この記事では、児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件や研修内容(基礎・実践・更新)について詳しく解説します。
複雑な要件を解説イラスト付きでわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 この記事でわかること【児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件】
- 2 児童発達支援管理責任者(児発管)になるには事業所の推薦が必要
- 3 児童発達支援管理責任者になるために必要なステップ4つ
- 4 児発管要件を満たすステップ①【実務経験・保有資格】
- 5 児発管要件を満たすステップ②【基礎研修】
- 6 児発管要件を満たすステップ③【見習い期間(OJT)】
- 7 児発管要件を満たすステップ④【実践研修】
- 8 児童発達支援管理責任者は【更新研修】も必要
- 9 児童発達支援管理責任者の要件を満たす「該当者」を一覧でチェック!
- 10 児童発達支援管理責任者になるための【最短ルート】をケース別に解説!
- 11 児童発達支援管理責任者(児発管)とサービス管理責任者(サビ管)の違い
- 12 サービス管理責任者から児童発達支援管理責任者にはなれる?
- 13 児童発達支援管理責任者のみなし配置と期間について
- 14 現在の給料に不満のある保育士・児童指導員は転職も視野に入れて
この記事でわかること【児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件】
「児発管になりたいけど、要件が複雑でわかりにくい」
「わたしの場合、児発管になるにはあと何年働けばいい?」
児童発達支援管理責任者(通称:児発管)を目指す方で、そのような悩みをもつ方は多いと思います。
児童発達支援管理責任者の要件は仕事の種類やもっている資格などによっても細かく分けられており、わかりずらいですよね。
そこで、この記事では、児童発達支援管理責任者になるための要件をケース別に解説イラストを交えながら、わかりやすく細かくご紹介します。
また、前提情報として、児童発達支援管理責任者になるためのステップも簡単にご紹介します。
この記事をご覧いただくことで、ご自身の勤務状況・保有資格に応じた児発管までの道のりがわかります。
ぜひ、「要件を満たしているか?」「要件を満たすにはどうすればいいか?(あと何年働けばいいか?)」など、この記事を参考にしていただければと思います。
児童発達支援管理責任者(児発管)になるには事業所の推薦が必要
児童発達支援管理責任者を目指す場合、まずは、児発管は誰でも取れる資格ではないことを理解しておきましょう。
児童発達支援管理責任者になるには、勤続年数などの要件を満たしたうえで所定の研修を受ける必要がありますが、研修申し込みのためには、基本的に勤務する事業所からの推薦が必要となっています。
都道府県によっても申請条件は異なりますが、多くの都道府県は個人での申し込みを受け付けていないため注意が必要です。
そのため、「個人で資格を取りたい」「復職前に児発管の資格を取れないかな?」などと考えている方は、まずは障がい児支援施設への就職を考えたほうがいいでしょう。
求人情報では、児童発達支援管理責任者になることを前提とし、「児童発達支援管理責任者の要件を満たす方 」という条件のもと募集をかけている施設もあるため、そうした求人へ応募することも近道です。
児童発達支援管理責任者になるために必要なステップ4つ
まずは、児童発達支援管理責任者になるまでのステップを簡単にご紹介します。
参考サイト:厚生労働省 サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の猶予措置について
児発管になるためのステップ①【実務経験の要件を満たす】
児童発達支援管理責任者になるには、「サービス管理責任者等研修」の受講が必要です。
そして、この研修を受けるためには実務経験などの要件を満たす必要があります。
なお、実務経験の証明には、これまで働いていた施設から「就労証明書」を発行してもらい、研修時に提出する必要があります。
児発管になるためのステップ②【基礎研修を受講する】
児童発達支援管理責任者の要件を満たした方は、都道府県の研修に申し込み、「基礎研修(合計26時間)」を受講します。
基礎研修は、実務要件を満たす2年前から受講が可能です。
※要件年数マイナス2年で計算
基礎研修受講の際は、ほとんどの都道府県で個人ではなく事業所からの推薦と申し込みが必要です。
児発管になるためのステップ③【見習い期間で実践を積む(OJT)】
基礎研修受講後は、見習い期間となる「OJT」の期間が設けられています。
OJT期間は“2年間”で、児童発達支援管理責任者の一部業務を担いながら、見習い児発管として実務経験を積んでいきます。
※2023年(令和5年)2月に、一部のケースでOJT期間を6か月に短縮するという改正案が厚生労働省から発表されています
これから児発管を目指す方は今後の法改正の動向もしっかりチェックしておきましょう。
