子どもの成長に寄り添う保育士は、大きなやりがいもある一方で大変なことやつらいこともあります。
子どもたちとの関わり方や保護者対応に悩んだり、職場の人間関係にストレスを感じたりする中で、「大変」「つらい」と感じる方もいるでしょう。
今回は、保育士の大変なことやつらいことについて詳しくご紹介します。
実際に、保育士さんが働く中でやりがいを感じた“エピソード”などもご紹介するので、保育士を目指している方や、転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください!
目次
保育士になって大変なことは?
保育士は子どもに携われる素敵な職業ですが、体力面や人間関係などで「大変」と感じる方も少なくありません。
ここからは、保育士の仕事で大変なことを3つご紹介します。
保育士の大変なこと①【子どもとの関わりに悩む】
子どもが好きで保育士になる方が多いでしょう。
保育士は子どもたちの成長に携われるため、子どもが好きな方にとっては天職といえます。
しかし、保育のプロとして、個々の成長に合わせた関わり方や保育が求められます。保育施設にはさまざまな年齢の子がいて、性格や家庭環境もさまざまです。
個々の子どもに合わせた保育をするためには、豊富な知識と経験が必要になるため、時には上手くいかず悩む場面もあるでしょう。
保育士の経験を重ねるごとに、子ども達との適切な関わり方を学ぶことができますが、経験が浅い方は「大変」「つらい」と感じることが多いかもしれません。
保育士の大変なこと②【保護者対応が難しい】
保護者とこまめにコミュニケーションをとることも、保育士の大切な仕事です。
たとえば、子どもの体調や保育中の様子を共有したり、育児の相談にのったりなど、保護者に寄り添った丁寧な関わりが求められます。
とはいえ、さまざまな価値観をもった保護者と関わる必要があるため、信頼関係を築くのが大変だったり、理不尽な要求やクレームに悩んだりすることもあるでしょう。
また、関わりが難しいと感じる保護者の中には、子どもを心配する気持ちから周りが見えなくなっている場合も少なくありません。
保護者の悩みに丁寧に寄り添いながら関わっていくことで、良い関係性を築いていけますが、慣れるまでは対応に戸惑うこともあるでしょう。
保育士の大変なこと③【職場の人間関係に悩む】
職場にもよりますが、グループや派閥ができていることもあるかもしれません。
また、保育施設によっては、保育士がペアになってクラス担任を任されることもあります。
ペアになった保育士同士が保育観や性格が合わないと、意見がぶつかったり、職場の雰囲気が悪くなったりすることも少なくありません。
こまめにコミュニケーションをとることで良い関係性を築いていけますが、中には保育業務が忙しいこともあり、「じっくり会話する時間がない」と悩む方もいるでしょう。
保育士の仕事を円滑に進めるためには、職場での人間関係がとても重要です。
職場の同僚や上司と信頼関係を築いていくためにも、自分から積極的にコミュニケーションをとる必要があります。
職場の人間関係に上手に向き合える人は、傾聴力やコミュニケーション能力が高い人が多いでしょう。
【役職別】保育士になって大変なことは?
保育士と一言でいっても、クラス担任や主任など立場はさまざまです。
ここからは、役職別に保育士の大変なことをご紹介していきます。
保育士の大変なこと①【一般保育士】
クラス担任をもたない一般の保育士は、どのような部分が大変なのでしょうか?
