「保育士の時給ってどのくらいが普通なんだろう?」転職を考えたり、求人をチェックしたりしていると、こんな疑問を感じたことはありませんか?
実は保育士の時給は、地域差や働き方によっても変わります。さらに、資格の有無や経験、勤務先によっても時給が高くなる可能性があります。
この記事では、保育士の平均時給や地域ごとの違い、そして時給を上げるためのポイントまで分かりやすく解説します。
「今より条件を良くしたい」「納得感のある働き方がしたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
保育士の平均時給
保育士として働くとき、「自分の時給は高い方なのかな?」「もっと上がる可能性はあるのかな?」と気になる方は多いと思います。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均時給は1,370円(残業代、賞与を含まない)。男女別では、男性1,476円・女性1,369円とわずかな差はあるものの、「一般パート全体の平均」と比べると、やや低めになります。
全国平均を知っておくと、求人を見るときにも「自分の地域はどれくらいが相場なのか」「今気になっている求人は高いのか、平均的なのか」といった判断がしやすくなります。
このあと、地域ごとにどのくらい時給が変わるのかを詳しく見ていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」
保育士の時給は地域差があるの?
保育士のお仕事は全国どこでも必要とされますが、時給には地域ごとの違いが明確にあります。
「なぜ同じ仕事なのに時給が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。この地域差のベースとなっているのが、法律で決められた「地域別最低賃金」です。
実際の保育士の時給は、この「最低賃金」を土台にして、そこに「地域ごとの需要(人手不足の度合い)」や「経験・資格手当」が上乗せ(プラスアルファ)されて決まることがほとんどです。
まずは、お住まいの地域の「時給の下限(ベース)」がいくらなのか、最新のデータで確認してみましょう。
都道府県別「地域別最低賃金」一覧(令和7年度/2025年12月時点)
| 都道府県 | 最低賃金 | 都道府県 | 最低賃金 |
| 北海道 | 1,075円 | 滋賀県 | 1,080円 |
| 青森県 | 1,029円 | 京都府 | 1,122円 |
| 岩手県 | 1,031円 | 大阪府 | 1,177円 |
| 宮城県 | 1,038円 | 兵庫県 | 1,116円 |
| 秋田県 | 1,031円 | 奈良県 | 1,051円 |
| 山形県 | 1,032円 | 和歌山県 | 1,045円 |
| 福島県 | 1,033円 | 鳥取県 | 1,030円 |
| 茨城県 | 1,074円 | 島根県 | 1,033円 |
| 栃木県 | 1,068円 | 岡山県 | 1,047円 |
| 群馬県 | 1,063円 | 広島県 | 1,085円 |
| 埼玉県 | 1,141円 | 山口県 | 1,043円 |
| 千葉県 | 1,140円 | 徳島県 | 1,046円 |
| 東京都 | 1,226円 | 香川県 | 1,036円 |
| 神奈川県 | 1,225円 | 愛媛県 | 1,033円 |
| 新潟県 | 1,050円 | 高知県 | 1,023円 |
| 富山県 | 1,062円 | 福岡県 | 1,057円 |
| 石川県 | 1,054円 | 佐賀県 | 1,030円 |
| 福井県 | 1,053円 | 長崎県 | 1,031円 |
| 山梨県 | 1,052円 | 熊本県 | 1,034円 |
| 長野県 | 1,061円 | 大分県 | 1,035円 |
| 岐阜県 | 1,065円 | 宮崎県 | 1,023円 |
| 静岡県 | 1,097円 | 鹿児島県 | 1,026円 |
| 愛知県 | 1,140円 | 沖縄県 | 1,023円 |
| 三重県 | 1,087円 |