児発管になるためのステップ④【実践研修を受講】
基礎研修受講後、OJT期間を終えた方は、「実践研修(合計14.5時間)」を受講できます。
実践研修の受講を終えると、児童発達支援管理責任者の有資格者となり、事業所へ正規配置されます。
児発管要件を満たすステップ①【実務経験・保有資格】
ここからは、先ほどご紹介したステップに沿って、必要な要件や受講内容等をより詳しく解説していきます。
まずは、基礎研修を受講するために必要な実務要件について解説します。
児童発達支援管理責任者の要件を満たしているかを確認するには、以下3つのパターンでみていきます。
- パターン①「相談支援業務」で経験がある場合
- パターン②「直接支援業務」で経験がある場合
- パターン③「有資格者」の場合
それぞれ、下記に詳しく解説します。
パターン①「相談支援業務」で経験がある場合
相談支援業務とは、障がいのある方の相談に応じ、アドバイスなどの支援を行う業務のことです。
相談支援業務での実務経験が5年以上(かつ老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が3年以上)ある方は、児童発達支援管理責任者の実務要件を満たすことができます。
- 医療機関において社会福祉主事等の資格をもち相談支援を行う
- 障がい者の就労支援事業所などで相談支援を行う
- 学校に勤務し、進路相談
- 教育相談などを行う
- 乳児院、児童養護施設などで勤務し相談支援を行う
■相談機関
福祉事務所、児童相談所、児童家庭支援センター、身体障がい者更生相談所、精神障がい者社会復帰施設、知的障がい更生相談所、発達障がい者支援センター
■福祉・養護施設
乳児院、障がい児入所施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童養護施設、障がい者支援施設、精神保健福祉センター、救護施設、更生施設、地域包括支援センター、介護医療院、介護老人保健施設
■地方公共団体
障がい児相談支援事業、身体障がい者相談支援事業、知的障がい者相談支援事業、地域生活支援事業
■就業関連の施設
障がい者職業センター、障がい者就業・生活支援センター
■教育機関(就学・教育相談)
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校
■医療機関
病院、診療所※医療機関での相談業務については保有資格等の条件あり
■その他自治体が認めた施設
参考サイト:兵庫県 児童発達支援管理責任者の資格要件
参考サイト:広島県 児童発達支援管理責任者の要件について
参考サイト:大阪府 児童発達支援管理責任者の要件となる実務経験について
<老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験とは>
下記以外の施設(主に障がい者児・教育関連施設)で3年以上の実務経験が求められます。
- 医療機関
- 老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 地域包括支援センター
- 精神保健福祉センター
- 救護施設及び更生施設
参考サイト:神奈川県 児童発達支援管理責任者の要件となる実務経験の範囲と必要経験年数
参考サイト:サービス管理責任者等研修 兵庫県提供資料
パターン②「直接支援業務」で経験がある場合
直接支援業務とは、障がいがある方の入浴や排泄、食事などの介護、あるいは障がい児への訓練や療育を直接行う業務のことです。
職業訓練や教育業務や、介護者等への指導的立場の方も含まれます。
直接支援業務での勤務経験が8年以上(かつ老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が3年以上)ある方は、児童発達支援管理責任者の実務要件を満たすことができます。
- 医療機関や入所施設で入院
- 入所者の介護にあたる
- 児童発達支援や放課後等デイサービスなど障がい児支援施設で子どもの療育に携わる
■福祉施設
障がい児入所施設、障がい者支援施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、医療施設の療養病床関係病室、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童家庭支援センター、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設
■福祉事業
障がい福祉サービス事業、老人居宅介護等事業、住居訪問型保育事業、事業所内保育事業、病児保育事業、家庭的保育事業、小規模保育事業、子育て短期支援事業、子育て援助活動支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、障がい児通所支援事業(児童デイサービス等)、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業
■障がい者雇用施設(就業支援)