「クラスや役職をもってない保育士も大変なの?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、もちろん一般の保育士でも大変なことはあります。
たとえば、クラスをもっていない保育士は、フリー保育士として保育士の人数が足りないクラスへ補助として入ります。
今日は年長クラスに入って、明日は0歳児クラスに入るというイメージで、毎回補助に入るクラスが変わることも。
そのため、各クラスのやり方や一日の流れを覚えたり、幅広い年齢に合った関わり方が求められるなど、臨機応変な対応が求められます。
さまざまなクラスに入るため、はじめは「このクラスは何時に給食を食べるんだっけ?」「子どもたちの名前はなんだっけ?」と戸惑う場面も多く、大変に感じることもあるでしょう。
また、臨機応変に対応するためにも、職員とこまめにコミュニケーションを取るのが大切なので、コミュニケーションをとるのが苦手な人はストレスを感じてしまうかもしれません。
保育士の大変なこと②【クラス担任】
保育士はクラス担任を任されることもあります。
クラス担任とは、クラス運営を任される保育士のことです。
クラスの子どもたちに合った保育計画を作成したり、環境整備をしたりします。
子どもたち一人ひとりの発達や健康状態、家庭環境などを把握した上で、他の職員へ共有するのも大切な仕事です。
もちろん、クラスの保護者とも密なコミュニケーションが求められます。
クラス担任は、そのクラスの子どもたちを任されるという“責任”があるため、トラブルや怪我などの対応が求められる場面で、「大変」「つらい」と感じてしまうでしょう。
また、複数担任制を導入している場合は、他の保育士と円滑にコミュニケーションをとらなくてはなりません。
前述したように、保育観が違うなど意見が合わない場合は「関わりが大変」と感じることもあるでしょう。
保育士の大変なこと③【主任】
主任になると、特定の担当クラスは持たず、保育園の園長(施設長)のサポートや、園長代理として園全体の運営を任されることもあります。
管理職という立場になるため、保護者や近隣からのクレーム対応をおこなったり、保育士や職員への指導をおこなったりすることも。
一般の保育士とは異なり、運営側の目線をもつことが大切になるため、「現場をまとめるのが大変」「園長と保育士に挟まれる立場がつらい」と感じることもあります。
全体を客観的に見る力や、冷静な判断力が求められるため、慣れるまでは戸惑う場面も多いでしょう。
保育士の大変なこと④【保育園園長】
保育園の園長は、保育園の運営・経営をする「最高責任者」です。
行政や地域の方とコミュニケーションをとったり、採用活動をしたりと、保育園を運営するためにさまざまな業務があります。
時にはトラブルやクレーム対応をすることもあるでしょう。
また、安全に保育園を運営するためにも臨機応変な対応が求められます。
時には判断に悩んだり、責任が問われたりすることもあるため、その責任の重さに「大変」「つらい」と感じる場合もあるでしょう。
そのため、責任感が強い方や、あらゆる場面で冷静に判断できる方、現場の保育士を導くリーダーシップやマネジメント力がある方が向いています。
保育士の大変なこと⑤【派遣保育士】
さまざまな働き方が増えている近年は、派遣保育士と呼ばれる保育士もいます。
一般的には、保育施設を運営する「法人」と「保育士」が直接雇用契約を結びますが、派遣保育士は「人材派遣会社の社員」として保育園へ派遣されます。
派遣保育士は、「残業が少ない」「持ち帰る仕事がない」などのメリットもありますが、保育園から直接雇用されている保育士との間に微妙な距離感を感じることも。
コミュニケーションをとるのが苦手な方は、信頼関係を築くのが難しく、人間関係の問題やトラブルにつながることもあるでしょう。
また、クラスを持っていない一般の保育士同様に、臨機応変な対応が求められる場面も多く、気を遣ったり、大変に感じたりすることも多いかもしれません。
保育士としてやりがいを感じることや楽しさ、なって良かったことは?