参考:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」
一覧を見てみると、地域ごとの傾向が見えてきます。
まず、かつては900円台だった地域も、現在はすべての都道府県で時給1,000円を超えています。その上で、東京(1,226円)や神奈川(1,225円)、大阪(1,177円)などの都市部は特に高い水準にあることがわかります。
知っておきたい「最低賃金」の基礎知識
保育士の時給を考えるとき、まず知っておきたいのが「最低賃金」です。これはどの地域で働く場合でも必ず守られる「時給の下限」であり、求人の条件にも大きく影響します。
ここでは、最新の最低賃金額と、これまでの推移について解説します。
最低賃金は働くうえでの「必ず守られる下限ライン」
どの仕事でも、時給の“最低基準”となるのが地域別最低賃金です。
最低賃金は毎年見直され、すべての働く人に適用される大切なルールです。
2025年10月時点の全国加重平均は、1,121円。東京や神奈川県などの都市部はさらに高く、地方でもすでにすべての県が1,000円以上になっています。
どの地域で働く場合も、最低賃金を下回ることはありません。
最低賃金はこの10年で大きく上昇している
最低賃金は、物価上昇や人材不足の影響を受けながら、毎年少しずつ引き上げが続いています。
10年前は全国平均が800円でしたが、ここ数年は毎年20~30円ペースで上昇し、現在はついに1,100円台という過去最高水準に到達しました。
こうした最低賃金の上昇に合わせて、保育士の時給も全体的に少しずつ上向きになっているのが最近の傾向です。
厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金の全国一覧」
「年収の壁」とは
パートやアルバイトで働く場合、意外と見落としやすいのが「年収の壁」です。
年収が一定の金額を超えると、税金や社会保険の負担が変わったり、配偶者の扶養から外れたりと、手取り額に影響が出ることがあります。
とくに保育士の場合、ここまででお伝えしてきたように、時給は地域によって1,100円台~1,500円台と幅があります。
そのため、同じ日数・同じ働き方をしても、時給が高い地域では早い段階で年収の壁に届きやすいという特徴も。
「扶養のまま働きたい」「なるべく手取りを減らしたくない」と考えている方にとって、この“壁”を知っておくことはとても大切です。
年収の壁にはいくつか種類があり、代表的なのは次の金額です。
- 103万円の壁 : 所得税が発生しはじめる目安
- 106万円の壁 : 勤務先が一定条件を満たす場合、社会保険加入が必要
- 130万円の壁 : 一般的に、配偶者の扶養から外れるライン
- 150万円の壁 : 配偶者特別控除の減額が始まる目安
- 201万円の壁 : 配偶者特別控除が完全に終了するライン
とくに、「106万円の壁」と「130万円の壁」は、保育士のパート勤務では影響が出やすいポイントです。たとえば、時給1,300円~1,400円で週5日働く場合、ちょっとした勤務時間の増加だけで壁を越えてしまうこともあります。
時給アップや働く時間が増えることは嬉しいことですが、そのぶん年収の壁のラインにも近づきやすくなるため、注意が必要です。
働き方のバランスをとるためには、「自分の時給×働く日数」で年収がどの位置にあるのかを把握し、年収の壁を理解したうえで勤務日数やシフトを調整することが大切です。
「どの働き方が自分に一番合っているのか」を考える目安にもなりますので、早めに知っておくと安心して働けます。
参考:
厚生労働省:「年収の壁について知ろう」
国税庁:「No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか」
財務省:「令和7年度税制改正の大綱の概要」
時給を上げる方法

ここでは、時給アップを目指すためのポイントをご紹介します。
「今より条件の良い働き方がしたい」「自分の経験をもっと活かしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください!
