託児所とは子どもを預ける施設全般を指し、一般的に認可保育園とは区別されます。
この記事では、託児所と一時預かりや保育園との違い、概要、メリット・デメリットを解説しています。
目次
この記事でわかること【託児所とは?】
「子どもを預ける場所=託児所」というイメージがありますよね。
しかし、「託児所ってそもそもどんな施設を指すの?」と疑問に思っている方も多いと思います。
託児所とは、一般的なイメージ通り、子どもを預ける場所全般を指す言葉です。
ただ、意味合いとして認可保育園とは区別して使われることが多いです。
なんとなく子どもを預ける場所というイメージがあっても、認可保育園との違いや具体的な施設、利用方法などがわからない方も多いと思います。
そこで、この記事では、これから保育施設で働きたいと考えている保育士の方(もしくは無資格だが働きたい方)へ、託児所の概要をご紹介します。
託児所とは?
託児所とは、「子どもを預ける場所」全般を指す言葉です。
明確な定義があるわけではありませんが、託児所の意味合いで認可外保育施設を開設している場合があります。
認可外保育施設にはさまざまな種類があり、例えば美容室や病院、商業施設などに設置された保育ルームなども託児所と呼べますし、会社内の託児所や、独立した保育園型の託児所もあります。
種類によって、利用の仕方や料金が異なるのが特徴です。
一方、一般的な「保育園」は自治体の認可を受けて運営される認可保育所を指すことが多く、利用のためには保護者が働いていることが条件となります。
まずは、主な託児所の概要をご紹介します。
託児所の対象年齢は主に0歳から5歳まで
託児所を利用できる年齢は、「0歳~5歳」の未就学児が対象となります。
ただし、託児所の種類によって受け入れの対象年齢が異なります。
2歳以下は受け入れていないところもあるため、利用の際は確認が必要です。
託児所でできること
託児所では、30分や1時間などの時間単位、あるいは月単位で子どもを預けることができます。
基本的に預ける理由はどんなものでもよく、保護者が働いていなくても誰でも利用できます。
保育の内容は、短時間なら遊びの提供や、トイレのサポートなど。施設によって、食事(給食)を提供してもらえる場合もあります。
託児所の料金
託児所(認可外保育施設の場合も含む)の料金は、施設ごとに自由に設定できるため、一概に言うことはできません。
一般的には、1時間あたり600円~1,000円前後であることが多く、施設によっては月極で利用できることもあります。
保育園型の託児所を月極で利用する場合、「料金は年齢×利用日数」で決まり、年齢が低いほど料金は高くなります。
平日、毎日利用する場合の料金目安は月額3~7万円ほどです。
託児所を利用できる時間
開所時間は施設ごとにさまざまで、多くが日中の預かりですが、なかには24時間保育や夜間の保育を行なっている施設もあります。
託児所の申し込み(利用)方法
基本的には利用したい施設へ直接申し込みます。
利用したいときに数時間だけ預ける「一時預かり」は、当日、予約なしに利用できるところもあれば、事前予約が必要な場合もあります。
託児所の主な種類・設置場所
次に、託児所の主な種類や設置場所をご紹介します。
託児所の種類①【保育園型】
独立した保育園型の施設は「認可外保育園」と呼ばれることもあります。
住宅街の一角や駅前のビルの一室などに設置されていることが多く、園庭や遊具のありなしなど保育環境は施設によってさまざまです。
「認可外保育園ってどうなの?」と思う保護者の方も多いですが、基本的には、一般的な保育園と保育内容は大きく変わりません。
ただ、自治体の認可を受けていないぶん自由な保育が可能で、独自のプログラムを実施しているケースもあります。
認可保育園は国や自治体からの補助金で運営されますが、認可外保育園は利用者からの保育料のみで運営されているケースがあります。
そのため、料金は高めであるケースも多いですが、就労にかかわらず利用できるのがメリットです。
託児所の種類②【商業施設や駅構内に設置の託児ルーム(主に一時預かり)】
美容室、映画館、スキー場、大型商業施設などに付属した託児ルームも、託児所の一種です。
主に一時預かりを想定しており、レジャーや買い物などの際に一時的に子どもを預けることができます。
料金は無料のところもありますが、多くが1時間500円~1,000円程度の預かり料金がかかります。
託児所の種類③【児童館や子育て広場(主に一時預かり)】
自治体や民間団体が運営する児童館や子育て広場では、一時預かりを実施しているところも多く、それらも託児所の一種といえます。
