放課後や長期休み中に、小学生を預かる施設「学童保育(放課後児童クラブ)」。
共働き世帯が多い近年は、学童保育の需要がさらに高まってきています。
学童保育で働くためには、「放課後児童支援員」の資格を持っていると有利となる場合があり、保育士は研修を受講すれば資格取得が可能です。
そのため、保育士の転職先としても人気があります。
今回は学童保育で働きたい方に向けて、志望動機や履歴書の書き方をご紹介します。
転職や再就職のアドバイスや面接対策についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【参考サイト】:内閣府 放課後児童支援員研修の受講要件の緩和
目次
学童保育の志望動機(自己PR)の書き方・注意点は?
学童保育の志望動機を書く際は、以下のポイントに注意して書いてみましょう。
学童保育の志望動機の書き方・注意点①【前職の悪口はNG】
学童保育の志望動機には、前職の悪口などネガティブな内容は入れないよう注意しましょう。
たとえば、「人間関係が上手くいかなかった」など、前の職場に対して不満がある場合も、事実をストレートに伝えるのはNGです。
なぜなら、採用担当者からすると、「職員や保護者と円滑にコミュニケーションがとれる人なのか心配…」と不安を与えかねないからです。
もし、前職を辞めた理由を書く場合は、嘘(うそ)を書くのではなく、ポジティブな表現に変えて書くのがよいでしょう。
「将来的にキャリアアップを目指せると思った」「意見交換ができる職場で働きたいと思った」など、表現を工夫するだけで良い印象を与えられます。
学童保育の志望動機の書き方・注意点②【保育士経験をアピールする】
保育士経験は志望動機でしっかりアピールするとよいでしょう。
学童保育は関わる対象が小学生ですが、「子どもに関わる職業」という意味では保育士と同様の仕事です。
実際に、保育園で働いてから学童保育へ転職する方は多い傾向にあります。
そのため志望動機では、保育士として子どもと関わる際に意識したことや、注意したことなどを具体的にアピールするのがおすすめです。
また、子ども同士のトラブルや保護者からのクレームなどがあった時に「どのように対応してきたのか?」というのもアピールポイントになるでしょう。
学童保育の志望動機の書き方・注意点③【給与面などは志望動機に入れない】
給与面や待遇面などで、転職先を決める方も多いかもしれません。
しかし、志望動機では触れないのがよいでしょう。
なぜなら、「この人は給与面だけで選んだ」「本当にうちで働きたいと思っているのか?」と誤解を与えかねないからです。
そのため、給与面などには触れず、方針や働き方など施設(会社)について具体的に書くのがよいでしょう。
学童保育の志望動機の書き方・注意点④【説得力のある志望動機を意識する】
説得力がない内容を書いてしまうと熱意が伝わらず、採用担当者の心に響かない志望動機になってしまうでしょう。
たとえば、「働きやすそうだったから」「保育士経験が活かせそうだったから」というだけでは、「他の学童保育でも良いのでは?」と思われてしまいます。
そのため、自身の経験や実際に体験したエピソードなども入れて、「ここで働きたい」という熱意を伝えるのがよいでしょう。
保育園の園見学をした際に感じたことや、他の学童との違いなどを盛り込むことで、より説得力のある志望動機になります。
学童保育の志望動機(自己PR)の書き方【中途/例文】
学童保育の志望動機を書く際に注意すべきポイントをご紹介しましたが、「どんな風に書けばいいのか分からない」という方もいるかもしれません。
そのため、学童保育の志望動機として使える例文をご紹介します。
中途採用の場合は、以下のようなイメージで志望動機を書いてみましょう。
【中途採用】学童保育の志望動機
【例】中途採用/学童保育の志望動機
前職では、保育園で5歳児の担任をしておりました。
保育園では、保育時間が長い子だと20時までお預かりしていたため、寂しい想いをしないように一人ひとりに寄り添って保育をしてきました。
共働き世帯の増加にともない、学童保育施設は今後もなくてはならない存在になると思っています。
