保育士は離職率が高いと聞きませんか?
この記事では、保育士の離職率が高いといわれる理由や、保育士の離職理由などを詳しくご紹介します。
目次
この記事でわかること【保育士の離職率】
「保育士の離職率は高い」と聞いたことがある人もいるかもしれません。
しかし、実際には保育士の離職率は9.3%であり、日本の平均離職率15.0%※と比べると高くありません。
ただ、潜在的に「保育士を辞めたい」と考えている方は、かなり多いよう。
今現在、保育士になろうか悩んでいる方、あるいは保育士を辞めようか悩んでいる方は、保育業界の現状を知るところから始めてみると、今後の進路を考えるヒントが見つかるかもしれません。
そこで、この記事では、保育士の離職率を詳しく解説するとともに、保育士の離職理由や失敗しない園の選び方などをご紹介していきます。
保育士全体の離職率は「9.3%」と高くはない
厚生労働省の調査データによると、保育士全体の離職率は「9.3%」であり、日本の平均値(15.0%)よりもデータ上は低い離職率となっています。
保育士として働く人は全国に約59万人で「9.3%」ということは、このうち約5.5万人が毎年辞めていることになります。
以下に、公立保育園、私立保育園、男性保育士などの条件別の離職率をご紹介します。
保育士の離職率参考サイト:厚生労働省「保育士の現状と主な取り組み」
日本の離職率参考サイト:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」
公立保育園の保育士の離職率【5.9%】
公立保育園の離職率は「5.9%」で、かなり低めとなっています。
公立保育園で働く保育士は地方公務員となるため、給料面が安定していることが、離職率が低い原因と考えられます。
参考サイト:厚生労働省「保育士の現状と主な取り組み」
私立保育園の保育士の離職率【10.7%】
私立保育園の離職率は「10.7%」。
10人に1人が辞めている計算になります。
日本の離職率(15.6%)と比べるとそこまで高いわけではありませんが、私立保育園の離職率が高めな理由は、園によって給料や待遇、保育方針などが大きくことなることがあげられます。
参考サイト:厚生労働省「保育士の現状と主な取り組み」
保育士の「3年以内離職率」「6年以内離職率」は?
3年以内の離職率を調べた公的データはありませんが、厚生労働省の資料をみると、常勤保育士の経験年数別の人数について、経験年数2年未満の保育士の割合は「15.5%」、2~4年未満の保育士の割合は全体の「13.3%」となっています。
また、経験年数4~6年未満の保育士の割合は全体の「11.1%」となっています。
なお、上記を合計して6年未満の保育士が全体の49.4%を占めており、現職の保育士の約半数が6年未満の保育士であることがわかります。
参考サイト:厚生労働省「保育士の現状と主な取り組み」
幼稚園教諭の離職率は?
幼稚園教諭の離職率は、保育士とそこまで大きく変わらないといわれます。
文部科学省の資料をみると、平成28年時点で現職の教員が95,909人で、離職者数が10,239 人となっています。
この数値から計算すると、幼稚園教諭の離職率は「10.6%」となります。
幼稚園教諭の平均勤続年数10.5年(保育士7.8年)のため、保育士よりも長く務める割合は多いといえます。
参考サイト:文部科学省「Ⅱ 調査結果の概要」
【退職理由TOP3】私立保育園はなぜ離職率が高いのか?