特例子会社、助成金受給事業所
■教育機関(教育指導)
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、特別支援学校
■医療機関(介護支援)病院、診療所、薬局、訪問看護事業所
■その他自治体が認めた施設
参考サイト:兵庫県 児童発達支援管理責任者の資格要件
参考サイト:広島県 児童発達支援管理責任者の要件について
参考サイト:大阪府 児童発達支援管理責任者の要件となる実務経験について
<老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験とは>
下記以外の施設(主に障がい者児・教育関連施設)で3年以上の実務経験が求められます。
- 老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 病院又は診療所の療養病床関係病室
- 老人居宅介護等事業
- 特例子会社
- 助成金受給事業所
- 重度障がい者多数雇用事業所における就業支援業務従事者
参考サイト:神奈川県 児童発達支援管理責任者の要件となる実務経験の範囲と必要経験年数
参考サイト:サービス管理責任者等研修 兵庫県提供資料
パターン③「有資格者等」の場合
医療福祉や保育分野などにおいて特定の資格を保有する方は、要件年数が短縮されます。
国家資格保有の場合
国家資格保有者の要件年数 | 資格に関連する業務において5年以上 (うち老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が3年以上) |
該当資格 | 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、機能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士 |
それ以外の資格
それ以外の資格保有者の 要件年数 | 老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が5年以上 ※資格取得前から勤務している場合、資格取得以前の勤務も年数に含められる |
該当資格 | ・保育士 ・「児童指導員」の任用資格 ・「社会福祉主事」の任用資格 ・訪問介護員(ホームヘルパー)2級以上 |
参考サイト:厚生労働省 サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の猶予措置について
- 保育士として教育機関や施設で5年以上勤務
- 看護師として老人施設で2年、放課後等児童デイサービスで3年勤務
- 障がい児施設で2年間働きながら保育士資格を取得、その後3年間、障がい児施設で勤務
- 幼稚園で2年間勤務、その後転職し、障がい児施設で3年以上勤務
- 放課後等児童デイサービスで児童指導員として5年以上勤務
※年数要件を満たす2年前から基礎研修を受けられるようになります
児童発達支援管理責任者の要件に関する注意点!
児童発達支援管理責任者の要件に含まれる業務の範囲は、各都道府県によって異なる場合があります。
基礎研修を受講する際は、必ず申請先の都道府県が発表している資格要件を確認してください。
「〇〇県 サービス管理責任者等研修 要件」などのようにネットで検索すると、資料を見つけられます。
児発管要件を満たすステップ②【基礎研修】
児童発達支援管理責任者になるための研修一つ目の「基礎研修」は、実務要件を満たす2年前から受講できます。
例えば、放課後等デイサービスなどで3年働いた方は、事業所からの推薦があれば実務要件を満たす2年前から基礎研修を受講できるということです。
基礎研修では、トータル26時間の研修で、児童発達支援管理責任者になる際に必要な基礎知識や技術を身につけていきます。
講義の内容は以下のとおりです。
基礎研修(うち相談支援従事者初任者研修講義部分)
形式 | 内容 | 時間 |
講義 | 障がい者の地域支援と相談支援従事者(サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者)の役割に関する講義 | 5時間 |
講義 | 障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセスに関する講義 | 3時間 |
講義 | 相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義 | 3時間 |
基礎研修(うち共通講義、演習部分)
形式 | 内容 | 時間 |
講義 | サービス管理責任者の基本姿勢とサービス提供のプロセスに関する講義 | 7.5時間 |
演習 | サービス提供プロセスの管理に関する演習 | 7.5時間 |
参考サイト:厚生労働省 サービス管理責任者等研修制度について
児発管要件を満たすステップ③【見習い期間(OJT)】
21時間の基礎研修を終了した方は、見習い期間として児童発達支援管理責任者の一部業務を担いながら実務経験を積んでいきます(OJT期間:On The Job Trainingの略)。