ご紹介したように、保育士は大変なことやつらいこともありますが、それ以上にやりがいを感じられるのが“魅力的”な仕事です。
ここからは、実際に働かれている保育士さんのエピソードをご紹介します。
やりがいや楽しさを感じられる場面や、保育士になって良かったことなどを詳しくご紹介していきます。
保育士魅力や楽しさ、良かったこと①【子どもの成長に携われる】
保育士は、子どもたちの命を預かる仕事なので大変なことも多いですが、「子どもの成長に携われる」のが魅力といえます。
子どもたちと関わっていると、日々成長を感じることができます。
できなかったことが突然できるようになるなど、子どもの成長の瞬間に立ち会えることは、近くで見守ってきた保育士としては何より嬉しいことです。
時には、子どもたちとの関わり方に悩むこともありますが、その分、成長を感じられると、「保育士になって良かった」「辛くても続けてきて良かった」と実感できるでしょう。
【保育士Aさんのエピソード「子どもの成長」】
担任をもったクラスに、噛(か)みつきや引っ掻(か)きが見られる園児がいました。
初めはどのように関わるべきか悩むことも多々ありました。
しかし、自分の気持ちを言葉で伝えられない分、嚙(か)みつきや引っ掻(か)きにつながっていると気付けたので、その子の気持ちに寄り添った言葉掛けや関わりを意識しました。
それにより、その子が安心して過ごす様子が見られ、自分の気持ちを言葉で相手に伝えられるようになりました。
諦(あきら)めることなく丁寧に向き合って、関わってきて良かったと思えた瞬間でした。
保育士魅力や楽しさ、良かったこと②【保護者から感謝される】
保護者と丁寧なコミュニケーションをとっていくことで、信頼関係が築けるようになります。
信頼してもらえると、育児の相談をしてくれたり、子どもの成長を楽しそうに話してくれたりすることもあるでしょう。
一年間担任として子どもと関わってきて、進級・卒園する時に保護者から「先生が担任でよかったです」「ありがとうございます」と直接感謝の気持ちを伝えられることもあります。
【保育士Bさんのエピソード「保護者からの感謝の言葉」】
担任を持った当初は、笑顔が少なくコミュニケーションがとりづらい保護者がいました。
しかし、子どもができるようになったことや、保育園での様子を細かく丁寧に共有するよう意識したところ、少しずつお家での可愛いエピソードを教えてくれるようになりました。
最終的には、年度最終日に「〇〇(園児名)が保育園で上手くやっていけるか心配だったけど、先生が毎日こまめに様子を伝えてくれたので安心して預けることができました」と感謝の言葉をいただくことができました。
保育士が園児に丁寧にコミュニケーションを取ることで、保護者の安心感につながるのだと実感できた瞬間でした。
保育士魅力や楽しさ、良かったこと③【イベントの達成感を得られる】
保育施設によっては、季節に合わせてイベントや行事が開催されることもあります。
子どもたちが楽しむためには、保育士が企画・準備をして、当日を迎える必要があります。
普段の保育業務に加えて準備を進めなくてはならないため、時にはその大変さに挫けそうになることもあるでしょう。
しかし、無事イベントが大成功した時は、大きな達成感で満たされます。
子どもたちが楽しむ姿や、同僚や上司に褒められることで、大きなやりがいと自信につながるでしょう。
【保育士Cさんのエピソード】
初めて、夏祭りの担当としてリーダーを任されました。
リーダーを任された時は不安でいっぱいでしたが、「子どもたちが楽しむためにはどうすればいいか?」ということを意識して準備を進めました。
保育士と協力して準備した甲斐もあって、当日は大成功!!
子どもたちの笑顔を見ることができて、「頑張って準備して良かった!」と思うことができました。
同僚や保育園の園長にも褒められて、「こんな自分でもやりきれた!」と自信がつきました。
保育士としてどんな人が向いていない?
以下のような方は、保育士に向いていない可能性があります。
- 自分で体調管理ができない
- 人と接するのが苦手
- 子どもが苦手
- 同時進行で進めるのが苦手
- 臨機応変に動くのが苦手
- 汚れることに抵抗がある
とはいえ、上記に当てはまる場合でも保育士として働くことは十分可能です。
なぜなら、保育士としての経験を積んでいくうちに、苦手を克服できるからです。
誰しも最初はできないことが多いものです。
子どもたちの成長にも同じことが言えますが、失敗を繰り返し、小さな成功体験を積み重ねていくことで、自然に苦手を克服できるようになります。
また、保育施設によっても方針や特色はさまざまです。
働き始めて、「自分には保育士は合わないかもしれない……」と感じる場合がありますが、実は保育士が合わないのではなく、保育施設が合っていない場合も少なくありません。
その場合は、自分に合った保育施設へ転職するのも一つでしょう。
保育士と幼稚園教諭、どちらが大変?