料金は、1時間あたり500円~700円程度の預かり料金がかかります。
託児所の種類④【夜間の保育を専門とするベビーホテル】
夜間の保育を専門とした、泊まりを含む一時預かりを行なう保育施設は、ベビーホテルといわれます。
主に都心部などに設置されており、親の就労にかかわらず夜間に預けることができるのがメリットです。
料金は事業所が自由に決められますが、年齢や預ける時間帯により、目安としては1時間あたり700~1,500円ほどの預かり料金がかかります。
ただし、認可外のベビーホテルは保育環境が問題視されることも多いため、利用の際は事前に施設をよく調べておくことが大切です。
託児所の種類⑤【病児の保育を専門とする病児保育室】
病児の保育を専門とする保育施設もあり、それも託児所の一種です。
病児・病後児を預けることができるため、働く保護者にとって助かる施設です。
料金は1日(8時間)で2,000円~3,000円が目安です。
託児所の種類⑥【企業内の託児ルーム(従業員向け)】
企業内に設けられた保育施設も、託児所と呼ばれます。
形態はさまざまで、国や自治体の認可を受けたものもあれば、企業独自に設置しているものもあります。
夜勤のある仕事など、業種によっては24時間保育を実施しているケースもあります。
主に従業員の子ども向けに設置しているため、申し込みは会社を通して行います。
企業内保育について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
企業内保育所とは?働くメリット・デメリットや給料、仕事内容、事例、転職の仕方について詳しく解説!>>
託児所の種類⑦【病院内の託児ルーム・院内保育(利用者・従業員向け)】
病院内にも託児所が設けられています。
歯医者や産婦人科病院など、病院の利用者向けに設置された託児ルームは、無料で利用できるケースも多くなっています。
また、医師や看護師の子どもの預け場所として設置された託児所は「院内保育」と呼ばれ、病院で働く従業員が利用できます。
院内保育について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
院内保育とは?院内保育で働きたい方必見!給料や求人の探し方、メリットなど詳しく解説>>
託児所の特徴
前章でご紹介したように、託児所にはさまざまな種類があり、施設ごとにそれぞれ特徴があります。
託児所全体でいえる大きな特徴は、親の就労にかかわらず気軽に利用できるという点です。
託児所の多くが、施設へ直接申し込んで利用します。
そのため、自治体への書類の提出や手続きが必要な認可保育園と比べると、利用方法は簡単で、気軽に子どもを預けることができます。
大規模な施設は少なく、小さな保育ルームのような形態の施設が多くなっています。
サービスとして保育を提供している施設も多く、利用時間の融通がききやすいのも特徴です。
託児所と保育園の違い
保育園(認可あり) | 託児所 | |
対象年齢 | 0~5歳 | 0~5歳(※施設によって異なる) |
利用条件 | 共働きなど保育が必要な子どもであること | 誰でも利用可能 |
申込方法 | 市区町村の役所へ申請 | 施設へ直接申し込み |
料金 | ほとんどかからない※保育料無償化の対象 | ・認可園と比べると高い場合がほとんど ・一時預かりは時間で料金がかかる |
保育環境 | 自治体の基準を満たしているため安心 | 施設によってさまざま |
託児所と認可保育園の大きな違いは、「自治体の認可を受けているかどうか?」というところです。
認可を受けるためには自治体が定める保育環境や設備の基準を満たす必要があり、認可がおりると国や自治体から補助金を受けることができます。
そのため、保護者の視点からは、認可保育園だと一定の保育環境が保証されていることになり、安心して子どもを預けられます。
ただし、認可保育園には共働き家庭など保育が必要だと自治体から認められた子どもしか入園できず、申し込みも役所への申請が必要です。
その点、託児所は“誰でも気軽に利用できる”のがメリット。
ただし、そのぶん料金はかかりますし、保育環境も施設ごとにしっかり見極める必要があります※。
※保育環境については、託児所のほとんどが、文部科学省が定める「認可外保育施設指導監督基準」という設置規定に基づき開所しています
託児所と一時預かりの違い
託児所とは、子どもを預ける場所全般を指し、認可保育園とは区別して用いられるのが一般的な解釈です。
一方、「一時預かり」とは時間単位で子どもを預かる預かり方法のことをいいます。
託児所と学童の違い