小学生といっても、まだまだ身近な大人の存在が大切になると思うので、私は子どもにとって安心できる第二の家族のような存在になりたいです。
今回、貴社を見学させていただき、子どもたちに寄り添うスタッフと安心して過ごす子どもたちの表情を見て、私も児童支援員として子どもたちをサポートしたいと思いました。
貴社に入社後は、保育園で幼児クラスの担任をした経験やスキルを活かし、子どもたちに寄り添いつつ、保護者支援にも力を入れていきたいです。
【新卒/例文】学童保育の志望動機(自己PR)の書き方
新卒採用の方は、以下のようなイメージで志望動機を書いてみましょう。
【新卒採用】学童保育の志望動機
【例】新卒採用/学童保育の志望動機
私は学生時代、学童保育でボランティア活動をしてきました。
保護者の帰りを待つ子どもの中には、寂しい想いをする子どもも多くいて、子ども達に寄り添いながら関わる「児童支援員」という仕事にとても魅力を感じました。
また、私自身昔からスポーツをやってきたため、体を動かすのが得意です。
貴社に入社したら、児童支援員として子どもたちに体を動かす楽しさを伝えつつ、子どもの健やかな成長を支援していきたいと考えております。
まだまだ未熟ではありますが、学童保育のボランティア経験を活かして、子どもたちが安心して過ごせるよう丁寧に関わっていきたいです。
【中途/例文】学童保育の履歴書・職務経歴書の書き方
中途採用の方向けに、学童保育の履歴書と職務経歴書の書き方をご紹介します。
【中途採用】学童保育の履歴書の書き方
学童保育の履歴書の書き方は、一般的な書き方と大きな違いはありません。
しかし、注意すべき点があるので確認しておきましょう。
- 履歴書に記載の日付は「提出日」を書く
- 年齢記載欄に、満〇歳と入っている場合は記入時の年齢を書く
- 履歴書の証明写真は3ヵ月以内に撮ったものを使う
- 住所は都道府県から記載してマンション名も正しく書く
- 連絡先は日中に連絡がとりやすい電話番号を入れる
- メールアドレスは連絡がとれる個人アドレスを入れる
学歴欄は高校卒業から記入するのが一般的ですが、中学卒業から記入してもOKです。
学校名は省略せず正式名称を書きましょう。
また、一年以上留学した方や、休学した方も学歴欄に書いてください。
【例】中途採用/学童保育の学歴欄の書き方
年 | 月 | 学歴 |
平成▲▲ | 3 | 東京都立〇〇中学校 卒業 |
平成▲▲ | 4 | 私立〇〇〇高等学校 入学 |
平成▲▲ | 3 | 私立〇〇〇高等学校 卒業 |
平成▲▲ | 4 | 〇〇短期大学 児童福祉学部 保育コース 入学 |
平成▲▲ | 3 | 〇〇短期大学 児童福祉学部 保育コース 卒業 |
中途採用の場合は、職歴を重視して見られるため、漏れのないように記入しましょう。
これまで働いてきた職場の入職と退職について、時系列に沿って書きます。
履歴書を書いている時点で在籍している場合は、最後に「現在に至る」と添えてください。
職歴欄が書き終わったら、一行下に右寄せで「以上」と書きます。
【例】中途採用/学童保育の職歴の書き方
年 | 月 | 職歴 |
平成▲▲ | 4 | 社会福祉法人〇〇福祉会〇〇〇保育園 入職 |
平成▲▲ | 3 | 一身上の都合により退職 |
平成▲▲ | 4 | 学校法人〇〇学園〇〇幼保園 入職 |
現在に至る(20▲▲年▲月▲日 退職予定) | ||
以上 |
取得した資格や免許は正式名称で書くようにしましょう。
注意点としては、法改正によって資格の名称が変わる場合もあることです。
現在の正式名称を確認したうえで、取得した年月と一緒に記載してください。
なお、運転免許を持っている場合は、一番上に書くのが一般的です。
他の資格や免許は、取得した順に記載しましょう。
子どもに関する資格は積極的に記載して、強みとしてアピールするのがおすすめです。
【例】中途採用/学童保育の資格・免許の書き方
年 | 月 | 資格・免許 |
平成▲▲ | 6 | 普通自動車第一種運転免許 取得 |
平成▲▲ | 3 | 保育士資格 取得 |
平成▲▲ | 3 | 幼稚園教諭第二種免許状 取得 |
