この記事では、乳児院の概要を簡単にわかりやすくご紹介しています。
「どんな子どもが利用するのか?」入居理由も詳しくご紹介。
乳児院で働きたい保育士向けに給料面やメリット・デメリットもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 この記事でわかること【乳児院とは?】
- 2 乳児院とは?どんな施設?
- 3 乳児院では何をする?
- 4 乳児院に入る理由は?
- 5 乳児院で働くには?
- 6 乳児院の特徴3つ
- 7 乳児院の役割・目的は?
- 8 乳児院に入れる年齢・入所条件は?
- 9 乳児院の入所期間
- 10 乳児院の退所理由と行先
- 11 乳児院と児童養護施設との違い
- 12 乳児院と保育園との違い
- 13 乳児院にはどんな職員が働いている?
- 14 乳児院の現状【施設数・利用者数】
- 15 乳児院の施設規模・今後の課題
- 16 乳児院で働くために必要な資格は?
- 17 乳児院で働く保育士の仕事内容(業務内容)
- 18 乳児院で働く保育士の1日の流れ・シフトイメージ
- 19 乳児院で働く保育士の給料や福利厚生
- 20 乳児院の保育士の求人状況
- 21 乳児院で働く保育士の雇用形態
- 22 乳児院で働きたい方によくある疑問
- 23 乳児院で保育士として働くやりがい・魅力・メリット
- 24 乳児院で保育士として働くうえで大変なこと・デメリット(注意点)
- 25 乳児院に向いている人
- 26 乳児院に向いていない人
- 27 乳児院への転職の仕方・求人の探し方
- 28 乳児院の履歴書・職務履歴書の書き方
- 29 乳児院の面接のポイント
- 30 乳児院のまとめ
この記事でわかること【乳児院とは?】
乳児院とは、何らかの事情により親元で暮らすことができない乳幼児を預かる入所施設です。
この記事では、乳児院とはどんな施設で、どんな子どもを預かるのか、乳児院の概要と役割を簡単にわかりやすくご紹介します。
記事後半では、乳児院で働きたい保育士に向けて、働く際におさえておきたい乳児院の概要やメリット・デメリットをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
乳児院とは?どんな施設?
乳児院とは、児童相談所などで「保護者との生活が困難」と判断された0~2歳※の子どもを、入所で預かる施設です。
※児童相談所の判断により小学校入学前の幼児も入所できる場合があります
状況に応じて一時保護または長期入所で保護し、24時間365日体制で家庭にかわる養育を行ないます。
乳児院①【保護と養育が目的】
乳児院では、さまざまな事情により親元で暮らせない子どもたちを、家庭にかわり、安全かつ家庭的な環境で養育することを目的としています。
乳児院②【保育施設であり専門的養育施設】
乳児院に入所する子どもは、虐待やネグレクト、病気のある子どもなどさまざまです。
そのため、病児や障がいを持っている子どもにも対応できるよう、専門的養育を行います。
よって、乳児院は一般的な保育施設と比べて、福祉の役割が強い施設となっています。
参考サイト:社会的養護の施設等について – 厚生労働省
乳児院③【乳児院の根拠法は「児童福祉法」】
乳児院に関する規定は、児童福祉法第37条に以下のように定められています。
乳児院④【運営主体】
乳児院の運営主体は、「自治体(県や市)」「社会福祉法人」「日本赤十字社」などとなっています。
乳児院では何をする?
乳児院では、子どもの状態に応じて、「保育・医療・療育・心理的なケア」を専門的な観点から実施します。
24時間365日、職員が交代で子どもを見守り、保育だけでなく専門的なケアを実施しています。
その他、施設全体としては、以下のような業務を担っています。
乳児院に入る理由は?
