子どもたちの成長に携わることができる保育士はやりがいのある魅力的な仕事です。
一方で、命を預かる責任の重さや、業務量の多さ、人間関係の悩み、給料の低さなど…さまざまな理由から転職を考える方もいるかもしれません。
そんな方の中には、「いつから転職活動をスタートすればいいの?」「転職活動で気をつけることは?」など、悩んでしまう方もいるでしょう。
また、働きながら転職する方の中には、「今の職場にバレないように転職活動したい」という方もいるはず。
そこで今回は、保育士の転職活動について解説していきます。
保育士の転職活動のベストタイミングや、スケジュール、注意点など詳しくご紹介するので、転職を考えている保育士さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね!
目次
保育士の転職活動のベストタイミング(時期)は?
保育士が転職(入職)するのにベストなタイミングは「4月」です。
というのも、ほとんどの保育園では、4月から翌年の3月までを1年と区切っているため、3月に退職して4月から新しい職場へ転職する方が多いのです。
また、年度途中で転職してしまうと、担任が変わるなど、子どもたちや保護者に不安を与えてしまう可能性もあるため、基本的には4月に転職するのがよいでしょう。
ちなみに、厚生労働省の資料によると、保育士の求人は10月から徐々に増え始めて、1月~2月にかけてピークを迎えていることが分かります。
ただし、下期は行事などが重なるため、いざ求人が増え、ライバルも増えた頃には、仕事と併行して転職活動を進める余裕がないという場合も多くみられます。
春~夏の早期に活動している方のことを「計画的に行動できる」と評価する採用担当者も多く、またエリアによっては4月時点ですでに1年後の求人が出ていることもあります。
保育士の転職を希望する場合はできるだけ早く準備を開始し、余裕をもって面接を受けられるようにしておきたいですね。
転職活動の具体的な流れについては、このあと詳しくご紹介します。
参考サイト:厚生労働省『保育士の有効求人倍率の推移(全国)』
保育士の転職活動の流れは?
ここからは具体的に、保育士がどのような流れで転職活動を進めていくのかご紹介します。
保育士の転職活動のステップ①【転職の目的を明確にする】
保育士の転職活動を始める時は、まずはじめに“転職をして叶えたいことは何か”ということをしっかりと考えておくことが大切です。
転職の目的がハッキリしないまま条件につられて転職をしてしまうと「転職した意味が無かった」「こんなはずじゃなかった」ということになりかねません。
反対に、転職の目的が明確になっていれば自分の意向にあった転職先を見つけやすくなり、良い就職先を見つけるチャンスも増えるでしょう。
後になって後悔することがないように、「どうして辞めたいのか?」という理由を整理して、転職をする場合は、その目的をハッキリさせておきましょう。
保育士の転職活動のステップ②【自己分析をおこなう】
転職の目的が決まったら、保育園の転職先を探す前に、「自己分析をおこなう」ことがおすすめです。
自分が実現したい将来像のためにどんなことを大事にしたいかという価値観や、自分の強み・弱みなどを整理しておきましょう。
以下のような項目を整理しておくことで、自分に合う保育園が見つけられやすくなりますし、志望動機や自己PRを考える際にもスムーズです。
- 保育士として何を経験してきたか?(何歳児クラス、どんな行事を経験したなど)
- 保育士として培ってきたスキル
- 自分が得意(好き)なこと、苦手(嫌い)なこと
- 今後保育士としてどうなりたいか?
