転職活動中の保育士さんの中には、「貴園」の使い方に悩む方もいるかもしれません。
また、一般企業などでは「御社」と使うこともあるため、「御園」と表現するか迷う方もいるかもしれません。
今回はそんな方に向けて、保育園や幼稚園の転職活動で使える、貴園の使い方や、言葉の違いについて詳しくご紹介していきます。
保育士の転職活動では、履歴書や面接などで正しい言葉づかいが求められるので、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください!
貴園とは?
「貴園(きえん)」とは、相手の施設への敬意を表す尊敬語です。
ちなみに、相手が株式会社や、有限会社など企業の場合は、「貴社(きしゃ)」や「御社(おんしゃ)」と表現します。
たとえば、保育園でも株式会社などの企業が運営している場合、相手の法人に対して、「貴社」や「御社」と表現するケースもあります。
一方、学校法人や社団法人、NPO法人が母体となっている場合は、「貴園」や「貴法人」と表現する場合が多いです。
しかし、保育園や幼稚園などの施設の場合は、企業が母体であっても「貴園」と使っても違和感はないでしょう。
「貴園」「貴社」「御社」はビジネスシーンや転職活動で使う言葉なので、使い方を間違えると人事担当者にネガティブな印象を与えてしまいます。
社会人として恥をかかないためにも、使い方をしっかり理解しておくのがよいでしょう。
貴園と当園は違う?
ちなみに、「貴園」と「当園」は意味が異なるため、注意しましょう。
「貴園」は、相手の会社や保育園を表す言葉として使いますが、「当園(とうえん)」は、企業や保育園側が自分たちのことをへりくだって言うときに使う謙譲語です。
「当園」以外にも、「当社(とうしゃ)」や、「弊社(へいしゃ)」と使う場合もあります。
会社や保育園側が「当園」と使う場合は、以下のようなイメージで使います。
- このたびは当園の説明会へご来訪いただき、ありがとうございました
- 当園は子どもの人数が少ない小規模保育園なので、個々に寄り添う保育を実践しています
- 当園を選んだ志望理由を教えてください
- ご質問などございましたら、当園のスタッフへお気軽にお申し付けください
保育士の転職活動で、当園や当社などを使う機会は基本的にはないと思いますが、知識として覚えておきましょう。
間違っても、相手の保育園や会社のことを「当園」といわないように注意してくださいね!
貴園・御園の違いは?
相手が株式会社など、企業の場合は「貴社」や「御社」と表現すると前述しました。
しかし、「貴社」と「御社」は同じ意味を指しますが、使い方は異なります。
なぜなら「貴社」は書き言葉で、「御社」は話し言葉として使うからです。
まず、メールや書類などで使う場合は、「貴社」と書くのが正しい使い方です。
転職活動で履歴書(志望動機)や職務経歴書で「あなたの会社」と表現する場合は、「貴社」と使いましょう。
一方、「御社」は会話の中で「あなたの会社」と表現するときに使用します。保育士の転職活動では、見学や採用面接の際に使うのがよいでしょう。
「貴社」と「御社」の使い方の違いを説明しましたが、「貴園」の場合は、面接で「御園(おんえん)」と言うの?と迷う方もいるかもしれません。
結論からいうと、「御園(おんえん)」という表現はないので、注意しましょう。
「貴園」を使う場合は、書類上でも面接でも「貴園」と使って問題ありません。
使い方を整理すると、下記のとおりです。
書き言葉で使う場合(履歴書や職務経歴書など)【貴園(貴社)】
書き言葉では「貴園(きえん)」、「貴社(きしゃ)」のどちらかを使用します。
例)「貴園の方針に従います」、「貴社のホームページを拝見しました」
話し言葉で使う場合(採用面接や園見学など)【貴園(御社)】
話し言葉の場合「貴園(きえん)」、「御社(おんしゃ)」のどちらかを使用します。
例)「貴園を見学させていただきました」、「御社の方針に共感しました」
保育士の転職活動では、社会人のビジネスマナーとして、「貴園」を使うのがベストです。
しかし、採用面接などで、緊張によりどうやって表現するのか忘れてしまう場面もあるかもしれません。
その場合は、「●●保育園様」という使い方をしても悪い印象は与えないでしょう。
たとえば、「保育方針に共感したため、●●保育園様を志望いたしました」というイメージです。
会社名や施設名に「様」を付けることは、「日本語として誤りの可能性がある」「付けても失礼にはならない」など、さまざまな意見があります。
しかし、上記のような場面でとっさに使うことは、マイナスな印象にはつながりづらいでしょう。
保育士の転職、貴園の使い方【志望動機】
ここからは、保育士の転職活動で、志望動機を書く際の「貴園」の使い方をご紹介します。
志望動機で「貴園」を使う場合は、下記のようなイメージで使いましょう。
- 私が「貴園」を志望した理由は、子どもに寄り添う保育を実践されていたからです
- 「貴園」の見学をさせていただき、保育士さんが明るく元気に働かれていたのが印象的でした
- 「貴園」であれば、私が目指している家庭的保育の実践ができると思います
- 「貴園」に入職後は、自分の経験やスキルを活かしてキャリアアップを目指したいです
保育士の志望動機【例文】
実際に保育士の転職活動で使える、志望動機の例文をご紹介します。
保育士の志望動機【例文】
私は、規模の大きい保育園で6年間保育士として勤めてまいりました。
子どもの人数の多さを活かし、運動会で鼓笛隊を披露したり、発表会では楽器の演奏をおこなったりと、イベントや行事にも力を入れている保育園でした。