「乳児院にはどんな子がいるのか?」「どんな人が利用するのか?」気になる方も多いと思います。厚生労働省の調査結果より、家庭側の理由と児童側の理由をご紹介します。
乳児院に入る理由①【家庭の事情】
厚生労働省の調査結果をみると、乳児院に入る理由の順位は、以下のようになっていました。
参考サイト:厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査の結果(平成30年2月1日現在)
特に多い乳児院への入所理由
1位:母の精神疾患等
2位:その他
3位:母の放任・怠(たい)だ
4位:破産等の経済的理由
5位:母の虐待・酷使6位:養育拒否
その他の乳児院への入所理由(グラフ内“その他”に含む)
7位:父の虐待・酷使
8位:母の拘禁(こうきん)
9位:母の就労
10位:両親の未婚
11位:母の入院
12位:父母の不和
13位:父母の離婚
14位:母の行方不明
15位:児童の障がい
16位:父の就労
17位:父の放任・怠(たい)だ
18位:父の就労
19位:母の死亡
20位:不詳
21位:父の拘禁(こうきん)
22位:棄児(きじ)
23位:次子出産
24位:家族の疾病(しっぺい)の付き添い
25位:父の精神疾患等
27位:児童の問題による監護困難
28位:父の死亡
29位:父の入院
30位:父の行方不明
参考サイト:厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査の結果(平成30年2月1日現在)
乳児院への入所理由で最も多いのは「母親側の問題」で、「母親の精神疾患」が最も多く、次いで「母親のネグレクト(放任・怠だ)」、「経済的理由」、「虐待」、「養育拒否」となっています。
その他の理由としては、両親の未婚や離婚、行方不明や捨て子(棄児)、家族の入院、子どもの障がいなどがあるようです。
乳児院に入る理由②【子ども側の事情】
厚生労働省の資料によると、乳児院に入る子どもの30.2%は、以下に書かれているような、何かしらの状態にあることが書かれています。
乳児院に入る子どもに見られる心身の状態
1位:身体虚弱14.4%
2位:その他の障がい等 10.2%
3位:知的障がい 4.7%
4位:言語障がい 3.2%
5位:肢体不自由2.1%
6位:広汎性発達障がい(自閉症スペクトラム)2.0%
7位:発達性協調運動障がい1.5%
8位:視覚障がい 1.3%
9位:反応性愛着障がい1.3%
10位:てんかん1.2%
11位:重度心身障がい0.8%
12位:聴覚障がい 0.8%
13位:注意欠陥多動性障がい(ADHD)0.4%
14位:外傷後ストレス障がい(PTSD)0.2%
15位:吃音(きつおん)症0.2%
16位:高次脳機能障がい 0.2%
17位:チック 0.1%
参考サイト:厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査の結果(平成30年2月1日現在)
特に多いのは、「虐待」や「ネグレクト等」による心身虚弱で、そのほかにもさまざまな障がいを抱えているケースが多いことがわかります。
乳児院で働くには?