- 自分が理想とする保育観
- 転職活動において大事にしたい軸
自己分析をすることで、自分が保育士として「今後どのように働きたいか?(成長していきたいか?)」ということも明確になっていくため、キャリアアップを視野に入れた保育士の転職活動もしやすくなります。
ただ、自分の特徴について自分自身では気付きにくいこともありますので、そんな場合は転職エージェントを活用することもおすすめです。
第三者に話すなかで自分の考えが整理されたり、「ほかの保育士と比べてどうなのか?」という視点を得られる可能性があります。
自己分析をしっかりと行い、自分にあった就職先を見つける準備をしておきましょう。
保育士の転職活動のステップ③【実際にどんな求人情報があるか調べる】
自己分析をおこなったら、「求人情報」を調べます。
保育士が転職活動で求人を見つける際は、以下のような方法があります。
- 保育園のホームページ
- ハローワーク
- 求人誌
- 求人サイト
- 転職エージェントの活用
- 自治体が開催する就職説明会
- 知人や友人の紹介
さまざまな方法がありますが、一般的には「保育士の転職サイト」に登録して求人を探す方が多いようです。
また、転職エージェントを利用することで、求人サイトには掲載されていない未公開の情報が得られる場合もあります。
さらに、履歴書や職務経歴書の添削などのサポートを受けながら転職活動を進められるのもメリットといえるでしょう。
保育士の転職活動のステップ④【転職先の希望条件などを絞る】
自分の希望がすべて叶う求人があればベストですが、なかなか難しい場合も多いでしょう。
ある程度情報収集ができたら、次にこれだけは譲れないという条件を絞っていきます。
たとえば、以下のような視点で条件を見直すことができます。
自己分析のときに決めた軸を掘り下げながら希望条件の優先順位を決めることで、転職するうえで譲れないポイントが明確になります。
なお、このタイミングで、今の職場に退職の意思を伝える必要はありません。
退職の意思は早めに伝えるのがベストですが、あまりに早すぎると、園長から引き止められたり、退職日まで働きづらくなったりする場合もあるため状況によっては注意が必要です。
保育士の転職活動のステップ⑤【応募して採用面接を受ける】
転職したい保育園の候補が決まったら、応募して採用面接を受けます。
面接前に余裕がある場合は、保育園の園見学を申し込むのもよいでしょう。
感染症のリスクや行事が忙しい時期によっては見学をしていない園もあるので、見学の希望がある場合は早めに園と調整をしておくことをおすすめします。
また、保育園の面接は複数受けるのがおすすめです。
自分のゆずれない条件と合致する法人を複数見つけて、積極的に応募し面接を行いましょう。
何度も面接をおこなううちに緊張しなくなったり、実際に選考を受けることで雰囲気や業務イメージなどが湧き、決断しやすくなるでしょう。
ただし、併願ができない求人もありますので、応募要件を事前に確認しておきましょう。
保育士の転職活動のステップ⑥【退職の意思を固める】
保育園の面接が終わり、無事内定が出たら、今一度保育士の転職活動のステップ①【転職の目的を明確にする】で考えた「転職の目的が内定先で叶うか」をもう一度振り返りましょう。
親しい友人やご家族に聞き様々な意見を集めることもできますし、メリットデメリットを書き出してみるのもいいですね。
一番大切なことは、「最後は自分の意思で決める」ということです。
就職をするのは、ほかならぬ自分自身ということを忘れずに、「〇〇が言っていたからとりあえず転職してみよう」ではなく、「自分は〇〇をしたいからここの転職先にしよう!」と決めることが大切です。
自分自身で決めた決断は必ず自分の成長に繋がります。
ぜひ、自分の思いを大切にしてくださいね。
保育士の転職活動のステップ⑦【今の職場に退職の意思を伝える】
職場によっても異なりますが、だいたい11月~12月のタイミングで、次年度についての面談がおこなわれることがあります。
次年度の面談のタイミングがある場合は、面談で退職の意思を伝えるのがベストです。
なお、退職の意思は遅くても年内(12月まで)には伝えるのが望ましいでしょう。
保育士の転職活動のステップ⑧【引継ぎと入職準備をする】
退職の意思を伝えたら、退職に向けて準備を進めます。
次年度の担任へ、クラスの子どもの性格や家庭状況、アレルギーの有無など漏れがないように引継ぎをおこないましょう。
また、行事係などクラス担任以外の業務を担当していた場合は、改善点などをまとめておくと引継ぎがスムーズです。
さらに、このタイミングで有休消化をおこないつつ、入職準備も進めます。
内定後は転職先の保育園から健康診断書の提出が求められる場合もあります。
その際、健康診断結果を受け取るまでに時間がかかる場合もあるので、余裕をもって受けにいくのがおすすめです。
保育士の転職活動、年度途中の退職は可能?
3月に退職して4月に転職するパターンが多い保育業界ですが、やむを得ない事情で3月まで続けられない場合もあるかもしれません。
結論からお伝えすると、「年度途中の退職」は可能です。
年度途中でも、職員の産休や新規開園、人員補充などの要因で、継続的に保育士の求人が出ている場合が多いです。
また、法律では、退職する2週間前に申し出れば、退職できるとされています。
とはいえ、働いている保育園の雇用契約や就業規則によっては、「1ヶ月から3ヶ月前までに申し出る」と規定されている場合もあります。
年度途中でも揉めずに退職したいという場合は、できるだけ早めに退職の意思を伝えるのがベストでしょう。
もし、「ストレスで毎日眠れない」「身体がだるくてしんどい」などの体調不良がある場合は、無理せず早めに退職するほうがよい場合もあります。
参考サイト:厚生労働省『参照条文等<解雇・退職について>』
保育士の転職活動、働きながらの転職活動はばれる?