私立保育園の離職率は、公立に比べて高いといえます。
では、「なぜ倍近い離職率の違いがあるのか?」本章では、東京都福祉局の調査結果から、私立保育園の離職率の高い理由TOP3をご紹介します。
参考サイト:東京都福祉保健局「平成30年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」
私立保育園を辞めたくなる理由①【給料の安さ】
東京都福祉局の調査では、退職意向がある正規職員の72.7%が、理由として「給料の安さ」をあげています。
私立保育園では園によって保育士の給料や待遇、福利厚生の手厚さなどにかなりバラつきがあり、仕事量に対して給料が見合っていないと感じる保育士が多くなっています。
また、副業を考える場合でも、「そもそも時間をとれない」「副業が禁止されている」という場合も想定され、多くの保育士が給料面に不満を抱えて離職を考えるようです。
私立保育園を辞めたくなる理由②【労働時間や仕事量】
同調査では、 「仕事量が多い」ことを辞めたい理由としてあげた保育士が69.8%、「労働時間が長い」ことを理由とした割合は56.6%でした。
保育士の仕事量の多さ・労働時間の長さも、離職につながっているようです。
私立保育園を辞めたくなる理由③【人間関係】
どの職場にもある「人間関係」の悩み。
保育士への調査でも、辞めたい理由として「人間関係」が39.6%という結果に。
パワハラだけでなく、女性の多い職場だからこその人間関係の悩みは多いようです。
保育職は、子どもたちにも関係する職場であることから、責任感もあり、簡単には辞めにくい職種です。
しかし、精神衛生上の問題を抱えてしまうと、辞めざるをえない保育士もいるようです。
保育士が「辞めたい」と思う理由については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。
【保育士を辞めたい】辞めて良かったこと、後悔したこと、辞めたくなる理由、タイミング、年齢は?>>
保育士の離職率が心配な人は「職場選び」が重要!
これから保育士をめざしたいと考えている方、離職率が低い園に就職や転職を考えている方は、応募前の「職場選び」が重要です。
よい職場は離職も少ないはずなので、そもそも離職率が低い職場を選ぶことができれば、離職のリスクを回避できますよね。
そこで、以下に職場選びのポイントを2つご紹介します!
ぜひ参考にしてみてください。
保育士の職場選びのポイント①【職場の雰囲気をチェック(園見学・面接時)】
応募する職場を選ぶ際は、まず実際の保育園の雰囲気をチェックすることが大切です。
できれば事前に園見学に行き、難しければ面接時に園を訪問した際に内部の雰囲気もチェックしておきましょう。
見るべきポイントとしては、以下があげられます。
職場選びでみるべきポイント
- 子どもの様子
- 職員の雰囲気
- 保育環境
人間関係の雰囲気は、実際に園の様子をみてみなければわかりません。
職員同士の会話の様子などをチェックしてみるといいでしょう。
また、子どもの笑顔が全く無かったり、ピリピリした様子だったりすると、園全体で余裕が無い状況があるかもしれません。
同様に保育環境が悪いと、背景には大きなマイナス要因が隠されている可能性もあります。
園見学の詳しいポイントを知りたい方は以下もチェックしてみて下さい。
保育士の保育園見学はした方がいい?質問事項や服装、アポイントの取り方、マナー、注意点・ポイント!>>
保育士の職場選びのポイント②【給料面をチェック(求人票にて)】
給料面に不安がある方は、保育士の求人票をしっかり読み込んでから、応募する保育園を決めましょう。
具体的に見るべきポイントとしては、以下があげられます。
保育士の求人票でみるべきポイント
【月給・基本給・固定給】
- 月給と書かれている場合は、社会保険料や手当などを含んだ月の総支給額となります。実際の手取り額はそこから20%ほど引いた額となります。
- 基本給と書かれている場合は、手当等を引いた金額です。
- 固定給は、基本給に加えて毎月固定の手当を含んだ金額の場合があります。
【固定残業代(みなし残業)】
- あらかじめ残業を見越して支給される手当です。
※含まれている残業時間と金額は予め確認しておきましょう
【手当】
以下のような手当を出すかどうかは、園によって異なります。
「どのような手当があるか?」チェックしましょう。
【待遇・福利厚生・賞与(ボーナス額)】
保育士の求人票には、ボーナスのことを「賞与」と書かれています。
どのくらい支給されるかは、「〇か月分」といったように記載されていますが、これは基本給をもとにした年間の支給額の場合があり、予め確認をしておきましょう。
実際に転職先の保育園がどれくらいの給料水準になるかは、給与額やボーナスだけでなく、手当もチェックが必要です。