さまざまな事情や特性をもつ子どもたちが入所する施設だからこそ、働く職員には専門性が求められますし、その分やりがいにもつながります。
乳児院で働くには、乳児院が出している求人に応募し、採用される必要があります。
求人は、ハローワークや保育士の求人サイトなどで探すことができます。
乳児院では保育士の配置が必須となっていますが、他にも以下のような職員として勤務することも可能です。
- 児童指導員
- 医師又は委託医
- 看護師
- 栄養士
- 調理員
- 個別対応職員
- 心理療法担当職員
また、パートやアルバイトの職員であれば、無資格でも働ける場合があります。
公立の乳児院は「公務員試験」に受かる必要あり
乳児院には公立の施設もあり、公立の乳児院で働くためには地方自治体の公務員試験に受かる必要があります。
ただし、地方公務員としての募集は乳児院に限ったものではなく異動もあるため、例えば公務員保育士になったとしても、必ずしも乳児院に配属されるわけではないため注意が必要です。
公務員保育士は、給料面や待遇がよいのは大きなメリットです。公務員保育士に興味がある方は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。
公務員保育士とは?なるのは難しい?給料や待遇の違いやなり方、注意点を解説>>
乳児院の特徴3つ
ここまで、乳児院という施設の概要についてご紹介してきましたが、ここからは、乳児院で働きたい方向けに、さらに詳しく乳児院の特徴や役割・目的などをご紹介していきます。
まずは、乳児院の特徴を大きく3つに分けてご紹介します。
乳児院の特徴は、以下があげられます。
乳児院の特徴3つ
- 0~2歳の乳児の短期保護が半数
- 子どもの状態に合わせて専門的な養育
- ケアを行なう
- 保護者のケアや里親
- 養子縁組のサポートも行なう
これら乳児院の特徴について、以下に詳しくご紹介します。
乳児院の特徴①【0~2歳の乳児の短期保護が半数】
乳児院には、「短期保護が多い」という特徴があります。
乳児院の在所期間をみてみると、利用児の42%は在所期間が1年未満となっています。
厚生労働省の乳児院概要ページをみても、「半数が短期で、1か月未満が26%、6か月未満を含めると48%(平成23年時点)」との記載があり、乳児院の在所期間は短期が多いことがわかります。
これは、乳児院が子育て支援・親子再統合支援の役割を担っているためといえます。
参考サイト:厚生労働省 社会的養護の施設等について
参考サイト:厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査の結果(平成30年2月1日現在)
乳児院の特徴②【子どもの状態に合わせて専門的な養育・ケアを行なう】
子どもの状態に合わせて「専門的な養育・ケア」を行なうことも、乳児院の特徴です。
乳児院に入所する子どもの約3割が、何かしらの障がいや病気を抱えています。
よって、そうした子どもたち一人ひとりに対応できるよう、乳児院ではさまざまな専門知識をもつ職員が連携し、専門的な養育・ケアを行なっています。
乳児院の特徴③【保護者のケアや里親・養子縁組のサポートも行なう】
単なる保育・養育だけでなく、保護者のケアや里親・養子縁組のサポートも行なうことも、乳児院の大きな特徴です。
乳児院は、主に0~2歳の乳児を預かる施設です。
長期に子どもを養育する場所ではなく、子どもたちの次の居場所へつなぐ役割が、最も重要となっています。
親元に返せる可能性がある場合には、保護者のケアを行ない、難しい場合には里親や養子縁組のサポートを行なう場合もあります。
行き先が見つからない場合には、次の入居先となる施設へ連携しつないでいきます。
よって、乳児院は単なる保育施設ではなく、総合的なサポートを担う施設となっています。
乳児院の役割・目的は?
乳児院の役割・目的を簡単に説明すると、乳児の一時保護と次の居場所へつなぐサポートが重要な役割といえます。
愛着形成のために重要な乳児期を家庭で過ごせない子どもたちは、さまざまな心理的負担を抱えています。
また、障がいや病気を抱えた子どもも多く、専門的なサポートが必要となります。
そうした子どもたちに「専門的な養育を提供する」とともに、「安心・安全な居場所の提供」と、「今後の居場所を整えていくこと」が、乳児院の大切な役割です。
その他、乳児院が担っている具体的な役割としては、以下のようになっています。
乳児院に入れる年齢・入所条件は?
乳児院の対象年齢と入所条件について解説します。
乳児院の対象年齢は?
乳児院には何歳から何歳まで入れるのかというと、基本的には「0~2歳」です。
ただし、平成16年の児童福祉法改正により、「安定した生活環境の確保等の理由により特に必要がある場合」には、幼児(就学前)も入所可能となりました(児童相談所の判断による)。
参考サイト:厚生労働省 「児童福祉法の一部を改正する法律」の施行について
よって、乳児院の対象年齢は、基本的には0~2歳、場合により0~5歳(就学前)までとなります。
乳児院の入所条件は?