転職を考えている保育士さんの中には、「働きながら転職活動をして今の職場にバレないか不安……」という方もいるかもしれません。
退職の意思を伝える前に、職場にバレてしまった場合、「退職日まで気まずくて働きづらい」となる可能性もあるでしょう。
結論をお伝えすると、自分から職場の人へ話さなければ基本的にバレることはないでしょう。
とはいえ、バレる可能性もゼロではありません。
気持ちよく円満退職できるように、以下のポイントに注意して転職活動を進めましょう。
- 職場の人には転職を考えていることは軽はずみに言わない
- 職場で転職活動関係の電話やメールをしない
- あからさまに有給休暇を多く取得して転職活動をしない
まだ、転職先が決まっていない状態で、職場に転職がバレてしまうと、上司や園長から引き止められる可能性が高いでしょう。
「改善できるようにするから」と無理に引き止められることで、結果的に断れず辞められなくなってしまう場合も少なくありません。
できるだけ今の職場には迷惑がかからないように、転職活動を進めるのが安心ですね。
保育士の転職活動中の注意点は?
転職活動中は、以下のポイントに注意しましょう。
保育士の転職活動中の注意①【職場で退職することを話さない】
転職活動をしていることを堂々と話してしまうと、職場の雰囲気を壊してしまう可能性があります。
人手不足を抱えている保育園では、無責任だと責められる可能性もあるかもしれません。
今の職場で頑張っている職員への配慮と、退職日まで気持ちよく働くために、職場では基本的に転職活動について話すのは控えるのが望ましいでしょう。
保育士の転職活動中の注意②【焦って転職先を決めない】
「早く辞めたい」という気持ちから、焦って転職先を決めないように注意しましょう。
焦って決めてしまうと、「やっぱり辞めなきゃよかった」「また転職したい」という事態になりかねません。
短期間で転職を繰り返してしまうと、自分のキャリアに傷がつき、転職の際に不利になってしまう可能性もあります。
後から後悔しないためにも、複数の園を比較したり、第三者に相談したりしながら、納得のいく転職先を見つけるようにしましょう。
保育士の転職活動中の注意③【退職日まで気を引き締める】
もし、転職先が決まっても、退職日までは気を抜かないようにしましょう。
気の緩みからミスをしてしまった場合、子どもたちや職員に迷惑をかけてしまいますし、
「転職が決まったから手を抜いている」など、周りに思われる可能性もあるかもしれません。
また、正式に退職日が決まったら、責任をもって後任者へ引継ぎをおこなう必要もあります。
円満退職して、転職先で気持ちのよいスタートを切るためにも、退職日まではしっかり気を引き締めて業務に取り組みましょう。
保育士の転職活動、正規職員への転職の仕方は?
パート保育士として働いている方の中には、「正規職員として転職したい」という方もいるかもしれません。
パート保育士の場合も、退職の意思は退職日の2週間前までに申告すれば問題ないと法的には定められています。
しかし、人手不足の保育園では、パートであっても突然辞めるのは避けた方がよいでしょう。
保育園と相談して時期を決めることで、円満退職できる可能性が高まります。
一方で正規社員としての採用面接は、パートのときに比べて選考基準が高くなることが多いです。
「パートから正規職員への転職に不安がある……」という方は、保育士の転職エージェントを活用することで、スムーズに転職活動が進められます。
保育士の転職活動、退職はいつ言う?
退職日について、法的には、「退職日の2週間前までに退職の申し出をすれば問題ない」とされています。
とはいえ、保育園によっては、「1ヶ月~3ヶ月前までに申し出る」と就業規則で定めている場合もあります。
そのため、後任者を見つける期間や、引継ぎの準備などを考えると、年内中(12月中)に退職の申し出をおこなうのがベストです。
保育園によっては、11月~12月に次年度について希望を聞かれる面談がおこなわれる場合もあるので、そのタイミングで話すとスムーズかもしれません。
保育士の転職活動に必要なものは?
保育士の転職活動に必要なものをご紹介します。
バタバタしないためにも、転職活動をスタートする前に、以下のものを用意しておくと安心です。
- リクルートスーツ、オフィスカジュアルな服(黒・グレー・紺)
- パンプス(黒や紺のシンプルなもの)
- ビジネスバッグ(A4書類が入る無地のもの)
- ストッキング(肌色のものを何枚か)
- 携帯スリッパ(園見学の際にもっていく)
転職したら、以下の書類等を提出する事が想定されます。
- 年金手帳
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 在籍証明書(認可保育園で働いた場合
※職場が預かっている書類もあるため、退職手続きの際に返却してもらいましょう
保育士の転職活動、履歴書・職務経歴書の書き方は?
