保育士の働き方は正社員とパートで待遇に大きな違いがあり、給料や手当、働き方も異なります。自分に合った働き方をするために、ふたつの違いをしっかり理解しておきましょう。今回は、保育士の働き方と待遇の違い、活用できる制度について詳しく解説します。
目次
保育士の給料と年収

まずは、正社員とパート保育士との違いを賃金面で比べてみます。保育士の平均的な年収は以下のとおりです。
<保育士の平均年収>
所定内給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 | |
全体 | 約27.1万円 | 約71.2万円 | 約397万円 |
男性 | 約29.8万円 | 約80.6万円 | 約438万円 |
女性 | 約26.9万円 | 約70.6万円 | 約393万円 |
※参考「令和5年賃金構造基本統計調査」
※平均年収は「所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算
<パート保育士の平均年収>
1時間当たり所定内給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | フルタイムパートの予想年収 | |
男女計 | 1,315円 | 約8.9万円 | 約299万円 |
男性 | 2,000円 | 約24.4万円 | 約408万円 |
女性 | 1,307円 | 約8.7万円 | 約260万円 |
※参考「令和5年賃金構造基本統計調査」
※平均年収は「(1時間当たり所定内給与額×8時間×20日×12ヶ月)+年間賞与その他特別給与額」で計算
パート保育士は、短時間で勤務する場合もあり、施設によってはボーナスが支給されないケースもあるため、方針や一日の勤務時間によっては上記の表よりも収入は変動しやすい点にも注意する必要があります。
正社員とパートの待遇は何が違う?
正社員とパートの保育士とではそれぞれ待遇が異なるため、自身の生活スタイルや働き方の希望に合った形態を選ぶことが大切です。ここでは、正社員とパート保育士の違いを3つ挙げ、どんな特徴があるのかご紹介します。
給料
正社員の保育士の多くは、月給制で収入が安定しています。また、年2回の賞与(ボーナス)が支給されることが一般的です。正社員保育士の平均年収は約397万円となっており、長期的に見るとパートよりも高収入が見込めます。賞与や年次昇給もあり、勤続年数に応じて給料が増える傾向があるのも特徴です。
一方でほとんどのパート保育士は時給制です。月々の収入が働いた時間に左右されやすく、正社員よりも年収が少ない傾向にあります。ボーナスの有無は施設によって異なり、支給されても正社員より少ないケースが多いです。ただし、勤務時間に柔軟性があるため、家庭やプライベートと両立したい方には向いています。
仕事内容
正社員の保育士は、クラス担任やリーダー業務、行事の企画・運営、保護者対応、さらには書類作成など、幅広い業務を担当します。経験を重ねるにつれて 後輩の育成なども担当するようになり、保育園の運営全体に関わっていくことになるでしょう。責任がある仕事のぶん経験を積みやすく、キャリアの幅も広がります。
パート保育士は、おもにサポート役としての業務が中心です。クラス担任や行事の責任者を任されることは少なく、業務の負担も比較的軽めです。正社員保育士の補助として動くぶん、責任の大きな仕事を負担することが少ないため、未経験から始めやすい働き方でもあります。また、勤務時間が固定、かつ正社員よりも短いため家事や育児との両立がしやすい点が魅力です。
勤務時間やその他の条件
正社員保育士はフルタイム勤務が多く、早番や遅番を含むシフト制が一般的です。また、社会保険(健康保険、厚生年金)や有給休暇、退職金制度など福利厚生が充実しているのが特徴です。
一方、パート保育士は短時間勤務や週3回勤務などが可能で、比較的働き方を柔軟に決められます。通勤手当は支給されるケースが多いものの、住宅手当や退職金はないことが多いです。また、週の労働時間によっては社会保険が適用外となる点にご注意ください。