託児所と学童では、預けられる年齢に違いがあります。
託児所は0~5歳の未就学児を対象としているのに対し、学童は“小学生を対象”としています。
託児所で働きたい方が知っておきたいポイント
ここからは、託児所で働きたいと考えている方へ、必要資格や給料、仕事内容などについてご紹介します。
託児所の働き方①【必要資格】
託児所で働くには、保育士資格があるといいでしょう。
ただし、商業施設等の保育ルームでは、免許や資格なしでも働ける場合があります。
これから保育士の国家資格を取りたいと考えている方は、以下の記事も参考にしてください。
保育士免許の取り方は?正式名称や資格の取得ルート、試験の内容、更新、再発行方法は?>>
託児所の働き方②【給料】
一般的な託児所の給料の目安は、正社員で「月給17万〜20万円」程度で、パートやアルバイトの時給は「1,000円前後」というところがほとんどです。
託児所で働く場合の給料は、働く施設によっても異なりますが、認可保育園と比べると若干低くなります。
これは、認可保育園だと支給される保育士の処遇改善手当が認可外保育施設だとつかないためです。
ただし、病院内の託児所や大手企業内の託児所など、運営元の企業・団体が大きい場合は待遇・給料ともによくなるケースが多いです。
大企業・大病院ほど、産休などの福利厚生も期待できるでしょう。
託児所の働き方③【業務内容(仕事内容)】
設置場所や種類がさまざまある託児所ですが、基本的には子どもへの保育がメイン業務です。
着替えや排せつ、食事のサポートや、遊びの提供などを行ないます。
保育園型の施設の場合は月極の利用者も多いため、認可保育園と同様の業務を担います。
月の制作物の準備や壁などへの季節の装飾づくり、子どもごとの保育記録やお便りの作成、行事準備など、さまざまな業務を担います。
一時預かりを主とする施設のほうが、業務負担が少ない傾向があります。
託児所で働く【メリット】
託児所(認可保育園以外の保育施設)で働くメリットを3つご紹介します。
託児所で働くメリット①【保育士資格がなくても働ける】
託児所では、保育補助として「無資格」でも働けるケースも多くあります。
パートやアルバイトで子どもにかかわる仕事の求人を探している方なら、託児所がぴったりでしょう。
託児所で働くメリット②【少人数でアットホームな保育ができる】
認可保育園以外の託児所はほとんどが小規模な保育施設のため、大人数の保育を行なうことはほとんどありません。
そのため、集団をまとめることに自信がない方や、子ども一人ひとりと向き合ったアットホームな保育をしたい方には、働きやすい職場といえます。
託児所で働くメリット③【業務負担が少ない】
業務負担が少ないことも、託児所のメリットです。
大規模な保育園では行事準備や要録の作成、制作物の準備も大変ですが、小規模な保育施設ならそうした業務の負担も少なくなります。
託児所で働く【デメリット】
次に、託児所で働くデメリットを3つご紹介します。
託児所で働くデメリット①【子どもの成長を長く見守れない】
託児所の多くが一時預かりを主としているため、子どもの入れ替わりが激しい特徴があります。
そのため、一人の子どもの成長を長く見守れないのは、託児所のデメリットです。
そのぶん業務負担は少なく責任も軽くなりますが、人によっては寂しく感じてしまうこともあります。
託児所で働くデメリット②【保育に物足りなさを感じる場合がある】
大規模な保育園に比べて、託児所では行事なども少なく大人数で何かを経験する機会が少なくなります。
特に、一時預かりでは子どもの成長を考えるよりも、一時的な遊びの提供がメインとなるでしょう。
そのため、人によっては保育に物足りなさを感じる場合も考えられます。
託児所で働くデメリット③【施設によって環境や待遇が悪い場合もある】
託児所には民間施設も多く、給料や待遇はさまざまです。
一般的には認可保育園と比べると給料が低いケースも少なくありません。
給料面を重視したいのであれば、大企業や病院の託児所を探すか、処遇改善手当のある認可保育園を就職先に選ぶといいでしょう。
託児所に向いている人
託児所に向いているのは、以下のような人です。
託児所に向いている人①【機応変な対応ができる人】
一時預かりを主とする施設では、臨機応変な対応ができる人材が求められます。
なぜなら、託児所では素性を深く知らない子どもたちを次々に預かるため、働く保育士は子ども一人ひとりにあわせた対応が求められるためです。
信頼関係がないなか、子どもの心を開かせるようなやりとりができる人は、託児所に向いているといえるでしょう。
託児所に向いている人②【どんな年齢の子どもにも対応できる人】