保育士と幼稚園教諭は、子どもと関わるという意味では共通していますが、資格や働き方は異なる職業です。
まず、保育園は「厚生労働省」、幼稚園は「文部科学省」の管轄になります。
保育園の役割は、「子どもを預かり保護者に代わって保育をおこなう」ことです。
一方、幼稚園の役割は「就学に向けて教育をする」ことがあげられます。
そのため、保育に対する考え方や保育時間も異なります。
幼稚園は夕方以降子どもが少なくなる(いなくなる)ため、その後の時間は保育の準備や掃除をおこないます。
一方、保育園は、園児を預かる時間が長く、勤務時間中は子どもと一緒にいることが多いでしょう。
これだけ聞くと、「保育士の方が大変そう……」と思う方もいるかもしれませんが、幼稚園は一人担任の場合がほとんどなので、受け持つ業務量が多い傾向があります。
それに加えて、幼稚園の方が季節ごとのイベントが多い傾向にあるため、係や行事の準備も大変です。
逆に保育園は複数担任制なので、一人が受け持つ業務量は比較的少ないといえます。また、シフト制なので、幼稚園と比べると残業や持ち帰りの仕事も少ない可能性があります。
とはいえ、複数担任制ということは、保育士同士で連携をとるのが大事になるので、人間関係が上手くいかないと大変です。
保育士と幼稚園教諭はそれぞれ大変さが異なるので、「どちらの方が大変」と判断するのは難しいですが、ポイントをまとめると以下のとおりです。
幼稚園教諭よりは業務量は少ない傾向にあるけど、人間関係で悩むこともある
業務量は多いけど一人で保育をする分、人間関係のストレスが少ない傾向
保育士として必要なことは?何歳くらいまで働ける?
「保育士に必要なこと」は以下のとおりです。
- 子どもが好きという気持ち
- 物事を柔軟に考えられる力
- コミュニケーション能力
- 冷静に臨機応変に動ける力
- 相手の立場にたって考えられる力
- 体力や忍耐力
保育士は、一度「保育士資格」を取得すれば長く続けられますが、「何歳くらいまで働けるのか?」気になっている方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、体力的な問題がない限り、何歳まででも働ける仕事といえます。
正社員として働く場合は、公立保育園も私立保育園も65歳で定年になるケースがほとんどですが、パートやアルバイトで働く場合は、65歳以上でも働くことは可能です。
そのため、育児や介護で一度は休職・離職した場合でも、いつでも復職できるのが保育士の魅力といえるでしょう。
保育士を辞めたくなったら?
やりがいもあり、一度資格をとったら長く働き続けられる保育士。
しかし、大変な部分も多いため、「辞めたい」「疲れてしまった」と感じることもあるかもしれません。
その場合は、すぐに保育士を辞めるのではなく、「別な保育施設へ転職する」のがおすすめです。
保育施設といっても、保育理念や施設の雰囲気、給料など保育園によってさまざまです。
保育士を辞めたいと感じた場合は、今の職場が自分に合っていない可能性も十分あるでしょう。
自分に合った保育施設へ転職することで、今の悩みが解消する場合もあります。
保育士になって大変なことのまとめ
保育士の大変なことやつらいことなど、詳しくご紹介しました。
保育士は「子どもたちの大切な命を預かる仕事」です。
安全面に配慮したうえで、一人ひとりに寄り添った関わりが求められるため、「大変」というイメージを持つ方も多いでしょう。
確かに保育士は大変な仕事ではありますが、その分、やりがいも大きく魅力的な仕事であることは間違いありません。
もし、保育士として働いていて、「大変だから辞めたい……」「辛くて転職したい……」と感じている場合は、保育士人材バンクへご相談ください。
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