例えば、家賃補助が使える園だと、最大8万円近くもの補助がつく可能性があります。
家賃補助については以下の記事にも記載していますので、ぜひチェックしてみてください。
保育士の家賃補助制度(住宅手当)の種類や条件は?いつからいつまでもらえる?>>
保育士の給料の目安を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
退職者の多い保育園の特徴
退職者の多い保育園には、以下のような特徴があります。
- 職員の入れ替わりが激しい
- 衛生面がおざなりになっている
- 人手が足りていない
- 職員間の雰囲気が悪い
保育園の状況は、園見学や保育士の求人票で確認できるものもありますが、実際に園見学をすることで、より詳細な状況を知ることができます。
離職率の低い「公立保育園」を目指す方法
公立の保育園は離職率も低く、安定した給料も見込めるため理想の職場です。
ただ、公務員保育士になるには地方公務員試験を受ける必要があったり、試験には年齢制限があったり、受かっても異動があったりなど、難しい部分もあります。
ただ、一度受かることができれば、長く勤めていくには安定した職種です。
公務員保育士に興味がある人は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。
公務員保育士とは?なるのは難しい?年収や給料、待遇、なり方、受かる人や注意点!>>
保育士に向いている人
保育士になることを迷っている人もいるかもしれません。
そのような方へ、保育士に向いている人の特徴をご紹介します。
- ポジティブな人
- 共感力のある人
- 想像力が豊かな人
- 柔軟な対応ができる人
- どんな子にも平等な対応ができる人
こうした適性はありますが、子どもが好きで、こどもたちの成長のためならどんなことも乗り越えられる気持ちがあるなら、保育士をめざしてみることをおすすめします。
「子どもの成長」という、他業種では味わえない大きなやりがいを感じられるでしょう。
保育士に向いていない人
保育士に向いていない人の特徴をご紹介します。
- 忍耐力がない人
- 汚れることが嫌な人
- すぐに思い悩んでしまう人
- コミュニケーションが苦手な人
保育士は、子どもたちのこれからの人生・成長に深く関わる大切な仕事です。
はじめはよくても、適性がないとだんだんと保育の仕事がつらくなってしまう可能性も。
もしも不安があるなら、別の道を選択する方法もひとつです。
保育士になるメリット
保育士になるメリットとしては、以下があげられます。
- 子どもの成長に大きなやりがいを感じられる
- 国家資格で経験が重視されるため転職に強い
- 自身の子育ての際もスキルをいかせる
これから保育の仕事をずっと続けていきたい、保育のプロになりたいと考える方には、保育士はおすすめの仕事です。
保育業界の求人では保育経験が重視されるため、保育経験は無駄になることはなく、転職にも強い職種といえます。
保育士になるデメリット
保育士になるデメリットとしては、以下があげられます。
- 保育以外のスキルが身につきにくい
- 他業種へ転職しにくい
保育士は保育のプロとしてのスキルは身につきますが、他業種ではいかしにくいスキルであり、他業種への転職には不利になります。
保育園を退職したくなった時の相談先は?
「保育園を退職したくなったときはどうすればいいか?」不安な方もいるかもしれません。
職場に相談できる上司がいればいいですが、実際に辞めたいと感じたときには、相談はしにくいかもしれませんね。
辞めたいと感じたときは、まず「辞めたい理由」を書き出してみましょう。
その理由が、今の職場で改善が難しいものであれば、転職を考えるのもひとつです。
保育士として働くことに不安のある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
実際に転職をしたくなったらときの流れも記載しています。
【保育士を辞めたい】辞めて良かったこと、後悔したこと、辞めたくなる理由、タイミング、年齢は?>>
また、当社「保育士人材バンク」にご相談いただければ、条件に合う求人の紹介や、転職のサポートも可能です。
確実な転職をサポートしますので、いつでもご相談ください。
保育士の離職率のまとめ
保育士の離職率はそこまで高くありませんが、辞めたいと感じている保育士は潜在的に多いといえそうです。
せっかく就職した職場で「辞めたい」と思わないためには、事前の職場選びが大切。
保育士人材バンクでは、好条件の保育求人を多数取り扱っており、条件別の求人検索はもちろん、無料相談や求人紹介、転職等のサポートも可能です。
保育の求人をお探しの方は、ぜひ、保育士人材バンクをご活用くださいね!