OJT期間にできる業務内容は、以下のとおりです。
- 個別支援計画の原案の作成(事業所2人目の児発管の場合)
OJT期間は、すでに児童発達支援管理責任者が配置された事業所において、先輩児発管から指導を受けながら児発管の業務を学んでいきます。
個別支援計画の作成は児童発達支援管理責任者のみが可能な業務ですが、OJT中の見習い児発管は、個別支援計画の原案作成を担うことができます。
OJT期間が6か月に短縮の可能性
現行の制度では、OJT期間は2年以上と定められています。
しかし、令和5年2月に、厚生労働省より期間短縮案の発表があり、今後は条件を満たす場合にOJT期間を6か月に短縮するケースも認められるようになっていく見通しです。
厚生労働省発表の改正案によると、以下のように記載されています。
基礎研修修了後に実践研修を受講するために必要な実務経験(OJT2年以上)(※1)について、基礎研修受講開始時において既に実務経験者(※2)である者が障がい福祉サービスに係る個別支援計画の作成の一連の業務(※3)に従事する場合は、「6ヶ月以上」とする。
※1 現行の実務経験(OJT)は、障がい福祉サービス事業所以外の施設等での障がい児者への支援業務も算定可能。※2 相談支援業務又は直接支援業務に3~8年従事している者。※3 サービス管理責任者等が配置されている事業所において、基礎研修修了者が個別支援計画の原案の作成までの一連の業務に従事する場合や、やむを得ない事由によりみなし配置されたサービス管理責任者等として個別支援計画の作成の一連の業務に従事する場合を想定
引用サイト:厚生労働省 社会保障審議会障がい者部会(第135回)ー資料5
つまり、児童発達支援管理責任者の実務要件(3~8年)を満たす方は、以下のような場合に、例外として見習い期間(OJT)は6か月でよいということです。
- 児童発達支援管理責任者が配置されている事業所において、個別支援計画の原案の作成までの一連の業務を行う場合
- 退職や病休など、やむを得ない事由により児童発達支援管理責任者を欠いている事業所において、サービス管理責任者等とみなして従事し、個別支援計画の作成の一連の業務を行う場合
参考サイト:厚生労働省 サービス管理責任者等研修制度について
ただし、改正案がいつから実施されるかについては明記されていません。
早くて令和5年度の4月頃、発表があると予想されます。
これから基礎研修を受講されるという方は、特に注意してみていくといいでしょう。
児発管要件を満たすステップ④【実践研修】
実践研修では、トータル14.5時間の研修で、児童発達支援管理責任者になるために必要なスキルや知識を身につけていきます。
具体的には、講義や演習を通じて以下のような能力を身につけていきます。
- 個別支援計画の作成
- アセスメント方法
- 支援会議の運営方法
- サービス実践時のスタッフへの指導や助言方法
実践研修の内容は、以下のとおりです。
■実践研修
形式 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
講義 | 障がい福祉の動向に関する講義 | 1時間 |
講義・演習 | サービス提供に関する講義及び演習 | 6.5時間 |
講義・演習 | 人材育成の手法に関する講義及び演習 | 3.5時間 |
講義・演習 | 多職種及び地域連携に関する講義及び演習 | 3.5時間 |
なお、実践研修を受講するためには、2年間のOJT期間を終えているだけでなく、以下のような実務要件もあるため注意しましょう。
<実践研修受講のための実務要件>
基礎研修修了後、研修受講前5年間に2年以上の実務経験
(相談支援又は直接支援業務)があること
実践研修を終えることで、晴れて児童発達支援管理責任者の資格を取得できます。
児童発達支援管理責任者は【更新研修】も必要
児童発達支援管理責任者の資格は、国家資格のように何もせずに保有し続けられる資格ではないため注意が必要です。
現行の法律では、責任者の質の担保のため、5年ごとの更新研修の受講も必須となっています。
更新研修では、以下のような講義を受講します。
児童発達支援管理責任者【実践研修】
形式 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
講義 | 障がい福祉の動向に関する講義 | 1時間 |
講義・演習 | サービス提供の自己検証に関する演習 | 5時間 |
講義・演習 | サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義及び演習 | 7時間 |
また、こちらも受講のためには以下のような実務要件が定められています。
▼以下のいずれかに該当すること
- 研修受講前5年間に2年以上のサービス管理責任者等
- 管理者
- 相談支援専門員の実務経験がある
- 現にサービス管理責任者等
- 管理者
- 相談支援専門員として従事している
このため、一定期間、職から離れるような場合には資格を保有し続けることが難しくなるため注意しましょう。
児童発達支援管理責任者の要件を満たす「該当者」を一覧でチェック!