乳児院の利用には、児童相談所の判断が必要となります。
したがって、「入所が必要な状況であると児童相談所が判断」することが、乳児院への入所条件となります。
乳児院の入所期間
厚生労働省によると、乳児院の入所期間(在所期間)は以下のようになっています。
乳児院の在所期間
- 1年未満:42%
- 1年以上2年未満:30%
- 2年以上3年未満:15%
- 3年以上4年未満:5%
- 4年以上5年未満:1%
参考サイト:厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査の結果(平成30年2月1日現在)
乳児院の退所理由と行先
厚生労働省の調査をみると、入所中の子どもたちの今後の見通しへの回答としては、以下が多くなっています。
参考サイト:厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査の結果(平成30年2月1日現在)
乳児院を利用する子どもの行先
1位:現在の乳児院で養育 35.5%
2位:保護者のもとへ復帰 25.2%
3位:児童養護施設へ 18.7%
4位:その他 3.7%
5位:養子縁組 3.0%
6位:障がい児入所施設へ移行予定 1.9%
7位:親類等の家庭への引き取り 1.2%
8位:他施設へ移行予定 1.0%
9位:不詳 0.6%
10位:母子生活支援施設へ 0.3%
参考サイト:厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査の結果(平成30年2月1日現在)
調査結果をみると、保護者のもとへ戻れるのは、25%ほど。
養子縁組は3%、親類引き取りは1.2%です。
児童養護施設や障がい児入所施設など、他施設へ移行予定なのが20%ほどとなっています。
35.5%は行先が決まっておらず、長期の入所になっていくことが予想されます。
乳児院退所後の行先としては、明らかな障がいのない子は児童養護施設へ、障がいのある子は障がい児入所施設へと移っていきます。
乳児院と児童養護施設との違い
乳児院と児童養護施設の違いは、「対象年齢」です。
乳児院は対象年齢が0~2歳であるのに対し、児童養護施設は1~18歳までと受け入れる年齢の幅が広くなっています。
乳児院の延長線上にある施設が、児童養護施設といえます。
なお、児童養護施設の入所年齢は原則1歳以上となっていますが、特に必要がある場合は、乳児(1歳未満)の入所や20歳までの入所延長ができます。
参考サイト:厚生労働省 「児童福祉法の一部を改正する法律」の施行について
保育士の働き方の違い
保育士は乳児院・児童養護施設どちらでも働くことができます。
どちらも24時間365日、家にかわり子どもたちを養育する施設であり、夜勤もあり似たような勤務体系になります。
大きな違いは対象年齢と子どもの特性で、乳児院の場合は0~2歳の乳児、さらに病気や障がいなどさまざまな特性をもったこどもたちを保育していくことになります。
一方、児童養護施設は基本的には重い障がいのない子どもたちが入所します。
ただし、年齢の幅が1~18歳までと広く、働く保育士は幅広い年齢層に対応する可能性があります。
乳児院と保育園との違い
乳児院は家庭で過ごすことができない0~2歳の乳児を預かる施設で、特別な事情がない限り、一般の方は利用することはありません。
一方、保育園は両親の就労などにより保育の必要性を認められた子どもが利用できる施設です。
乳児院は「家庭の代わり」となる施設であり、保育園は「日中の預かり施設」という点で大きな違いがあります。
保育士の働き方の違い
乳児院と保育園では、働き方も異なります。
例えば、乳児院と保育園はどちらもシフト制ですが、勤務の時間帯が異なるため、働き方も変わってきます。
保育園の場合、基本的には夜間保育のある園を除き日中の勤務しかありませんが、乳児院の場合、夜勤があり、多くが交代制で夜勤に対応します。
また、対応する子どもたちの特性や年齢も異なります。
保育園は障がいや病気のない0~5歳の子どもをみるケースがほとんどですが、乳児院では0~2歳の低年齢児で、3割が何らかの病気や障がいをもった子どもです。
オムツ替えやミルク、愛情をもったかかわりなど、日常の保育の内容はそこまで変わらない部分もありますが、乳児院では親子関係修復のためのサポートや退所後のアフターケアなども保育士が担う場合があります。
乳児院にはどんな職員が働いている?