一時預かりを主とする託児所では年齢によるクラス分けがなく、日々さまざまな年齢の子どもをみることになります。
そのため、働く保育士はどんな年齢でも対応できる能力が必要になります。
託児所に向いている人③【子育て経験がある人】
無資格だとしても、子育て経験がある人は託児所に向いています。
なぜなら、託児所で預かるさまざまな年代を、すでに身近で経験してきているためです。
子育ての経験は、預かる子どもが次々入れ替わる託児所では強みとなるでしょう。
託児所に向いていない人
以下のような人は、託児所に向いていない可能性があります。
託児所に向いていない人①【大きなイベントを体験したい人】
保育士としてさまざまな経験を積んでいきたいと考えている方には、託児所は向いていない可能性があります。
特に、一時預かりを主とする託児所では、クラスをまとめたり、大きな行事を体験したりすることはできません。
託児所に向いていない人②【キャリアアップを考えている人】
同じ職場でキャリアを積んでいきたいと考えている方には、託児所よりも認可保育園のほうが向いています。
認可保育園ではリーダー職や主任といった役職が設けられており、役職によって給料アップも狙えます。
小規模な託児所ほど、そうしたキャリアアップは期待できないといえるでしょう。
託児所に向いていない人③【子どもの成長を長く見守りたい人】
保育士の仕事は、子どもの成長を近くで見守れることが大きなやりがいにつながる一面があります。
しかし、預かりを主とする託児所では、そうした喜びを感じる機会が少なくなります。
業務負担が少ないメリットもありますが、やりがいや保育士としての喜びを優先したいのであれば、子どもと長くかかわれる職場のほうが合っているかもしれません。
託児所の求人の探し方・転職の仕方
次に、託児所で働いてみたい方へ、託児所への転職の仕方や求人の探し方をご紹介します。
託児所の求人を探す方法として、以下があげられます。
- ネットから「託児所 求人」などと検索
- ハローワークで探す
- 新聞や地域の情報誌の求人欄から探す
- 保育士の求人情報サイトで探す
パートなど、今住んでいるエリアで求人を探したいのであれば、無料で配られる地域の情報誌をみてみることをおすすめします。
地域の求人情報に絞って掲載されているため、自宅近くの求人を探しやすい特徴があります。
転職や正社員の求人を探している方は、ハローワークやインターネットで探してみるのもいいでしょう。
また、託児所に限らず保育の仕事がしたい方や、保育関係の資格がある方は、当サイト保育士人材バンクをはじめとする保育士の求人情報サイトを活用するのがおすすめです。
保育関係の求人だけを、条件など細かく絞って検索できます。
なお、転職の場合は失業保険が切れる3か月以内に仕事を見つけたいため、離職前からの早めの情報収集が大切になります。
上記で紹介した方法を複数組み合わせながら探してみるといいでしょう。
託児所に応募する際の履歴書・職務経歴書の書き方
託児所に応募する際は、履歴書や職務経歴書の書き方が重要です。
採用担当者は、まず履歴書から面接に進めるかどうかを判断するためです。
託児所の履歴書を書く際は、人柄がわかるよう、なるべく手書きで丁寧に書くといいでしょう。
内容は、熱意と意欲を伝えることはもちろん、その施設でなければならない理由もしっかり盛り込みましょう。
職務経歴書は、転職の方で、応募先から提出を求められた場合に提出します。
託児所の職務経歴書を書く際は、経験やスキルなどをわかりやすく明記し、先方にとって有用な人材であることをアピールできるといいでしょう。
託児所に応募する際の面接のポイント
託児所の応募で面接まで進んだら、あとはほとんどが人柄で採用を判断します。
今後の子どもや保護者とのやり取りを想定し、明るい受け答えができるか、子どもが安心できる人柄かなどをみられます。
面接の際は事前に質問を予想し、答えを自分のなかで用意しておくと安心ですよ。
託児所のまとめ
託児所とは「子どもを預ける場所全般を指す言葉」で、さまざまな施設があります。
一時預かりを主とする託児所も多く、業務負担が少ないことなどがメリットですが、子どもの成長を長く見守れないなどのデメリットもあります。
託児所で働きたい方は、そうしたメリット・デメリットを把握したうえで、求人を探してみてください。
これから保育関係の仕事をしてみたいと考えているのであれば、ぜひ、保育士人材バンクをご活用ください!
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