ここまでの説明でだいたいの要件がわかっても、ご自身が要件を満たすための必要年数がわからない方もいるかもしれません。
児童発達支援管理責任者になるためには、現状、障がい児支援に関する事業所で勤務している必要があり、勤務する事業所の推薦を受け、研修等を受講することになります。
そのため、年数要件を満たしているだけでは児発管にはなれないため注意が必要です。
また、児童発達支援管理責任者の「基礎研修」は実務要件を満たす2年前から受講可能なため、基礎研修を受けられるまでの期間を知りたいと思う方もいるかと思います。
そこで、以下によくあるケースとして「〇〇の仕事」で「〇年」働いたら基礎研修を受講可能という、具体例をご紹介します。ぜひ、必要年数の計算に、参考にしてください。
※要件の範囲となる施設等は都道府県によっても異なるため、正しくは都道府県ごとの要件をご確認ください
※要件を満たす証明として、研修時に就労証明書の提出が必要です
相談支援に関する仕事で要件を満たす人
以下の【相談機関】で5年以上勤務した方→障がい児支援施設に転職で基礎研修を受講可能
- 福祉事務所
- 児童相談所
- 児童家庭支援センター
- 身体障がい者更生相談所
- 精神障がい者社会復帰施設
- 知的障がい更生相談所
- 発達障がい者支援センター
以下の【福祉・養護施設】で相談支援業務を5年以上経験した方→障がい児支援施設に転職で基礎研修を受講可能
- 乳児院
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 児童養護施設
- 障がい者支援施設
以下の【福祉・養護施設】で相談支援業務を3年以上経験している方→基礎研修を受講可能(同施設で働き続ける場合)
- 障がい児入所施設
以下の【福祉・養護施設】で相談支援業務を2年以上経験、かつ障がい児施設等に転職し1年以上勤務している方→基礎研修を受講可能
※要件を満たすには老人以外の障がい関連施設等で3年の勤務が必要なため
- 精神保健福祉センター
- 更生施設
- 救護施設
- 介護医療院
- 介護老人保健施設
- 地域包括支援センター
以下の【地方公共団体】で相談支援業務を5年以上勤務した方→障がい児支援施設に転職で基礎研修を受講可能
- 障がい児相談支援事業
- 身体障がい者相談支援事業
- 知的障がい者相談支援事業
- 地域生活支援事業
以下の【就業関連の施設】で相談支援業務を5年以上勤務した方→障がい児支援施設に転職で基礎研修を受講可能
- 障がい者職業センター
- 障がい者就業
- 生活支援センター
以下の【教育機関(就学・教育相談)】で相談支援業務を5年以上勤務した方→障がい児支援施設に転職で基礎研修を受講可能
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 義務教育学校
- 高等学校
- 中等教育学校
- 特別支援学校
- 高等専門学校
以下の【医療機関】で相談支援業務を2年以上経験、かつ障がい児施設等に転職し1年以上勤務している方→基礎研修を受講可能
※要件を満たすには老人以外の障がい関連施設等で3年の勤務が必要なため
- 病院
- 診療所
※医療機関での相談業務については保有資格等の条件あり
直接支援に関する仕事で要件を満たす人
以下の【福祉施設】で直接支援業務を6年以上経験している方→基礎研修を受講可能(同施設で働き続ける場合)
- 障がい児入所施設
以下の<福祉施設>で直接支援業務を8年以上経験している方→障がい児支援施設に転職で基礎研修を受講可能
- 障がい者支援施設
- 介護医療院
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 保育所
- 幼保連携型認定こども園
- 児童厚生施設
- 児童家庭支援センター
- 児童養護施設
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
以下の<福祉施設>で直接支援業務を5年以上経験、かつ障がい児支援施設に転職して1年勤務している方→基礎研修を受講可能
※要件を満たすには老人以外の障がい関連施設等で3年の勤務が必要なため
- 老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 医療施設の療養病床関係病室
以下の<福祉事業>で直接支援業務を6年以上経験している方→基礎研修を受講可能(同施設で働き続ける場合)
- 障がい児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)
以下の<福祉事業>で直接支援業務を経験された方で、下記の年数を満たす方→基礎研修を受講可能
- 障がい福祉サービス事業
- 住居訪問型保育事業
- 事業所内保育事業
- 病児保育事業
- 家庭的保育事業
- 小規模保育事業
- 子育て短期支援事業
- 子育て援助活動支援事業
- 乳児家庭全戸訪問事業
- 養育支援訪問事業
- 児童自立生活援助事業
- 放課後児童健全育成事業
- 地域子育て支援拠点事業
- 一時預かり事業
- 小規模住居型児童養育事業
上記の事業で下記の年数を満たす方
- 6年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 5年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 4年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