乳児院には、以下のように必要な職員の配置基準が決まっています。
参考サイト:最低基準等及び措置費における職員配置基準について
乳児院で働く職員は、保育士や児童指導員など日常の保育にかかわるスタッフのほか、看護師や医師などの医療スタッフ、栄養士や調理員などのスタッフが必要とされています。
そのほか、被虐待児など個別対応が必要な子どもに配置する「個別対応職員」、子どもの心のケアを行なう「心理療法担当職員」、家庭との連携・支援を担う「家庭支援専門相談員」などが働いています。
さらに、パートやアルバイトなどで保育補助(無資格OK)を採用しているケースもあります。
乳児院の現状【施設数・利用者数】
乳児院の施設数は、こども家庭庁の資料によると、2021年時点で全国に145か所となっています。
利用児数は2,351人です。
参考サイト:こども家庭庁 社会的養育の推進に向けて
乳児院の設置数は増加傾向にありますが、平成23年から令和3年までで1.1倍と、増加ペースは緩やかです。
また、乳児院の入所児童数は減少傾向にあります(平成23年で2,890人であったのに対し、令和3年で2,351人)。
乳児院の施設規模・今後の課題
乳児院は自治体(県や市)、社会福祉法人、日本赤十字社などが運営していますが、全体の流れとして、より家庭的な環境で子どもたちを養護するため、施設の小規模化が進められています。
これは、社会的養護の理念に基づき国として示している方針です。
こども家庭庁の資料でも、「養育者の家庭に子どもを迎え入れて養育を行う里親やファミリーホーム(家庭養護)を優先するとともに、児童養護施設、乳児院等の施設についても、できる限り小規模かつ地域分散化された家庭的な養育環境の形態(家庭的養護)に変えていく」としています。
参考サイト:こども家庭庁 社会的養育の推進に向けて
よって、保育士が乳児院で働く環境も、より家庭に近い小規模な施設が増えていくといえるでしょう。
乳児院で働くために必要な資格は?
乳児院で働くためには、職種により、以下のような資格が必要です。
乳児院で働くために必要な資格
- 保育士資格
- 医師免許
- 看護師資格
- 社会福祉士または精神保健福祉士資格(家庭支援専門相談員)
- 栄養士免許(栄養士及び調理師)
- 臨床心理士資格(心理療法担当職員)
乳児院で採用されるためには実習や試験は必要なく、働きたい職種において必要な資格要件を満たしていれば働くことができます。
なお、個別対応職員については、資格要件はありません。
また、児童指導員として働く場合は、国家資格ではなく任用資格となり、児童福祉施設で実務経験を積むことで無資格でも働ける場合があります。
児童指導員について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【最新】児童指導員とは?どんな仕事?任用資格の取得方法や要件、平均年収、仕事内容、保育士との違いを詳しく解説!>>
これから保育士を目指す方は、以下の記事を参考にしてください。
保育士免許の取り方は?正式名称や資格の取得ルート、試験の内容、更新、再発行方法は?>>
乳児院はボランティアも受け入れている
今後、乳児院で働きたいと考えている学生の方には、ボランティアもおすすめです。
多くの乳児院ではボランティアを受け入れており、募集がなくとも問合せでボランティアを受け入れてもらえる可能性があります。
仕事内容や実際の働き方を知るにはよい機会となるため、ぜひ検討してみてくださいね。
乳児院で働く保育士の仕事内容(業務内容)
乳児院での保育士の仕事内容(業務内容)は、以下のようなものになります。
乳児院で働く保育士は、親代わりとなり日々の保育を行います。
日中の保育内容は一般的な保育園と変わりませんが、夜勤時には入浴や寝かしつけ、夜泣き対応なども保育士の仕事です。
