働く保育士の想定生活費

東京23区内で働く保育士(手取り25万円)の想定生活費は、約20万6,960円です。内訳は、以下の表を想定して計算をしました。

【場所別】保育士の想定生活費。東京23区内【保育士人材バンク】

日本で最も家賃や物価が高いといわれる東京23区内では、全体的にほかのエリアと同等か、やや高い水準です。トータルで全国平均と比べても、それほど高くありませんでした。
とはいえ家賃などは23区内でも住むエリアによって大きな差があるため、23区内でも家賃の高い、港区、千代田区、渋谷区などに住もうと思えば、さらに生活費が増えると予測できます。

大阪で働く保育士の想定生活費

大阪で働く保育士(手取り25万円)の想定生活費は、約19万8,750円です。内訳は、以下の表にある通りです。

大阪の想定生活費は、23区内とほとんど変わらない状況でした。

【場所別】保育士の想定生活費。大阪【保育士人材バンク】

横浜で働く保育士の想定生活費

横浜で働く保育士(手取り25万円)の想定生活費は、約20万5,880円です。内訳は、以下の表にある通りです。

東京へのアクセスが良く、利便性の高さから、住みやすい街として人気の横浜。こちらの想定生活費も、全体的にほかのエリアと同等か、やや高い水準です。

ただし、先にご紹介した保育士借り上げ制度を利用すれば、「家賃」部分の支出が大幅に減らすことができ、さらに生活に余裕を持つ想定ができるでしょう。

【場所別】保育士の想定生活費。横浜【保育士人材バンク】

新卒でも一人暮らしはできる?

結論からいうと、新卒の保育士でも一人暮らしはできます。

令和4年賃金構造基本統計調査」によると20~24歳の保育士の平均給与額は、額面で約23万円。ここから算出できる手取り額は、およそ18万円です。

それに対して一人暮らしにかかる生活費の平均は、34歳までの単身世帯で月々約15万8,000円。ほとんど余裕はないものの、生活できないわけではなさそうです。

ただし、収入や住むエリア、家賃などによっては、収支がマイナスになる可能性が十分にあります「家賃補助制度を使って理想の一人暮らしを」の段落で紹介したような、家賃補助制度のある法人に就職すれば、生活にゆとりを持てるでしょう。

保育士一人暮らしのポイント

ここからは、保育士が一人暮らしをする際のポイントを紹介していきます。初めて一人暮らしをするという方は、ぜひ参考にしてくださいね。

一人暮らしのメリット

保育士が一人暮らしをするメリットは、主に以下の3つがあります。

・通勤時間を短縮できる
・自分のペースで生活できる
・生活能力が身に付く

通勤時間を短縮できる

一人暮らしをすると、通勤時間を短縮できます。

勤務先が家から遠いと、電車で片道1~2時間かけて通勤しなければならないケースも考えられます。そのような場合、園の近くに部屋を借りれば通勤時間がかからなくなり、1日あたり2~4時間ほどの時間を有効活用できるようになります。

また勤務先の園によっては、土日祝も出勤があったり24時間シフト制だったりする場合もあるでしょう。そのような場合にも、勤務先の近くに一人暮らしをすると安心です。

自分のペースで生活できる

一人暮らしをすると、同居家族に気兼ねなく自分のペースで生活できます。

早出や残業もあり、勤務時間の長い保育士にとって、プライベートな時間を確保するのは難しいものです。しかし、同居する家族がいると、起床時間や就寝時間、食事やお風呂の時間など、生活リズムが違う相手への配慮が必要ですよね。

一人暮らしであれば、好きなときに寝て起きて、仕事に出かけ、ご飯を作って食べたり、お風呂に入ったりするタイミングも自由です。

気楽で楽しく、健康的な生活を送れるのではないでしょうか。

生活能力が身に付く

一人暮らしをすると、生活能力が身に付けられます。

実家などで、自分の身の回りのことをしてくれる家族と同居していると、つい仕事を優先して料理や洗濯、掃除などは周りに頼ってしまいがちですよね。

でも一人暮らしをすると、ほかにしてくれる人がいないので、自分でせざるを得なくなります。日常的に家事をするようになれば、おのずと生活能力が身に付くでしょう。

一人暮らしで注意すること

保育士が一人暮らしをする上での注意点は、主に以下の3つです。

・出費が増える
・家事負担が増える
・防犯面に配慮が必要

出費が増える

一人暮らしをすると、出費が増えます。

実家などに住んでいれば、自分で支払う必要のなかった家賃や水道光熱費を負担し、食費や消耗品費も必要なので、それまでよりも出費が増え、想像以上に生活が厳しくなるかもしれません。

一人暮らしを始める前に、手取りの収入や生活費の支出をざっくりと把握しておきましょう。そうすれば、家賃がいくらまで出せるか算出でき、節約方法も検討できます。

家事負担が増える

一人暮らしをすると、家事負担が増えます。

「一人暮らしのメリット」の3つ目に「生活能力が身に付く」という点を挙げましたが、家事負担が増えることは、人によってはデメリットとなるでしょう。

これまでは家事をしなくても生活できていた料理や洗濯、掃除を1人でやらなければならなくなり、家事に不慣れな方の場合には、生活が回らなくなるリスクもあります。

一人暮らしを始める前に、少し家事の練習をしておくと安心ですよ。

防犯面に配慮が必要

一人暮らしをすると、防犯面に配慮が必要です。

家族と住んでいる場合には、考える必要がなかったかもしれませんが、一人暮らしとなれば、自分の身を守るために、防犯を意識した方がよいでしょう。

空き巣や強盗に狙われないように、以下の点を意識して、部屋選びをしたり、生活したりするようにしましょう。

  • 1階の部屋は避ける
  • オートロックの物件を選ぶ
  • 外出の際は窓やドアを確実に施錠する
  • 郵便受けの中身はこまめに取る
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保育士の一人暮らしまとめ

保育士の一人暮らしまとめ【保育士人材バンク】

保育士という職業は、一人暮らしができるのか不安に感じている方も多いかもしれません。

しかし、保育士でも一人暮らしをすることは充分可能です。

34歳までの保育士の平均給与額(収入)は、手取りで約20万円。一方で、一人暮らしにかかる生活費の平均(支出)は、34歳までの単身世帯では月々約16万円です。

平均的な給与を得て、一般的な生活をしていれば一人暮らしは十分可能です。

新卒の場合には、もっと収入が少なく、平均では手取り18万円ほどです。余裕はあまりありませんが、支出をコントロールすれば一人暮らし自体はできるといえます。

勤務先のエリアや保育園などによっては、保育士借り上げ社宅制度や家賃補助制度を導入している場合があります。家賃は、一人暮らしの支出の中で、最も大きい割合を占めるので、家計の助けとなるでしょう。

もし一人暮らしに金銭的な不安があるなら、家賃補助のある保育園への就職や転職を考えてみてはいかがでしょうか。

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