- 3年勤務し、障がい児支援施設へ転職して3年勤務
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して4年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して5年勤務
以下の<福祉事業>で直接支援業務を5年以上経験、かつ障がい児支援施設に転職して1年勤務している方→基礎研修を受講可能
※要件を満たすには老人以外の障がい関連施設等で3年の勤務が必要なため
- 老人居宅介護等事業
以下の<障がい者雇用施設(就業支援)>で直接支援業務を5年以上経験、かつ障がい児支援施設に転職して1年勤務している方→基礎研修を受講可能
※要件を満たすには老人以外の障がい関連施設等で3年の勤務が必要なため
- 特例子会社
- 助成金受給事業所
- 重度障がい者多数雇用事業所における就業支援業務従事者
以下の<教育機関(教育指導)>で直接支援業務を経験された方で、下記の年数を満たす方→基礎研修を受講可能
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 高等学校
- 中等教育学校
- 高等専門学校
- 特別支援学校
上記の事業で下記の年数を満たす方
- 6年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 5年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 4年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
- 3年勤務し、障がい児支援施設へ転職して3年勤務
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して4年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して5年勤務
以下の<医療機関(介護支援)>で直接支援業務を経験された方で、下記の年数を満たす方→基礎研修を受講可能
- 病院
- 診療所
- 薬局
- 訪問看護事業所
上記の事業で下記の年数を満たす方
- 6年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 5年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 4年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
- 3年勤務し、障がい児支援施設へ転職して3年勤務
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して4年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して5年勤務
国家資格等に関する仕事で要件を満たす人
以下の<国家資格>を保有し、資格に関する業務を経験された方で、下記の年数を満たす方→基礎研修を受講可能
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 機能訓練士
- 義肢装具士
- 歯科衛生士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整復師
- 栄養士
- 精神保健福祉士
- 上記の資格を有し、障がい児支援施設で3年以上勤務(同施設で働き続ける場合)
上記の資格に関する事業で
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
※要件を満たすには老人以外の障がい関連施設等で3年の勤務が必要なため
以下の資格を保有し、資格に関する業務を経験された方で、下記の年数を満たす方→基礎研修を受講可能
- 保育士
- 「児童指導員」の任用資格
- 以下の資格を有し、障がい児支援施設(デイなど)で3年以上勤務(同施設で働き続ける場合)
上記の資格に関する事業で
- 3年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
※要件を満たすには老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が5年以上必要なため
※資格取得前から勤務している場合、資格取得以前の勤務も年数に含められる
以下の資格を保有し、資格に関する業務を経験された方で、下記の年数を満たす方→基礎研修を受講可能
- 「社会福祉主事」の任用資格
- 訪問介護員(ホームヘルパー)2級以上
上記の資格に関する事業で
- 3年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
※要件を満たすには老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が5年以上必要なため
※資格取得前から勤務している場合、資格取得以前の勤務も年数に含められる
児童発達支援管理責任者になるための【最短ルート】をケース別に解説!
次に、よくあるケース別に児童発達支援管理責任者になるための最短ルートをご紹介します。
児童発達支援管理責任者になるための年数要件を確認する際に、注意しておきたいポイントは以下の3つです。
- 老人・医療分野での勤務年数条件はあるか?