一般的な保育に加え、子どもの特性に応じて看護師・心理担当職員・個別対応職員とも連携しながらケアを行なっていきます。
年齢に応じて、生活指導を行なうなど自立のためのサポートも保育士の重要な役割です。
なお、乳児院では、1グループ4~6人ほどの小さい養育単位をつくり、小さな規模感でかかわることが理想とされています。
乳児院で働く保育士の1日の流れ・シフトイメージ
乳児院は24時間365日体制で子どもたちを養護しています。
そのため、正社員として働く保育士は、夜勤も含むシフト制で勤務するのが一般的です。
労働時間は労働基準法により原則8時間と決められていますが、夜勤の場合は休憩(仮眠)を含み、8時間以上、施設で過ごすケースも少なくないでしょう。
乳児院で働く保育士の給料や福利厚生
公立施設を除き、乳児院で働く保育士の給料は、約22万円~24万円ほどといわれます。
保育士全体の平均給与は約25万円(年収381万円)ほどのため、平均的か、少し低いくらいの価格帯となります。
ボーナス額は平均40万円~80万円ほどで、こちらも保育士の平均額(69万円)と大きく変わらないでしょう。
手取り額は総支給額の75~85%と言われているため、22万円~24万円で考えると、乳児院で働く保育士の手取り月額は16.5万円~20.4万円ほどとなります。
ただし、乳児院では夜勤が月に4~6回ほどあるため、給料アップはめざしやすい傾向にあります。
夜勤手当の額は、「1時間当たりの給与額×25%」といった計算にしているところや、1回あたり4,000~8,000円といった設定にしているところなどがあります。
その他、乳児院は民間の保育園・施設に比べて比較的、手当等が充実しているところが多くなっています。
保育士全体の給料の目安は、以下の記事も参考にしてみてください。
【2023年度最新】保育士の給料や平均手取り、相場はいくら?今後は賃金が上がる?>>
乳児院の保育士の求人状況
乳児院の求人は、施設自体、全国に140施設程度ということもあり、多くはありません。
ただし、社会にとって必要な施設であるため、一定の求人数は確保され続けていくといえるでしょう。
乳児院で働く保育士の雇用形態
保育士として乳児院で働きたい場合、以下のような雇用形態があります。
- 正社員
- 契約社員
- 派遣社員
- パート・アルバイト
契約社員の場合、雇用期間の定めがありますが、正職員登用制度ありの募集もあり、契約社員から正社員を目指すこともできます。
派遣社員の場合は、雇用元は派遣会社となります。
パートやアルバイトの場合には、夜間の保育補助としての募集が多くなっています。
乳児院で働きたい方によくある疑問
下記に、乳児院で働きたい方によくある疑問を4つご紹介します。
よくある疑問①【乳児院は資格なしで働ける?】
乳児院は、パートやアルバイトであれば、保育補助職員として無資格でも働ける場合があります。
ただし、求人はそれほど多くありません。
学生などで乳児院で働いてみたい場合には、ボランティアとして受け入れてもらえないかを打診してみるのもいいでしょう。
よくある疑問②【乳児院の離職率は?】
乳児院で働く保育士の離職率は保育士全体の離職率と変わらないといわれています。
保育士全体の離職率は10%程度で、全業種の平均12%と比べると、低めとなっています。
よくある疑問③【乳児院は夜勤がある?】
乳児院で保育士として働く場合、基本的に夜勤ありの勤務となります。
夜勤はシフト制で、月に4~6回程度となっています。
パートや非常勤の場合、夜間専従の職員を採用しているケースもあります。
よくある疑問④【乳児院を辞めたくなったら?】
乳児院を辞めたくなるケースとしては、人間関係、給料面、夜勤がつらいなどの理由が多くなっています。
もしも辞めたいと感じた場合、まずは辞めたい原因をはっきりさせましょう。
辞めたい原因が、改善が難しいものであれば、転職を考えるのもひとつです。