平成▲▲ | 5 | 〇〇〇専門士 取得 |
【中途採用】学童保育の職務経歴書の書き方
職務経歴書は、履歴書同様に大切な書類です。
とくに中途採用の場合は、これまでどのような経験をしてきたのかを見られる重要な書類なので、丁寧に記入しましょう。
履歴書にはこれまでの経歴を記載しますが、職務経歴書では「業務内容」や「業務において力をいれたこと」などさらに詳しく書きます。
中途採用の面接では、職務経歴書をもとに質疑応答が進んでいくため、面接官が質問する内容を想定して簡潔に分かりやすく書くのが大切です。
職務経歴書に記載する内容は、以下のとおり。
- 在籍期間
- 雇用形態
- 法人・事業所の概要
- 担当業務
- 職務内容
- 自己PR
【例】中途採用/学童保育の職務経歴書の書き方
年 | 月 | 業務内容 |
平成〇〇 | 4 | 社会福祉法人〇〇 〇〇保育園配属(東京都認可保育園 職員数:40名 園児数:50名) 【雇用形態】正社員 【担任業務】5歳児クラス担任を2年経験 【職務内容】・日々の保育計画立案・保育に関する教材準備・保護者面談(育児相談など)・小学校との連携・〇〇イベント係(計画立案・備品の準備・当日司会進行) 【業務において力を入れたこと】 年長クラスの担任を2年経験しました。就学に向けて不安を取り除くために、他園の年長クラスと交流会を実施しました。これまでにないイベントだったので、企画や準備などで悩むこともありましたが、他園の保育士と連携しながらイベントを成功させることができました。また、ブログやクラスだよりを通して、保護者や地域の方へこまめに子どもたちの様子を発信しました。 |
平成〇〇 | 3 | 一身上の都合により退職 |
※表内の「年」「月」欄は上寄せする場合があります。書式によって使い分けましょう。
学童保育の職務経歴書の自己PR欄には、以下のポイントを意識して書いてみましょう。
- これまでの経験やスキルをアピールする
- 仕事に対する熱意や意欲が伝わるように書く
- 簡潔で読みやすい文章を心がける
【例】中途採用/学童保育の自己PR
【例】中途採用/学童保育の自己PR
私はこれまで、年長クラスの担任を経験してきました。
一番大切にしてきたことは、子ども一人ひとりに合わせた関わり方をすることです。
一人ひとり個性や家庭環境が違うため、その子に合った関わり方が大切であると知りました。
年長クラスは就学に向けて自立を促すのが大切ですが、できるだけ一人ひとりに合った言葉掛けやサポートをするよう心がけました。
集団生活であっても、個々に沿った関わりをすることで、子どもたち一人ひとりがのびのび成長していけると思います。
この経験は学童保育でも活かしていけると思っております。
学童保育の履歴書・職務経歴書の書き方【新卒/例文】
新卒採用の方向けに、学童保育の履歴書と職務経歴書の書き方をご紹介します。
履歴書の書き方【新卒採用】
新卒採用の方が履歴書を書く際も、中途採用の場合と大きな違いはありません。
しかし、新卒採用の場合は、まだ学校を卒業していないケースが多いため、書くうえでの注意点もあります。
まず、学歴欄には「〇〇短期大学 こども福祉学部保育学科 卒業見込み」と記入するようにしましょう。
また、資格・免許をすでに取得している場合は、資格や免許の横に「取得」、卒業と同時に取得する場合は「取得見込み」と記入してください。
なお、職歴欄は基本的には「なし」と記入して、長期インターン経験がある場合は、以下のように記入しましょう。
【例】平成▲▲年▲月 株式会社〇〇〇〇インターン入社
【新卒採用】職務経歴書の書き方
新卒採用の場合だと、基本的に職務経歴書の提出はありません。
しかし職場によっては、提出が求められるケースもあるかもしれません。
その場合は、インターン経験やアルバイト経験の内容を記載するのがよいでしょう。
「どのようなことを意識して仕事をしたのか?」「苦労したことは何か?」など具体的に記載して、新人指導やバイトリーダーなどの経験がある場合も、積極的にアピールしましょう。
学童保育の志望動機(自己PR)の書き方【年齢別】アドバイス・注意点!