- 児童発達支援事業であと何年の経験が必要か?
- 基礎研修は要件を満たす2年前から受講可能(マイナス2年で計算)
前章でも職種ごとの必要年数をご紹介してはいますが、それでもわかりにくいという方は、こちらの章を参考にしてみてください。
保育士・児童指導員
保育士・児童指導員は、資格に関する業務で5年以上働いていれば要件を満たすことができます。
すべての勤務経験が放課後等デイサービスなどの障がい児支援施設のものであれば、3年以上勤務している方なら基礎研修が受講可能です。
保育園勤務など、障がい児支援施設以外の施設からの転職であれば、下記の年数を満たすことで基礎研修を受講できるようになります。
資格に関する事業で
- 3年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
なお、資格取得前から同じ職場に勤務している場合、資格取得以前の勤務も年数に含めることができます。
また、基礎研修受講の際は、保育士証や児童指導員任用資格の証明書の提出が必要となります。
看護師や療法士
看護師や療法士は、資格に関する業務で5年以上働いていれば要件を満たすことができます。
すべての勤務経験が放課後等デイサービスなどの障がい児支援施設のものであれば、3年以上勤務している方なら基礎研修が受講可能です。
病院勤務など、障がい児支援施設以外の施設からの転職であれば、下記の年数を満たすことで基礎研修を受講できるようになります。
- 資格に関する事業で3年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
資格に関する事業でしている方
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
老人介護の経験者(資格なし)
資格なく直接支援業務にあたっていた方は、8年以上の勤務経験で要件を満たすことができます。
ただし、このうち老人・医療分野以外での経験が3年必要です。
よって、老人介護で直接支援業務を5年以上経験し、かつ障がい児支援施設に転職して1年勤務することで、基礎研修を受けられるようになります。
老人介護の経験者(介護福祉士など)
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士など、なんらかの国家資格を保有して老人介護分野で働かれていた方は、5年以上の勤務経験で要件を満たすことができます。
ただし、このうち老人・医療分野以外での経験が3年必要です。
よって、老人介護分野で資格をいかした専門業務を2年以上経験し、かつ障がい児支援施設に転職して1年勤務することで、基礎研修を受けられるようになります。
老人介護の経験者(ホームヘルパーなど)
「社会福祉主事」の任用資格や、訪問介護員(ホームヘルパー)2級以上の資格を保有して直接支援業務にあたっていた方は、5年以上働いていれば要件を満たすことができます。
ただし、要件を満たすには老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が5年以上必要なため、その点に注意が必要です。
老人・医療分野以外での勤務経験がある方は、以下の年数を満たすことで基礎研修を受けられるようになります。
老人・医療分野以外の施設で
- 3年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
※要件を満たすには老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が5年以上必要なため
なお、資格取得前から同じ職場に勤務している場合、資格取得以前の勤務も年数に含めることができます。
医療・老人施設以外での相談支援経験者
障がい者の就労支援事業所などで相談支援を行う、学校で進路相談・教育相談などを行うなど、医療・老人施設以外での相談支援の経験者は、5年以上相談支援業務を経験することで児発管の実務要件を満たすことができます。
よって、5年以上の相談支援経験がある方は、障がい児支援施設に転職してすぐに基礎研修を受講できます。
教員から障がい児支援への転職
教員免許は児発管要件に関係する資格ではありません。そのため、学級を受け持つ教員の場合、直接支援業務に該当し、必要な要件年数は8年以上となります。
よって、教員から障がい児支援施設に転職する場合、以下の年数を満たすことで基礎研修を受講できるようになります。
- 6年以上勤務し、障がい児支援施設へ転職
- 5年勤務し、障がい児支援施設へ転職して1年勤務
- 4年勤務し、障がい児支援施設へ転職して2年勤務
- 3年勤務し、障がい児支援施設へ転職して3年勤務
- 2年勤務し、障がい児支援施設へ転職して4年勤務
- 1年勤務し、障がい児支援施設へ転職して5年勤務
児童発達支援管理責任者(児発管)とサービス管理責任者(サビ管)の違い
児童発達支援管理責任者:障がいをもつ「子ども」を対象とする
サービス管理責任者:障がい者をもつ「大人」を対象とする
以前はサービス管理責任者の資格しか設けられていませんでしたが、2012年の法改正から児童を対象とした施設の専門資格として児童発達支援管理責任者が設けられました。
資格としては分かれていますが、児発管になるための研修は「サービス管理責任者等研修制度」としてサービス管理責任者と同様の研修が行われています。
サービス管理責任者から児童発達支援管理責任者にはなれる?