乳児院での保育士経験は重要な経験となるため、転職時のアピールポイントとすることもできます。
もしも転職が不安な方は、当サイト「保育士人材バンク」へご相談ください。
専任のキャリアパートナーが、条件にあう保育士求人の紹介や履歴書添削、面接対策のサポートなど、転職に向けたサポートをさせていただきます。
保育士人材バンクには待遇・条件のよい求人を多く取り扱っていますので、ぜひ無料登録のうえ、ご相談ください。
乳児院で保育士として働くやりがい・魅力・メリット
乳児院で働くメリットとしては、以下があげられます。
- 責任のある仕事のためやりがいが大きい
- 乳児保育や障がい児保育の専門知識を深められる
- 夜間を含んだ保育を経験できる
乳児院には、虐待を受けた子どもや障がいのある子どもなど、さまざまな子どもたちが入所してきます。
そのため、責任は大きいですがやりがいも感じられるでしょう。
乳児保育や障がい児保育の専門知識を深められることや、通常の保育園では経験できない夜間を含んだ保育を経験できることも、保育士として経験を積んでいくうえでのメリットといえるでしょう。
社会貢献性が強い仕事のため、社会の役に立つという意味でも、やりがいや魅力の大きい仕事といえます。
乳児院で保育士として働くうえで大変なこと・デメリット(注意点)
乳児院として働くデメリットとしては、以下があげられます。
- 抱える責任が重い
- 生活リズムが不規則になる
病気や障がい、心の問題を抱えた子どもたちとのかかわりへの責任は重く、人によっては負担に感じる場合もあります。
さらに、乳児院で働く保育士の仕事内容は多岐にわたり、子どもだけでなく保護者のケアやフォローなども担う場合もあり、責任の重さや頑張っても救いきれない状況に苦しくなってしまうケースも。
夜勤があり、生活リズムが不規則になりやすいことも、デメリットといえます。
とくに、出産などライフスタイルが変化したときには、夜勤を含む仕事は続けられなくなる可能性があります。
乳児院に向いている人
乳児院に向いているのは、以下のような人です。
乳児院に向いている人
- 社会貢献がしたい人
- 乳児・障がい児保育の専門性を高めたい人
- 偏見なく子どもへの愛が深い人
「社会貢献性の高い仕事に就きたい人」や、「乳児・障がい児保育の専門性を高めたい人」には、乳児院が向いています。
また、病気や障がいに対して偏見がなく、どんな子どもも大きな愛で受け止めたい、親代わりとなり子どもたちと密にかかわりたいと考える人は、乳児院で働くことで大きなやりがいを感じることができるでしょう。
乳児院に向いていない人
乳児院に向いていないのは、以下のような人です。
乳児院に向いていない人
- 生活リズムを安定させたい人
- 障がい等に対して偏見のある人
乳児保育では、日勤と夜勤を交代制で勤務するのが基本です。
そのため、安定した生活リズムで過ごしたい人には、向いていないといえます。
また、障がい等に対して偏見のある人は、乳児院には向いていません。
親も含め、さまざまな病気や障がいを理解し、知識を深めながら寄り添う覚悟が、乳児院で働く保育士には大切です。
乳児院への転職の仕方・求人の探し方
乳児院で働きたい方へ、新卒や中途採用といった状況別に、乳児院の求人の探し方・転職方法をご紹介します。
乳児院の求人探し・転職方法①【新卒】
保育士が新卒で乳児院への就職を希望する場合は、まず通っている学校へ求人が届いていないかをチェックしましょう。
学校へ届いた求人は新卒を対象としているため、採用されやすい傾向があります。
また、ハローワークやネットでも求人情報をチェックしていくといいでしょう。
まだ学生であれば、積極的に乳児院へのボランティアに参加し、直接施設へ求人はないか聞いてるのもいいでしょう。
乳児院の求人探し・転職方法②【中途採用(転職・復職・ブランクあり)】