保育士が使える制度

保育士の待遇を良くしようと、国や自治体はさまざまな制度を設けています。ここでは、保育士が利用できる代表的な制度について紹介します。
借り上げ社宅
借り上げ社宅制度は、保育士の家賃負担を軽減することを目的とした支援制度です。市区町村や保育施設が提携する賃貸物件に保育士が住むことで、家賃の一部または全額が補助されています。
制度を利用するには、常勤の保育士として採用されていることや、自治体内に勤務先と居住地があることなど、定められた条件を満たす必要があります。条件は市町村や勤務する施設によって異なりますので、しっかり確認しておきましょう。
借り上げ社宅制度は若手保育士や地方から都市部へ転職する保育士をサポートする意図もあり、とくに家賃が高い都市部での負担軽減策として利用されている制度です。たとえば東京都千代田区の補助金額は月額最大11万3,750円とかなり高額となっています。経済的なゆとりを得られる心強い支援制度です。(2024年11月現在)
ただし、借り上げ社宅制度は保育士不足の解消や離職防止を目的として始められた制度であるため、将来的にずっと続くとは限りません。
制度は小まめに見直され、対象となる保育士の雇用年数は近年縮小している状況です。利用を検討したい方は、自治体や施設に事前に確認することをおすすめします。
>>【2024年最新】保育士の借り上げ社宅制度の徹底解説!利用の条件や、なくなる可能性についても説明
奨学金返済支援
自治体によっては、奨学金の返済をしながら働いている保育士のために支援制度を設けています。多くの場合、制度を利用できるのは保育士資格の養成学校を卒業後「その自治体で就職し、返済を行っている常勤の保育士」です。
たとえば、東京都葛飾区では奨学金の月額返済額と2万円(月額補助金額の上限)のどちらか低いほうの金額を支援しています。
学生が利用できる奨学金には「日本学生支援機構奨学金」をはじめ、さまざまな種類がありますが、一部の給付型奨学金や教育ローンなどは支援制度の対象外となる可能性があり注意が必要です。利用したい場合は、支援制度の対象となる奨学金を事前に確認しておきましょう。
保育料の貸し付け
未就学のお子さんがいる場合、保育士として復帰する際に、保育料の一部に対して貸し付けを受けられる制度があります。
東京都の場合、「未就学児をもつ潜在保育士に対する保育所復帰支援事業」で定めている対象施設に、週20時間以上勤務する保育士が対象です。最長1年間、保育料の半額(月額2万7,000円以内)の貸し付けを利用できます。また、2年間保育士として継続的に就労することで返還免除になるのが大きな特徴です。
制度を利用することで、経済的な負担を減らしながら再就職をスタートできます。子育て中の方が保育現場に復帰する際は、ぜひ利用を検討してみてくださいね。
就職準備金
就職準備金の制度とは、新たに雇用される保育士に就職準備にかかる費用の貸し付けを行う制度です。支給される金額は自治体によって異なりますが、その自治体で一定期間保育士として働くことで返還が免除されます。
ただし、所定の期間を満たす前に保育士をやめたり、対象外の地域へ転職したりした場合、貸付を受けた金額は全額返還となりますのでご注意ください。
なお、多くの自治体では就職準備金制度の対象を「保育士登録後に一定期間が経過した潜在保育士」としています。埼玉県など一部の地域では「新卒保育士就職準備金貸付」も導入しているため、お住いの地域でどのような制度が利用できるのかチェックしてみましょう。


保育士の手当は何があるの?

手当といえば「賞与(ボーナス)」が代表的ですが、それ以外にも保育士がもらえる手当にはさまざまなものがあります。手当の種類や金額は施設によって異なりますが、保育士がもらえる手当について代表的なものをチェックしてみましょう。
資格手当
資格手当は、おもに保育士資格を持つ職員に対して支給される手当です。施設によって有無異なり、月額5,000円〜1万円程度が支給されるケースなどがあります。
また、保育士資格以外に「幼稚園教諭免許」や「児童発達支援管理責任者」といった関連資格を取得している場合に、追加の資格手当が支給されることもあるでしょう。保育士への評価の一環として支給され、収入を安定させるための大切な支援となっています。
役職手当
役職手当は主任保育士や園長、リーダーなど、施設内で責任ある特定の役職に就く保育士に支給される手当です。役職手当は月に5,000円〜3万円程度支給され、役職が上がるにつれ支給額も多くなっていきます。収入アップとしてはもちろん、経験や施設内での責任が評価されるひとつの形ともいえます。
通勤手当
通勤手当は、勤務先までの交通費の負担を軽減するために支給される手当のことで、通勤方法に応じて支給額が異なります。電車やバスの場合は定期代が支給されることが多く、月額の上限も施設によってさまざまです。
また、施設によっては、車通勤の場合にガソリン代や駐車場代の補助がもらえる場合があります。通勤手当があれば勤務地が自宅から離れていても通いやすくなり、就職先の候補が広がるでしょう。
扶養手当
扶養手当は配偶者や子どもを扶養している保育士に対して支給される手当です。扶養する人数や条件に応じて支給額が異なるケースが多くみられます。扶養手当は、家族がいる保育士が安定して働けるようサポートする目的で導入されていますが、施設によっては支給されない場合もあるため注意しましょう。
住宅手当
住宅手当は、保育士が住む住居にかかる費用を補助する手当です。「借り上げ社宅」の制度とは異なり、保育士が自分で契約・購入した住宅費用の一部が法人から手当として支給される場合を指します。居住する物件を施設や自治体が指定することはなく、保育士が自由に選んだ住居に住めるのが特徴です。
残業手当
残業手当は保育時間が延長した場合や、会議や行事の準備で勤務時間が長くなった場合に支給される手当です。法定労働時間を超えた時間に対して1.25倍の時給が支払われます。保育園によっては行事や書類作成が多く、残業が発生することもありますが、残業手当があることで、業務に対して適切な報酬が支払われています。
特殊業務手当
一部の保育施設では、特殊業務手当を設けている場合があります。発表会や運動会など、保育園の行事のなかでもとくに精神的・体力的に負担が増える業務に対して支払われる手当です。保育士の仕事は一年通して一定ではなく、時期や担当によって多くなってしまうことも多いため、増えた負担に対して対価が支払われています。
保育士の待遇まとめ

保育士は資格や役職、通勤方法に応じてさまざまな手当を受け取ることができ、パートで働くよりも手厚いサポートが受けられます。保育士としての働き方や職場選びをする際には、待遇面にも注目し、自分に合った働き方を実現させましょう。
保育士の待遇は施設によっても様々で、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、ベストな選択をするのが大切です。
自分にピッタリな働き方を見つけることで、自分らしく長く働き続けることができます。
まずは、自分の理想の働き方や目標を整理して、理想の働き方を実現するための第一歩を踏み出しましょう。
保育士人材バンクでは、専門のアドバイザーがあなたのキャリアプランに合わせたアドバイスをおこない、自分に合った職場や働き方を見つけるお手伝いをします。
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