サービス管理責任者と児童発達支援管理責任者は、現在、共通の研修が行われています。
そのため、それぞれの配置要件を満たしていれば、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者どちらになることも可能です。
児童発達支援管理責任者の配置要件(実務経験等)は、この記事でご紹介した内容のとおりです。
また、サービス管理責任者の場合の配置要件は、簡単にご紹介すると以下のようになっています。
- 相談支援業務に5年以上(国家資格者の場合3年以上)
- 直接支援業務に8年以上(有資格者の場合5年以上)
児発管とサビ管、両者の違いは、児発管の要件には医療・老人分野以外での実務経験要件が含まれるという点です。
児発管のほうが、より児童・障がい分野に特化した資格というわけです。
児童発達支援管理責任者のみなし配置と期間について
本章では、事業所向けの情報として、法改正の動きとみなし配置についてご紹介します。
児発管の資格取得に関する法改正の動き
児童発達支援管理責任者の資格は2012年に設立されてからまだ年数が浅く、短いスパンで法改正が続いています。
2019年には児発管の質の問題から、研修制度や要件の見直しが行われ、老人・医療分野以後での経験要件が追加されたり、2年間の見習い期間(OJT)が追加されたりと、一気に取得が難しい資格になりました。
児発管の資格取得までの年数が長くなったことで、事業所では必要な人員を確保できない問題が生じ、2023年2月には再度OJT期間短縮の改正案も出されています。
事業所側は、法改正の動きにも注目しつつ、必要な人員を確保できるよう早めに動いていく必要があるでしょう。
参考サイト:厚生労働省 社会保障審議会障がい者部会(第135回)ー資料5
児発管不足に対処する【みなし配置】について
児童発達支援管理責任者を確保できない問題に対処する経過措置として、「みなし配置」の制度が設けられています。
現行の法律では、退職や病気など、「やむを得ない事由」で児発管に欠員が出た場合、実務経験要件を満たす者を1年間児発管としてみなし配置できることとなっています。
加えて、2023年2月に発表された改正案では、以下2点が新設されています。
- みなし配置の児発管として個別支援計画の作成の一連の業務に従事する場合、OJT期間を6か月に短縮
- 人員欠如以前から事業所で働いている者で、実務要件を満たし、かつ欠如時に基礎研修を終了(OJT実施中)している場合、最長2年間(実践研修終了まで)のみなし配置を可能とする
新制度が施行されれば、児発管の退職等による人員欠如や運営困難などの問題を解消しやすくなるでしょう。
なお、現行の法律では、児童発達支援管理責任者が1名配置されていれば、基礎研修修了者は2人目の児童発達支援管理責任者として配置が可能です。
2人体制で配置することで、人員の欠如に備えることができます。
新制度の施行については、厚生労働省の動向を随時チェックしておく必要があります。
参考サイト:厚生労働省 社会保障審議会障がい者部会(第135回)ー資料5
現在の給料に不満のある保育士・児童指導員は転職も視野に入れて
現在、障がい児支援施設で保育士や児童指導員として働いており、給料アップやキャリアアップのために児童発達支援管理責任者を目指したいと考えている方もいるかと思います。
ただ、児童発達支援管理責任者の資格取得は簡単ではなく、事業所の許可も必要です。
もし、現在の職場で児発管を目指すのが難しい場合には、条件のいい職場へ転職を考えるのもひとつでしょう。
保育士の場合、国や自治体で処遇改善も進んでいるため、認可保育園に勤めることで給料アップが見込めます。
また、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障がい児支援施設で働きたい保育士や児童指導員の方も、事業所を変えることで給料条件も大きく変わる可能性がありますし、新しい事業所で児発管候補を募集していれば、その事業所から児発管を目指すこともできるかもしれません。
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