大きな舞台で練習したことを披露する機会は、子どもたちの成長にとても大切なことだと感じていた一方で、行事の準備が大変で、日々の保育にも影響が出てしまっていました。
そんな時に、貴園が「家庭的な保育」を実践していることを知り、保育園の園見学をさせていただきました。
そこで、家庭的で温かい雰囲気の中、子どもたちが落ち着いてのびのびと過ごす姿を拝見し、私も貴園で保育をしたいと強く思い、今回志望いたしました。
貴園に入職後は、これまで、乳児から幼児まで幅広い年齢の子どもたちと関わってきた経験を活かし、個々に合った丁寧な保育をしたいと思っております。
保育士の転職、貴園の使い方【履歴書・職務経歴書】
つぎに、履歴書や職務経歴書で「貴園」を使う場合の書き方をご紹介します。
保育士の履歴書【貴園の使い方】
保育士の履歴書で「貴園」を使う箇所は、主に下記の3つです。
保育士の志望動機を書く際の「貴園」の使い方は前述したので、ここでは本人希望記入欄と、送付状について詳しく解説します。
本人希望記入欄(貴園の使い方)
保育士の履歴書には、一番最後の欄に「本人希望記入欄」が設けられている場合があります。
この欄には、給料や職種、希望時間や勤務地など、入職先への希望や事前に伝えておきたいことを記入します。
具体的には、下記のような理由で記入する場合があります。
- 週に何日働きたいのか?
- 何時から何時まで勤務できるのか?
- いつから勤務が開始できるのか?
- 希望する勤務先(法人や企業が複数の保育園を経営している場合のみ)
- 扶養範囲内で働きたい場合
- 電話に出られない時間帯がある場合
とくに、小さいお子さんがいる方は、「午前中だけ」「8時~17時まで」と、働く時間が決まっている場合もあるでしょう。
その場合は、本人希望記入欄にその旨を記載します。
その他、「自分にとって譲れないポイント」がある場合は、採用担当者へ知ってもらうために書きます。
しかし、上記のように、やむを得ない事情(理由)がない場合は、下記のように書きましょう。
- 「貴園の規定に従います」
- 「貴社の規定に準じます」
空欄は避けるようにして、給与面に関することや、福利厚生などの待遇面は「自分勝手な印象」を与えかねないので書かないようにしましょう。
保育士の履歴書を提出する際の送付状(貴園の使い方)
保育士の履歴書を応募先に郵送する際、「送付状(添え状)」が必要になります。
必ず同封した方がよいという決まりはないものの、同封した方が印象がよいでしょう。
また、送付状はA4サイズに、下記の項目を記載します。
- 【日付】
書類を投函する年月日を、最上部に右寄せで記載します。
- 【宛名】
日付の一段下に左寄せで宛先を記載します。
社名や園名を正式名称で書き、採用担当者が分かる場合は、「様」をつけて記入します。
- 【自分の連絡先・氏名】
宛先の次の行に右寄せで書きます。
郵便番号・住所・電話番号・氏名を記載します。
電話番号のあとにメールアドレスを書くのもOKです。
- 【件名】
何に関する書類なのか相手が分かるように、件名を入れます。
- 【前文(頭語・時候のあいさつ・相手の発展を喜ぶ言葉)】
本題に入る前の前置きとして入れる文章のこと。
たとえば、下記のように記載しましょう。
例)
拝啓 貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
拝啓 貴園におかれましてはますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
- 【本文】
「拝啓」に続いて、簡単にあいさつ文を書きます。
下記を参考にしてください。
例)
この度、貴園の求人へ応募させていただきたく、応募書類を送付いたしました。
ご検討の上、ぜひ面接の機会をいただけますと幸甚に存じます。
何卒よろしくお願いいたします。
- 【同封書類】
「敬具」のあとに改行して「記」と記入します。
同封書類と枚数を箇条書きで記載して、最後に「以上」と記入します。
保育士の転職、貴園の使い方【面接】
保育士の転職活動の面接で、どのように「貴園」を使うのか解説していきます。
繰り返しになりますが、「貴園」は、書き言葉でも話し言葉でも使えるので、保育園の面接でも応募先について「貴園」と表現しましょう。
ここでは、保育士の面接でよく聞かれる質問とともに、回答例をご紹介していきます。
保育士の面接①【当園を選んだ志望動機を教えてください】
【回答例】当園を選んだ志望動機を教えてください
貴園を志望した理由は、リトミック教育を取り入れているからです。
私自身、もともとリトミック教育に興味があり、民間のスクールに通い指導者の資格をとりました。
普段はなかなか自分の気持ちを表現できない子も、リトミックをすることで表情が豊かになったり、のびのびと自分を表現できるようになったり、とたくさんの良い気付きがありました。
貴園ではリトミック教育を保育に取り入れているということで、園見学の際に保育中の様子を見せていただきました。
貴園のリトミックは、みんなで同じことをするのではなく、個々を大切にするやり方を実践されていて、とても魅力を感じました。
貴園に入職後は、これまでの保育経験とリトミック指導者の資格を活かし、私も個々を大切にするリトミックを実践したいと思っております。
保育士の面接②【自己紹介をお願いします】
【回答例】自己紹介をお願いします
●● ●●●と申します。
これまで、小規模保育園で保育士として5年間勤務して参りました。
貴園では、これまでの保育経験を活かして、即戦力として活躍できる保育士になりたいと思っています。
保育士の面接③【保育で大切にしていることはありますか?】
【回答例】保育で大切にしていることはありますか?