転職や復職(ブランクあり)など、中途採用で乳児院を希望する場合は、ハローワークやネット検索などで求人を探してみるといいでしょう。
当サイト「保育士人材バンク」のように、保育士専門の求人サイトもあり、そうした保育求人サイトを使うと、条件に合う保育士求人を効率的に探すことができます。
保育士人材バンクには地域・雇用形態・給与条件など、細かく絞り込み検索できる機能があるため、求人検索に便利です。
保育士の求人検索は「無料」でできますので、ぜひ保育士人材バンクで求人を探してみてくださいね。
乳児院の履歴書・職務履歴書の書き方
乳児院の求人は多くありません。
そのため、応募した求人に確実に採用されるためには、事前準備が非常に大切です。
採用されるためには、まずは履歴書の書き方が重要。
履歴書や職務経歴書の書き方次第で、面接に進めるかどうかを判断されます。
そこで、本章では乳児院に確実に採用してもらうための履歴書・職務経歴書の書き方をご紹介します。
乳児院の履歴書の基本ポイント!
保育士の履歴書は、手書きもしくはパソコンで作成します。
乳児院はお便りのやり取りなどは少ないため、手書きの文字に不安がある場合はパソコンで作成してもよいでしょう。
読み手側の読みやすさを考え、文章は簡潔に、読みやすく書くことが大切です。
ただし、志望動機や自己PRでは、しっかりアピールポイントを書き込み、欄の半分以上を埋めるくらいの記載が必要です。
乳児院の志望動機の書き方
乳児院へ応募する場合の志望動機は、「なぜ、その施設を選んだのか?」自身の経験や考えを踏まえた理由を書くことで、熱意の伝わる志望動機となります。
そのためには、事前に応募する乳児院の理念や特徴を調べ、共感できるポイント、働きたいと思える箇所を書き出しておくといいでしょう。
乳児院の自己PRの書き方
乳児院の自己PRには、自分のよいところを記載します。
ポイントとして、長所を職場でどういかせるかまで記載すると、採用側にメリットが伝わる自己PRになるでしょう。
乳児院の職務履歴書の書き方
乳児院の職務履歴書は、転職や復職時、募集先から提出を求められた場合に用意します。
職務履歴は年代別や業務別にわかりやすくまとめます。
どんな仕事をしてきてどんなスキルがあるのか、相手に採用メリットが伝わる書き方を意識することが大切です。
乳児院の面接のポイント
乳児院の採用で面接まで進むことができたら、あとは人柄しだいで採用が決まります。
小さな子どもとかかわる仕事ですから、まずは子どもたちと接するような笑顔を意識し、落ち着いてあなたらしく受け答えをしましょう。
乳児院の採用面接で聞かれやすい質問は決まっているので、あらかじめ聞かれそうな質問に対し、自分なりの答えを用意しておくといいでしょう。
乳児院のまとめ
乳児院とは、母親の精神疾患、虐待やネグレクトなど、何らかの事情により親元で暮らすことが難しい乳児を、24時間365日体制で預かる入所施設です。
働く保育士は、親代わりとなり、子どもたちの日々の生活を支えます。
責任は大きいですが、とてもやりがいの大きい仕事です。
乳児院での仕事に興味がある方は、ぜひ、保育士人材バンクで求人を探してみてください。
保育士人材バンクには、乳児院のほかにもさまざまな保育士求人を取り扱っています。
キャリアパートナーに相談いただければ、条件にあう求人の紹介も可能です。
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第三十七条 乳児院は、乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む。)を入院させて、これを養育し、あわせて退院した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。
引用先:児童福祉法(昭和22年法律第164号)