保育士の履歴書や職務経歴書の書き方は、一般的なものと大きな違いはありません。
そのため、ここではそれぞれの押さえておきたいポイントをご紹介します。
保育士の履歴書の書き方
保育士の履歴書は一般的な書き方と大きな違いはありませんが、志望動機や自己PRの部分はとくに重要になるため、以下のポイントを意識して書きましょう。
- 自分の強みやスキルをアピールする
- エピソードを入れながら説得力のあるその園ならではの志望動機にする
- これまでの経験やスキルをどのように活かせるか具体的に書く
- ネガティブな言葉はポジティブに置き換えて書く
- 将来的にどのように成長したいかも入れる
とくに志望動機を書く場合は、どこの保育園にも出せる志望動機はNGです。採用担当者に、「本当にうちで働きたいのか?」とマイナスな印象を与えかねません。
園見学した時のエピソードや、実体験をもとに説得力のある志望動機を心がけましょう!
保育士の職務経歴書の書き方
保育士の職務経歴書も一般的な書き方と大きな違いはありませんが、以下のポイントを意識して、端的に分かりやすく書くとよいでしょう。
- 業務内容は箇条書きで短くまとめる(担任をもった園児の年齢や人数も入れる)
- 採用面接をイメージしながら記入する
- これまでの経験やスキルは具体的にまとめる
- 少しでも経験した内容はすべて記入してアピールする
とくに、転職の場合は、履歴書よりも職務経歴書を重視して見られる可能性が高いでしょう。
採用面接の際も、職務経歴書に沿って質問される場合があるので、面接で聞かれることを想定して具体的にまとめておくのがおすすめです。
また、些細な経験でも職務内容として書いてアピールするのがよいでしょう。自分では「書かなくていいかも」と思っている情報でも、採用担当者の目に留まる可能性があります。
「書くことが浮かばない」という方は、担任業務をはじめ、係や行事担当などおこなった業務をできるだけ細かく書き出してみることで、アピールしたい業務内容が見えてくるでしょう。
保育士の転職活動、面接時の注意点は?
保育士の転職活動で、面接時に注意したいポイントは以下のとおりです。
- 明るくハキハキと受け答えする
- 面接官の目を見ながら適度に相槌をうつ
- 意識的に口角を上げて笑顔を忘れない
- 難しい言葉は使わず自分の言葉で伝える
- 焦らずゆっくり話すことを心がける
- ネガティブな理由も意識的にポジティブに伝える
- 逆質問されたら「特にないです」はNG
保育士の採用面接では、「何か質問はありますか?」と最後に『逆質問』をされる場合があります。
その際、「特にないです」と答えてしまうとネガティブな印象を与えてしまうことも。
逆質問をすることで、「あなたがどれくらい意欲があるのか?」を見られている可能性もあります。
そのため、事前に質問を用意しておくのがおすすめです。
逆質問を受けた際、給与など待遇面についての質問はNGです。保育内容に関する質問を用意することで前向きな姿勢をアピールできるでしょう。
▼逆質問については、以下の記事も参考にしてみてください。
保育士の転職活動中の悩み(人間関係)や相談先は?
転職活動中は、不安や悩みを抱える保育士さんが多いかもしれません。
一人で悩んでしまうと視野が狭くなってしまうので、家族や友人に相談してみるのがおすすめです。
また、保育の転職サイトや転職エージェントに相談してみるのも一つです。
転職サイトや転職エージェントは、保育士の転職事情に詳しいスタッフが相談にのってくれる場合もあります。
第三者に相談することで、自分では気づけていなかったことに気づける可能性もありますので、慎重に転職先を見極めるためにも、第三者に相談しながら転職活動をするのが安心ですね。
保育士の転職活動のまとめ
保育士の転職について、転職活動を始めるベストタイミングや注意点などを詳しくご紹介しました。
保育士の転職活動はタイミングが重要です。
昨今の保育業界では、早いエリアで4月から翌年度の求人がはじまる事例もありますので、自分が理想とする転職先を見つけるため、早めに動き出して準備をしておきましょう。
とはいえ、今の職場で働きながら転職活動をするのは「不安」という方もいるかもしれません。そんな方はぜひ、保育士人材バンクにご相談ください!
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