私が保育の中で大切にしているのは、子どもと一緒に考える姿勢です。
時には、子どもに対して指導したり、正しい答えを伝えたりすることも大事ですが、「子どもが自分で考える」という経験を大切にしたいと思っています。
そのため、お友だちとケンカした時、相手に何かを伝える時、「こうするんだよ」ではなく、「どうしたらいいかな?」と声がけをして、一緒に考える姿勢を大切にしています。
保育士の面接④【あなたの長所と短所はなんですか?】
【回答例】あなたの長所と短所はなんですか?
私の長所は、ポジティブ思考なところです。
何か問題が起こっても、「勉強になってよかった!」「レベルアップできるチャンスだ!」と考えることが多く、周りからも「一緒にいて元気になれる」とよく言われます。
一方で、ポジティブ思考であるがゆえに、ミスをしても気持ちを切り替えるのが早いため、失敗の原因を考えず再び同じミスを繰り返してしまうことがあります。
そのため、最近はポジティブな気持ちを持ちつつも、切り替える前に「どうして問題が起きたのか?」を意識的に振り返るようにしています。
保育士の面接⑤【当園に採用後はどのように働きたいですか?】
【回答例】当園に採用後はどのように働きたいですか?
採用後は、これまで幅広い年齢を保育してきた経験を活かして、個々の成長に合わせた丁寧な関わりを実践したいと思います。
貴園では、「一人ひとりに寄り添う保育」に力を入れているため、私自身も成長や発達に合わせた寄り添う保育を実践したいです。
保育経験は長いですが、まだまだ勉強不足な部分もあるので、先輩保育士さんに指導していただきながら、改めて、「子ども一人ひとりに寄り添う保育」を勉強し、実践していきたいです。
保育士の面接⑥【何歳児クラスの担任をしたいですか?】
【回答例】何歳児クラスの担任をしたいですか?
これまで全てのクラス担任を経験しているので、基本的には、どのクラスでも責任をもって保育させていただきます。
あえて希望するなら、乳児クラスのリーダーをしていた経験が長く自信も持てる為、0歳児や1歳児だと嬉しく思います。
保育士の面接⑦【転職(退職)理由を教えてください】
【回答例】転職(退職)理由を教えてください
転職理由は、貴園のように風通しの良い職場で働きたいと思ったからです。
前園では、保育士一人ひとりの業務量が多かったこともあり、ピリピリとした雰囲気の中で保育をしていました。
保育士同士のコミュニケーションも少なかったため、上手く連携がとれず保育士のミスが続いてしまうことも多くありました。
貴園の見学をさせていただいた際、保育士さん同士がニコニコ笑顔で楽しくコミュニケーションをとる様子をみました。
新人保育士さんもベテラン保育士さんもいい意味で壁がなく、のびのび働いている様子にとても魅力を感じ、私も貴園の温かな雰囲気の中で保育がしたいと思い、転職を決意しました。
保育士の面接⑧【最後に何か質問はありますか?(逆質問)】
【回答例】最後に何か質問はありますか?(逆質問)
貴園では、英語教育やリトミック教育を取り入れていますが、入職までに勉強や準備しておいた方がよいことはありますか?
もし、おすすめの教材や、テキストがあれば教えていただきたいです。
貴園・御園のまとめ
保育士の転職活動で使う、「貴園」について詳しくご紹介しました。
普段使う機会がないと、いざ使う時に正しい使い方が分からなくなるものです。
本記事でご紹介した内容を整理すると、「貴園」について押さえておきたいポイントは次のとおりです。
間違った使い方をすると、「社会人としてのビジネスマナーが身についていない人」と採用担当者にネガティブなイメージを与えてしまう可能性があります。
今回ご紹介した内容を踏まえて、「貴園」の正しい使い方を理解して、転職活動を成功させましょう!
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