ここからは、年齢別に学童保育の志望動機の書き方をご紹介します。
それぞれアドバイスや注意点をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
【20代】学童保育の志望動機の書き方、アドバイス・注意点
20代の志望動機では、「子どもに関わる職業を目指したきっかけ」や「熱意」を伝えるのがよいでしょう。
採用担当者からすると、20代はこれから伸びしろがあると期待されます。
そのため、「放課後児童支援員としてどのように子どもと関わっていきたいか?」など、将来に目を向けたポジティブな志望動機にするのがよいでしょう。
すでに社会人経験がある方は、これまで苦労したときや悩んだときに「どのように乗り越えてきたか?」という成功体験を入れるのがおすすめです。
【30代】学童保育の志望動機の書き方、アドバイス・注意点
30代の志望動機は、「今までの経験やスキルをどのように活かしたいか?」という部分に触れるのがよいでしょう。
30代は、20代同様に戦力として期待されやすい年代ですが、やる気や意欲だけをアピールする志望動機では不十分です。
そのため、これまでの経験やスキルを転職後に「どのように活かせるか?(活かしたいか?)」をアピールしましょう。
その際、より説得力のある志望動機を書くために、施設側が求めている人材を分析する必要があります。
施設のホームページや求人票を見るだけでなく、実際に施設見学をさせてもらうことで、施設が大事にしていることが見えてくるでしょう。
施設側の求めることに自分のスキルや経験をかけ合わせて、説得力のある志望動機を書きましょう。
【40代】学童保育の志望動機の書き方、アドバイス・注意点
40代の志望動機は、これまでの経験やスキルを書くだけでなく、「自分を採用することでメリットがあると思ってもらうこと」が大切です。
たとえば、新人指導やリーダーとしての経験があれば、戦力になることをアピールできるでしょう。
その際、具体的なエピソードを出して、「どのようなことを意識したのか?」「悩みをどのように乗り越えたのか?」など、自身の経験や行動が伝わるように書くのがおすすめです。
転職活動は、年齢が上がると難易度も上がるため、20代や30代と比べると選考がシビアになります。
しかし、全体を見て動ける人や、後輩への指導経験がある人など、職場全体に良い影響を与える人は重宝されやすいでしょう。
【50代】学童保育の志望動機の書き方、アドバイス・注意点
50代も他の年代と比べると、転職活動の難易度が上がります。
そのため、40代同様に「自分を採用するメリット」を理解してもらうのが大切です。
これまでの経験やスキルに加えて、マネジメント要素をアピールするのがよいでしょう。
50代の方は、未経験や異業種から転職する方を除いて、子どもと関わる仕事で活躍されてきた方がほとんどかもしれません。
そのため、「子どもと関わる中で大切にしてきたこと」「問題が起きた時にどのように解決してきたか?」など自分の経験やスキルが伝わる内容を入れて、具体性のある志望動機を作りましょう。
また、保育園で主任や副園長などマネジメント経験がある方は、その経験で学んだことや活かせることをアピールするのがおすすめです。
学童保育の転職や再就職時の面接対策は?
学童保育の転職や再就職の面接では“人柄”や“熱意”をみられます。
それに加えて、職務経歴書の内容を見ながら、これまでの経験について詳しく聞かれることが多いでしょう。
学童保育の転職や再就職時に面接で聞かれることは以下のとおりです。
- なぜ転職したいのか?(前職の退職理由)
- これまでの成功体験や苦労したこと
- どうしてここの施設を選んだか?
- 前職で経験したことや身についたスキル
とくに、転職や再就職の場合は、前職を退職した理由について聞かれる可能性が高いです。
その際、ネガティブな印象を与えないように伝え方には十分注意しましょう。
「以前は〇〇だったけど、今は〇〇していきたいです」など、できるだけ前向きに伝えましょう。
「転職回数が多くて転職活動が不安…」という方は、転職エージェントに相談してみるのもおすすめです。
学童保育の新卒の面接対策は?
採用面接では、履歴書では分かりづらい「人柄」や「熱意」を重視してみられる傾向にます。
新卒の方が学童保育の採用面接を受ける際は、自分の長所をアピールして熱意が伝わるようにしましょう。
とはいえ、「質問に答えられなかったらどうしよう…」「緊張して頭が真っ白になったらどうしよう…」と不安な方も多いかもしれません。
そこで面接対策としておすすめなのが、志望動機や自己PRなど、予想される質問をあらかじめ自分の言葉で答えられるように練習しておくことです。
答える内容をセリフのように暗記してしまうと、当日緊張してしまった時に頭が真っ白になってしまう可能性があります。
そのため、毎回同じように答える練習をするのではなく、自分の言葉で伝える練習をするのが大切です。
「良い印象を与えなきゃ」と意識しすぎると逆効果になるので、自分の言葉で丁寧に答えられるようにしておきましょう。
なお、学童保育の採用面接で新卒の方が聞かれることは以下のとおりです。
- 自己紹介
- 自己PR
- 長所や短所
- 志望動機
- 子どもに関わる職業を目指したきっかけ
- 学童保育で働きたいと思ったきっかけ
学童保育の志望動機や履歴書の書き方のまとめ
「放課後児童支援員」は保育士資格を持っていると一部の科目が免除されるなど、取得しやすい資格なので、保育士の転職候補として人気があります。
保育園と学童保育では対象年齢が異なりますが、「子どもに関わる職業」という意味では保育士としての経験やスキルが十分活かせるでしょう。
学童保育で働きたいと思っている方は、今回の内容を参考にして、採用担当者に自分の長所や熱意が伝わる志望動機を作成してみてくださいね。
もし、「一人で転職活動するのが不安」「しっくりくる志望動機が浮かばない」という方は、保育士人材バンクにご相談ください。
保育士の転職事情に詳しいキャリアパートナーが、二人三脚で転職活動をサポートいたします。