経験年数や役職をアピールする
これまでの経験や役割は、時給アップを目指すうえで大きな強みになります。
面接時に「何年働いたか」だけでなく、「どんな業務を任されてきたか」「どんな場面で力を発揮してきたか」を具体的に伝えることが大切です。
たとえば、
- 行事運営のリーダーを担当した
- 複数担任でクラス運営をリードした
- 保護者対応が円滑にできる
- 新人のフォローを行ったことがある
- 園内の改善や安全管理に関わった経験がある
など、同じ経験でも「言葉にすることで評価される部分」は大きく変わります。
園側も、即戦力として働ける人材を求めているため、経験が整理されている人ほど時給交渉の余地が生まれやすいのが実際です。
これまでの実績を一度棚卸しして、アピールできる形にしておくと安心です。
勤務時間や曜日を見直す
同じ職種でも、働く時間帯や曜日によって時給が変わることがあります。
とくに、早番・遅番・土日勤務のように人手が集まりにくい時間帯は、園側としても協力してくれる人が貴重なため、一般的に時給を高めに設定する園が多い傾向にあります。
たとえば、朝の早い時間帯に入れる日を増やしたり、週に1度だけ夕方の遅番に対応できるようにするだけでも、時給が上がったり、採用時の評価が高くなることがあります。
また、「月に数回だけ土曜日に入れる」「特定の時間帯なら柔軟に働ける」といった小さな調整も、園にとっては大きな助けとなり、条件が良くなるきっかけにつながることも少なくありません。
もちろん、生活スタイルとのバランスが何より大切ですが、無理のない範囲で“できること”を少しだけ広げてみることで、その分時給アップや採用率の向上につながりやすくなる場合があります。
「自分にはどんな働き方ができそうか?」を改めて見直してみると、新しい選択肢が見つかるかもしれません。
給与体系が明確な職場を選ぶ
時給アップを考えるなら、「どんな条件で時給が上がるのか」がはっきりしている園を選ぶのがとても大切です。
園によっては、昇給の判断基準が曖昧だったり、評価制度が整っていないため、どれだけ頑張っても給与に反映されにくい場合があります。
一方で、下記のような“透明性のある職場”は、将来の収入がイメージしやすく、安心して働き続けられるのがメリットです。
- 仕事内容ごとの評価ポイントが明確
- 昇給のタイミングがハッキリしている
- 経験年数や資格による加算がある
- 面談で給与の見直しについて話し合える
長く働いた分が時給に反映される園なら、日々の取り組みがしっかり評価されやすくなります。
地域や施設形態を変えてみる
保育士の時給は地域差が大きく、施設形態によっても水準が変わります。
たとえば都市部では時給が高めに設定されやすく、反対に地方ではやや低めになる傾向があります。
企業主導型、学童保育、小規模保育園、認可外保育施設などでは、仕事内容や勤務時間の特徴から、一般的な認可保育園より時給が高めに設定されているケースも少なくありません。
「同じ職種でも、地域や施設が変わるだけでここまで違うんだ」ということは珍しくありません。
引越し予定がある方や、働き方を変えてみたい方は、少し視野を広げて探してみるだけで、より条件の良い職場に出会えることもあります。
保育士専門の転職エージェントを活用する
時給アップには、情報収集が欠かせません。とはいえ「比較したい求人が多すぎる」「自分に合う職場が分からない」と悩む方も多いでしょう。
そんなときは、保育士向けの転職サポートサービスを活用するのもひとつの選択肢です。給与条件や園の雰囲気、働き方の相談ができ、自分に合った求人を見つけやすくなります。
保育士人材バンクでは、保育士の転職事情に詳しいカウンセラーが、希望や働き方に寄り添いながらサポートしています。
そのため、働きながらの転職でも負担が少なく、自分に合った職場を効率よく探すことができます。
保育士の時給まとめ
保育士の時給は、全国平均だけでは見えない“地域ならではの差”があり、働く場所や施設形態、時間帯によっても大きく変わります。
また、経験の活かし方や働き方の工夫次第で、時給アップにつながるチャンスも十分にあります。
だからこそ「自分の地域ではどれくらいが相場なのか」「どんな働き方なら希望の時給に近づけるのか」を知っておくことが、納得できる職場選びにつながります。
もし「自分に合う働き方が知りたい」「地域の相場と比較しながら求人を見たい」、「時給アップの可能性も含めて相談したい」と感じたら、私たち保育士人材バンクにご相談ください!
地域の相場や園ごとの特徴、働き方のご希望などを丁寧にお伺いしながら、あなたが安心して働けるようお仕事探しをサポートいたします。1人で悩まず、気軽に頼っていただけたら嬉しいです。
あなたに合った働き方が見つかりますようにこれからも、保育士としてのキャリアを応援しています。